メンタルヘルスに関するFAQ

6 医療

具合の悪そうな隊員を強制的に病院に行かせて良いか?

Q:メンタルチェックを実施しているが、病院を勧める段階の隊員に対し、強制的に病院に行かせてよいのか。
A:メンタルチェックはあくまで目安なので、本人とよく面談した上で本人の今の状態を確認して、その上で病院を勧めると同時に、本人の同意又は家族の同意を得ることが必要である。最初から強制的に病院に行かせることは、じ後トラブルになる可能性があり注意を要する。

円形脱毛症が出現している隊員への対応は?

Q:真面目な性格で一生懸命仕事をしているが、円形脱毛症が出現している隊員に対し、どのように対応すればよいか。
A:円形脱毛症が出ているのであれば、ストレスから来る精神的な関連が考えられるので、心療内科か精神科に速やかに受診させたほうがよい。

本人の回復を最優先に考えてなるべく早く、通院を勧めましょう。
その際、職場・家族・医療がそれぞれ連携することが重要です。

通院を勧めても反発する隊員への対応は?

Q:ある隊員に、様子がおかしかったり、話の内容につじつまが合わないので病院を勧めると、病気扱いをするのかと反発するので本人を納得させるのが難しい。どうしたらよいか。
A:精神的な障害には、まだまだ無理解、偏見、誤解がつきまとうので単刀直入に「病院に行ったら」と言うと反発する場合が多い。本人は認めたくない、知られたくないという気持ちが強いと言われている。
本人とじっくり話し合い、「誰でもかかること」「多くの人が病院に行っていること」「放っておくと更に悪化すること」等、安心感と危機感を伝えることが大切である。その際、人事上の不利益を受けないことについても説明する。
家族や専門家等から勧めてもらうのも良いと思う。

うつ病の見分け方は?

Q:うつ病かどうか見分ける方法を知りたい。
Q:うつの発見(気づき)の具体的な方法はないか。
A:うつ病かどうか診断するのは医者である。
職場においては、遅刻、欠勤、勤務中の居眠り等今までとちょっと違うという事例(ズレ(変化)による気づき(集団からのズレ、その人の日常的状態からのズレ))を捕らえてほしい。
また、情緒的に気分が上がったり下がったり、また急にズボラになったり、ミスが目立ったりした場合は声掛けをして、今の気持ちをよく聴いてやることが必要である。
家ではどうか配偶者(家族等)から話を聞いてみるといい。家でも同じような状態であれば、本人から話を聴いたうえで、受診を勧めて欲しい。

うつ病といっているものの、受診しない隊員への対応は?

Q:本人はうつ病と言っていながら受診しない隊員がいる。どのようにして受診させたらよいか。
Q:病院に行かない隊員にはどうサポートしたらよいのか。
A:病院に行かない隊員が多いと思うが、強制的に行かせることはできないので、「うつ病」について本人にしっかり言って聞かせて納得、理解させ、精神的に安心させることが大切である。(誰でもかかる病気、治る病気、放っておくとますます悪化して治りにくくなる、早期受診・早期治療が本人はもとより家族や組織にとって極めて大事である、等を伝えて説得する。)
必要に応じ、家族に伝えて、家族からの後押しを得る
本当にうつ病かどうか見分けることは困難であるが、課業後の行動を見れば分かる場合もある。うつ病だと思われる場合には、家族から家庭における状況を聞いて確認し、要すれば家族同伴で受診するか上司が同行することも必要である。
うつ病は誰でもかかる病気であり、うつ病の怖さと早期受診の大切さを認識させ、組織としては繰返し受診を勧めることが必要である。
Q:うつ状態と思われる幹部がいて、このところ出勤できない状態が続いている。
病院等には行っていない。どう対応したらよいか。
A:
  • うつ状態の可能性がある以上激励はしない。
  • 本人とじっくり面談し、病院等に行くことを勧める。
  • 本人が同意しない場合は、配偶者(家族等)に伝えて配偶者(家族等)から勧めてもらう。
  • 事後は、医師の診断、処置に基づいて対処する。
  • うつ状態となった原因を把握し、その除去に努める。
Q:精神的な障害に陥っていると思われる隊員がなかなか病院に行こうとせず困っている。
そこで、部外カウンセラーに先ずはカウンセリングをしてもらい、その上で病院を勧めてもらうと思っているがどうか。
A:引き続き本人とコンタクトを取りつつ、粘り強く病院に行くことを勧めることが大事であるが、部外カウンセラーから伝えてもらうのも良いと思う。
出来れば、配偶者等家族にお伝えし、家族から勧めることも良いと思う。

うつ病が治ったかどうかの判断や復職の判断は?

Q:うつ病が、治ったかどうかの判断や、復職の判断はどうすればよいのか。
A:うつ病は完治ということではなく、寛解という言葉を使うが、いずれにしても主治医の判断による。本人に診断書を提出させることが重要である。
復職に際しては、主治医の診断書と指示等に基づき本人と相談した上で組織側としてトータル的に判断して復職の可否を決定することが大事である。
復職に際しては、本人と相談した上で配置や勤務形態を考慮し、リハビリ出勤や段階的な勤務をさせる配慮が大切である。その際、本人との合意書的なものをとっておくことも組織として事後の対応のためには必要である。
復職後も通院や服薬が必要な場合もあるので、その配慮や確認が大切である。

うつ病の隊員がまもなく復帰するが対応要領は?

Q:うつ病で休職中の隊員が間もなく復帰してくるが、どう対応したらよいか。
A:
  • 主治医の診断、指示を承知し、それを基本に対応する。
  • 復職職場は、原則的には元の職場と言われているが、うつ病の原因を考慮して本人(家族)とよく話し合って適切な職務に配置
  • 仕事の量、質、勤務時間等は、段階的に行って普通の状態に戻して行くこととし、主治医と本人(家族)とよく話し合うことが必要である。(事後のことを考え、合意の旨の文書を残しておくことも必要)
  • 以前と同じ症状が現れたら主治医の元に行かせる。
  • 治りかけは、エネルギーも高まり自殺防止の観点から要注意
  • 本人の気持ちに沿って話しを聴くようにする。
  • 穏やかな無関心(特別視しない、つかず離れず)で接する。
Q:「穏やかな無関心」とは、具体的にはどうしたらよいのか。
A:うつ病の隊員に対して「特別視しないこと」「無視しないこと」すなわち「つかず離れず」の間合いで接することである。
具体例として「あいさつ」「声かけ(体調は?大丈夫か?仕事の進め方はどうかな?等」や「通院は行っているか?」「薬はちゃんと飲んでいるか?」等、簡単な会話に努めることが結果的には本人に対するサポートにつながる。
くれぐれも原因を追究したり、過去のことを根掘り葉掘り尋ねたり、心配し過ぎたりすると本人がかえって辛く、苦しく、悩みを深めることになる。

うつ病で復帰する隊員について、職場の皆に周知した方がよいのか?

Q:隊員全員にうつ病であったことを知らせるべきか。
A:病気のことは全員に伝える必要はないと思うが、周囲の人の理解と支援が必要であるので、本人の同意を得た上で、本人の周囲にいるキーマンには話をしておく必要はある。

うつ病と診断された(既往歴含む。)隊員に対する仕事の与え方は?

Q:仕事の与えかたはどうしたらよいのか。
A:仕事の与えかたについては、本人は休んでいたので後れを取り戻そうとするが、主治医と本人とよく話合いを行いながら仕事の量を決めたらよい。
Q:うつ病と診断された部下に対する仕事の与え方を知りたい。
A:体の状態を知っているのは本人であるので、本人からどの程度やれるかよく聞くと共に、主治医から話しを聞いて与えるようにしたらよい。
Q:復職後の勤務形態、何年後にはどの配置でどのくらいの仕事をさせたらいいかといったようなものがあるのか。
A:配置については、本人とよく話しをしてから決めないと、新配置に回されたと受け取ってしまうので、本人に決めさせるのが良い。合意の文書を取っておく。
最初はリハビリ出勤させ、段階的に職務に慣れさせる。集中心が無いのでミスが目立つから、簡単な仕事を与えて体力、気力、集中力を高めるように配慮する必要がある。
帰れよと言ってあげ、残業はさせない。期間は個人の状況によって異なる
前と同じ症状が出たら必ず申し出るようにさせ、受診して休ませることが肝心である。診断書を必ず取らせる。

うつ病はどれくらいで治るのか?
うつ病は治る病気と聞いたが、再発しないのか?

Q:うつ病は、一般的にどのくらいの期間で治るのか。
A:通常は、7割は3か月で治ると言われ、3割は半年から1年と言われている。
1年以上の人は、通院や服薬を途中で止めたり、他の病気を合併しているとも言われている。
いずれにしても、医師の指示に従って通院、服薬をしているかを時々確認されることが大切である。
Q:「うつ病」になった場合の回復度合には、個人差があるのか。
A:「うつ病」の軽重もさることながら、休養、薬物療法、カウンセリング、治そうとする意志、更には周囲のサポートの程度等によって、回復度合には個人差 があると言われている。
Q:うつ病は治る病気と聞いたが、再発しないのか。
A:精神科医は、完治という言葉は使用しない。ほとんど治った状態をいう寛解という言葉を使う。うつ病は、何かの刺激で再発する場合がある病気であるので、周囲の人は良く理解して支持してやって欲しい。
再発を防止するために、服薬の管理と受診状況は確実に把握しておくことが大切である。

うつ病について、家族にも知ってもらうことが重要と考えるが、その方法は?

Q:隊員本人だけではなく家族も「うつ病」について知っておく必要があると考えている。どのようにして広めるようにしたらよいか。
A:隊員の状態を一番知っているのは家族である。そのために、配偶者がうつ病のことをよく理解しておく必要がある。家族のうつ病も最近話題になっており、うつ病について、皆が「明日は我が身」という認識を持つ必要がある。うつ病に対する知識を持たせるためには、分かりやすい資料を作成あるいは入手して隊員に家に持って帰らせることや、部隊において開催されるメンタルヘルスに関する講話に家族の方にも積極的に参加してもらうことも一つの方法と考える。

うつ病は我慢すればするほど治りにくい?

Q:「うつ病」は、我慢すればするほど悪くなり、そして治りにくいと聞いているがどうか。
A:「うつ病」は、早期発見、早期治療が早期回復につながると言われている。
我慢に我慢を重ねた結果が「うつ病」になるケースが多く、さらに悪化させる結果となり回復が長引き、本人も家族も組織もいろいろな形で損失を被ることになる。
病気になりそうな時は我慢よりも、勇気を持って休暇を取りゆっくり休養をとることや、弱音を吐いて誰かに伝えたり、受診したりすることが大切である。

うつになるきっかけを排除しないと、再発する?

Q:数年間で数回、うつ病で入院した隊員がいるが、うつとなるきっかけ(要因)があると思う。この要因(例:借金、夫婦問題、嫁姑問題、職場問題等)を排除しないと再発すると思うがどうか。
A:うつになるきっかけ(要因)を解決しないと、うつ病は再燃、再発する可能性が高いと言われているので、その要因をよく話し合って解決への援助が必要と思う。
ただし、原因を追究したり、過去のことを根掘り葉掘り尋ねたり、心配し過ぎたりすると本人がかえって辛く、苦しく、悩みを深めることになる。
主治医と本人とよく話合いを行いながら、サポートとしていってほしい。

同僚が「うつ病」になったが、どう対応したらよいか?

Q:職場の隣の席の同僚が「うつ病」になったが、仕事が忙しく面倒を看てやる時間がないが、どのように対応したらよいか。
A:病気になり依存できる人が出てくると頼り切ってしまうので、相談時間、曜日等を決めて実施したほうが良い。話の内容は繰り返しになる。
付かず離れず穏やかな関心を持つことが大切である。
主治医の医療方針から外れることもあるので「主治医に話しなさい。」「カウンセラーに話しなさい。」と言ってあげることも必要である。

独身隊員が「うつ病」になった場合、親に話しても良い?

Q:部外の病院で受診している「うつ病」の職員がいる。独身で官舎に入居しているが出勤してこないこともある。本人は、病気のことを親に話しをしていないが、親に話をしてもいいのか。本人は、親に話をしたがらない。
A:「うつ病」は良くなったり悪くなったりしながら波を打ちながら回復していく。
先ず本人から誰かに知らせるように説得する必要がある。
本人の了解を取って、職場で困っている事例を伝え、組織も心配していることを伝えながら親に知っているかどうか確認してみる。
主治医に事情を聞いてみるのもよい。
本人の了解を得ず、親に話しをすることは、良くない。

「うつ病」の隊員に借金があることが判明!どうしたらよい?

Q:「うつ病」で治療中の隊員がいるが、借金していることが判明した。借金のことを責めると病気に影響するのではないかと心配だ。
A:借金が怖いのは自殺につながることであり、借金と「うつ病」は関係がある。
借金が解決しないと「うつ病」が再燃することが考えられる。
安心させながら、治療と同時並行にやったほうが良い。
借金の解決のためには、本人に了解を取った上で、早めに弁護士等に相談することが有効である。

統合失調症/躁病・・・などと診断された隊員への対応は?

Q:「統合失調症」という診断を受けている隊員がいるが、どう対応したらよいか。
Q:「躁病」という診断を受けている隊員がいるが、どのように接したらよいか。
Q:「てんかん性障害」という診断を受けている隊員がいるが、どう対応したらよいか。
A:どの場合も、あくまでも医師の診断と指示に基づいて対応する。
医療にすべてを任せるのではなく、家族・職場が連携して対応していく必要がある。