メンタルヘルスに関するFAQ

5 相談員・部内カウンセラー等

部隊相談員・部隊カウンセラーになったけど、相談がないがどうしたらよい?

Q:部隊相談員・部隊カウンセラーに指定されたが、隊員は相談に来ない。どうしたらよいのか。
A:部隊相談員・部隊カウンセラーは、「存在していること」が重要である。相談の有無に一喜一憂せず、相談があったら真剣に受け止めて援助してやって欲しい。
相談に行くと指導されたり、上司に報告されて評価を下げるのではないかと非常に不安に思って相談に行かない場合が多い。相談に来なくても隊内に相談できる場所があるということが隊員には大きな安心感を与えるので心配することはないと思う。日常のコミュニケーションが最も大事であり、常に気配りをして、何か気づいたら声をかけてやって欲しい。

人事上の不利益があると思いこんで隊員が相談にこないがどうしたらよいか?

Q:相談内容によっては、本人が不利益を受けるという思い込みが強く、なかなか相談に来ない。組織側として、相談し易い雰囲気を作る上でネックとなっていると思うが如何か。
A:あくまでも相談と「人事上の不利益」を結びつける状態を作ってしまうと、他の人はこれを見て相談しなくなる例が多いと思う。
個人の問題と勤務成績とは違うことを明確に区分される雰囲気作りが大事である。

症状の重い相談を持ちかけられて困っている。
カウンセラーとしての能力の限界を感じているがどうしたらよいか?

Q:部隊カウンセラーと言っても、プロではないので能力に限界がある。相談内容によっては、どう対応してよいか分からないことが多い。どうしたらよいか。
A:症状が、軽い人でも重い人に対しても、基本的なカウンセリングは変わらない。
相手の気持ちをよく聴いて、受容、共感してやることが大切である。
しかしながら、自分の能力以上の相談を受けた場合、症状が重いと感じる場合は、自分で抱え込まず相談者の同意を得て専門家、専門機関、上司、医務室等その能力があるところにつなぐ(リファー)ことが最も大事なことである。
このため、どのような専門機関等がどこにあるのか等を一覧表に整備しておくことが必要である。
カウンセラーが抱え込んで悩むことは、よくあることであり、相談者にも迷惑がかかることになるので注意が必要である。
通院している隊員の場合は、主治医とよく連携を取り、カウンセリング許可を得た上で実施する必要がある。

上司から相談内容を教えろ、といわれて困っている。

Q:隊員の相談内容について、部隊指揮官から身上把握のため教えろと強要されて困っている。どう対応したらよいのか。
A:相談者の自殺行為の恐れがある場合には通報するが、そうでなければ個人のプライバシーの保護に関する守秘義務があるとして、断るべきである。階級、立場を使って強要してくるのであれば、指揮官会議等の場で上司から注意喚起することも一つの方法であると考える。

カウンセリング集合訓練を受け、今後部隊の相談員としてやっていく上でのアドバイスがほしい。

Q:今般、相談員に指定された。しっかりアンテナを立てて勤務したいと考えている。何かアドバイスをお願いしたい
A:相談に来るのを待つ方法もあるが、日常的なコミュニケーションの促進と声かけや出前カウンセリング(場所にこだわらない)といった積極的な方法で、試されたらよいと思う。部隊相談員としての信頼を得ることが活動の基本となるので、守秘義務を守り、誠実を尽くすことが一番である。
着意事項としては、相談者を支持(サポート)し共感して聴いてあげること、カウンセリングは相談者が自分で決定するのを援助することを忘れずに対応することがあげられる。(最初の10分間は何も言わず簡単受容するのも有効)相談員として、うまく対応できるか不安な気持ちもあるかと思うが、不安な気持ちはベテランでも同じであり、その程度が違うだけである。ベテランのカウンセラーからいろいろ教えてもらったり、自ら学ぶことも大切である。
相談者と真剣に向き合うことが必要である。
隊員が何か相談したいと思った時に、相談に行けるところを明確にしておけば隊員も安心できると考えている。悩み事の駆け込み寺と思っていただけばよいのではないでしょうか。ただし、相談を受けても相談に乗ってやれないような内容は自分で決して抱え込まず、本人の承諾を得て上司や専門家につなぐことが大切である。

相談受けやカウンセリングするときの場所、服装、時間は?

Q:部隊(駐屯地)相談室の位置やカウンセラーの服装は、相談に影響するか。
Q:昼休みと夕方に相談時間を設けて相談を受けているが適切か。
A:相談室の位置は、周囲に相談しに来たことが知られないところがよい。医務室や、援護室の近くが人の出入りもあり、奇異に感じられず安心感がある。
職場で相談を受けるときは、他の人に聞かれることのないような場所であれば、特段どこでも問題はない。(人によっては喫煙場所などの方が本音が話せる場合もある。)
制服であると階級章が目につき、隊員にとっては相談しにくいかもしれない。
そのため、服装は、制服や作業服よりは、私服の方が良いかもしれないが、職場の環境によるので一概にどれがベストとはいえない。
時間帯については、業務に支障のない範囲で、しかも相談受けをしていても目立たない時間帯ということで、昼休みや夕方は、適切であると考える。
Q:空いている時間の活用ということで、現在、出前的に声をかけているが、よかった時と悪かった時があった。出前カウンセリングをどう思うか。
A:出前カウンセリングはカウンセリング協会でも推奨しているし、よいことだと思う。相談が有るか無いかの問題よりも、声かけによってその人のモチベーションが維持増進されることが一番大切なことである。

相談件数はどうカウントしたらよい?

Q:上級司令部に相談件数を報告しなければならないが、相談室で相談を受けた件数だけが相談件数ではないと考えている。立ち話で相談に乗ってやったものも相談件数と捉えることをどう思うか。
A:カウンセリングは、場所ではなくて相談者が話し易い場が大事である。
また、相談室で相談者が来るのを待つ態勢だけではなく、一寸変だなと気づいたような隊員に声をかけてやって、話を聴くことや、積極的に出前カウンセリングを行うことも有効である。よって、場所にかかわらず、相談を受けた場合は、相談件数としてカウントした方がよい。

女性から相談を受けたときどうしたらよい?

Q:女性から相談を受けた場合、どのように対応したらよいか。
A:男性だろうが女性だろうが誠心誠意クライエントの気持ちを受け止め、共感し、支持すれば、それなりにカウンセラーになると思う。
ただし、自分の能力の限界を超える相談内容については、本人の同意を得た上で部外カウンセラーや専門家、医療にリファすることが大切である。

相談員・部内カウンセラーの出来ることはガス抜き程度?

Q:部隊相談員・部内カウンセラーの相談範囲は、気持ちのガス抜き程度と考えているがどうか。
A:健康又は不健康程度の一時的に落ち込んでいる人の気持ちのガス抜きが適切かと思う。
病的な場合は、病院ヘリファし、法的相談は弁護士等の専門家にリファすることが大切である。
カウンセラーは、存在することにも価値があり、ガス抜きやつなぎ役、調整役でよいと思う。あまり深入りするとカウンセラー自身が潰れてしまうので要注意である。

カウンセリングが必要な隊員では自衛隊は勤まらないのではないか?

Q:カウンセリングが必要な者に自衛隊は勤まらないと思う。もっともっとビシバシ鍛えてこそ精強な部隊ができるのではないか。
A:カウンセリングの必要性は、精神の強弱には関係ない。心の悩みは誰しも待つものであり、それを、軽減したり、あるいは問題解決することによって職務に専念できる。
心技一体となって強くなるものであり、技はビシバシ鍛えられるが、心は鍛えられないと考える。
うつ病は心の風邪、誰でもかかる病気で、明日は我が身という意識を持っていただきたい。