メンタルヘルスに関するFAQ

4 対応要領

「つなぐ」とは具体的にどういうこと?

Q:4K(気配り、気づき、声かけ、傾聴)で「つなぐ」ということを知ったが、「つなぐ」時点を知りたい。
A:「つなぐ」ことをリファとも言う。
相談者から話を聴き、何とかしてやりたいと思う気持ちは理解できるが、自分で対応できないと判断した場合や、抱え込みそうだと思った時にはには、問題を抱え込まずに相談者の承諾を得て上司や専門家につなぐことが必要である。
さぽーとダイヤルへの相談を勧めることもつなぐことになる。

傾聴を身につける方法は?

Q:隊員が相談に来るとどうしても指示的になり、服務指導になってしまう。メンタルヘルス講話で傾聴の大切さを伺ったが、傾聴は難しい。簡単に身に付く方法はないだろうか。
A:残念ながら、簡単に身につく方法はない。相談を受けるときの心構えとして、相談者の気持ちに沿って、同じ高さの目線で話を聴かせていただく(聞いてあげるではない。)という気持ちをもつと指示的にはならないと考える。話を聴く場合、相談者の目に階級が飛び込まないようにジャージーや私服で対応すれば相談者は落ち着く。話の途中で、ああした方がいい、こうした方がいいというのは、相談員の考えの押し付けであるので、ぐっとこらえて最後まで話を聴く心構えが必要である。時には相談員の考えを伝えることも必要な場合もあるので、臨機応変に対応すればよいと思う。難しい話は自分で抱え込まず、相談者の承諾を得て上司や専門家につなぐことが必要である。

ストレス対応で留意すべき事項は?

Q:ストレスの強弱には個人差があり、個人によって全く異なると聞いたが、部下に対してどこまでストレスを与えてよいのか基準となるものは何か。
A:ストレスには快ストレスと不快ストレスがある。同じストレス源(ストレッサーともいう)であっても、ある人にとっては快ストレスであるが別な人にとっては不快ストレスになる場合もある。常にアンテナを張り巡らし、気配りを絶やさず本人の常態からズレが起きていないか常に関心を持って部下に接することが大事であり、変化に気づいた場合は声をかけて話を聴いてやって欲しい。
部下の能力等をよく把握して仕事の質、量を決めることは上司の務めである。
Q:ストレス社会において、本人がストレス対応に留意すべき点は何か。
A:ストレッサーに対し、その人の人生観、価値観、身体的条件、性格、資質によってストレスの受け取り方が異なる。
自分はどんなストレスに強いか弱いかも自覚し、そのストレスと上手く付き合っていくことが大事である。(発散、解消、回避等)ストレスは、結果的に変化が心(感情)に影響を及ぼしているので、変化に適応、順応できる能力(認知を変える力、耐性力の強化等)をつけることが必要である。

相談が沢山来ていて一人では対応しきれない時、他の人に頼んでも良い?

Q:部下から様々な相談を受けるが、一人ではとても対応が出来ないので小隊長や准曹士先任等を活用して、問題の解決に当たっている。これでよいか。
A:指揮官一人で部下のあらゆる相談を受け、解決することは至難の技である。周囲の人達の活用と部外の専門機関の活用に努める(リファする)ことが大事である。本人の同意を得て、一人で抱え込まないことが肝要である。

上司の理解がなくて、対応に困っている。

Q:上司の中には、いまだに精神力が弱い、精神を鍛えてうつ病にならないようにしろと言う指揮官がいるが、どのように対応したらよいのか。
A:うつ病は精神の弱い人がなるという人がいるが、これは誤りである。ガンにならないように日常生活に気をつけていればガンにならないかというと、そうでないのと同じであり、精神を鍛える云々とは無関係である。
うつ病になる大きな原因の一つにストレスが挙げられているが、こういう指揮官こそ大きなストレス源であると考える。部下から指揮官に直接言いにくいこともあろうかと思うので、例えば、指揮官の同期等からうつ病に対する話をしてもらうとか、専門家から話しをしてもらう機会を作為する等の方法により、指揮官の認識を変える必要がある。

メンタルヘルス、カウンセリングに関する講演、講習は一回参加すれば十分?

Q:カウンセリング集合訓練、メンタルヘルスに関する講演といったメンタルヘルスに関係する講習が増えている印象がある。メンタルヘルスの重要性は何となくわかるが、長のつく職責にある自分が現場を離れて講習ばかり参加していられない。こういった講習は、1回参加すればいいのではないか。
A:講習会の都度、得られるものがあるはずであり、講習に参加することも大切な仕事と考え、可能な限り参加した方がよい。参加後に自己研鑽、イメージトレーニング、OJTに努めることも非常に有効である。

気づき、自殺の予兆の把握要領は?

Q:自殺しそうな隊員の見分け方があれば教えて欲しい。
Q:自殺の予兆をどのように把握したらよいのか。
A:自殺の予兆を把握するのは非常に難しい。事後の調査でいろいろな予兆が出ていたとよく言われるが、その時は気がつかない。自殺後に原因等の調査を行うと色々それらしきサインが出ていたと言われるが、その当時はそれほど気に留めるようなことではないと思っていたことで、後で言われてああそうだったのかと思うようなことが多い。また、大きなストレスとなりうる借金、家庭問題は他人には秘密にしたがるため、把握が非常に困難である。したがって、自発的相談が無い限り、自殺しそうな隊員の見分け方は大変難しい。死にたいと言う人は自殺しないとよく言われるが、これは誤解である。
死にたいと言われた場合、真剣に話をよく聴いて自殺しない約束をさせることが大事である。
普段から部下に対して気配りを十分に行い、アンテナを張り巡らして情報を収集し、いつもと違う何かが感じられたら声をかけて話をじっくり聴いてやってほしい。