防衛省本省における行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく処分に係る審査基準

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「法」という。)に基づき防衛大臣が行う処分に係る行政手続法第5条第1項の規定による審査基準は、次のとおりとする。

第1 基本的考え方

1 法においては、行政機関の保有する情報は原則開示の考え方を採用する一方、開示することの利益と開示しないことの利益を比較衡量することの必要性を考慮することとされている。ただし、不開示情報は、法に定める事項に厳正に該当するものに限られる。

2 ある行政文書に一部不開示情報が含まれていた場合においても、これをもって当該行政文書そのものを不開示とすることは法の許容するところではなく、この場合には原則として部分開示により対応する。

第2 法第5条第1号に基づき不開示とする情報

1 本号は、特定の個人を識別することができるような情報は原則不開示とすることを定めたものである。

2 法では、個人の権利利益の十分な保護を図るため、特定の個人を識別できる情報は、原則として不開示とする方式(個人識別型)を採用している。ただし、個人識別型を採用した結果、本来保護する必要性のない情報も含まれることになることから、本号イからハまでにおいて、個人に関する情報のうち、公知の情報等不開示情報から除かれるべきものを限定列挙している。

3 「個人に関する情報」(個人情報)とは、個人の内心、身体、身分、地位その他個人に関する一切の事項についての事実、判断、評価等のすべての情報が含まれるものであり、個人に関連する情報全般を意味する。したがって、個人の属性、人格や私生活に関する情報に限らず、個人の知的創作物に関する情報、組織体の構成員としての個人の活動に関する情報も含まれる。具体的には、思想、心身の状態、病歴、学歴、職歴、成績、家族関係、所得、財産の状況その他一切の個人に関する情報をいう。
個人の権利利益を十全に保護するため、個人識別性のある情報を一般的に不開とし、個人情報の判断に当たり、原則として、公務員等(ハに規定する公務員等をいう。以下同じ。)に関する情報とそれ以外の者に関する情報とを区別していない。ただし、前者については、特に不開示とすべきでない情報をハ(公務員等の職及び職務遂行の内容)において除外している。
「個人」には、生存する個人のほか、死亡した個人も含まれる。

4 「事業を営む個人の当該事業に関する情報」は、個人情報の意味する範囲に含まれるが、当該事業に関する情報であるので、法人等に関する情報と同様の要件により不開示情報該当性を判断することが適当であることから、本号の個人情報からは除外している。
ただし、事業を営む個人に関する情報であっても、当該事業とは直接関係がない個人情報は、本号により、開示又は非開示の判断を行う。

5 「特定の個人を識別することができる」とは、氏名、住所、生年月日その他の記述等により特定の個人であると明らかに識別することができ、又は識別される可能性がある場合をいう。
「特定の個人を識別することができるもの」の範囲は、当該情報に係る個人が誰であるかを識別させることとなる氏名その他の記述の部分だけでなく、氏名その他の記述等により識別される特定の個人情報の全体である。
「その他の記述等」としては、例えば、住所、電話番号、役職名、個人別に付された記号、番号(振込口座番号、試験の受験番号、保険証の記号番号等)等が挙げられる。氏名以外の記述等単独では、必ずしも特定の個人を識別することができない場合もあるが、当該情報に含まれるいくつかの記述等が組み合わされることにより、特定の個人を識別することができることとなる場合が多いと考えられる。

6 「(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」と規定されているのは、当該情報単独では特定の個人を識別することができないが、他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができるものについても、個人識別情報として不開示情報とする趣旨である。
照合の対象となる「他の情報」としては、公知の情報や、図書館等の公共施設で一般に入手可能なものなど一般人が通常入手し得る情報が含まれる。また、何人も開示請求できることから、仮に当該個人の近親者、地域住民等であれば保有している、又は入手可能であると通常考えられる情報も含まれると解される。他方、特別の調査をすれば入手し得るかもしれないような情報については、一般的には、「他の情報」に含めて考える必要はないものと考えられる。
照合の対象となる「他の情報」の範囲については、当該個人情報の性質や内容等に応じて、個別に適切に判断することが必要となる。
なお、識別可能性の判断に当たっては、特定の集団に属する者に関する情報を開示すると、その情報自体からは特定の個人を識別することができない場合であっても、情報の性質、集団の性格、規模等によっては、当該集団に属する個々の者に不利益を及ぼすおそれがあり得ることを考慮する必要があり、個人の権利利益の十全な保護を図る観点から、個人識別性を認めて不開示とする場合があり得る。

7 「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、匿名の作文や、無記名の個人の著作物のように、個人の人格と密接に関連したり、公にすれば財産権その他個人の正当な利益を害するおそれがあると認められるものがあることから、特定の個人を識別できない個人情報であっても、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものをいう。

8 ただし書のイは、法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報を、不開示とする個人情報から除外することを定めたものである。

(1)「法令の規定により又は慣行として公にされている情報」とは、法令の規定や慣行により、現に何人も容易に入手することができる状態におかれている情報をいう。なお、各規定の意味は次のとおりである。

  • ア 「法令の規定により」
    「法令の規定」は、何人に対しても等しく当該情報を公開することを定めている規定に限られる。公開を求める者又は公開を求める理由によっては公開を拒否する場合が定められていれば、当該情報は、「公にされている情報」には該当しない。
  • イ 「慣行として」
    公にすることが慣習として行われていることを意味するが、慣習法としての法規範的な根拠を要するものではなく、事実上の慣習として公にされていること又は公にすることが予定されていることで足りる。
    当該情報と同種の情報が公にされた事例があったとしても、それが個別的な事例にとどまる限り、「慣行として」には当たらない。
  • ウ 「公にされ」
    当該情報が、現に公衆が知り得る状態に置かれていれば足り、現に公知(周知)の事実である必要はない。過去に公にされたものであっても、時の経過により、開示請求の時点では公にされているとは見られない場合があり得る。

(2)「公にすることが予定されている情報」とは、将来的に公にする予定(具体的に公表が予定されている場合に限らず、求めがあれば何人にも提供することを予定しているものも含む。)の下に保有されている情報をいう。ある情報と同種の情報が公にされている場合に、当該情報のみ公にしないとする合理的な理由がないなど、当該情報の性質上通例公にされるものも含む。

9 ただし書のロは、個人の正当な権利利益は十分に保護されるべきであるが、公にすることにより保護される利益がそれに優越する場合に、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることがより必要であると認められる情報については、開示することを定めたものである。
この比較衡量に当たっては、個人の権利利益にも様々なものがあり、また、人の生命、健康、生活又は財産の保護にも、保護すべき権利利益の程度に差があることから、個別の事案に応じた慎重な検討が必要である。
なお、人の生命、健康等の基本的な権利利益の保護以外の公益との調整は、公益上の理由による裁量的開示の規定(法第7条)により図られる。

10 ただし書のハは、公務員等の職務の遂行に係る情報のうち、公務員等の職及び職務遂行の内容に係る部分を、不開示とする個人情報から除外することを定めたものである。

(1)「公務員等」とは、広く公務遂行を担任する者を含むものであり、一般職か特別職か、常勤か非常勤かを問わず、国及び地方公共団体の職員のほか、国務大臣、国会議員、裁判官等を含む。また、公務員であった者が当然に含まれるものではないが、公務員であった当時の情報については、本規定は適用される。さらに、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の対象法人(以下「独立行政法人等」という。)の役員及び職員を含む。

(2)「(公務員等の)職務の遂行に係る情報」とは、公務員等が行政機関その他の国の機関、独立行政法人等又は地方公共団体の機関の一員として、その担任する職務を遂行する場合における当該活動についての情報を意味する。例えば、行政処分その他の公権力の行使に係る情報、職務としての会議への出席、発言その他の事実行為に関する情報がこれに含まれる。
また、本規定は、具体的な職務の遂行との直接の関連を有する情報を対象とし、例えば、公務員等の情報であっても、職員の人事管理上保有する勤務態度、勤務成績、処分歴、健康情報、休暇情報等は管理される職員の個人情報として保護される必要があり、本規定の対象となる情報ではない。
「(職務の遂行に係る情報のうち)当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」を不開示情報から除いた趣旨は、政府の諸活動を説明する責務と、公務員等の個人としての権利利益の保護との調和を図ったものであり、どのような地位・立場にある者(職)がどのように職務を遂行しているか(職務遂行の内容)については、たとえ、特定の公務員等が識別される結果となるとしても個人に関する情報としては不開示とはしないこととするものである。具体的には、公務員等の氏名を除き、その職名と職務遂行の内容については、当該公務員等の個人に関する情報としては不開示にならないこととなる。

(3)公務員等の職務遂行に係る情報に含まれる当該公務員等の氏名については、氏名を公にすることにより、法第5条第2号から6号までに掲げる不開示情報を公にすることになる場合又は個人の権利利益を害することになる場合を除き、ただし書イの「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当する。

(4)職務遂行に係る情報であっても、それが他の不開示情報に該当する場合には、その職及び職務遂行の内容に係る部分を含めて不開示となり得る。

11 法の開示請求権制度は、何人に対しても、請求の目的の如何を問わず請求を認めていることから、「本人から本人に関する情報の開示請求があった場合」にも、開示請求者が誰であるかは考慮されない。したがって、特定の個人が識別される情報であれば、本号のイからハまで又は公益上の理由による裁量的開示(第7条)に該当しない限り、不開示となる。
なお、行政機関が保有する電子計算機処理に係る個人情報については、行政機関が保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律により、一定の個人情報ファイルに記録されている自己情報の開示が認められている。

(参考)

 次に例示される文書は、本号に基づき不開示となる情報を含み得ると考えられるものの一例であるが、これらのうち、原則として、上記考え方に基づき、特定の個人を識別できる情報又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある情報の部分のみを不開示とすることとする。

1 各種表彰等に関するもの
(1)叙勲に関する文書
叙勲 協議書・申請書、叙勲候補者・受賞者名簿等
(2)褒章に関する文書
褒賞協議書・申請書、褒賞候補者・受賞者名簿等
(3)表彰に関する文書
感謝状上申書・選考資料、賞詞等上申書・選考資料等
(4)賞じゅつ金等に関する文書
賞じゅつ金決定・通知書、特別弔慰金決定・通知書等
2 支出に関するもの
会議等の開催に関する会計文書(会議費、諸謝金、借料及び旅費の支出に係るもの)等
3 不動産の取得等に要する費用の支出に関するもの
不動産取得実施計画書、請求書、支払通知書、領収書、交渉記録
4 許認可等に関するもの
申請書、届出書、身分証明書等
5 苦情の申立てに関するもの
隊員の苦情申立てに関する文書
苦情申立書等
6 講習及び研修に関するもの
行政機関内での研修等に関する文書
選考書類、推薦書類、評価書、略歴書、健康診断書、成績表等
7 職員の採用・再就職に関するもの
(1)職員の採用に関する文書
志願票、推薦書、履歴書、受験票、調査書、身体検査表、試験成績票、採用者名簿等
(2)職員の再就職に関する文書
営利企業体就職承認申請書・決定書、審査結果等
8 職員等に関するもの
(1)任免等に係る辞令、分限、懲戒、表彰、勤務評定に関する文書
  • ア 訓戒簿、懲戒処分宣告書、申立書、調査報告書、懲戒処分報告書等
  • イ 成績報告書、勤務成績報告書検討資料、経歴管理調書、選抜の際の選考関連資料、初任実務研修に関する評価表、航空身体検査の合否認定等
(2)休暇、休職、職務専念義務免除に関する文書
出勤簿、休暇簿等
(3)給与、手当、退職金等の支給に関する文書
旅行命令簿、扶養手当認定簿、基準給与簿、勤務時間報告書、若年定年退職者給付金支給調書等
(4)災害補償に関する文書
遺族補償年金等の承認に係る書類、災害補償申立に係る書類、災害補償協議に係る書類等
(5)犯罪捜査に関する文書
刑事情報報告書、刑事情報資料整理表等

第3 法第5条第2号に基づき不開示とする情報

1 本号は、公にすることにより、法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められる情報及び行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供された情報等を不開示とすることを定めたものである。

2 イは、法人等又は事業を営む個人が有する正当な権利利益は、原則として、当該法人等又は事業を営む個人の当該事業に関する情報を公にすることにより、害されるべきではないという趣旨である。
ロは、行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供された情報その他公にされないと第三者が信頼して提供した情報については、このような情報を公にした場合、当該第三者との信頼関係が損なわれ、将来における協力が得られなくなり、事務又は事業に支障を生じさせることを回避するため、当該情報提供者における非公開取扱いに対する期待と信頼を保護するという趣旨である。
本号ただし書は、法人等又は事業を営む個人の事業活動により、現に発生しているか、又は将来発生するおそれがある危害等からの人の生命、健康等を保護するために公にすることが必要であると認められる情報は、本号イ及びロに該当する場合であっても、開示しなければならないという趣旨である。

3 「法人その他の団体」には、株式会社等の商法上の会社、財団法人、社団法人、学校法人、宗教法人等の民間の法人のほか、独立行政法人、特殊法人、認可法人、政治団体、外国法人や法人ではないが権利能力なき社団等(ただし、独立行政法人等を除く。)も含まれる。
一方、国、独立行政法人等及び地方公共団体については、その公的性格にかんがみ、法人等とは異なる開示・不開示の基準を適用すべきであるので、本号から除き、その事務又は事業に係る不開示情報は、第六号等において規定している。
「法人その他の団体に関する情報」は、法人等の組織や事業に関する情報のほか、法人等の権利利益に関する情報等法人等と何らかの関連性を有する情報を指す。
なお、法人等の構成員に関する情報は、法人等に関する情報であると同時に、構成員各個人に関する情報でもある。

4 ただし書における「人の生命、健康」を保護するとは、法人等又は事業を営む個人の事業活動により、人の生命若しくは健康に危害を加え、又は与えるおそれがある場合には、当該事業活動が違法又は不当であるか否かを問わず、人の生命等を保護するために公にすることが必要であると認められる情報は、開示しなければならないとする趣旨である。
事故や災害等による危害を未然に防止し、現に発生している当該危害を排除し、若しくは当該危害の拡大を防止し、又は当該危害の再発を防止するために必要な場合は、本条各号に該当する情報であっても開示しなければならない。

5 ただし書における「生活又は財産」を保護するとは、法人等又は事業を営む個人の違法又は不当な事業活動により、人の生活又は財産を保護するために公にすることが必要であると認められる情報は、開示しなければならないとする趣旨である。
人の生活に対する支障を未然に防止し、現に発生している当該支障を排除し、若しくは当該支障の拡大を防止し、又は当該支障の再発を防止するために必要な情報は、本条各号に該当する情報であっても開示しなければならない。

6 「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」(イ)とあるうち、次の規定の趣旨は以下のとおり。

  • (1)「権利」は、信教の自由、集会・結社の自由、学問の自由、財産権等、法的保護に値する権利一切を指す。
  • (2)「競争上の地位」は、法人等又は事業を営む個人の公正な競争関係における有利な地位を指す。
  • (3)「その他正当な利益」は、ノウハウ、信用等法人等又は事業を営む個人の運営上の地位を広く含むものである。
  • (4)「害するおそれ」があるかどうかの判断に当たっては、法人等又は事業を営む個人には様々な種類、性格のものがあり、その権利利益にも様々のものがあるので、法人等又は事業を営む個人の性格や権利利益の内容、性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の憲法上の権利(信教の自由、学問の自由等)の保護の必要性、当該法人等又は事業を営む個人と行政との関係等を十分考慮して適切に判断する必要がある。なお、この「おそれ」判断に当たっては、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる。

7 「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」(イ)とは、次のような情報をいう。

  • (1)法人等又は事業を営む個人の保有する生産技術上又は販売上の情報であって、公にすることにより、当該法人等又は事業を営む個人の事業活動の自由等が損なわれると認められるもの
  • (2)経営方針、経理、人事等の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、公にすることにより、法人等又は事業を営む個人の事業運営が損なわれることが明らかであると認められるもの
  • (3)その他公にすることにより、法人等又は事業を営む個人の名誉、社会的評価等の非財産的権利が損なわれると認められる情報

8 「正当な利益が害されるおそれがあるもの」(イ)とは、公にすることにより、法人等の事業活動に何らかの不利益が生じるおそれがあるというだけでは足りず、法人等の競争上等の地位が具体的に侵害されると認められる場合を意味するものである。そして、公にすることにより、当該法人等の競争上等の地位が具体的に侵害されると認められるかどうかは、当該情報の内容、性質を始めとして、当該法人等の事業内容、当該法人と行政との関係、その活動に対する憲法上の権利の保護の必要性等を考慮して総合的に判断するものである。

9 「行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたもの」(ロ)とは、行政機関が法人等又は事業を営む個人に情報の提供を要請し、当該法人等又は事業を営む個人が公にしないとの条件でこれに応じて任意に提供した情報をいう。行政機関の要請を受けずに、法人等又は事業を営む個人から提供された情報は含まれない。ただし、行政機関の要請を受けずに法人等又は事業を営む個人から提供申出があった情報であっても、提供に先立ち、法人等又は事業を営む個人の側から非公開の条件が提示され、行政機関が合理的理由があるとして、これを受諾した上で提供を受けた場合には、含まれ得ると解する。

  • (1)「要請」には、法令に基づく報告又は提出の命令は含まれないが、行政機関の長が報告徴収権限を有する場合でも、当該権限を行使することなく、任意に提出を求めた場合は含まれる。
  • (2)「公にしない」とは、本法に基づく開示請求に対して開示しないことはもちろんであるが、第三者に対して当該情報を提供しない意味である。また、特定の行政目的以外の目的には使用しないとの条件で情報の提供を受ける場合も通常含まれる。
  • (3)「条件」については、行政機関の側から公にしないとの条件で情報を提供してほしいと申し入れる場合も、法人等又は事業を営む個人の側から行政機関の要請があったので情報は提供するが公にしないでほしいと申し出る場合も含まれるが、いずれにしても双方の合意により成立するものである。また、条件を設ける方法については、黙示的なものを排除する趣旨ではない。

10 「法人等又は個人における通例として公にしないこととされているもの」(ロ)とは、当該法人等又は個人が属する業界、業種等の通常の慣行に照らして、公にしないことに合理的な理由があるものをいう。当該法人等において公にしていないことだけでは、この規定には該当しない。

11 「当時の状況に照らして」(ロ)とは、当該情報の提供当時の諸般の事情に照らして判断することを基本とするが、必要に応じ、取得後の事情の変更も考慮することとする趣旨である。

(参考)

 次に例示される文書は、本号に基づき不開示となる情報を含み得ると考えられるものの一例であるが、これらのうち、原則として、公にすることにより、法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められる情報の部分のみを不開示とすることとする。

1 生産技術、品質管理等に関する能力・ノウハウに関するもの
(1)製造、加工等に係る開発技法・製造技術、生産管理技術等が記載してある文書
(2)製品、原材料等に係る測定、分析、試験検査成績等性能・機能が記載してある文書
(3)施設整備の規模、構造、配置、性能等に関するもの
(4)施工能力、施工成績に関するもの
2 取引に関する情報
(1)顧客名簿等取引先、取引内容が記載してある文書
(2)倒産関連企業の指定に係る文書
3 経営方針・経理に関するもの
(1)事業計画、投資計画、資金調達計画、償還計画、収支予算等に係るもの
(2)事業・営業計画書、予算・決算書、経理規定等
(3)有価証券報告書等により一般に公表されている決算資料よりも更に詳細な決算数値等が記載されているもの
(4)事業実績、経営内容、経理内容
4 組織・人事に関するもの
(1)組織構成、所掌事務に係るもの
(2)職員、従業員等構成員の状況等労務管理に係るもの
(3)雇用計画、求人対策、就職及び退職の状況等に係るもの
(4)事業内訓練、研修等の内容に係るもの

第4 法第5条第3号に基づき不開示とする情報

1 本号は、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると防衛大臣が認めることにつき相当の理由がある情報を不開示とすることを定めたものである。

2 「国の安全」とは、国家の構成要素である国土、国民及び統治体制が害されることなく、平和で平穏な状態に保たれていること、すなわち、国としての基本的な秩序が平穏に維持されている状態をいう。具体的には、直接侵略及び間接侵略に対し、独立と平和が守られていること、国民の生命が国外からの脅威等から保護されていること、国の存立基盤としての基本的な政治方式及び経済・社会秩序の安定が保たれていることなどが考えられる。
「国の安全が害されるおそれ」とは、これらの国の重大な利益に対する侵害のおそれ(当該重大な利益を維持するための手段の有効性を阻害され、国の安全が害されるおそれがあると考えられる場合を含む。)をいう。これらに係る情報であって、その公開により「国の安全を害するおそれ」があると当該情報を有する防衛大臣が認めることにつき相当の理由があるものは、本号が対象とする情報に該当する。

3 公にすることにより、国の安全が害されるおそれがある情報については、その性質上、開示・不開示の判断に高度の政策的判断を伴うこと、我が国の安全保障上又は対外関係上の将来予測としての専門的・技術的判断を要することなどの特殊性が認められることから、司法審査の場においては、裁判所が、本号に規定する情報に該当するかどうかについての行政機関の長の第一次的な判断を尊重し、その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるか(「相当の理由」があるか)否かについて審理・判断するのが適当であるため、「・・・おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」との規定振りとされているところである。

4 本号に掲げる不開示情報となる可能性が高いことから開示・不開示の決定に当たって、慎重に審査する必要があると考えられる情報の類型としては、次のとおりである。

  • (1)公にすることにより、我が国の防衛及び警備上の能力を減じる等の影響があるおそれのある情報
  • (2)公にすることにより、我が国の同盟国との安全保障上の関係を損なうおそれのある情報
  • (3)公にすることにより、平和と安全の維持のための国際的な協力の実効性を損なうおそれのある情報
  • (4)公にすることにより、我が国経済の持続的発展に不可欠な資源の安定的な供給が国外からの脅威等により阻害される等により我が国の基本的な経済秩序の維持を損なうおそれのある情報
  • (5)その他公にすることにより、国の安全が害されるおそれのある情報

5 上記「公にすることにより、我が国の防衛及び警備上の能力を減じる等の影響があるおそれのある情報」として、不開示情報とされるには、開示請求された行政文書に含まれる当該情報が下記の事項に該当するとともに、具体的に支障を説明できるものでなければならない。

  • (1)防衛省・自衛隊の組織・編成・定員・現員等に係る情報であって、当該情報を開示することにより自衛隊の態勢が推察され、防衛省・自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じさせるおそれがあると認められる情報
  • (2)防衛省・自衛隊の指揮系統・通信システム等に係る情報であって、当該情報を開示することにより自衛隊の指揮統制要領、手法及び内容が推察され、防衛省・自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じさせるおそれがあると認められる情報
  • (3)防衛省・自衛隊が収集・処理した情報若しくは情報資料又は防衛省・自衛隊の情報業務(情報保全業務を含む。以下同じ。)に関する体制、態勢、計画若しくは知識等に係る情報であって、当該情報を開示することにより、防衛省・自衛隊の情報関心、情報保全上の脅威認識、情報業務に関する能力又は情報源等の推移、現状又は計画が推察され、防衛省・自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じさせるおそれがあると認められる情報
  • (4)防衛省・自衛隊の行動、運用及び教育・訓練に係る情報であって、当該情報を開示することにより自衛隊の運用要領、能力及び練度が推察され、防衛省・自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じさせるおそれがあると認められる情報
  • (5)防衛省・自衛隊の施設の構造、性能、強度又は配置に係る情報であって、当該情報を開示することにより当該施設の防御能力が推察され、防衛省・自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じさせるおそれがあると認められる情報
  • (6)防衛省・自衛隊の現有及び将来装備品等の機能、性能、構造、材質に係る情報であって、当該情報を開示することにより自衛隊の装備品等の質的能力が推察され、防衛省・自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じさせるおそれがあると認められる情報
  • (7)防衛省・自衛隊の装備品、燃料・弾火薬類等の数量、取得、配分、移動、処分、修理状況に係る情報であって、当該情報を開示することにより自衛隊の運用能力が推察され、防衛省・自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じさせるおそれがあると認められる情報
  • (8)防衛省・自衛隊の防衛力の整備、維持及び運用に関する計画並びに防衛省・自衛隊の作成した情勢判断及び防衛構想又はこれに資するための諸研究に係る情報であって、当該情報を開示することにより、我が国の防衛体制、防衛力の現状等が推察され、防衛省・自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じさせるおそれがあると認められる情報

6 「他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ」のある場合とは、「他国若しくは国際機関」(我が国が承認していない地域、政府機関その他これに準ずるもの(各国の中央銀行等)、外国の地方政府又は国際会議その他国際協調の枠組みに係る組織(アジア太平洋経済協力、国際刑事警察機構等)の事務局等を含む。以下「他国等」という。)との間で、相互の信頼に基づき保たれている正常な関係に支障を及ぼすようなおそれのある場合をいう。例えば、公にすることにより、他国等との取決め又は国際慣行に反することとなる、他国等の意思に一方的に反することとなる、他国等に不当に不利益を与えることとなるなど、我が国との関係に悪影響を及ぼすおそれがある情報が該当すると考えられる。

7 「他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあるもの」とは、公にすることにより、他国等との現在進行中の又は将来予想される交渉において、我が国が望むような交渉成果を得られなくなる、我が国の交渉上の地位が低下する等のおそれがあるものをいう。例えば、交渉(過去のものを含む。)に関する情報であって、公にすることにより、現在進行中の又は将来予想される交渉に関して我が国が執ろうとしている立場が明らかにされ、又は具体的に推測されることになり、交渉上の不利益を被るおそれがある情報が該当すると考えられる。

第5 法第5条第4号に基づき不開示とする情報

1 本号は、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると防衛大臣が認めることにつき相当の理由がある情報を不開示とすることを定めたものである。

2 本号の「犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行」は、「公共の安全と秩序の維持」の例示である。

  • (1)「犯罪の予防」とは、犯罪の発生を未然に防止することをいう。
  • (2)「犯罪の鎮圧」とは、犯罪が正に発生しようとするのを未然に防止したり、犯罪が発生した後において、その拡大を防止し、又は終息させることをいう。
  • (3)「犯罪の捜査」とは、捜査機関が犯罪があると思料するときに、公訴の提起などのために犯人及び証拠を発見・収集・保全することをいう。犯罪捜査の権限を有する者は、刑事訴訟法によれば、検察官、検察事務官及び司法警察職員であり、司法警察職員には、一般司法警察職員と特別司法警察職員とがある。
  • (4)「公訴の維持」とは、検察官が裁判所に対し、特定の刑事事件について審判を求める意思表示をすることを内容とする訴訟行為を公訴の提起というが、この提起された公訴の目的を達成するため、終局判決を得るまでに検察官が行う公判廷における主張・立証、公判準備などの活動を指す。
  • (5)「刑の執行」とは、犯罪に対して科される制裁を刑といい、刑法第二章に規定された、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料、没収、追徴及び労役場留置の刑又は処分を具体的に実施することをいう。保護観察、勾留の執行、保護処分の執行、観護措置の執行、補導処分の執行、監置の執行についても刑の執行に密接に関連するものであることから、公にすることにより保護観察等に支障を及ぼし、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報は、本号に該当する。

3 「公共の安全と秩序の維持」とは、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持及び刑の執行に代表される刑事法の執行を中心としたものを意味する。刑事訴訟法以外の特別法により、臨検・捜索・差押え、告発等が規定され、犯罪の予防・捜査とも関連し、刑事司法手続に準ずるものと考えられる犯則事件の調査、独占禁止法違反の調査等や、犯罪の予防・捜査に密接に関連する破壊的団体(無差別大量殺人行為を行った団体を含む。)の規制、暴力団員による不当な行為の防止、つきまとい等の規制、強制退去手続に関する情報であって、公にすることにより、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるものは、本号に含まれる。
また、公にすることにより、テロ等の人の生命、身体、財産等への不法な侵害や、特定の建造物又はシステムへの不法な侵入・破壊を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し、又は犯罪の実行を容易にするおそれがある情報や被疑者・被告人の留置・勾留に関する施設保安に支障を生ずるおそれのある情報も、本号に含まれる。一方、行政警察は本号の対象外であり、第6号により不開示とされるべきものである。

4 公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧、捜査等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報については、その性質上、開示・不開示の判断に犯罪等に関する将来予測としての専門的・技術的判断を要することなどの特殊性が認められることから、国の安全等に関する情報と同様、司法審査の場においては、裁判所が、本号に規定する情報に該当するかどうかについての行政機関の長の第一次的な判断を尊重し、その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるか(「相当の理由」があるか)否かについて審理・判断するのが適当であるため、「・・・おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」との規定振りとされているところである。

第6 法第5条第5号に基づき不開示とする情報

1 本号は、国の機関、独立行政法人等及び地方公共団体の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるものを不開示とすることを定めたものである。

2 開示請求の対象となる行政文書は、決裁、供覧等の手続を終了したものに限られないことから、国の機関、独立行政法人等及び地方公共団体の内部又は相互間における意思決定前の審議、検討又は協議の段階において作成又は取得された文書であっても、組織的に用いるものとして現に保有していれば、対象文書となる。したがって、開示請求の対象となる行政文書の中には、行政機関等としての最終的な決定前の事項に関する情報が少なからず含まれることになるため、これらの情報を開示することによって、その意思決定が損なわれないようにする必要がある。
他方、行政における意思決定は、審議、検討又は協議といった過程を経て行われるが、その間の行政における内部情報の中には、公にすることにより、外部からの圧力や干渉等の影響を干渉を受けることなどにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が損なわれるおそれがある場合を想定したもので、適正な意思決定手続の確保を保護法益とするものである。
ただし、事項的に意思決定前の情報はすべて不開示とすることは、政府がその諸活動を説明する責務を全うするという観点からは、適当ではないため、個別具体的に、開示することによって行政機関の適正な意思決定に支障を及ぼすおそれの有無及び程度を考慮し、不開示とされる情報の範囲を画したものである。

3 「国の機関」とは、国会、内閣、裁判所及び会計検査院(これらに属する機関を含む。)を指し、これらの機関、独立行政法人等及び地方公共団体について、それぞれの機関の内部又は他の機関との相互間の意味である。

4 「審議、検討又は協議に関する情報」とは、国の機関、独立行政法人等又は地方公共団体の事務及び事業について意思決定が行われる場合に、その決定に至るまでの過程においては、例えば、具体的な意思決定の前段階としての政策等の選択肢に関する自由討議のようなものから、一定の責任者の段階での意思統一を図るための協議や打合せ、決裁を前提とした説明や検討、審議会等又は行政機関が開催する有識者、関係法人等を交えた研究会等における審議や検討など、様々な審議、検討及び協議が行われており、これら各段階において行われる審議、検討又は協議に関連して作成され、又は取得された情報をいう。

5 「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」がある場合とは、公にすることにより、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合を想定したもので、適正な意思決定手続の確保を保護利益とするものである。
例えば、審議、検討等の場における発言内容が公になると、発言者やその家族に対して危害が及ぶおそれがある場合には、第4号等の他の不開示情報に該当する可能性もあるが、「率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれ」が生じたり、また、行政機関内部の政策の検討がまだ十分でない情報が公になり、外部からの圧力により当該政策に不当な影響を受けるおそれがあり、「意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」が生じたりすることのないようにする趣旨である。

6 「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」がある場合とは、未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報などを公にすることにより、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合をいう。適正な意思決定を行うことそのものを保護するのではなく、情報が公にされることによる国民への不当な影響が生じないようにする趣旨である。
例えば、特定の物資が将来不足することが見込まれることから、政府として取引の規制が検討されている段階で、その検討情報を公にすれば、買い占め、売り惜しみ等が起こるおそれがある場合に、「国民の間に不当な混乱」を生じさせたりすることのないようにする趣旨である。

7 「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ」がある場合とは、尚早な時期に情報や事実関係の確認が不十分な情報などを公にすることにより、投機を助長するなどして、特定の者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼす場合を想定したもので、事務及び事業の公正な遂行を図るとともに、国民への不当な影響が生じないようにする趣旨である。
例えば、施設等の建設計画の検討状況に関する情報が開示されたために、土地の買い占めが行われて土地が高騰し、開示を受けた者等が不当な利益を得たり、違法行為の事実関係についての調査中の情報が開示されたために、結果的に違法・不当な行為を行っていなかった者が不利益を被ったりしないようにする趣旨である。

8 「不当に」とは、審議、検討又は協議に関する情報の性質に照らし、途中の段階の情報を公にすることによる利益と適正な意思決定の確保等への支障とを比較衡量し、公にすることの公益性を考慮してもなお、その支障が看過し得ない程度のものである場合をいう。

9 審議会等に関する情報について、本号により開示又は不開示の判断をする場合には、当該審議会等の性質や審議事項の内容に照らし、個別具体的に、率直な意見の交換等を「不当に」損なうおそれがあるかにより判断されることとなる。

10 審議、検討等に関する情報については、行政機関としての意思決定が行われた後は、一般的には、当該意思決定そのものに影響が及ぶことはなくなることから、本号の不開示情報に該当する場合は少なくなるものと考えられるが、当該意思決定が政策決定の一部の構成要素であったり、当該意思決定を前提として次の意思決定が行われる等審議、検討等の過程が重層的、連続的な場合には、当該意思決定後であっても、政策全体の意思決定又は次の意思決定に関して本号に該当するかどうかの検討が行われるものであることに注意が必要である。また、当該審議、検討等に関する情報が公になると、審議、検討等が終了し意思決定が行われた後であっても、国民の間に混乱を生じさせたり、将来予定されている同種の審議・検討等に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがある場合等があれば、本号に該当し得る。
なお、審議、検討等に関する情報の中に、調査データ等で特定の事実を記録した情報があった場合、例えば、当該情報が専門的な検討を経た調査データ等の客観的、科学的事実やこれに基づく分析等を記録したものであれば、一般的に本号に該当する可能性が低いものと考えられる。

(参考)

 次に例示される文書は、本号に基づき不開示となる情報を含み得ると考えられるものの一例であるが、これらのうち、原則として、公にすることにより、国の機関、独立行政法人等及び地方公共団体の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあると認められる情報の部分のみを不開示とすることとする。

1 各種計画、制度、方針、規則等の策定、変更又は改廃に係る調書、資料等協議調整文書その他の計画、制度、方針、規則等の策定、変更又は改廃に関する審議、検討又は協議に係る情報

2 次に掲げるものその他の重要な政策形成及び重要事業に関する協議又は調整に係る情報

  • (1)他の行政機関、独立行政法人等及び地方公共団体等との重要施策に係る具体的協議の内容が記載してある文書
  • (2)重要施設の立地場所の決定についての協議又は調整に係る文書

3 予算、組織、人員配置等に重大な影響を与えることが予見される事案に関する審議、検討又は協議に係る情報

4 提出議案、諸報告、附属資料その他の国会の議決等を要する案件等に関する国会提出過程に係る情報

5 次に掲げるものその他の紛争処理等を行う機関への諮問及びその答申に係る情報

  • (1)苦情又は紛争に係る諮問及び答申に係る文書
  • (2)不動産の評価に係る諮問及び答申に係る文書

6 組織、定数の改廃、変更に係る協議調整文書その他の組織又は定数の改廃等に関する協議又は調整に係る情報

7 職員の補充の基本及び職員の任免、分限、懲戒、服務その他の人事管理に関する審議、検討又は協議に係る情報

8 具体的要求の内容が記載してある文書その他の予算の調製に係る情報

9 他の行政機関、独立行政法人等及び地方公共団体等との協議又は調整の内容が記載してある文書その他の訓令、規則等の立案過程に係る情報

10 他の行政機関、独立行政法人等及び地方公共団体等との協議又は調整の内容が記載してある文書その他の補助金等の交付等の決定等に係る情報

11 個別の申請等についての具体的協議、調整、審査等の内容が記載してある文書その他の許認可等の申請等に関する協議又は調整に係る情報

12 次に掲げるものその他の立入検査等に係る情報

  • (1)検査、監査、監視、取締り、指導、診断の結果(分析及び測定データを含む。)に係るもので、審議、検討、解析等の内容が記載してある文書
  • (2)監査資料等に係るもので、工事及び委託事業の設計額が記載してある文書

第7 法第5条第6号に基づき不開示とする情報

1 本号は、国の機関、独立行政法人等又は地方公共団体が行う事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を不開示とすることを定めたものである。

2 本号では、国の機関、独立行政法人等又は地方公共団体が行う事務又は事業の内容及び性質に着目した上で、公にすることによりその適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を含むことが容易に想定されるものを「次に掲げるおそれ」としてイからホまで例示的に掲げている。

3 当該事務又は事業における公にすることにより支障を生ずるおそれは、イからホまでに掲げたものに限定されるものではない。イからホまでに掲げたもの以外のおそれについては、「その他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれのあるもの」として包括的に規定されており、同種のものが反復されるような性質の事務又は事業であって、ある個別の事務又は事業に関する情報を開示すると、将来の同種の事務又は事業の適性な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの等、「その他当該事務又は事業の性質上、当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれが」あり得る。

4 「当該事務又は事業の性質上」とは、当該事務又は事業の本質的な性格に照らして保護する必要がある場合のみ不開示とすることができることとする趣旨である。また、「当該事務又は事業」には、同種の事務又は事業が反復される場合の将来の事務又は事業も含まれる。

5 「事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」に該当するには、各規定の要件の該当性を客観的に判断する必要があり、また、事務又は事業がその根拠となる規定・趣旨に照らし、公益的な開示の必要性等の種々の利益を衡量した上での「適正な遂行」といえるものであることが求められる。
「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものが要求され、「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が要求される。

6 「監査、検査、取締り又は試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」(第6号イ)とあるうち、次の規定の趣旨は以下のとおりである。

  • (1)「監査」とは、主として監察的見地から、事務又は事業の執行又は財産の状況の正否を調べることをいう。
    「検査」とは、法令の執行確保、会計経理の適正確保、物資の規格、等級の証明等のために帳簿書類その他の物件等を調べることをいう。
    「取締り」とは、行政上の目的による一定の行為の禁止、又は制限について適法、適正な状態で確保することをいう。
    「試験」とは、人の知識、能力等又は物の性能等を試すことをいう。
  • (2)「正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」と規定した趣旨は、例えば、監査等の対象、実施時期、調査事項等の詳細な情報や、試験問題等のように、事前に公にすれば、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握が困難となったり、行政客体における法令違反行為又は法令違反に至らないまでも妥当性を欠く行為を助長したり、巧妙に行うことにより隠蔽をするなどのおそれがあるものがあり、このような情報について不開示とするためである。また、事後であっても、例えば、違反事例等の詳細についてこれを公にすると他の行政客体に法規制を免れる方法を示唆するようなものは該当し得ると考えられる。

7 「契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等又は地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」(第6号ロ)とあるうち、次の規定の趣旨は以下のとおりである。

  • (1)「契約」とは、相手方との意思表示の合致により法律行為を成立させることをいう。
    「交渉」とは、当事者が、対等の立場において相互の利害関係事項に関し一定の結論を得るために協議、調整などの折衝を行うことをいう。
    「争訟」とは、訴えを起こして争うことをいう。訴訟、行政不服審査法に基づく不服申立てその他の法令に基づく不服申立てがある。
  • (2)「国、独立行政法人等又は地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」と規定した趣旨は、例えば、入札予定価格等を公にすることにより公正な競争により形成されるべき適正な額での契約が困難になり財産上の利益が損なわれたり、交渉や争訟等の対処方針等を公にすることにより、当事者として認められるべき地位を不当に害するおそれがあるものがあり、このような情報については、不開示とするものである。

8 「調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ」(第6号ハ)と規定した趣旨は、国の機関、独立行政法人等又は地方公共団体が行う調査研究(ある事柄を調べ、真理を探究すること)の成果を上げるためには、その事務に従事する職員の発想、創意工夫等を最大限発揮できるようにすることが重要であるところ、当該事務に関する情報の中には、例えば、①知的所有権に関する情報、調査研究の途中段階の情報などで、一定の期日以前に公にすることにより成果を適正に広く国民に提供する目的を損ね、特定の者に不当な利益や不利益を及ぼすおそれがあるもの、②試行錯誤の段階のものについて、公にすることにより、自由な発想、創意工夫や研究意欲が不当に妨げられ、減退するなど、能率的な遂行を不当に阻害するおそれがある場合があり、このような情報を不開示とするものである。

9 「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」(第6号ニ)と規定した趣旨は、国の機関、独立行政法人等又は地方公共団体が行う人事管理(職員の任免、懲戒、給与、研修その他職員の身分や能力等の管理に関すること)に係る事務については、当該機関の組織としての維持の観点から行われる一定の範囲で当該組織の独自性を有するものである。人事管理に係る事務に関する情報の中には、例えば、勤務評価や、人事異動、昇格等の人事構想等を公にすることにより、公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれがあるものがあり、このような情報を不開示とするものである。

10 「国若しくは地方公共団体が経営する企業又は独立行政法人等に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ」(第6号ホ)と規定した趣旨は、国若しくは地方公共団体が経営する企業(国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律第2条第1号の国営企業及び地方公営企業法第2条の適用を受ける企業をいう。)又は独立行政法人等に係る事業については、企業経営という事業の性質上、第2号の法人等に関する情報と同様な考え方で、その正当な利益を保護する必要があり、これを害するおそれがあるものを不開示とするものである。ただし、正当な利益の内容については、経営主体、事業の性格、内容等に応じて判断する必要があり、その開示の範囲は第2号の法人等とでは当然異なり、国又は地方公共団体が経営する企業に係る事業に関する情報の不開示の範囲は、より狭いものとなる場合があり得る。

(参考)

 次に例示される文書は、本号に基づき不開示となる情報を含み得ると考えられるものの一例であるが、これらのうち、原則として、公にすることにより、国の機関、独立行政法人等又は地方公共団体が行う事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる情報の部分のみを不開示とすることとする。

1 イ関係
(1)監査・検査の手法、着意点等に関するもの
(2)取締りに関する通報、通知、照会、回答等に関するもの
(3)取締りに関するもので、供述、差押え等の内容が記載してあるもの
(4)試験問題及びその作成の要領に関するもの
(5)試験に関する個々の合否の判定過程に関するもの
(6)試験における合否判定基準に関するもの
(7)試験の実施要領に関するもの
2 ロ関係
(1)予定価格、予定価格が推測できる積算単価等に関するもの
(2)国有財産の処分等の予定価格が推測されるもの
(3)個別事業の箇所づけが明らかとなるもの(決定前に限る)
(4)渉外・交渉の方針又は判定、評価の手法に関するもの
(5)用地取得等の交渉方針、交渉状況又は予定地が記録されているもの
(6)補償内容が明らかとなるもの
(7)個別の行政審判の申請書、審理記録及び裁決書又は決定書のうち、審理過程が非公開とされたもの又は公開することにより審理の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
(8)国を一方の当事者とする訴訟事件に関連して収集した資料その他の訴訟事件に関するもの
3 ハ関係
関係者の意向調査であって、公開することにより調査への協力を得ることが著しく困難になるおそれがあるもの
4 ニ関係
(1)勤務評定及び意向調査に関するもの
(2)懲戒処分に関するもの
(3)賞詞等贈与を伴う選考に関するもの
(4)採用、選抜等に伴う選考に関するもの
(5)任免その他人事に関するもの
5 その他
叙位・叙勲及び褒章に関するもの

第8 法第6条に規定する部分開示義務

1 開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができる場合は、当該部分を除いた部分に有意の情報が記載されていないと認められる場合を除き、当該部分を除いた部分を開示しなければならない。

  • (1)「容易に区分して除くことができるとき」とは、不開示情報が記録されている部分とそれ以外の部分とを概念上区分けし、不開示情報が記録されている部分について、内容が分からないように墨塗り、被覆等を行い、行政文書から物理的に除去することを意味する。
    部分開示の作業に多くの時間、労力を要することは、直ちに、区分けして除くことが困難であるとはいえない。
  • (2)部分的に削除すべき範囲は、一般的には、文、段落等、表であれば個々の欄等を単位として判断することをもって足りる。
  • (3)「有意の情報が記録されていないと認められるとき」とは、不開示情報が記録されている部分を除いた残りの部分に記載されている情報の内容が、無意味な文字、数字等の羅列等、開示をしても意味をもたない場合を意味する。
  • 「有意の情報」かどうかの判断は、請求の趣旨を損なうか否か、すなわち、開示請求者が知りたいと考える事柄との関連によって判断すべきものではなく、個々の請求者の意図によらず客観的に判断する。

2 特定の個人を識別することができる情報が記録されている場合において、氏名、生年月日その他特定の個人を識別することができる記述等の部分を除くことにより、残りの部分を開示しても個人の権利利益を害するおそれがないと認められるときは、当該残りの部分については、法第5条第1号に該当しないものとして開示する。

第9 法第7条に規定する公益上の理由による裁量的開示

 開示請求に係る行政文書に、法第5条各号の規定に該当する不開示情報が記録されている場合であっても、「公益上特に必要があると認めるとき」は、防衛大臣等の要件裁量により、当該行政文書を開示することができる。
 「公益上特に必要があると認めるとき」とは、防衛大臣等の高度の行政的な判断により、公にすることに、当該保護すべき利益を上回る公益上の必要性があると認められる場合を意味する。

第10 法第8条に規定する行政文書の存否に関する情報

1 特定の者又は特定の事項を名指しした探索的請求など、開示請求に係る行政文書が具体的にあるかないかにかかわらず、当該行政文書の存否について回答すれば不開示情報を開示することとなる場合には、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否する。

2 なお、存否を明らかにしないで拒否することが必要な類型の情報については、行政文書が存在しない場合に不存在と答え、行政文書が存在する場合にのみ存否を明らかにしないで拒否したのでは、開示請求者に当該行政文書の存在を類推させることになることから、常に存否を明らかにしないで拒否することが必要となる。

第11 法第9条第2項に規定する開示をしない旨の決定

 次のいずれかに該当する場合には、開示をしない旨の決定をする。

  • (1)開示請求に係る行政文書の全部に不開示情報が記録されているため、すべて不開示とする場合(不開示情報が記録されている部分を、それ以外の部分と容易に区分して除くことができない場合及び不開示情報が記録されている部分を除いた残りの部分に有意の情報が記載されていない場合を含む。)
  • (2)法第8条の規定により開示請求を拒否する場合
  • (3)開示請求に係る行政文書を保有していない場合又は開示請求の対象が法第2条第2項に規定する行政文書に該当しない場合

  • (4)開示請求の対象が、他の法律における情報公開法の適用除外規定により、本法による開示請求の対象外のものである場合
  • (5)請求手数料が納付されていない場合、行政文書の特定が不十分である場合等、開示請求に形式的な不備があるとき。
  • (6)開示請求が権利濫用に当たる場合権利濫用に当たるか否かの判断は、開示請求の態様、開示請求に応じた場合の行政機関の業務への支障及び国民一般の被る不利益等を勘案し、社会通念上妥当と認められる範囲を超えるものであるか否かを個別に判断して行う。
    行政機関の事務を混乱又は停滞させることを目的とするなど、開示請求権の本来の目的を著しく逸脱する開示請求は権利の濫用に当たる。

第12 令第14条第1項に規定する開示実施手数料の減額又は免除

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律施行令(平成12年政令第41号。以下「令」という。)第14条第1項に基づく開示実施手数料の減額又は免除において、行政文書の開示を受ける者が経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないと認められるか否かの判断は、令第14条第3項の規定により申請書に添付される書面等を基に行う。

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