自衛官の小西参議院議員に対する暴言を含む不適切発言事案について

平成30年5月8日
防衛省

1 はじめに

  • 4月16日午後8時40分頃、統合幕僚監部指揮通信システム部所属の幹部自衛官(3等空佐)が、小西参議院議員(参議院外交防衛委員会委員)に対して暴言を含む不適切な発言を行った。
  • 言うまでもなく、国会議員は、国民の代表として国会による内閣に対する監督(自衛隊に対する文民統制を含む)の機能を担う立場にあるが、幹部自衛官はもとより自衛隊員がこのような暴言を含む不適切な発言を行うことは断じてあってはならない。
  • 隊員は、常に品位を重んじ、いやしくも隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を損するような行為をしてはならないことは当然である。
  • 防衛省として、小西参議院議員に対して重ねてお詫び申し上げるとともに、現職の自衛官がこのような事案を起こしたことについては、国会議員及び国民の皆様方に対して誠に申し訳なく思っており、本日、調査結果に基づき本人に対する処分を行うとともに、再発防止策を実施することとした。

2 調査結果

  • この事案については、統合幕僚監部において調査を実施し、本人に対する事情聴取を50時間以上にわたり行い、繰り返し現場の状況を聴取するとともに、小西議員のお話しと相違する点について、再三、問い質した((本人の供述:別紙第1)。
  • また、防衛事務次官、人事教育局長、職場の上司や同僚から、当時の状況や日頃の本人の発言や勤務態度等について、事情聴取に代わる答申書を提出させるとともに、人事教育局長等に対する聴取も行われた。さらに、警察に対して現場の状況を問い合わせ、回答を頂いた(関係者の供述等:別紙第2)。
  • 併せて、小西議員の現場の状況についての細部のお話し(議員の発言したブログ等)(別紙第3)に基づき本人に対する事実関係の確認を行った。
  • 調査の結果、本人が小西議員に対して暴言を含む不適切な発言(「馬鹿」「気持ち悪い」「国益を損なう」「国民の命を守ることと逆行」など)を行ったことは確認できた。
  • 他方、「国民の敵」という言葉については、小西議員は本人から何度も発言され罵られたとしており、現場から又は事案後ほどなく、電話にて、防衛事務次官及び人事教育局長に対してそのことを伝え、防衛事務次官は「お前は敵だ」と記憶し、人事教育局長は「国民の敵」とメモに記録しているが、本人は一貫してその言葉は発言していないとしている。

3 本人に対する処分等

  • 本人の発言は自衛隊法第58条「品位を保つ義務」に明らかに違反するため、従来の事例を考慮し、「訓戒」の処分を行う。
  • 本人を5月中旬に、統合幕僚監部から異動させ、航空自衛隊西部航空方面隊司令部(福岡県春日市)勤務とする。

4 再発防止策

 今回の事案については、現職の幹部自衛官が、国民の代表である国会議員に対して暴言を含む不適切な発言を行い、服務義務に反したものであるが、これが文民統制の趣旨に照らして問題があるとの指摘も踏まえつつ、こうした事案を断じて繰り返さないよう、事務次官通達(別紙第4)を発出し、以下の再発防止策を講ずる。

  • 速やかに、今回の事案に関する教育資料(議員等から指摘された文民統制の確保に関すること等も含む)を作成し、教育機関及び各部隊等に配布した上で、隊員全員に必要な教育を実施。
  • 自衛隊法第58条「品位を保つ義務」をはじめ、隊員の服務義務について、改めて隊員全員に周知徹底。

5 その他

 今回の事案に関する報道において匿名の防衛省幹部による不適切な発言が紹介されているが、改めて省内において、対外発信の適正な手続きについて周知徹底を図る措置を講ずる。