令和4年度 全自衛隊美術展入賞作品

写真の部

総評(野町 和嘉氏のコメント)

コロナ禍による社会の閉塞感もようやく薄まり、旅行に出かける機会も増えたこともあってか、前回に比べて全般的に伸びやかな印象が感じられた今年の応募作の傾向でした。その中でも、入賞作品のうち「Survive」を除く3作品は、スケールのある自然の中に身をおき、自然と一体化することで撮影できた広がりと深みを持った作品でした。昨今、スマホの撮影機能の劇的な進化とSNSの急速な普及によって、写真がごく日常のツール化として軽く扱われてしまう傾向があります。しかし今年の入賞作品のどれをとっても、被写体に肉薄することで呼び覚まされた発見と感動無くしては写し撮ることのできなかった情景ばかりです。ファインダーを通して何を見ているか、物事の本質を見抜いていたのか、この紙一重の違いにしか見えない一瞬を捉える眼力が、写真を創っているのです。

内閣総理大臣賞

「命の洗濯」
自衛隊入間病院
矢内 佑弥

【講評】

応募された人物写真の多くが自衛隊活動のスナップであるなかにあって、このモノクロ作品はきわめて異色であり、しかも完成度の高い傑作です。森の中で息づく若い男性の、まるで神話世界の一齣を彷彿させる瑞々しさが、森の木漏れ日を効果的に扱ったことで彫刻作品のように浮き上がらせています。

文部科学大臣賞

「雪晴の出会い」
陸上自衛隊航空学校
亀山 豪太

【講評】

数日続いた吹雪の晴れ間に偶然出会えたライチョウに対する、作者の畏敬の念が伝わってくる一枚です。ローアングルで間合いを詰め、カメラを向ける作者の動静を意識するライチョウとの緊張感が伝わる、野生の瞬間が写し撮られています。

防衛大臣賞

「Survive」
陸上自衛隊北部方面隊
第11旅団第11通信隊
矢瀨 孝洋

【講評】

全身迷彩で体当たりで挑む戦闘訓練。息遣いが漏れるその表情と厳しい視線、そして一帯に立ちこめた砂埃から訓練の臨場感がリアルに伝わってきます。フレーミングも的確で、ローアングルで肉薄する作者と兵士との一体感が伝わる力作です。

防衛大臣賞(家族等の部)

「朝陽」
隊員家族等
多田 吉志

【講評】

北海道、野付半島の尾岱沼に昇る朝日と白鳥たちの優雅なシルエット。雲にさえぎられ形を変えた太陽が、最果ての地で営まれる夜明のドラマを演出しています。画面右、野鳥が溜まった枯れ木のシルエットも横一列の画面に変化をもたらす格好のアクセントになっています。

入選作品一覧

「秘境への旅人」
陸上自衛隊東北方面隊
第6師団第20普通科連隊
山田 亮

「大正浪漫雪物語」
陸上自衛隊東北方面隊
第6師団第20普通科連隊
山田 亮

「TOKYOタワーin X’mas」
防衛医科大学校
大槻 眞知子

「鉄腕鍛うる若人たち」
陸上自衛隊幹部候補生学校
宮田 航輔

「From 6 to 41,バトンをつないで」
海上自衛隊舞鶴地方総監部
杉浦 圭悟

「鎮魂の海~水深50mに眠る
九五式軽戦車~」

海上自衛隊海洋業務・対潜支援群対潜資料隊
谷口 剛

「光の協演」
陸上自衛隊東北方面隊
第9師団第39普通科連隊
中野渡 茂治

「オーロラの見える街」
海上自衛隊艦隊情報群
作戦情報隊
會田 尚史

「水の呼吸」
自衛隊入間病院
矢内 佑弥

「自衛隊入間病院」
自衛隊入間病院
若林 寛