弾道ミサイル等に対する破壊措置の実施に関する自衛隊行動命令について

令和5年5月29日
防衛省

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本日、防衛大臣から部隊等に対して、弾道ミサイル等に対する破壊措置の実施に関する命令を発出しました。その概要は別紙のとおりです。

別紙内容

弾道ミサイル等に対する破壊措置の実施に関する自衛隊行動命令について

本日、防衛大臣から部隊等に対して、弾道ミサイル等に対する破壊措置の実施に関する自衛隊行動命令を発出しました。その概要は以下の通りです。

  1.  令和5年5月29日(日本時間。以下同じ。)、北朝鮮から、「衛星」の発射のため、同月31日0時00分から6月11日0時00分までの間、黄海、東シナ海及びフィリピン東方の太平洋に、危険区域の設定についての通報がなされた。このことから、北朝鮮は近日中に「衛星」と称する弾道ミサイルを発射する可能性がある。
  2.  これを受け、自衛隊は、日米間で緊密な連携を図りつつ、自衛隊法(昭和29年法律第165号)第82条の3第3項の規定により、緊急対処要領に従い、事態が急変し我が国に向けて弾道ミサイル等が飛来する緊急の場合における人命及び財産に対する被害を防止するため、我が国領域に落下することが確認された弾道ミサイル等に対する破壊措置を実施する。
  3.  航空総隊司令官は、弾道ミサイル等に対する破壊措置の実施に関し、所要の隷下部隊及び自衛艦隊司令官から差し出された部隊を指揮し、次に示すところにより、我が国領域に落下することが確認された弾道ミサイル等に対する破壊措置を実施せよ。
     なお、当該破壊措置の実施に関し、航空総隊司令官の指揮を受ける部隊を「BMD統合任務部隊」と、航空総隊司令官を「BMD統合任務部隊指揮官」とそれぞれ呼称する。
    1. 部隊の規模
      スタンダード・ミサイルSM-3(以下「SM-3」という。)搭載護衛艦、ペトリオット・ミサイルPAC-3(以下「PAC-3」という。)が配備されている高射部隊(以下「PAC-3部隊」という。)、航空警戒管制部隊、移動通信部隊及びその他所要の部隊
    2. 命令の期間
      別命ない限り、本年6月11日をもって終結
    3. 破壊措置の対象
      北朝鮮から発射されたと考えられる弾道ミサイル等であって、我が国の弾道ミサイル防衛システムにより我が国領域に落下することが確認されたもの
    4. 破壊方法
      SM-3又はPAC-3を発射し我が国領域又は我が国周辺の公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。以下同じ。)の上空において破壊。
    5. 行動の範囲
      我が国領域並びに我が国周辺の公海及びその上空
      ただし、SM-3搭載護衛艦及びPAC-3部隊については、上記の範囲のうち次の場所とする。
      1. SM-3搭載護衛艦
        東シナ海において、我が国領域を防護できる位置
      2. PAC-3部隊
        陸上自衛隊那覇駐屯地及び与那国駐屯地並びに航空自衛隊宮古島分屯基地並びに地方公共団体との調整により決定される石垣島の地区
  4.  陸上総隊司令官、自衛艦隊司令官及び航空システム通信隊司令は、所要の部隊を航空総隊司令官に差し出し、弾道ミサイル等に対する破壊措置の実施に関し、指揮を受けさせよ。
  5.  陸上総隊司令官、佐世保地方総監及び航空総隊司令官は、関係する地方公共団体その他の関係機関と所要の調整を行う際、沖縄防衛局長と協力し、統合幕僚監部が設置した統合連絡調整所の調整の下で実施するものとする。
     なお、部隊の機動展開及び展開については、上記調整を経た地域から順次実施するものとする。
  6.  陸上総隊司令官、中央管制気象隊長、警務隊長、陸上自衛隊中央会計隊長、陸上自衛隊中央輸送隊長、陸上自衛隊中央業務支援隊長、陸上自衛隊補給統制本部長、自衛艦隊司令官、各地方総監、システム通信隊群司令、海上自衛隊警務隊司令、海上自衛隊補給本部長、航空総隊司令官、航空支援集団司令官、航空開発実験集団司令官、航空システム通信隊司令、航空警務隊司令、航空中央業務隊司令、航空自衛隊補給本部長、自衛隊情報保全隊司令及び自衛隊サイバー防衛隊司令は、この命令の実施に関し、所要の支援を実施せよ。
  7.  陸上総隊司令官は、次項の実施に関し、各方面総監をそれぞれ指揮せよ。
  8.  陸上総隊司令官、自衛艦隊司令官、各地方総監、教育航空集団司令官及び航空総隊司令官は、弾道ミサイル等が発射され我が国の領域又は我が国周辺の公海においてその落下が予期された場合には、直ちに、弾道ミサイル等が落下したと推定される地域において落下の状況を確認するための情報収集を実施せよ
  9.  この命令の実施に関し必要な細部の事項は、統合幕僚長に指令させる。

以上