防衛大臣臨時記者会見

日時
令和8年10月28日(水)21:43~22:01(現地時間)
場所
シェラトン・セブ・マクタン
備考
日米防衛相会談、日韓防衛相会談、日印防衛相会談、日ASEAN防衛担当大臣会合、日米豪比防衛相会合、日比防衛相会談、日越防衛相会談及び日星防衛相会談後の小泉防衛大臣臨時会見

動画版

1 発表事項

本日は、各国の国防大臣との会談などを行うとともに、第10回日ASEAN防衛担当大臣会合に出席をしました。今日は到着後、まずアメリカのヘグセス長官と9度目となる日米防衛相会談を行いました。ヘグセス長官とは、厳しさを増す地域情勢について危機感を共有し、日米同盟の抑止力・対処力をこれまで以上の速度と強度で強化していくことで一致しました。私からは、三文書の改定に向け着実に取り組んでいることや、我が国に向けられた侵攻や脅威を拒否する力を強化していく決意を伝え、日米同盟としてもこの拒否する力を高めていく方向性を確認したほか、防衛装備や技術に関する日米協力である「オペレーション・スーパーチャージ」に関して、F-35に不可欠な空対空ミサイルAMRAAMの最終組立・検査施設の日本国内における設置についに合意することができました。これにより、日米双方が必要とする装備品の確実な取得だけではなく、我が国の防衛産業基盤の強化にもつながる画期的な合意となりました。日米同盟を言葉だけではなく、行動で更なる高みに引き上げてまいります。続いて、韓国のカン・シンチョル国防部長官とは、カン長官就任後初めての日韓防衛相会談を行い、地域情勢について率直に意見を交わすとともに、ハイレベル間での緊密な意思疎通を継続し、日韓防衛協力を今後更に活発化させていくことで一致しました。インドのシン国防大臣とは、海洋安全保障や航空自衛隊戦闘機による初のインド訪問、約40社が参加した日印防衛産業フォーラムなど、8月の会談以降、日印防衛協力が着実に進展していることを確認しました。また、インドの射場の活用については、陸上自衛隊が現地視察を実施するといった具体的な進捗を踏まえ、「2+2」に向け、更に調整を加速していくこととなりました。そして、最後に、本年中の「2+2」及び防衛相会談の開催に向け、協力を更に加速していくことでも一致しました。次に、第10回日ASEAN防衛担当大臣会合では、厳しさを増す安全保障環境の中、ASEANの一体性、中心性、強靱性がこれまでになく重要になっていることを踏まえ、これを日本として力強く支えていくとの決意を表明しました。その上で、ADMMプラスがより大きな役割を果たしていくため、ASEAN主導で、その下にある専門家会合を更に強化していくための様々なアイデアについて議論しました。ASEANからは、これまでの日本のイニシアチブへの感謝が示されるとともに、日本の今後の更なる貢献への期待が表明され、我々としても勇気づけられたところです。続く日米豪フィリピンの会談(SQUAD)は、参加した米豪フィリピン全ての国が日本との間でACSAを締結しており、そのような形で初めて実施することの意義を4人の閣僚で確認することができました。前回の会談以降、各国の参謀総長をトップとする防衛協力委員会(DCC)の設立や共同訓練等の取組など、様々な進展がありました。今回の会合では、私から政策協議の更なる強化を提案した上で、地域の平和と安定のため、4か国の政策協議や共同訓練といった様々な防衛協力を更に推進していくことでも一致しました。そして、フィリピンのテオドロ国防大臣とは、RAA、そしてACSAという制度的基盤を具体的な部隊運用につなげていくとともに、秘密軍事情報保護協定の締結に向け協力していくことを確認しました。その上で、移転に向けた協議を継続している「あぶくま」型護衛艦については、最初の1隻を今後数年以内に見込まれる除籍後のできる限り早い時期に移転することを目指して協議を継続することに加え、日本側はフィリピン海軍が実施する教育訓練への支援を移転に先立って開始するとともに、維持・整備を両国で連携しながら進めていくことについて防衛当局間で一致し、今後、両国政府内で必要な調整を行うことを確認しました。運用、後方支援、人材育成、情報共有を含め、日本とフィリピンの防衛協力を一段と深化させてまいります。ベトナムのザン副首相兼国防大臣とは、人的交流や部隊間交流を更に推進し、防衛当局間の連携を加速していくことを確認しました。また、高速揚陸艇の共同開発・共同生産の可能性を含め、防衛装備・技術協力の具体化に向けた議論を進めていくことで一致しています。来月、日本に来られますので、その時にまた改めて会談を行っていきたいと思っています。最後に、シンガポールのチャン大臣とは、外交関係樹立60周年という節目の年に、初の共同訓練「シンガパン」を実施したことを歓迎し、そして海軍種間の協力に加え、陸軍種、空軍種、防衛装備分野へと日・シンガポール防衛協力の幅を更に広げていくことで一致しました。シンガポールのチャン大臣も来月訪日予定でありますので、その機会に向けて事務方の協議もしっかりと確認、強化をさせたいと思います。このように、今日は一連の会合・会談を通じ、ASEAN各国との関係を一層深めるとともに、同盟国・同志国との防衛協力を様々な分野で具体的に前進させることができました。明日のADMMプラスでも、日本がASEANを支える誠実で透明性の高いパートナーであるということをしっかりと伝えていきたいと思います。冒頭は以上です。

2 質疑応答

記者:
日米防衛相会談についてお伺いします。年内に予定される安全保障関連三文書の改定ですとか、日本の防衛力の強化について、どのようなやりとりがありましたでしょうか。また、防衛費の増額について、アメリカ側から具体的な数値への言及や要求はあったのでしょうか。三文書では、非核三原則や原子力潜水艦の保有、防衛生産基盤の強化や防衛産業協力、HNSについても焦点となっていますけれども、どのような議論があったのかお伺いします。

大臣:
今回のヘグセス長官との会談は、私にとってもヘグセス長官にとっても、双方、このフィリピンの中での最初の会談ということでありました。このことは、正に日米同盟の揺るぎない姿を改めて示すと考えています。ヘグセス長官も、もう既にフィリピンを離れているというふうに思いますけれども、非常にタイトなスケジュールの中で、まず日米でと、こういったことで同盟の抑止力・対処力を更に高める機会となりましたし、今の厳しさを増す地域情勢についても危機感を共有して、具体的な協力についてヘグセス長官との間で非常に実りのある議論ができました。そして、お尋ねの三文書の改定に関しては、私から年内の改定に向けて着実に取り組んでいることを説明しました。そして、冒頭申し上げたとおり、拒否する力を強化していく決意を私からも明確に伝え、そして日米同盟としても、この拒否する力を共に高めていくという方向性を確認することができました。また、お尋ねの防衛費に関しては、アメリカ側から言及がありましたが、特定の金額や結論を念頭に置いたやりとりは行っていません。昨年の12月にヘグセス長官と初めて日本でですね、会談をした時に、日本に対して何かを要求するということはないというヘグセス長官の、日本とは共通の価値観があるしと、互いに何ができるかというのは分かっているからと、この文脈での話がありましたとおりですね。その時と今も変わるものはありません。この時の言葉に尽きると思います。したがって、防衛力整備については、我々の主体的な判断で具体的に積み上げていきます。非核三原則、原子力潜水艦、同盟強靱化予算、こういったことについてもお尋ねがありましたが、個別のやりとりについては相手との関係もあり、お答えを差し控えますが、いずれにしても幅広いテーマについて非常に前向きな議論ができました。そして、今回特に重視したのは、日米の防衛協力を議論にとどめずに具体的な成果につなげていく、このことであって、その柱の一つが日米防衛産業協力ということでした。今回の会談では、私が5月のシャングリラ会合での会談の際に提唱した防衛産業や技術協力に関する日米協力の枠組みである「オペレーション・スーパーチャージ」に関して重要な合意に達したことをお伝えしたいと思います。SM-3ブロックⅡAについて、生産量の拡大を実現するため、必要な技術情報を共有することに合意し、先ほど申し上げたとおり、F-35に不可欠な空対空ミサイルAMRAAMについて、日本国内における最終組立・検査施設の設置についに合意することができました。このことに関しては、長年、議論を真摯に、そして精力的に積み上げた我々防衛省の職員、担当者に対しても心から敬意を表したいと思います。精力的に交渉してくれたおかげです。このような日米双方にメリットのある防衛産業協力について、具体的な成果を出していくべく、引き続き、議論を重ねていきたいと思います。そして、今回ですね、ヘグセス長官と改めて共有したのは、日米同盟が持つ特別な意味です。長官とは昨年10月に横須賀の空母「ジョージ・ワシントン」の艦上でお会いしてからちょうど1年が経ちました。今回で、1年で9回目となる日米防衛相会談を通じて率直な議論を重ね、確かな信頼関係を築いてきました。今回もヘグセス長官の短い滞在の中で、一番最初の会談として日米での会談が実施できました。そして、この長官との信頼関係、日米間で共有された危機感も踏まえて、これまで以上の速度と強度で日米同盟の抑止力・対処力を強化していく、そして和解の力を体現してきたこの日米同盟を、地域の平和と安定のためにより強固なものにしていく。そういった方向性について、私が先頭に立って日米同盟を更なる高みに引き上げていくと、こういった思いをお互いにですね、確認することができました。

記者:
2問お伺いします。1点目が日韓防衛相会談についてお尋ねします。今日、カン国防相と初めて直接会われた印象や会談の雰囲気、また、今後の日韓防衛協力への期待があればお聞かせください。

大臣:
まずは初めての、カン長官就任後の会談でしたから、私からお祝いを申し上げ、今後、強固な信頼関係を築いて、その下で緊密に連携していきたいという私の強い思いをお伝えをしました。カン長官からも同じような思いを私に対して伝えていただきました。また、地域情勢や日韓の防衛協力について意見交換を行いました。その中で、閣僚間の相互訪問を含め、日韓防衛当局のハイレベル間で緊密な意思疎通が行われていることを歓迎するとともに、日韓防衛協力のフロンティアを広げるために、ドローンなど新たな分野での協力を積み重ねていくことで一致しました。防衛省・自衛隊としては、私とカン長官との信頼関係を通じて、日韓、そして日米韓防衛協力を引き続き、推進していきたいと思います。初めて会った印象や会談の雰囲気はということですけど、初めて会ったとは思えないほど、非常に率直に今後の日韓関係について明るい展望を持てるような、そういった濃密な時間となりました。明日も1日会議で一緒ですから、いろんな立ち話、そして様々な会議の合間の時間、こういったことも含めて、更に緊密なコミュニケーションを取っていきたいと思っています。

記者:
もう1点、フィリピンの関連でお尋ねします。今日は会談という形ではなかったかもしれませんが、日米豪比の前に立ち話をなさっていたりと、フィリピン側とやりとりする機会があったかと思います。5月の会議で設置された防衛装備協力に関するワーキンググループの協議状況を踏まえて、「あぶくま」型護衛艦などの移転についてどのようなやりとりがあったか教えてください。また、フィリピン側が関心を示している中SAM、88式地対艦誘導弾、指揮統制システムなどの装備品についての輸出の検討状況をお聞かせください。さらに、前回の会談以降に、さらに日本の装備品を取り巻く環境だったり、政策というのは変わってきていると思いますが、それについて説明されたことがあれば、テオドロさんの反応とあわせて、またフィリピンへの装備移転に対しての期待とあわせて教えてください。

大臣:
まず、お尋ねの「あぶくま」型の護衛艦の移転の進捗ですけれども、今回、最初の1隻を今後数年以内に見込まれる除籍後にできる限り早い時期に移転することを目指して協議することで一致できたということを発表できるようになったこと、それに加えて、移転に先立ってですね、日本側がフィリピン海軍の教育訓練を支援するとともに、維持・整備についても両国が連携して取り組む方向で必要な調整を進めることを確認できたと。これを公表できる段階まで積み上げてきたというのが、間違いなく事務方の努力が報われた一つの成果でもあると思います。そして、この日本との協力について、テオドロ大臣の非常に強いリーダーシップ、こういったものは欠かせない要素でありましたので、今後もしっかりと、テオドロ大臣とかなり頻繁にやりとりをしていますから、今後もそういったコミュニケーションを取っていきたいと思います。また、それぞれお尋ねの個別の装備品についてありましたけれど、これはワーキンググループでの議論を加速することで一致しています。引き続き、フィリピンのテオドロ大臣とともに、今お尋ねのあった防衛装備協力に限らず、地域情勢のお互いの認識の共有、そして今日は日米豪比、このSQUADの会談もありましたけれども、幅広く同盟国・同志国と連携を強化するという思いも一致していますから、更に連携を強化していきたいと思います。

記者:
日ASEAN防衛担当大臣会合において、大臣がASEANに対して示された提案の狙いと意義についてお聞かせください。また、日米豪比の4か国会合や各国との個別会談を通じ、中国を念頭に一致した認識や具体的な申し合わせがあれば、あわせてお聞かせください。よろしくお願いします。

大臣:
まず、ASEANの場でですね、日本が提案の狙いと意義は何かということですけれども、私からはASEANの一体性と中立性こそ地域の安定を支える基盤だと、こういった考えを改めて表明しました。その上で、安全保障環境が厳しさを増す中で、ADMMプラスの専門家会合を一層発展させ、新たな課題に対応できる具体的かつ実効的な協力を深化させることを提案しました。これに対してASEAN各国からは歓迎の意が示され、日本のこれまでの貢献を高く評価するとともに、ADMMプラスの取組を発展させるため、日本の今後の貢献への大きな期待が示されたことに勇気づけられたところです。特にこの場で提案をした専門家会合をより柔軟に、そして縦割りではなく横串で、今の迅速に、かなり安全保障環境が急に変わってきていますし、危機感を持っていますから、より迅速な形で動かしていこうと。こういった日本の思いについては、そういった提案をしてくれてありがとうと、こういった言葉も参加国から投げられたことで、改めてこの日ASEANの枠組みの重要性、日本ができる貢献ということも、私としても実感する機会にもなりました。また、日米豪比の4か国会合(SQUAD)の会談では、3か国の全てが日本との間でACSAを締結しているという、これは他にはない枠組みということを改めて再確認をして、この枠組みの重要性を4者がそれぞれ確認し合う場ともなりました。各国との個別会談においては、地域情勢や力又は威圧による一方的な現状変更の試みを許さず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の重要性を確認しましたが、これらの議論は特定の国を対象とするものではありません。我が国が目指すのは、全ての国が自らを守り、自らの未来を自ら選択できる地域です。このために日本はASEANの友人であり、信頼に足るパートナーとして、これからも誠実かつ透明性を持って地域の平和と安定に具体的に貢献していきたいと思います。

以上