防衛大臣記者会見

日時
令和8年10月9日(金)09:25~09:39
場所
参議院別館3階防衛省政府控室
備考
小泉防衛大臣閣議後会見

動画版

1 発表事項

本日、防衛省は、自衛隊による宇宙領域の安定的な利用を確保するため、即応宇宙輸送能力に関する調査研究を開始することといたしました。現在、防衛省・自衛隊は、宇宙領域の能力強化に取り組んでいますが、これを進めると同時に、有事を含め我々が利用する人工衛星の一部が失われた場合に、その機能を迅速に回復することは、安全保障上の重要課題です。アメリカでは、発射通知から24時間以内での即応的な打上げが実現しており、宇宙への迅速なアクセス能力の重要性は高まっています。そのために必要となる輸送能力、つまり、ロケットの性能、製造方法、打ち上げ方法などについては様々な可能性があります。この課題は、防衛省だけでは解決できません。今回の調査研究では、この輸送能力について、宇宙産業の技術力や創意工夫を活用した幅広い考えを募ります。宇宙輸送の世界は今、大きな変革の時代を迎えています。この調査研究をきっかけに、国際競争力を持つ新たなシステムが我が国から生まれることを願っています。そして、この取組は、防衛力強化のための投資が、経済成長につながるモデルケースの一つとなる可能性を大いに秘めています。特に、日本の宇宙産業に携わる皆さまの技術力、創造力、そして挑戦する力を存分に発揮していただきたいと思います。この事業自体は、防衛省にとって小さな一歩かもしれませんが、日本の宇宙産業にとって大きな飛躍となることを期待しています。冒頭は以上です。

2 質疑応答

記者:
安全保障三文書の改定に関しまして、一部報道で、抑止力強化の選択肢として原子力潜水艦について言及する案が政権内で浮上しているということがありますけれども、大臣としてのお考えをお願いいたします。

大臣:
これは度々、私があらゆる選択肢を排除しないと申し上げているとおりです。現時点で何かこう決め打ちをすることはありませんが、様々、幅広い議論をするのは当然のことだと思っています。その上で、防衛政策に関する一般論として、我が国として国民の命と平和な暮らしを守り抜くための政策について、あらゆる選択肢を排除することなく、国民に丁寧に説明しながら議論してまいります。我が国を取り巻く安全保障環境も、楽観視できる要素は皆無と言っていい中、議論の必要性は国民の皆様も御理解をされるところではないかと思います。あくまでも、これも一般論として申し上げさせていただきますが、原子力潜水艦は、長時間の潜航や無補給で長期間の行動が可能であり、速い水中速力を持つとされています。これらの特徴は、乗組員の安全をより高いレベルで確保しつつ、所要の活動に従事することを可能にするものです。また、オーストラリア等において導入の議論が進んでいるほか、これまで課題とされていた静粛性についても向上しつつあるとされています。さらに、通常動力艦よりも優れた速力を生かして、危険な海域から安全に離脱することができるといった長所も指摘されています。一方で、通常動力型の潜水艦に比べて水中での静粛性が劣るとされているほか、原子力機関そのものが高価格なこと、船体も大型化の必要があること、さらに、原子力機関の維持・整備や運用に特殊な専門技術が必要なことといった特徴があると言われています。いずれにしても、政府としては、三文書の今年中の改定に向けて検討を進めているところでありますから、現時点でその具体的な内容について予断を持ってお答えすることは差し控えますが、今後の防衛力の具体的な内容については、我が国の主体的な判断の下、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、安全保障環境を踏まえて、具体的かつ現実的な議論を積み上げてまいります。

記者:
GCAPについてお伺いします。イギリスのバーナム首相は昨日、ドイツとの首脳会談を開いて、その後の記者会見でドイツがGCAPに参加することに前向きだとする発言をしました。日本はイギリスと、そしてイタリアと同じくGCAPを進めていますけれども、この発言についての受け止めがあればお伺いします。

大臣:
そもそもGCAP自体、これは日本とイギリスとイタリアの3か国にとっての同盟国や同志国との協力を念頭に置いて進めてきたものです。第三国との協力についても、GCAPがより良いプログラムとなるように、イギリス、そしてイタリアとも連携して取り組んでいきたいと思います。

記者:
ウクライナへの武器輸出の検討状況についてお尋ねします。ウクライナ側は、これまで日本がライセンス生産する米国製防空システム、パトリオットミサイルの移転について期待感を示してきました。その背景には、4月の防衛装備移転三原則と運用指針の改定で、武器輸出を全面的に解禁し、戦闘中の国への武器輸出についても、特段の事情がある場合は例外的に認める規定が設けられたことがあるかと思います。現在のパトリオットをはじめとする武器の輸出について、日本政府内での検討状況を教えてください。

大臣:
現時点で政府としては、ウクライナに対して自衛隊法上の武器の移転を行うことは考えていませんが、防衛省・自衛隊としても、ロシアによる侵略を受けているウクライナを支えていく決意に変わりはありません。これまでも自衛隊の車両や防弾チョッキなどの支援のほか、負傷兵の受入れを行ってきており、今後も供与可能な装備品を支援していきます。いずれにしても、日本・ウクライナ両政府間で意思疎通を継続していきたいと思います。

記者:
もう1点ウクライナ関連でお尋ねします。先月末からは、小野寺元防衛相らがウクライナを訪問して、現地で日本政府がウクライナ製ドローンを試験的に導入することを明らかにしていました。新しい戦い方への対応を進めていく上で、ウクライナ製のドローンの導入や技術協力に期待することがあれば、お聞かせください。

大臣:
既に防衛省では、ウクライナのスカイフォール社の迎撃用ドローンの取得契約を締結しており、早期の納入に向けて努めているところです。あとは技術協力など、期待をすることがあればということですが、技術、このドローンに限らずですね、新しい戦い方に、今、世界の中でも最も経験値を高く積んで、そして継戦能力をこれだけ速いスピードで高め続けている。防衛産業の育成の観点からも、そして産業基盤の観点からも、このラピッド・フィードバック・サイクルとも言われるような、2、3週間ごとに新たな性能を持ったドローンが出てくる、それを作り続けることができる、こういったことについては、我々も学ぶべきことは多くあると思います。いずれにしても、そのような抑止力と対処力を、我が国にとって必要なこと。そういったことについては、よく具体的なものを見ながら検討していきたいと思います。

記者:
大臣の冒頭の御発言に関してお伺いします。国内のロケット射場の課題をどう認識し、今回の防衛省の取組が、こうした課題解決にどのように役立てられるか、どう思いますか。見解をお伺いします。

大臣:
ロケットや射場については、日本成長戦略においても、我が国の自立的な宇宙空間へのアクセス確保・拡大する上で、重要であり、打ち上げの高頻度化やロケットの国内製造能力向上、射場等の整備が必要であるとされています。今回の調査研究は、防衛省・自衛隊が必要とする即応的な宇宙輸送能力の具体像を明らかにするものですが、その需要を示すことで、民間事業者による投資や事業化を後押しし、ロケットや射場を含む我が国の宇宙産業基盤の強化にも貢献することができると考えています。防衛省としては、将来的に民間事業者から提供される輸送サービスの利用者となって、安定的な需要を示すこと、いわばアンカーテナンシーとして、我が国の宇宙輸送能力の発展を後押ししていきたいと考えています。

記者:
在沖米海兵隊員が逮捕された事件を受け、在沖米軍が昨日の正午から本日正午までの2日間、運用を停止しています。また、本日から30日間を反省期間として、深夜の外出禁止を実施いたします。大臣としてこの措置をどのように評価しますか。また、米軍側は外出ルールを定めたリバティ制度について、方針や手順をより詳細に見直すとしていますが、それについて大臣の期待などがあれば教えてください。

大臣:
今、御指摘ありましたとおり、今般の事件を受けて、ワトソン在日アメリカ軍沖縄地域調整官から、沖縄に駐留する全てのアメリカ軍人に対して、10月7日12時から9日12時までの48時間、そして、在沖アメリカ軍の運用停止、外出禁止及び飲酒禁止、10月9日から30日間の哀悼期間中の24時を門限とする外出禁止を命じた旨、アメリカ軍が公表しました。また、アメリカ側において、今後さらに行動指針を精査していくということだと理解しています。アメリカ軍関係者による事件は、地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、あってはならないものです。今般の措置は、アメリカ軍が今般の事件を重く受け止め、綱紀粛正と事件の発生防止のために迅速に対応していることの表れだと理解しています。事件の発生を防止するべく、いかに実効性ある措置をとっていくかについて、日米間で引き続き、協議を進めていきたいと考えています。

記者:
同じく、在沖米海兵隊員の強盗殺人容疑での逮捕について伺います。大臣は古謝知事と7日にお会いしましたが、古謝知事の意見や要請内容を踏まえて、どのような再発防止策を講じていくお考えかお聞かせください。また、沖縄タイムスさんからもありましたが、米軍が48時間業務停止などの措置を発表しています。これについて防衛省に連絡はあったのか、もしあったとすれば、何をどの程度業務を停止するという内容だったのかというのを教えてください。最後に、大臣は、この米軍の30日間の夜間外出禁止措置などは、再発防止の効果があるとお考えでしょうか。御見解をお願いします。

大臣:
まず、古謝知事とのやり取りですが、10月7日に古謝知事と面会し、沖縄政策協議会の早期開催に関する御要請とともに、沖縄県那覇市で発生した今般の強盗殺人事件に関し、在沖アメリカ海兵隊員が逮捕された事件に関する御要請を受けました。この事件について、アメリカ側に対しては強く抗議した上で、捜査への全面的な協力を求めるとともに、綱紀粛正、再発防止の徹底、被害者の御遺族への適切な対応について申し入れたことを、私から知事にお伝えをしました。そして、古謝知事からは、このような悲惨な事件が二度と起きることのないよう、実効性ある抜本的な対策を講ずることを求める旨の強い御要望をお聞きしたところです。防衛省としては、引き続き、在日アメリカ軍の綱紀粛正と再発防止の徹底を働きかけるとともに、沖縄県の声を十分踏まえながら、関係省庁やアメリカ側とも意思疎通を図り、いかに実効性のある措置をとっていくかについて、日米間で協議を進めていきたいと考えています。そして、今回の措置についてですけれども、先ほど、この24時間、また48時間停止されている、こういった内容などについては、先ほどお答えしたとおりですが、その上でですね、アメリカ軍からは、この期間中、沖縄に駐留するアメリカ軍人による通常の軍事活動は停止される一方、任務上必要な全ての活動が停止されるわけではなく、沖縄及びその周辺における不測事態対処や、そのための即応態勢は維持されると、こういった説明を受けています。いずれにせよ、今般の措置は、アメリカ側が事件を重く受け止め、綱紀粛正と事件の発生防止のために迅速に対応していることの表れだと理解しています。また、アメリカ側の発表によれば、今後さらに行動指針を精査していくものと承知しており、事件の発生を防止するべく、いかに実効性のある措置をとっていくかについては、日米間で引き続き、協議を進めていきたいと考えています。

記者:
GCAPについて、追加で確認で追加させてください。ドイツから日本に対して直接、あるいはイギリスやイタリアに対して、このGCAPに参加したいという意向の表明があったかどうか、事実確認させてください。

大臣:
関係国とは様々コミュニケーションは取りますが、その詳細については控えた方がいいと思います。いずれにしても、先ほど申し上げたとおり、そもそもGCAP自体が日英伊の3か国にとっての同盟国や同志国との協力を念頭に置いて進めてきたものです。この第三国と協力をどうするか。これは現時点では、日英伊以外で言えばですね、カナダがオブザーバー参加を今年正式に我々3か国でも認めるということになりましたけれども、イギリス、そしてイタリアと連携をして、今後も取り組んでいきたいと思います。

※下線部:大臣発言中、「この24時間、また48時間」を「48時間運用が」に修正

以上