防衛大臣記者会見

日時
令和8年8月28日(金)11:30~11:44
場所
参議院別館3階防衛省政府控室
備考
小泉防衛大臣閣議後会見

動画版

1 発表事項

〇 今日は、冒頭3点ございます。最初は、日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区跡地を取得する契約の締結についてです。本日、防衛省と日本製鉄との間で、広島県呉市に所在する瀬戸内製鉄所呉地区跡地を防衛省が取得するための契約を締結しました。先ほど、私も日本製鉄の今井社長とお会いをし、契約に至ったことを喜び合いました。呉地区は、海上自衛隊の主要拠点を有する、我が国の安全保障上極めて重要な地域です。この地に、自衛隊の活動拠点となる庁舎や隊舎、民間企業による防衛装備品の製造施設、物資集積場やヘリポートなどの防災拠点などを備えた多機能な複合防衛拠点を整備し、防衛力の抜本的強化につなげていきます。今回の契約締結は、多機能な複合防衛拠点の整備に向けた重要な節目です。これまで本件の実現に向けて御尽力をいただいた関係者の皆様に敬意を表すとともに、引き続き、日本製鉄と緊密に連携しながら、拠点整備を着実に進めてまいります。また、本事業については、地域の発展に向けて地元の皆様からも大きな期待が寄せられているものと受け止めており、今後、民間企業誘致エリアへの参画を希望する企業の募集手続を速やかに開始する予定です。引き続き、広島県や呉市の御意見を伺いながら、事業の着実な推進と早期の整備に向けて努めてまいります。

〇 そして、2点目が護衛艦「ちょうかい」の帰国についてです。護衛艦「ちょうかい」は約1年の長期間にわたり、アメリカのサンディエゴへ派遣されておりましたが、8月30日に佐世保に帰国する予定です。これまでの会見でもお伝えしてきているとおり、「ちょうかい」が、本年3月にトマホーク発射能力を獲得、7月29日には実射試験を実施し、乗員の練度を含め、トマホークを実際に発射できることを確認しました。私自身も先日、「ちょうかい」の乗組員とビデオ通話を行い、発射試験の成功を喜び合いました。スタンド・オフ防衛能力の強化は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、国民の皆様の命と平和な暮らしを守り抜くために必要なものです。スタンド・オフ・ミサイルを含め、我が国が保有する防衛力が、相手から武力攻撃を受けた場合に初めて行使される、自衛のための必要最小限の防衛力であることに変わりはなく、他国に脅威を与えるようなことはありません。今回、「ちょうかい」は、海上自衛隊として初めてこうした我が国を守るスタンド・オフ防衛能力を獲得し、発射を成功させた艦となりました。今後、国民の皆様の命と平和な暮らしを守り抜くため、任務の遂行に万全を期してもらいたいと思います。

〇 そして最後3点目は、日本・ベルギー防衛相会談の実施についてです。来週8月31日、月曜日、ベルギーのテオ・フランケン国防大臣兼対外貿易担当大臣がベルギー国防大臣として初めて訪日し、防衛省において、日・ベルギー防衛相会談を実施する予定です。本年は日・ベルギー友好160周年の節目の年であり、また、今月ベルギー初の在京国防武官が着任しました。こうした日・ベルギー防衛協力・交流関係にとり、記念すべき機会に、フランケン大臣をお迎えできることを大変うれしく思います。欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障がますます不可分となる中、今回の訪日は、両国防衛当局間の連携を一層強化する上で極めて重要な意義を有するものであり、心より歓迎いたします。会談では、地域情勢について認識を共有するとともに、日・ベルギー防衛協力・交流の更なる深化に向け、率直かつ具体的な議論を行いたいと考えています。また、この機会を通じて、フランケン大臣との信頼関係を深めていきたいと考えています。今日は3点、冒頭は以上です。

2 質疑応答

記者:
8月26日に実施されたオーストラリア、インドネシアとの防衛相の電話会談についてお聞きします。この枠組みでの会談というのは、初めてだと思います。この枠組みの狙い、また今後、具体的にどんな分野の防衛協力を進めていきたいお考えか聞かせてください。

大臣:
一昨日、オーストラリアのマールズ副首相兼国防大臣とインドネシアのシャフリィ国防大臣と共に、初めてとなる日豪インドネシア防衛相電話会談を実施しました。オーストラリアとインドネシアは、いずれも我が国にとって「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた重要なパートナーです。今回、この3か国による防衛相会談を初めて実施できたことは、同志国間の重層的な連携の強化に資するものであり、また地域の安定にとっても意義深いと考えています。会談の詳細については、相手国との関係もあることからお答えすることは控えますが、今後も両国と引き続き、緊密に連携しつつ、地域の平和と安定の維持に貢献していきたいと思います。

記者:
もう1問、お尋ねします。9月7日から11日に日米韓の共同演習「フリーダム・エッジ」を行うと発表されました。このタイミングでの演習の意義、また米韓合同軍事演習「乙支フリーダムシールド」は、今月トランプ大統領の指示で短縮して実施される形となりましたが、トランプ氏の指示の「フリーダム・エッジ」の影響があるかもお尋ねします。

大臣:
先ほど統合幕僚監部から公表したとおり、自衛隊は来月7日から11日までの間、日米韓共同訓練「フリーダム・エッジ26」を実施します。本訓練は、令和5年8月の日米韓首脳会談や令和6年6月の日米韓防衛相会談において一致した日米韓3か国による共同訓練であり、昨年9月に続いて、今回が4回目の実施となります。我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、日米韓3か国の連携は、地域の平和と安定にとって不可欠です。アメリカ側や韓国側とは、本訓練の実施に向けて意思疎通を行い、所要の準備を進めているところです。また、御指摘のトランプ大統領の発信については承知をしていますが、その逐一についてコメントすることは差し控えます。いずれにしても、防衛省としては、引き続き、本訓練を通じて日米韓3か国の協力を強化してまいる考えです。

記者:
冒頭発言がありました、護衛艦「ちょうかい」の帰港についてお伺いします。トマホーク発射能力を獲得した「ちょうかい」が帰国することの意義をどう認識して、トマホークの調達を含めて反撃能力、スタンド・オフ防衛能力の実効性確保にどのように取り組んでいくか、対応方針を伺います。

大臣:
防衛省・自衛隊では、平成29年にスタンド・オフ・ミサイルの導入を決定し、令和4年策定の国家防衛戦略でも、重視する7つの能力のうちの1つとしてスタンド・オフ防衛能力を強化することとしています。この度、トマホーク発射能力を獲得した護衛艦「ちょうかい」が帰国したことは、我が国のスタンド・オフ防衛能力の構築の着実な進展を示したものであり、大変意義深いものであると考えています。また、トマホークミサイルについても、令和7年度から納入が開始されています。その上で、トマホークを含むスタンド・オフ防衛能力の強化は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、国民の皆様の命と平和な暮らしを守り抜くために必要なものです。引き続き、国民の皆様の命と平和な暮らしを守り抜くため、防衛力の一層の強化と変革に取り組んでまいります。

記者:
もう一点、冒頭発言にありました、呉地区の複合防衛拠点の契約についてお伺いします。防衛省ではGOCO方式の導入も含め継戦能力の強化に向けて、防衛産業の活性化を図る方針です。改めてこうした観点から、今回、継戦能力強化や防衛産業活性化という観点からどういう意義があると捉えていらっしゃるか、今後どういうふうに活用していきたい考えかお伺いします。

大臣:
まず先ほど、今井日本製鉄社長と、そして今回の契約に携わった担当の方々と、そして、防衛省の担当職員らとともに、今回の契約までの様々ないきさつ、そして双方の苦労、そしてまた今後の道行きについても忌憚なく意見交換をさせていただきました。契約全体の詳細は差し控えますけれども、やはり防衛省が今回、買うという形になったことで、今後の防衛政策の面でも前向きな形につながるような民間企業の誘致などもこれから具体的に進めていくことになるのは冒頭お話をしたとおりです。そして防衛生産・技術基盤を強化するため、装備品の製造・維持整備、研究開発等を担う企業について広く募集を行って、地元経済への貢献を加味しながら、誘致企業を選定していきたいと思います。契約が完了したからといって、日本製鉄の皆さんや、地元の皆さんとこれで終わりではなくて、むしろこれがスタートとしてですね、地域の皆さんとも緊密に連携しながら前向きな話を進めていければというふうに思っています。

記者:
沖縄県知事選に関連して伺います。25日に自民党の鈴木幹事長らと下地幹郎氏が政策協定を結びました。その中で、鈴木氏らは米軍普天間飛行場の返還期日を明らかにするとし、その実現に向けて努力するとしています。さらに下地氏は会見で、返還期日は選挙期間中に示されるべきと話しています。一般的に米軍基地の返還期日については日本政府が米側と協議して合意するものだと思いますが、今回の政策協定を大臣はどのように受け止めていますか。また、防衛省として米軍普天間飛行場の返還はいつになるとお考えでしょうか。

大臣:
これは、この前選挙関連の質問があるときもお答えしたとおり、個別の地方選挙については防衛省としてコメントすることは差し控えます。また、普天間についてですが、普天間飛行場の具体的な返還時期については、完成後における部隊の移転などのプロセスを考慮した上で決定されるものですが、代替施設の提供手続完了後、早期に普天間飛行場の全面返還が実現できるよう、引き続き、アメリカと緊密に連携してまいります。

記者:
AIを使った自律型兵器についてお伺いします。先日、国連と赤十字国際委員会のトップが、自律型兵器の規制に向けた議論を各国に促す共同声明を出しました。防衛省として、自律型兵器の規制の在り方についてどのような認識でしょうか。また、防衛省でもAIの活用の議論が進んでいますが、軍事分野におけるAI利用のリスクについて、どうお考えでしょうか。よろしくお願いします。

大臣:
今、御指摘の自律型致死兵器システム(LAWS)については、特定通常兵器使用禁止制限条約の枠組みの下、その定義・特徴、国際人道法上の課題、規制の在り方等について、国際的な議論が行われていると承知しています。その上で申し上げれば、これは、国会での通常国会、特別国会ですか、あの場でも委員会でも何度かお答えをしていますけれども、防衛省・自衛隊においては、人間が介在しない致死性の兵器は現存せず、また、これに関する研究開発を行う具体的計画はなく、当然のことながら国際法や国内法により使用が認められない装備品の研究開発を行うことはありません。 他方、防衛省としては、隊員の安全確保や負担軽減等を目的としたAIや無人装備について、研究開発を含め、積極的に技術基盤の向上に努めていく必要があると考えています。そのため、ただ今申し上げた目的での無人装備等の利活用への影響等の観点から、防衛省としても、LAWSに関する国際的な議論に参画していきたいと考えています。 また、AIの活用にあたっては、誤りが含まれ得ることによる信頼性の懸念や、学習データの偏りなどによりバイアスが生じるリスク、国際人道法をはじめとする法的適合性や、人間による適切な関与の在り方、こういった論点が存在するものと認識しています。防衛省としては、こうした観点もしっかりと踏まえ、引き続き、指揮統制などの分野におけるAIの活用を進めていきたいと思っています。

以上