防衛大臣記者会見

日時
令和8年7月3日(金)09:26~09:43
場所
参議院別館3階防衛省政府控室
備考
小泉防衛大臣閣議後会見

動画版

1 発表事項

今日は、冒頭は1件あります。7月の6日から9日までの日程で、NATOアンカラ首脳会合の関連行事に出席するため、トルコを訪問いたします。NATO首脳会合は、今回で36回目を迎え、NATO加盟32か国の首脳が集まり、NATO最高レベルの意思決定が行われます。また、首脳会合に関連する様々な行事も開催され、私は日本の防衛大臣として初めて、防衛産業フォーラムと国防相級ワーキング・ディナーに出席します。今回は、NATOのルッテ事務総長から、NATOのインド太平洋地域のパートナーである日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、いわゆるIP4の国防大臣に対して、初めて関連行事への招待がありました。訪問中は、関連行事への出席に加え、開催国であるトルコをはじめ、イギリスなどの国防大臣との会談についても調整を進めています。今回の訪問を通じて、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は一体不可分との認識を改めて各国と共有するとともに、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、日本とNATO、そしてIP4とNATOの強い結束を確認したいと考えています。冒頭は以上です。

2 質疑応答

記者:
GCAPについてお尋ねします。イギリスのスターマー首相は今後4年間のDIP(防衛投資計画)を発表しまして、日英伊3か国で進めるGCAPに86億ポンド、日本円でおよそ1兆8,500億円を拠出するとしています。これまでイギリスの予算計画の遅れで、GCAPの契約にも影響が出ていましたが、長期契約が結べる見通しとなりました。この計画内容の受け止めと、日本政府がかねてから目指す2035年の配備への影響について大臣の現状の考えを伺います。

大臣:
まず、6月30日にイギリス政府が発表した国防投資計画において、グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)に関して、今後4年間で86億ポンドを投資すること、これを歓迎いたします。その上で、イギリスの国防投資計画と、お尋ねの契約との関係については、契約交渉に関する内容であり、関係国との関係もあることから、お答えを差し控えますが、日英伊3か国の政府間機関であるGIGOとそれに対応する民間の組織であるエッジウィングとの間で結ばれている契約の次の契約については、現在、最終調整中であると承知しています。防衛省としては、2035年の初号機配備に向け、引き続き、日英伊3か国の官民で連携しながら、次期戦闘機の効率的な開発に取り組んでまいります。

記者:
もう1問、関連でお尋ねします。カナダのマクギンティ国防相は、6月25日に日本記者クラブで記者会見を開き、その前日24日の日・カナダ防衛相会談で小泉大臣にGCAPへの関心を伝えたと明らかにしました。会見ではその上で、信頼できて価値観を共有できるパートナーと組むことに関心があるとして、将来的な参加に意欲を示しています。GCAPにカナダを参加させるかどうか。過去の戦闘機開発の事例を振り返っても共同開発なのか、あるいはオブザーバーなのか、参加方法は様々あるかと思いますが、現状の考えを伺います。

大臣:
マクギンティ大臣とは、率直に意見交換ができる信頼関係も築いておりますが、イギリス・イタリアとの次期戦闘機の共同開発へのカナダの参画については、関係国との関係もありますので、その検討状況を含め、申し上げられないことは御理解いただきたいと思います。幅広く意見交換をさせていただきました。その上で、一般論として申し上げれば、GCAPは日英伊3か国にとっての同盟国や同志国との協力を念頭に置いて進めてきたものであり、第三国との協力についても、GCAPがより良いプログラムとなるように、イギリス・イタリアと連携して取り組んでまいりたいと思います。

記者:
ドローンについてお尋ねします。6月末で募集が終了した「迎撃ドローン早期取得プログラム」について、どれぐらいの数の応募が集まり、今後、どのように実用化していくか見通しを教えてください。また、北朝鮮も攻撃型などのドローン開発を進めています。こうした隣国のドローン開発の状況について、大臣としてどのように受け止め、今後どのように対応しようとされているのか、お考えをお聞かせください。

大臣:
これは、私も国会で述べているとおり、三文書改定に向けた大きなテーマの一つはスピードです。こうした考え方の下での試験的な取組として、6月の5日以降、迎撃ドローンを対象に、取得まで3か月程度という短い期間を設定し、企業にそれを実現できる提案を広く求める「迎撃ドローン早期取得プログラム」を実施しています。これは6月の29日に提出期限を迎え、38社の企業から御提案をいただきました。短期間にもかかわらず、多くの御提案をいただいたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。そして、御提案をいただいた提案内容については、既に装備庁から陸・海・空の幕僚監部に提供しており、今後、各自衛隊において、提案内容とそれぞれのニーズを踏まえ、性能の実証に向けた公募を検討いたします。海上自衛隊からは、既に6月30日付で、実証試験に向けた公募が開始をされているところです。今後、実証を行う機種の選定は7月上旬、実証試験の終了は8月上旬を見込んでおり、その後の量産調達については、実証試験の結果を踏まえ検討していきます。また、お尋ねの北朝鮮については、核・ミサイル開発を継続するだけでなく、無人機の開発を含め、通常戦力の増強にも力を入れています。こうした北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全保障にとって、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威であります。昨日は、ウクライナのシビハ外務大臣とも北朝鮮のロシアによるウクライナへの派兵、そして、この新たな戦い方を北朝鮮が学んでいることが、今後、両国にとって、また我々の地域にとってもどのような新たな情勢をもたらすか、こういったことについてもお互いの情勢認識などについても話し合ったところであります。今後、このような無人機の大量運用を含む新しい戦い方が世界で現実にみられる中で、我が国としても新しい守り方として比較的低コストの迎撃手段も活用しながら、空からの脅威に効率的に対処できるようにすることが必要だと考えていますので、迎撃ドローンも、そのための有力な選択肢の一つと考えています。引き続き、今後の防衛力の内容については、本年中の三文書の改定に向け、具体的かつ現実的な議論を積み上げていきたいと思います。

記者:
2点お伺いさせてください。まず大臣は先日の記者会見で、インドネシアとの間で7月にもワーキンググループを開催し、機微な軍事情報の共有の在り方などについて議論すると説明しておられました。ワーキンググループの進捗状況と今後の対応方針をお伺いします。また、インドネシアに「あさぎり」型護衛艦を移転する意義について、認識を改めてお伺いします。

大臣:
「あさぎり」型護衛艦等の移転を含む防衛装備・技術協力については、5月の防衛相会談で設置したワーキンググループで議論を進めています。そして、先日の記者会見でも申し上げたとおり、現時点では今月にもワーキンググループを開催し、「あさぎり」型護衛艦等の移転の具体化や機微な軍事情報の共有の在り方など、幅広く議論することを予定しています。なお、「あさぎり」型護衛艦も含め、一般に中古装備品の移転は、一から製造するよりも迅速な移転が可能という点からも、地域全体における抑止力・対処力をスピード感を持って向上させるものであり、また、共通の装備品を運用するという観点からも、相互運用性及び互換性の向上に資するものだと考えています。

記者:
もう1点、別件で恐縮ですが、防衛省は先週、安居院報道官のXのアカウントを開設されました。報道官Xを活用した発信の意義と狙いをお伺いします。また、防衛省・自衛隊全体でも、認知戦への対応を含めた対外発信を強化しているところかと思いますが、こうした取組の狙いと、今後の対応方針をお伺いします。

大臣:
安居院報道官のXアカウントは、SNSが社会の中で大きな役割を果たすようになったことを踏まえ、防衛省・自衛隊の取組について、安居院報道官ならではの目線で、より分かりやすさやオリジナリティーを意識した情報発信を行っていくために開設したものであります。防衛省・自衛隊として、我が国を取り巻く安全保障環境や、自衛隊の役割・活動について正確にお伝えすることは、重要な責務です。SNSが社会に浸透し、言論空間の中でも重要な存在になっている中で、自衛隊の活動や制度に関する誤った情報を放置し、黙っているだけでは、嘘も本当になりかねない危険性があります。事実と異なる情報や誤解が広がることは、自衛隊に対する国民の皆様の理解や信頼、さらには自衛隊の人材確保にも影響を及ぼしかねません。また、平素より認知戦が生起していることを踏まえれば、国内のみならず、国際社会に対しても、事実や我が国としての考え方を分かりやすく示し、伝えるべきことはしっかりと伝えるなど、丁寧かつタイムリーな情報発信を積極的に行うことが重要だと考えています。今後は、今の新たな情報環境・安全保障環境などの変化も踏まえて、記者会見、SNSなど、様々な機会を通じて、分かりやすい、そして正確な情報発信に努めたいと思いますし、また、引き続き、この面でも改善や更なる取組が必要であれば、そこはしっかりと取り組んでいきたいと思います。安居院さんには期待をしています。

記者:
自衛隊による県立高校での募集活動で、隊員が生徒とLINE交換をして、体験入隊の説明会の案内を個別に案内しているとされる事例について伺います。この事例を、昨日2日の沖縄県議会一般質問で明らかになりました。沖縄県教育委員会も把握しているということで、県教委は、外部機関と生徒が個別で連絡を取ることがないよう、学校側に指導するということです。防衛省として、今回の事案を把握していますでしょうか。また、生徒とLINE交換をしてのやり取りは、組織として推奨しているものでしょうか。LINE交換をしてのやり取りは適切か不適切か、大臣の見解をお願いします。

大臣:
昨日の沖縄県議会で、沖縄県内における自衛隊の募集活動について御質問があったことは承知しています。その上で、自衛隊地方協力本部では、募集や広報活動を行う際に、担当者と募集対象者が連絡を取る手段の一つとして、LINEを利用する場合があるものと承知をしています。LINEは、多くの人が連絡手段として利用している一般的なアプリであり、相手の同意を得た上で、連絡先を交換していることから、連絡手段として利用することに問題があるとは考えておりません。

記者:
自衛隊の輸送能力強化に関連して伺います。北海道では、JR北海道が単独では維持困難とする赤字ローカル線が8区間、今あります。一部自治体からは、この区間を維持することは国防の面からも重要だとして、路線維持に当たって国の関与を求める声も出ています。防衛省として、この赤字8区間を安全保障や有事の際の鉄道輸送の観点から、どのように位置付けていますでしょうか。また、現在進められている路線維持に向けた協議に防衛省として参加したり、何らかの形で関与したりする考えはありますでしょうか。よろしくお願いします。

大臣:
まず、有事に際しては、全国各地に配備されている部隊や装備品・補給品等を必要な地域に迅速に機動・展開できるようにしておくことが重要です。その際には、自衛隊の輸送力だけでなく、民間輸送力も活用することを想定しています。その中で、鉄道輸送は北海道から九州まで、多種多様な装備品や補給品等を一度に大量に運ぶことができるため、自衛隊にとって重要な輸送手段の一つと考えています。このため、防衛省としては、今後とも国交省や鉄道会社としっかり連携し、鉄道輸送を効果的に活用できるように取り組んでいきたいと考えています。

記者:
2点お尋ねします。1点目は、大臣は1日、京都で開かれたスタートアップカンファレンス「IVS2026」において、防衛産業に携わるスタートアップ企業と意見交換をされました。参加企業から具体的な課題や要望が寄せられたということですが、今後対応されたいと思われた点がございましたら、お聞かせ下さい。

大臣:
今月1日に、防衛大臣として初めて、日本最大級のスタートアップイベント「IVS2026」に参加し、スタートアップ企業の皆様から、防衛分野への参入や事業展開に当たっての様々な課題や要望について率直な御意見をいただきました。スタートアップ企業が有する優れた技術や製品を防衛装備品に活用することは、新しい戦い方に対応するための技術的優越の確保や、我が国の防衛生産・技術基盤の維持・強化といった観点からも極めて重要ですが、これまでもスタートアップによる防衛分野への参入に当たっては、レピュテーションリスクや資金調達、契約制度等に関する障壁があるとの声をいただいています。このような問題に対して、例えば、本年2月に省内でのスタートアップの伴走支援体制の立ち上げも含むファストパス調達制度を開始し、5月には、日本政策投資銀行と調整し、国際条約で禁止される非人道的兵器を除き、武器や武器関連製品の事業に対する投資の制限が撤廃されるなど、我が国のスタートアップによる防衛分野への参入や、防衛産業の強化を後押しする取組を進めてきました。防衛産業は、国民の命と平和な暮らしを守るという極めて高い公共性を有する産業であり、先端技術を通じて、民生分野にも波及し得る重要な産業です。今回いただいた御意見も真摯に受け止め、必要な見直しや改善を行うとともに、引き続き、こうした正しい理解を社会全体に広げ、スタートアップの皆様が安心して防衛分野に挑戦する環境をつくる取組を続けてまいります。なお、意見交換の中では、例えば、このDBJの動きですね、こういったことについても、早速前向きな動きが、具体的なものが出てきたと、こういったことで歓迎の声も上がりました。もちろん、その他様々な課題も我々防衛省が柔軟に対応しなければいけないような、そこについても、かなり具体的な話をいただきましたので、個別に。そこについてもきめ細かく、このファストパス調達の中の伴走制度の活用も含めてですね、しっかり向き合って取り組んでいければと思っています。

記者:
もう1点お尋ねします。防衛省市ヶ谷庁舎では、今月からLUUP社の電動キックボードと電動アシスト自転車を導入しました。敷地内での位置情報がメーカーなどに知られるのではないかというセキュリティ上の懸念も広がっています。今回これらを導入した背景と、LUUP社を選定した理由、またセキュリティ上の懸念に対するお考えをお伺いしたいと思います。

大臣:
まず、防衛省では市ヶ谷特有の広さ、これは東京ドーム約5個分だと聞いていますけれども、この市ヶ谷特有の広さや国会や官邸から離れている立地などに伴う職員の負担があります。職員の負担を軽減し、業務効率を上げるためにも、今、様々な取組を試行中です。今回のモビリティの導入はその一環で、導入に当たっては、今回の業務を適切に履行できる事業者であることを確認した上で、関係法令及び調達手続きに基づき、契約したと承知をしています。防衛省においては、導入する物品や役務の特性や必要性に応じて、情報保全のための措置を講じています。電動キックボードのようなサービスでは、位置情報等のデータを取り扱いますが、こうしたデータだけで、情報保全上の問題が生ずるとは考えておりません。加えて、交通安全の確保についても、電動モビリティの導入に当たり、職員に対して、交通ルールの周知徹底を改めて図っていますが、詳細につきましては、事務方にお尋ねいただければと思います。

以上