防衛大臣記者会見

日時
令和8年6月19日(金)08:52~09:09
場所
参議院別館3階防衛省政府控室
備考
小泉防衛大臣閣議後会見

動画版

1 発表事項

冒頭1件、報告させていただきます。我が国が自衛官を派遣している、国際連合南スーダン共和国ミッション(UNMISS)につきまして、本日の閣議におきまして、国連安保理決議に準じて派遣期間を1年間延長することが決定されました。2011年に司令部要員の派遣を開始して以降、これまで実に14年以上にわたり自衛官の派遣を継続してきており、実施計画の変更は今回で23回目となります。また、UNMISSについては今回、派遣期間を延長する司令部要員のほか、本年5月からは、自衛官が参謀長を務めており、我が国として人的貢献を継続しています。こうした人的貢献は、我が国が国連による国際平和のための努力に主導的な貢献をすることにつながり、また、我が国にとって望ましい安全保障環境を構築する上でも意義が大きいと考えています。防衛省・自衛隊としては、引き続き、自衛官の派遣などを通じて、国際社会の平和と安定に貢献してまいります。冒頭は以上です。

2 質疑応答

記者:
防衛省の情報発信の在り方について伺います。この数日ですね、防衛省の公式Xでは自衛隊が参加する予定だった、一部の大学へのイベント中止の一連の投稿に関してですね、極めて遺憾、看過できないなどの見解を投稿されています。また、先日公布された予備自衛官等の兼業特例法に関する一部指摘について、事実に反するなどとの発信も続けておられます。これまで防衛省や自衛隊がこれらの言葉を対外的に利用することは異例とみられていますが、まずそれぞれの受けとめとですね、あと、大臣就任以降、発信力の強化をかなり訴えておられますけども、こうした発信の狙いを伺わせてください。その上で、大臣が就任する以前の防衛省・自衛隊の情報発信の在り方が不十分だったと考えているのか、見解を伺います。

大臣:
まず、防衛省・自衛隊として、国民の皆様に対し、我が国を取り巻く安全保障環境や、自衛隊の役割・活動について正確にお伝えすることは、極めて重要な責務であると考えています。現在、我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさと複雑さを増しています。そして、SNSが社会に浸透し、言論空間の中でも重要な存在になっている中で、自衛隊の活動や制度に関する誤った情報を放置し、黙っているだけでは、嘘も本当になりかねない危険性があります。事実と異なる情報や誤解が広がることは、自衛隊に対する国民の皆様の理解や信頼、さらには自衛隊の人材確保にも影響を及ぼしかねません。このため、防衛省・自衛隊としては、こうした点について、必要な場合には事実関係や考え方を明確に示し、主張すべきものは主張することも含め、丁寧かつ適時に発信していくことが重要であると考えています。この観点から、御指摘のような表現についても、 個別の案件に応じて、事実関係や影響の大きさを踏まえ、適切に判断したものです。また、こうした取組については、これまでの情報発信が不十分であったというよりも、現在の安全保障環境や情報環境の変化も踏まえて、個別の案件に応じて必要な情報発信を行っているということであって、今後とも、私だけではなくて、安居院報道官も、各幕僚長・統幕長、こういった霞が関で最も記者会見を開催をしている省でありますから、会見やSNS等あらゆる機会を通じて、チーム一丸となって防衛省・自衛隊そして政務、正確で分かりやすい情報発信に努めていきたいと思います。加えてこの際、関連事項について付け加えますと、国会審議でも問われました「まるわかり防衛白書」の小学校への配布については、2024年版は9つの都道府県の教育委員会から協力が得られ、防衛省からこの9つの都道府県内の各小学校に配布しました。他方で、他の38の都道府県については配布に至りませんでした。この理由は様々ですが、例えば、先ほど述べた9都道府県の教育委員会のような協力が得られず、防衛省が都道府県内の個々の市町村の教育委員会と直接調整をしてもらいたいとの回答を受けた結果、調整先の数が大きく増加することとなって、これに対応するマンパワーがなかったことから配布を断念したという例が多くありました。将来を担う若い世代に、我が国の防衛についての理解を深めていただくことは極めて重要であり、今後の配布に当たっては、文科省とも協力の上、各都道府県の教育委員会からより多くの協力を得て、小学校だけではなく中学校・高校にも配布を拡大していきたいと考えています。また、先ほど発信についてありましたけれども、法案を作成してくれた防衛省の職員とも、昨日、お礼がてら会いましたけれども、やはり法案の正確な理解が広がる、そのための防衛省挙げての努力というのは、大変な法案作成作業に当った職員のモチベーションにも関わりますので、そういった発信もさせていただいています。これからも、そういった方針で発信を強化していければと思います。

記者:
17日に開催された、退職自衛隊員・家族に対する支援の強化に関する検討委員会について伺います。大臣は就任時から退職自衛官の就農を後押ししたいという発言があり、1月には農業自衛隊の活動の現地視察もされましたが、検討委員会立ち上げに当たり、改めて意気込みをお聞かせください。また、検討委員会では農業分野の議論についてどのように行っていくお考えでしょうか。

大臣:
ありがとうございます。自衛隊員という職業を選択し続けていただくためには、現職の自衛隊員の処遇改善に加え、退職した自衛隊員や御家族の皆様も誇りを持って、胸を張って人生を全うできる環境を構築することが必要です。こうした観点から、退職自衛隊員・家族支援の強化に関する検討委員会を立ち上げました。この委員会で関連する具体的な施策等について議論し、スピード感を持って検討していきたいと思っています。今、御指摘の退職自衛官の就農については、昨年6月に農水省、防衛省及び農林水産業の関連団体との間で締結した、退職自衛官の更なる活用に向けた申合せも踏まえ、農業インターンシップなどの取組を一層促進するとともに、全国の農業大学校における研修や、就業先へのマッチング支援など、退職予定自衛官の就農を支援・促進しています。こうした取組により、令和元年度以降の7年間で約130名が農業へ再就職するなど、多くの自衛官がセカンドキャリアとして農業を志しているところです。また、御指摘の農業自衛隊は、現役自衛官や民間の方々が、日本を守るという自衛隊の使命と、食を守るという農業の重要性の観点を結びつけるべく、実際に農業に取り組むなどの活動を行っています。私自身も、この団体で活動する自衛官や農業関係者との間で、自衛官がセカンドキャリアとして就農することの意義等について意見交換を行い、農業は自衛隊で培った知識・技能・経験を活かすことのできる分野であると実感しました。今後も、関係機関等と連携した取組を強化し、就農を希望する退職予定自衛官への一層の支援と、農林水産業の担い手確保に寄与していく考えです。このような再就職支援の取組は、若年定年制の下にある自衛官が将来に不安を抱くことなく職務にまい進するために極めて重要であり、検討委員会でも具体的な施策について議論していきたいと思っています。

記者:
自衛隊が参加するですね、他国との合同訓練についてお伺いしたいと思います。明日から日米合同訓練の「レゾリュート・ドラゴン」、来週火曜からは米軍主催の多国間軍事演習の「ヴァリアント・シールド」と一連の訓練が始まります。そのうち「ヴァリアント・シールド」では米軍のミサイル装置タイフォンが参加する予定です。タイフォンはこの巡航ミサイル、トマホークを発射できる装置とされています。このミサイル装置の展開訓練をですね、九州で実施することの安全保障上の意義について大臣のお考えをまずお聞かせください。それからもう1点、タイフォンは昨年の日米合同訓練「レゾリュート・ドラゴン」にも参加してますけれども、撤収が当初の予定よりも2か月ほどですね、遅れて11月になっていました。今回は10月中旬に鹿屋から撤収するという公表がされてますけれども、その後、国外に持ち帰るかどうかといった、見通しが立っていることがあれば教えてください。

大臣:
今月22日から開始する「ヴァリアント・シールド2026」に参加するタイフォンは、高い機動性を有するアメリカ軍のアセットです。こうしたアセットを自衛隊施設に一時展開させ、共同訓練を積み重ねることは、アメリカ軍の機動展開能力を向上させるとともに、日米の即応性や相互運用性を向上させるものと考えています。今般の取組はあくまで訓練参加に伴う一時的な展開です。このため、本年9月に実施される日米共同訓練「オリエント・シールド」終了後に撤収のための作業を経て、10月中旬をめどに鹿屋航空基地から撤収し、在日米軍施設区域に保管されますが、日本への恒久的な配備ではないとの説明をアメリカ側から受けています。防衛省・自衛隊としては、このような同盟の抑止力・対処力を強化するための取組を不断に検討し、引き続き、日米で連携して取り組んでまいります。なお、この機会に「レゾリュート・ドラゴン26」に係る宮古島市民の皆様への御説明に関して申し上げます。先日の会見でもお答えをしたとおり、宮古島市の住民の代表である宮古島市長から、安全保障環境の変化について、直接市民に情報提供する機会を設けてほしいという御要望をいただいておりました。これを真摯に受け止め、防衛省として検討させていただいた結果、7月19日に宮古島市において、第32回防衛セミナーを開催することとしました。このセミナーにおいて、市長から御要望のあった安全保障環境の変化等をしっかり御説明し、宮古島市民の皆様に御理解を深めていただく機会としたいと考えております。防衛省・自衛隊の活動に際しては、地元の皆様に対する丁寧な説明や適切な情報提供にしっかりと努めることは大変重要であると考えており、引き続き、適切に対応してまいります。この後、沖縄防衛局ホームページにおいても、本セミナーの開催について公表する予定です。

記者:
沖縄防衛局が17日に名護市辺野古東側の大浦湾の新たな区域で、埋立て土砂の投入を始めた件について伺います。大浦湾側で新たな区域の埋立てに着手するのは昨年11月以来でした。玉城デニー知事は、政府による工事強行は県民の理解が得られた状況ではないとし、改めて反対の姿勢を示しました。この時期に埋立てをした理由についてお聞かせください。

大臣:
大浦湾側の埋立区域の一部について、6月17日、所要の準備が整ったことから、埋立工事に着手したものと承知しています。防衛省としては、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、辺野古移設に向けた工事を着実に進めてまいります。

記者:
アメリカのトランプ大統領とイランのペジシュキアン大統領が、日本時間の18日に戦闘終結に向けた覚書に署名しました。このことへの大臣の受け止めと、また、ホルムズ海峡への自衛隊派遣について現在検討していることがあれば伺いたいと思います。よろしくお願いします。

大臣:
日本として、今回の覚書の署名を事態の収束に向けた大きな一歩として歓迎します。今後、アメリカ・イランの合意とそれに伴う実際の情勢をしっかりと見極めたい考えですが、いずれにせよ、自衛隊の派遣については何ら決まっておらず、同盟国であるアメリカや同志国・関係国ともよく意思疎通をしながら、国際法及び国内法の範囲内で必要な対応を検討してまいります。

記者:
今月12日のインドネシア訪問に関連して伺います。大臣は、インドネシアのプラボウォ大統領への表敬の中で、戦前の戦艦である「三笠」の模型を贈呈されておりました。「三笠」を選んだ理由をお聞かせください。

大臣:
先週12日にインドネシアを訪問して、プラボウォ大統領を表敬し、シャフリィ国防大臣も交えて意見交換を行いました。その表敬の際に、戦艦「三笠」の模型をプラボウォ大統領に贈呈しました。ギフトの選定に当たっては、相手側の関心等に沿ったものを選定することが重要と考えております。今回の戦艦「三笠」の模型についてですが、プラボウォ大統領は御自身の著書「軍事リーダーシップ」において、尊敬する軍人及びリーダーの一人として東郷平八郎を挙げ、日本海海戦において、ヨーロッパの大国を軍事的に破った最初のアジアの国へと導いたとして、その戦略的能力を賞賛されております。また、日本海海戦にて東郷平八郎が連合艦隊司令長官として乗艦した戦艦「三笠」は、現存する世界最古の鋼鉄戦艦でもあり、日本遺産の構成文化財にも認定されております。このような背景を踏まえ、戦艦「三笠」の模型の贈呈について、インドネシア側に事前に確認し、インドネシア側の了解を得たことから、今般贈呈したところです。実際に、プラボウォ大統領は戦艦「三笠」の模型を喜んでくださり、またプラボウォ大統領は、実はインドネシアの留学生を防衛大学校に送るべきだと、これを主導された方で、当日、防衛大学校のインドネシア側の卒業生たちを私邸に招いてくれて、引き合わせてくれました。この戦艦「三笠」を贈呈した際に、プラボウォ大統領の脇に防衛大学校留学生だった現職のインドネシアの農業副大臣がいらっしゃって、その方も、この模型を見て、戦艦「三笠」を見に三笠公園行ったことあると、非常に皆さん喜んでいただきました。こういった背景があることも、よく御理解をいただきたいというふうに思います。

記者:
先ほど私の質問の関連ですけれども、一部大学での学園祭の出店が中止になったことについては、自衛隊、当事者間ではなく、当事者外からの指摘があったことも要因とした上で、防衛省は看過できないとの見解をされています。大臣は先陣を切って自衛隊への理解を深めるとしていますが、現場で実際にはこういったことが起きていることについての受け止めをお聞かせください。火曜日にもちょっと似たような質問しましたけれども、現地で自衛隊への理解というのは十分に進んでいるのかという点、改めてお聞かせください。

大臣:
まず、自衛官に対する国民の皆さんの信頼はかつてないほど高いと理解をしています。これは様々なアンケートを見ても、9割以上の方々が信頼をされていると、こんな組織は他にないと思います。一方で、この自衛官の現状、どのような厳しい任務などに日々緊張感を持って向き合っているのか、そこの現実というのは、もちろん我々、防衛省も安全保障に関するものというのは機微な情報も含みますから、情報発信には慎重さと、そしてまた適切な対応が必要なんですけれども、やはりこの発信については、我々自身ももっと強化していく必要があるという環境に今なっているということは事実だと思っています。なので、より自衛隊に対する正確な理解が広まるようなそういう広報、そしてまた情報発信、そしてまた政策、全てできることはやっていくことで、結果として、自衛隊の皆さんと国民の皆さんとの間の強固な信頼が更に強固になるように広げていければというふうに思っています。また御家族の皆さんに、言われなき中傷や、また偏見、こういったことが正されるように、私としても全力を尽くして、家族や隊員の皆さん、その子供たちも含めて守り抜いていきたいというふうに思っています。

以上