防衛大臣臨時記者会見

日時
令和8年5月31日(日)11:28~11:39(現地時間)
場所
シャングリラホテル
備考
日星、日比防衛相会談及びシャングリラ会合スピーチ後の小泉防衛大臣臨時会見

動画版

1 発表事項

シャングリラ・ダイアローグ会合も最終日となりましたが、本日はまず、シンガポールのチャン国防大臣との間で、昨年11月以来の2度目となる日・シンガポール防衛大臣会談を行いました。会談に先立ちまして、昨日の大統領主催夕食会後に、チャン大臣からシンガポールの市内を御案内をいただきました。チャン大臣の御友人を御紹介をしていただいたり、個人的な信頼関係をより一層強固なものとする、非常に濃密な時間を過ごすことができました。会談では、ハイレベル交流を中心とした人的交流や、艦艇の寄港等の部隊間交流が活発に行われていることを歓迎し、今後も継続的に実施していくことで一致しました。加えまして、今回新たに、私とチャン大臣の直接の監督の下、両国の防衛当局間のワーキンググループを設置して、海・空領域やサイバー・宇宙領域、防衛産業・技術基盤、情報共有などの協力を迅速に進めることとしました。この進捗を確認し、後押しするために、私とチャン大臣が定期的に会談を行うこととしました。シンガポールはシャングリラ会合のホスト国として長年、地域の平和と安定に大きく貢献するとともに、ASEANの対日調整国であり、我が国にとって重要な戦略的パートナーです。私とチャン大臣のリーダーシップで、シンガポールとの防衛関係を一層強化していく考えです。続いてフィリピンのテオドロ国防大臣との間で、今月2度目となる日本・フィリピン防衛大臣会談を実施しました。前回の防衛大臣会談では、政策、運用、装備部門を含むワーキンググループを設置し、包括的な装備協力を実現するため、精力的に議論を進めてまいりました。今回の会談では、ワーキンググループでの議論を踏まえ、テオドロ大臣との間で「あぶくま」型護衛艦については、除籍後速やかに移転をする、そして、TC-90については、除籍する1機を2027年度中に移転する方向で議論を進めることで大筋合意しました。また、これを実現するため、フィリピン海軍への教育訓練、維持整備、移転後の装備品の適切な管理のあり方を含む詳細について、ワーキンググループにおいて議論を進め、早期に成果が得られるよう、私とテオドロ大臣がリーダーシップを発揮していくことで一致しました。そして日・フィリピンRAAを適用したアメリカ・フィリピン主催の多国間共同訓練「バリカタン26」への参加や、本年1月のACSAの署名、そして、秘密軍事情報保護協定GSOMIAの正式交渉開始など、制度面と運用面の両輪で防衛協力が大きく進展していることを歓迎し、防衛面での連携を一層強化していくことで一致しました。また本日、第5セッションにおいてスピーチを行いました。非常に多くの質問もいただき、「自由で開かれたインド太平洋」の重要性、我が国の防衛力強化、問題や摩擦があるからこそ、対話すべきこと、防衛装備移転の見直しを含む我が国の防衛政策の考え方、地域の抑止力・対処力向上のため装備協力をはじめ、同盟国・同志国との連携を強化していく方針などを明確に説明することができたと思います。今回のシンガポール出張では、本日会談を行ったシンガポール、フィリピンとの会談のほか、アメリカ、イギリス、韓国、ニュージーランド、ベトナムとの会談、初めて行われた、日本・オーストラリア・ニュージーランドの3か国の会談を実施することができました。また、レセプションや食事会の場を含め、同盟国・同志国の国防大臣等と率直な意見交換を行う機会を多く持つことができました。私から、我が国の防衛政策について、しっかりと説明するとともに、カウンターパートと個人的信頼関係を一層強化する機会となったことは、大変有益だったと考えています。今回の会合での様々な意見交換を通し、各国のカウンターパートからは、「自由で開かれたインド太平洋」の重要性への共感、我が国の防衛政策についての理解が示され、日本に対し、地域の平和と安定により、一層貢献してほしいとの期待を感じました。先ほどのスピーチでも申し上げたように、我が国は信頼、透明性、そして対話を重んじながら、同盟国・同志国との連携をより一層強化してまいります。また、頼りになるパートナーとして装備協力を含め、二国間・多国間の枠組みを活用し、各国の自主的な努力を結びつけ、地域の平和と安定に一層の貢献をしていく決意です。冒頭、私からは以上です。

2 質疑応答

記者:
フィリピンのテオドロ国防大臣との間で「あぶくま」型護衛艦やTC-90練習機、88式対艦誘導の輸出を含む、防衛装備協力についてどのような議論をしたのか、今月上旬の会談以降の進展があったのか伺います。また、シンガポールとの会談では装備品に関する議論はありましたでしょうか。あわせて防衛装備移転三原則や5類型撤廃後、初めての国際会議出席となりました。日本の装備品や同志国連携に対する各国からの関心や期待を大臣はどのように感じたか教えてください。

大臣:
まず、フィリピンにつきましては今、冒頭申し上げたとおり、ゴールデンウィークにお会いをしたところから更に一歩進んで、今回「あぶくま」型の護衛艦とTC-90について大筋合意、ここまで加速度的にスピードを上げて、議論を積み上げてくることができたのは、日本側の萬浪さんをトップとするチーム、そしてフィリピン側でも、カウンターパートがトップで、この事務方の、このスピードにしっかりとあわせて、様々な調整をやってくれたことが、ここまでたどり着いた要因だと思います。私とテオドロ大臣の個人的な信頼関係はもちろんのこと、日本の防衛省とフィリピンの当局との、この人間関係も大きく寄与していると感じています。そして、テオドロ大臣とは、関心を示している地対艦ミサイルを含む他の装備品の移転可能性についても、議論を進めていくことを、確認をしています。またシンガポールのチャン国防大臣との間でも、今回の日本の防衛装備移転制度の改正を踏まえて、防衛装備・技術協力を推進していくということで一致をしたことから、今回、私とチャン大臣の下で、新たに、この枠組みを作ろうということになったわけです。そして、今回のシャングリラ会合で、これは正式な会談ではないのですが、例えば、初日の夜の夕食会、あの会場で、これは先方のことがあるから、国名は言いませんけれども、私が来るということで、そして防衛装備移転の政策を日本が変えたということを、把握をしている上で、具体的にレターを持参をしてきて、防衛装備品についての関心があると、ついては、この手紙を書いてきたから、読んだ上で対応を考えてもらいたいと、そういったやり取りがあったことも事実です。ですので、改めてですね、各国とのこの防衛協力がより装備面でも具体化をしていく、この確信を持つことができた、そんなシャングリラ会合にもなりました。

記者:
スピーチでも大臣触れられていましたけれども、今回、中国側は董軍国防部長が出席しなかったということで、昨年11月以降、対話の機会がない状態が続いています。レーダー照射などの事案も発生していますが、中国の防衛当局との対話を、今後どのような形で追求していくのか。また、その重要性についての大臣の考えをお聞かせください。

大臣:
これは昨年11月の私と董軍国防部長の間で確認をしたとおり、日中間では、具体的かつ困難な懸案から目を背けず、むしろ懸案があるからこそ、率直な議論と意思疎通を粘り強く重ねることが必要だと考えています。今回、董軍国防部長が欠席となったのは残念でしたが、日本は常に対話に対して、オープンであるとのメッセージを、今日も私の参加をしたセッションから送り続けていますし、結果として今日、中国の出席者から直接質問を受け、そしてそれに対して、董軍国防部長に対して、私のメッセージを伝えて欲しいと、そういうふうなやり取りを、この公開の場ですることができたことも、私はシャングリラ会合に出席をした一つの意義になったのではないかなと思います。日本は引き続き、常に対話に対してオープンです。防衛省としては、引き続き、海空連絡メカニズムを初め、日中間の様々なチャンネルを活用しつつ、あらゆる機会を捉え、中国側との間でしっかりと意思疎通をしていきたいと思います。

記者:
大臣、スピーチお疲れ様でした。スピーチ後の質疑でですね、中国側から出た質問についてお伺いします。質問ではですね、新軍国主義に言及した上で、第二次世界大戦をめぐる歴史認識について問うものでした。大臣の受け止めとともにですね、今ほどおっしゃいましたけれど、今後、中国とどのように向き合っていく考えか、改めて所感をお伺いします。

大臣:
中国側の日本に対して言いたいことがあるならば、ぜひ会談を行いたいですね。その場で、言いたいことを言っていただきたいと、そういった違いがあるからこそ対話をして、そして、これからもお互いの誤解がないようにしっかりとコミュニケーションを図っていく、意思疎通を重ねていく、その重要性を、私は常に申し上げています。今日も、そのことを改めて世界中に共有をする、日本が常に対話にオープンであることを強調した上で、かつ出席をしたオランダ側もですね、中国とはいろんな課題を抱えているのも、各国明らかに、多くの皆さんに知られたところではないでしょうか。ですので、こういった同志国等も含めて、引き続き、我々民主主義国は、対話に常にオープンなのだと、こういったことも日本の姿勢に、ともに対話を軸に、透明性の高い防衛政策を進めていく、そんな同志国も新たに広がっているということも感じることができた有意義なセッションだったと思います。

以上