動画版①
動画版②
まず、掃海艇「うくしま」の火災について申し上げます。おととい、10日の日でありますが、福岡県の宗像市の大島沖北方海上を訓練のために航行していた海上自衛隊の掃海艇「うくしま」から火災が発生をいたしました。懸命の消火活動にもかかわらず、残念ながら、当該の掃海艇は昨日、沈没をいたしました。地元の方々をはじめ、国民の皆様方には大変な御心配をおかけすることとなりまして、このような事態が発生したことにつきまして、防衛大臣として、重く受け止めている次第でございます。現在も掃海艇の乗組員の方1名が行方不明となっておりまして、目下、海上保安庁とも連携をしまして、行方不明者の捜索に全力で当たっているところでございます。引き続き、捜索活動に万全で当たる態勢をとっておりまして、今月の16日から26日までの間に予定をいたしておりました、令和6年度の日向灘での機雷戦訓練及び日米共同の掃海特別訓練については、中止をするということにいたしました。今般の火災につきましては、掃海艇「うくしま」のディーゼル・エンジンが設置をされている機械室から火災が発生したものと考えられますが、事故原因につきましては、海上幕僚監部に設置をされました事故調査委員会において調査をしてまいります。引き続き、行方不明者の捜索に全力を尽くすとともに、原因究明と再発防止に全力を挙げてまいります。
Q:今、言及あった事故についてお伺いします。今、大臣からも少し言及ありましたけれども、行方不明となっている乗組員の捜索状況ですとか、事故原因の調査状況について、もう少し具体的に最新の状況をお伺いしたいと思います。
A:まず、捜索状況でありますが、今、潜水捜索を実施をしております海上保安庁と連携をしまして、現場海域の浮遊物及び油の流出状況等を警戒をするとともに、全力で捜索を行っております。さらに、潜水捜索につきましては、海上保安庁とその実施については調整をしておりまして、海上保安庁と連携して捜索を行ってまいりたいと考えております。
Q:事故原因の状況については、もう少し具体的に何かあるんでしょうか。
A:現在、捜索をしていると同時に、海上幕僚監部の事故調査委員会において調査をしている段階であります。
Q:今の「うくしま」の火災、沈没に関連してなんですが、海自の艦艇の防火対策というものが十分とられているのか、その辺について大臣のお考えをお聞かせください。
A:映像でも流れておりましたけれども、僚船からも放水を行ったりですね、今の海上自衛隊が持っている、消火能力ですね、それは遺憾なく発揮できるようなことで消火活動をしていると認識しております。
Q:関連でお伺いします。冒頭発言の16日から26日に予定していた訓練を中止する理由というのは、捜索活動に万全を期すためという受け止めでよろしいでしょうか。
A:今回、これに参加する掃海艇がですね、火災沈没をしたということで、海上自衛隊にしても重大事故が発生したというふうに認識をいたしております。今回の訓練の目的もですね、機雷戦訓練及び日米共同の掃海特別訓練ということでございますので、事の重大性についてですね、中止を決定したというふうに思います。
Q:関連して、今沈没している船体を今後引き揚げるかどうかというところの、現時点決まっていることはありますか。
A:まずは、行方不明者の捜索ということに全力を尽くしたいと思います。あわせて、海上保安庁が今懸命に捜索活動をしていただいておりますが、海上幕僚監部に設置された事故調査委員会において調査をしですね、その調査の進捗等においてですね、海上保安庁とも調整をしながら捜索活動を進めていきたいというふうに思います。
Q:関連して伺います。「うくしま」のですね、調査は続いていると思うんですけれども、出火した時の状況ですとか、いったん鎮火して再び燃え出した時の状況についてですね、明らかにできることがありましたら教えてください。
A:現在調査中でありますので、それの報告を私は待っておりますが、そういう状況について、海幕の方で今調査をしているということです。
Q:関連してお尋ねしますが、「うくしま」の定員と充足率はどの程度だったんでしょうか。
A:手元に情報を持ち合わせておりませんので、後ほど事務方にお尋ねいただきたいと思います。
Q:関連してなんですけれども、一般に、海上自衛隊の艦艇は乗組員が大変少ないなと思います。イージス艦でも6割しか乗っていないという話聞いておりますが、それだけ少ないとですね、一人当たりの仕事量も増えるし、大変であるし、細かいところまで目が届かない、ですから、今回の火災がそうだとは申し上げませんけれども、事故が起こりやすくなっているのではないかと、あと事故が起きた時、あるいは戦時のダメージを受けた時にダメージコントロールができないのではないですか。
A:事故原因につきましては、今調査をしている段階でございます。充足率につきましては、一般的に陸海空含めて90%程度と聞いておりますけれども、この点につきましては、政府として非常に深刻にですね、認識をしておりまして、政府の中に関係閣僚会議を通じてですね、自衛官の組織の在り方については検討している段階でございます。
Q:海上自衛隊の艦艇の充足率を公開するというような意図はございませんか。というのは、国民のほとんど、まだ艦艇の充足率を知らないことなので、多分実際のパーセンテージを知ったら驚くんじゃないかと思うのですよ。敵に手の内を明かさないという言い方でよく、情報公開しないことをおっしゃるんですけれども、納税者がそういう実態を知った方がよろしいのではないかと。医官がほとんど護衛艦も潜水艦も乗っていない、乗るのは海外任務だけだというような現状ですけれども、これで本当に戦時に戦えるんですか。
A:正に、この自衛隊の在り方につきましては、現在、抜本的強化に取り組むということを前提にですね、そういった自衛官の処遇とか、勤務環境の改善とか、また戦い方も含めて、どうあるべきか、そのためには自衛隊の人的基盤の強化という観点でですね、検討しております。
Q:「もがみ」級フリゲートがですね、就航する前には、3隻に対して4つの乗組員を作って、それでクルー制を導入するという話があったんですけれども、海上自衛隊できていないのですよね。できていないということを公開していなかった。こういう態度は非常に不誠実ではないでしょうか。また、実際問題として、それによって本来軽減される負担が軽減されなかったと、これも充足率このままいくとまた、クルー制も導入されないのであれば、また辞めてしまう人も多いのではないかと思うのですけれども、それはどうでしょうか。
A:こういった点につきましては逐次ですね、検討と改善、これを今している最中でございます。「もがみ」に関して言いますと、先週ですね、横須賀におきまして視察をいたしました。非常に近代化、ハイテク化、機械化をされておりまして、少ない人数でも運航できるということを目標にですね、作られておりますので、逐次こういった点で改善を図っていきたいと思っております。
Q:海上自衛隊がそれをクルー制が導入できなかった、つまり失敗したという話をですね、なぜ報告をしないのか、発表しないのかということをお尋ねしたいのですが、その点に関してはどうなんでしょう。
A:この点につきましては、しかるべき資料を今持ってませんので、事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
Q:昨日、第2次石破内閣が発足しました。少数与党内閣となりますが、今後の防衛政策にどのような影響があると考えていますでしょうか。
A:昨日、閣議におきましてですね、石破総理から、全ての人に安心と安全をもたらす社会を実現するために、内閣の総力を挙げて政策を推し進めるよう全閣僚に指示がなされたところでございます。私も防衛大臣として、今般の就任に当たりまして、石破総理から次の7点の指示がありました。まず第1に、国家安全保障政策を一層戦略的かつ体系的なものとして実施をし、防衛力の抜本的強化に取り組むということ。そして、防衛生産・技術基盤、これを強化をして、また自衛官の処遇や勤務環境の改善など、将来の戦い方をも見据えた自衛隊の人的基盤の強化に取り組むということ。第2に、日米共同の抑止力・対処力、これを一層強化をする。第3に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、二国間・多国間の防衛協力・交流を推進をする。第4に、在日米軍再編を進める中で、抑止力の維持を図るとともに、沖縄をはじめとする地元の負担軽減を実現をする。第5に、警戒・監視については、情報収集を行うとともに、事態に応じて対処を行うということ。第6に、防衛省・自衛隊の信頼確保に全力を挙げるとともに、自衛隊の任務の着実な遂行に万全を期すること。また、自然災害に対して、人命救助や被災者支援に取り組むということ。そして、官房長官に協力をして、安全保障に取り組む法整備を含めて、抑止力の基盤整備に向けた検討を行っていくということで、7点の指示がございました。私もこのことが実現できるようにですね、全力を尽くして対応してまいりますが、なかでも、総理の方からですね、特に国民の理解、そして納得、共感、これを得られるように謙虚に丁寧に説明をしつつ、理解をいただきながら、進めていってほしいという要望がございました。私も内閣の一員として、これまでの経験、知見を活かしながら、防衛力の抜本的強化、また人的基盤の確保について、この取組を着実に進めてまいりたいというふうに思います。
Q:関連して、7点指示があったということなんですけれども、日米地位協定の改定については、外務省とともに取り組むですとか、その辺の指示はあったのでしょうか。
A:そのことについては、特に地位協定という具体的な指示はございませんでしたが、この中でも、先ほど申し上げました7項目に沿って検討してまいりたいというふうに思います。
Q:話題変わりまして、ウクライナ情勢に関連してお尋ねいたします。大臣は先日の記者会見でですね、ロシアによるウクライナ侵略は暴挙だとして、ウクライナへの支援を最大限していくというふうにおっしゃいました。これまで防衛省として、同盟国、同志国と連携してロシアの力による一方的な現状変更を断固許さないという取組を続けておりますので、その意思を改めて強調されたのだと思いますが、一方で先日アメリカの大統領選で当選したトランプ氏はですね、ウクライナへの軍事支援を縮小するという発言を繰り返しておりまして、彼の姿勢ですとか、考え方と言いますか、防衛省をはじめ、同志国と連携して取り組んでいる方針とですね、相容れないと思うのですけれども、その点大臣はどのようにお考えでしょうか。
A:前回のトランプ政権におきましても、非常に日米関係におきましては、信頼関係と強固な協力関係があったと思います。特に私、平和安全法制の審議をしまして、成立したということで、非常に大きな成果をアメリカの方からですね、認めていただき、また評価も得ております。そういう関係で、今度の次期トランプ政権につきましては、やはり強固な信頼関係、協力関係、まずこれを構築するところから始めなければなりませんが、なんと言っても日米同盟の抑止力と対処力、これの一層の強化を図るためにですね、いろんな施策を進めてまいりたいというふうに思っております。ウクライナに関しましては、私も累次申し述べておりますけれども、この侵略というのは、ロシアによる一方的な力による現状の変更、また国際社会の根幹を揺るがすですね、暴挙でありまして、国連の総会でもですね、非難をされておりますが、このような行為は断じて認められないというふうに思います。防衛省としましては、ウクライナを最大限支援すべくですね、防衛装備移転の三原則の範囲内で、非殺傷装備品、また自衛隊の車両といった我が国として供与可能な装備品を支援してきているところでありますが、先日NATOの会合におきまして、ウクライナの防衛大臣が出席をされておりましたので、二国間の防衛大臣会談を行いまして、更に追加の自衛隊車両の提供を発表したと、また、ウクライナの傷病兵の自衛隊の中央病院への受入れ、ITコアリション並びに地雷除去コアリションなどを通じた支援も継続をしていくということを申し述べました。したがいまして、日本としましては引き続きですね、ウクライナの支援をですね、続けていく方針です。
Q:関連でですね、ウクライナ支援に対するトランプ氏の発言ですとか、姿勢、考え方については、やはり防衛省の方針とも相容れないと言いますか、大臣としても反対しているのでしょうか。
A:いろいろな大統領選におきましての発言というのは、当然のことながら分析をしておりますけれども、まだ次期米政権がですね、発足もしておりませんし、陣容も明らかになっておりませんので、その点につきましては、引き続き注視はしていきますが、いずれにしましても、やはり日米間の緊密な連携、これは不可欠でありますので、それを強化する方向で進んでいきたいというふうに思います。
Q:防衛力の強化に関連しまして、弾薬庫の建設のことで伺います。全国に弾薬庫130棟を新たに建設されるということなんですけれども、これはなぜでしょうか。そして、長射程のミサイルの保管などで有事の際に標的にならないのかとか、爆発の危険性はないのかなど、周辺の住民から不安の声が上がっておりますけれども、こういう声にどのようにお応えになりますでしょうか。
A:国家の防衛戦略並びに防衛力整備計画につきましては、自衛隊の十分な継戦能力の確保・維持、これを図るために、十分な弾薬を早急に保有をするということとしておりまして、これによっては増加する弾薬の保管所要に対応するということで、火薬庫の増設を進めるということにいたしております。具体的に申し上げますと、令和9年度までに約70棟程度を措置をし、令和14年度までには、更に約60棟程度の整備を目標といたしております。このような火薬庫の整備を含む防衛体制の強化を行うということによりまして、力による一方的な現状変更を許容しないという我が国の意思を示すとともに、我が国への攻撃に対する抑止力・対処力を高めることで、我が国への攻撃の可能性そのものを低下をさせるものであります。そのことが、国民の安全安心につながるものであると考えております。また、火薬庫の設置につきましては、火薬類取締法等の関係法令に基づきまして、十分な保安距離を確保するなど、適切に整備を行ってまいります。そして、こうした取組の実施に当たりましては、火薬庫整備の関係自治体をはじめとする地元の皆様方に丁寧な説明や適切な情報提供を行って、御理解をいただくように努力をしてまいりたいと思っております。
Q:有事の際に標的にならないか、という声がありますが、それについて伺えますでしょうか。
A:この点につきましては、その必要性についてはですね、申したとおりでございますが、やはり火薬庫を整備をするということは、我が国の防衛体制を強化をするということでありまして、力による一方的な現状変更を許さないという我が国の意思を示すということであります。つまり、我が国の攻撃に対する抑止力・対処力を高めるということでありまして、我が国への攻撃の可能性そのものを低下をさせるというものが、国民の安全安心につながるものであると考えております。
Q:続けて、説明会を開く上でですね、住民への説明の仕方についてはどのような方針で臨みますか。
A:説明につきましては、火薬庫整備の関係自治体をはじめとするですね、地元の皆様方に整備の内容等については丁寧な説明、また適切な情報提供を行っているわけでございます。つまり、火薬庫を設置する場合にですね、この火薬庫が駐屯地等への新たな部隊配置に伴って、当該部隊が保有する弾薬を保管するために整備をするものであるのか、もしくは防衛力整備計画に基づいて各種弾薬の取得に連動して必要となる火薬庫を整備するものであるのかなど、個々の火薬庫の整備の目的に加えまして、火薬庫の棟数、そして地中方式、また地上覆土方式、土で埋めることですね、地上の覆土式といった構造の形式など、これは部隊の能力がですね、明らかになるおそれがない範囲でですね、お伝えできる情報につきましては、関係自治体をはじめとする地元の皆様に対して丁寧な説明や適切な情報提供、これを行っているところでございます。
Q:先ほどの艦艇の充足率に関係するお話なのですけれども、昨今、少子高齢化進んでいる中でですね、ますます艦艇の乗組員の確保が難しくなっていると思うのですが、大臣、今の現状の、例えば護衛艦とか潜水艦の勢力というのは、今後も例えば長期にわたり維持ができると考えておいででしょうか。それとも、人口の減少に伴い、縮小するというお考えございますでしょうか。
A:この点は自衛隊全体の問題になっていますので、少子高齢化など、充足率など、その点につきましては、今政府でですね、自衛官の処遇、勤務環境の改善、新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議を設けて、今まで2回議論をいたしましたが、本年中に取りまとめをできるように急いでおります。また予算の要望もできるところからやっていくということで、スピードアップをしてですね、取りまとめ、検討を進めているところであります。
Q:ということは、現在の勢力は維持可能であるというふうにお考えですか。
A:将来も見越してですね、少子高齢化社会がやってきて、募集につきまして、安全にできるような状態になるようなですね、やっぱり大本の自衛隊の働き方、それから配置、そういったものを検討した上でですね、実施しなければならないという認識で、そのような検討は精力的に今行っているということであります。
Q:先ほど、石破総理からの指示ということで7つ挙げられた中でですね、防衛産業の振興ということがあるかと思うんですけれども、以前、木原前防衛大臣に伺った時にですね、防衛省として防衛産業の統廃合・再編というのはどう考えるのかというふうに伺ったらですね、いや、防衛省はそれは知らんと、それは民間の話だというお話を伺ったんですけれども、これ、石破内閣でもそうなんでしょうか。
A:木原前大臣は、必ずしもそういう認識ではないと思います。やっぱり、そういうことも含めてですね、検討しておられたというふうに認識しております。
Q:明確に防衛省は関与していない、それは、統廃合というのは、全部民間のマターであると、我々は関与していないのだというふうなことを断言されていたんですが。
A:これにつきましては、一昨年のですね、末に、国家安全保障戦略ですね、これで示されてますけれど、我が国の防衛生産と技術基盤、これは我が国の防衛力そのものでありまして、これに向けて抜本的強化のための、今検討をいたしております。その基本方針の中でですね、防衛産業の国内基盤を維持する、強化すること、それから、防衛に関する科学技術、イノベーション、これを結集して技術的優位性を確保すること、そして官民が一体となって装備移転を推進することなどの基本方針、これはもう出ておりますので、こういった民間の会社とか、防衛の関連産業、これとの協議・意見交換、これは当然行っていきながら推進していくものだと思います。
Q:というのが、大臣の意図として、例えば、防衛省が主導して同じ分野の事業をですね、電気なら何社かある中をそれを統合するようなことを働きかけるというような官の側からのそういう統廃合を政策として行っていくことはやるんでしょうか、やらないんでしょうか。
A:それは実施してまいりますが、あくまでも防衛省の所掌範囲の中でやっていくわけでありまして、このほかにも経済産業省とか、また国土交通省とかですね、他省庁の所管のところもございます。そういう点につきましては、関係官庁ともですね、調整・協議をしながらですね、行ってまいりたいというふうに思います。
以上