本日、日本の防衛大臣として初めてNATO国防相会合に出席いたしました。今回の会合には、インド太平洋地域のパートナー国として、日本を含むIP4の4か国(日本、豪州、ニュージーランド、韓国)の防衛大臣が初めて招待されました。これは、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分であるとの認識が多くの国で共通認識となった証左であり、大変意義深いものと考えています。本日の会合においては、私から、ロシアによるウクライナ侵略に対し、我々同志国が一層強固に団結し、ウクライナ支援を安定的に継続する必要性や、日本によるウクライナ支援の取組について述べました。また、インド太平洋地域の情勢について、力や威圧による一方的な現状変更の試みに反対する立場を強調するとともに、軍事的な中露連携、露朝連携の拡大に対して深刻な懸念を表明しました。さらに、近年、「日NATO国別適合パートナーシップ計画(ITPP)」に基づき、サイバー、宇宙、戦略的コミュニケ-ションなどの分野で、実務的な安全保障・防衛協力が着実に進んでいることを歓迎しました。また、会場では、ルッテNATO事務総長への表敬を行いました。私から、事務総長就任への祝意を伝達するとともに、今回のIP4の招待について感謝の意を伝えたほか、ITPPに基づく様々な分野での安全保障・防衛協力を進めることを確認しました。更に、この機会を捉えて、IP4国防当局間会合や、ウクライナをはじめ各国との防衛相会談を実施しました。IP4国防当局間会合においては、ニュージーランドのコリンズ国防大臣、豪州のコンロイ国防産業・能力提供大臣、韓国のキム国防部次官との間で、地域情勢に加え、IP4における協力について意見交換を行い、引き続き連携していくことで一致しました。日ウクライナ防衛相会談では、私から、ロシアのウクライナ侵略はウクライナの人々に多大な苦痛をもたらすものである旨述べるとともに、ウクライナへ自衛隊車両を追加提供することを決定した旨、伝達しました。ウメロフ大臣からは、防衛省・自衛隊の支援に対し、深い感謝が述べられました。また、日オランダ防衛相会談を行い、オランダがインド太平洋への関与を強化していることを歓迎するとともに、引き続き日蘭防衛協力・交流を深化させていくことを確認しました。
Q:最近は中国とロシアの軍事的な連携が強化されています。また、中国軍は先日、台湾周辺で軍事演習を行いましたが、NATO国防相会合ではこのような話題は出ましたでしょうか。あわせて、各国からどのような意見が出たのかお聞きします。
A:本日のNATO国防相会合においては、私から、中露の軍事的な連携の拡大は、ウクライナ情勢の更なる悪化を招くのみならず、我が国を取り巻く地域の安全保障に与える影響の観点からも深刻に憂慮すべきものである旨発言しました。加えて、インド太平洋地域において、力や威圧による一方的な現状変更の試みが継続・強化されており、我が国として、こうした試みに反対するという立場を改めて強調しました。これ以上の具体的なやり取りの詳細については、相手国との関係もあり、お答えは差し控えますが、防衛省としては、引き続き、同盟国・同志国との連携を強化しつつ、お尋ねの中国軍やロシア軍の我が国周辺における動向について注視してまいります。
Q:中谷大臣はかねて「大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分」と指摘していました。今回の会合で、そうした主張に対してどのような反応があったのでしょうか。また、今後、欧州のインド太平洋に対する関心を高めるためにどのような取組をしていくのか、そして日本として、NATOに対してどのような具体的な対応や協力をしていくのでしょうか。
A:本日のNATO国防相会合においては、私から、今回の会合に日本の防衛大臣として初めて参加できたことは、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分であるとの考えが、多くの国で共通認識となった証左であり、引き続きNATOとインド太平洋の同志国間の連携を強化したい旨を述べ、参加国との間で、そのような認識をしっかりと共有しました。お尋ねの欧州諸国のインド太平洋地域に対する関心・関与の更なる増大に向けては、今回のような会合の機会を捉え、NATOとIP4や、日NATO間での認識共有・連携強化に取り組むほか、各国との二国間においても、引き続き、艦艇・航空機の相互派遣等を含む防衛協力・交流の一層の推進に取り組んでいく考えです。また、お尋ねの我が国とNATOとの協力に関する具体的な取組としては、日NATO国別適合パートナーシップ計画(ITPP)に基づき、サイバーや宇宙、戦略的コミュニケーションの分野での専門家交流等に取り組むなどしており、引き続き、様々な分野での実務的な協力を着実に推進する考えです。
以上