防衛大臣記者会見

日時
令和6年10月11日(金)11:24~11:50
場所
防衛省A棟第1省議室
備考
中谷防衛大臣閣議後会見

動画版①

動画版②

1 発表事項

10月16日水曜日から10月21日月曜日の日程で、ベルギー及びイタリアを訪問いたします。ベルギー・ブリュッセルでは、NATO国防相会合に日本の防衛大臣として初めて出席をいたします。イタリアのナポリでは、本年のG7議長国であるイタリア主催の下、初めて開催をされますG7国防相会合に出席をいたします。また、次期戦闘機に関する日英伊防衛相会合も実施をする予定でございます。本訪問を通じまして、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分であることや、インド太平洋地域の情勢について力強く発信をするとともに、次期戦闘機につきましては、日英伊の3か国の協力強化のコミットメントを改めて確認をし、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた、同志国との強い結束を確認をしてまいりたいと考えております。

2 質疑応答

Q:冒頭発言とは、また別件になるのですが、石破総理は9日に自衛官の処遇や勤務環境の改善に関する関係閣僚会議を設置しました。今後のスケジュールとともに、中谷大臣も会議では副議長として参加されることになりましたが、議論をどのようにリードしていきたいかお考えをお聞かせください。

A:自衛官の処遇・勤務環境の改善、また新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議、これは第1回会議を10月中に開催をする予定でございます。そして、関係省庁が連携して取り組むべき方策の方向性と令和7年度予算に計上すべき項目を年内に取りまとめをしていくべく、スピード感をもって議論をしていく考えでございます。自衛隊は、申すまでもなく、人の組織でありまして、この関係閣僚会議というのは、自衛官が定数割れとなっている現状への石破総理の強い危機感の表れであり、そして総理のリーダーシップがしっかりと成果に結びついていくよう、責任感をもって議長たる石破総理をよく補佐をしてまいりたいと思います。その上で、自衛隊の隊務を総括する防衛大臣といたしましても、各自衛隊の声をしっかりと吸い上げ、あるべき方策について関係大臣とよく議論をしてまいります。その際、私自身の自衛官としての勤務経験も活かしていきたいというふうに考えております。スケジュール等の詳細は、今後適切にお示しをしていく考えです。

Q:8月30日の横田基地でのPFASが漏れた事故について2点御質問いたします。この事故に対して環境補足協定に基づいた立入り調査などを要請する方針はありますでしょうか。また、なぜ地元自治体への報告が1か月以上も遅れたのでしょうか。以上、2点お願いします。

A:本件につきましては、10月の3日、米側からですね、本年の8月30日に、短時間に降った豪雨によりまして、米国の米軍横田飛行場から、PFOS等を含む水が施設外へ出た蓋然性が高い、そして本事案については再発防止計画を講じているという通報がありました。同日、日本政府から米側に対して、事案発生から通報まで1か月以上経過したことについて、迅速な通報を申し入れるとともに、今後判明する事実関係については速やかな情報の提供、そして、原因究明と再発防止の徹底、環境保全措置を含めた適切な対応等について米側に申入れを行いました。その上で、米側に対しては、通報がこの時期になったことを含め、現在、詳細を確認中でございます。また、立入り調査につきましては、米側からの回答の状況や関係自治体からの要請を踏まえまして、今後適切に対応してまいりたいと考えております。

Q:冒頭の大臣の外遊に関連して伺います。初のG7国防相会談の実施ということでありますけれども、石破新政権として会議の場をどう生かしていくのか、大臣のお考えをお願いします。また、NATOの国防相会談ではアジア版NATOについて御説明される御予定があるのか、このほか、次期戦闘機を共同開発している日英伊3か国の国防相会談も実施されるということでございますが、どのような成果を得たいとお考えでしょうか。お聞かせください。

A:冒頭でですね、申し上げたとおりですね、本年のG7の議長国であるイタリアの、これはイニシアティブによって、G7の国防相会合に開催をされるということで出席をいたします。G7のメンバー国、そしてEU・NATOの間で防衛・安全保障に関する議論を深めて、G7の防衛・安全保障面での結束、これを確認をいたしたいと思います。また、ベルギーにおきまして、日本の防衛大臣として初めてNATOの国防相会合に出席をするわけでございますが、この会合には、インド太平洋地域のパートナー国といたしまして、日本を含むIP4、これは4か国でありますが、日本、豪州、ニュージーランド、韓国、これらの4か国が初めて招待をされております。今回のNATO国防相会合におきましては、このアジア版NATOについて議論する予定はありませんが、この機会を捉えて、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であるという認識を共有をして、NATOとIP4の各国の防衛・安全保障上の連携を強化をしていきたいと考えております。このほか、次期戦闘機に関する日英伊防衛相会合も実施をする予定でありまして、次期戦闘機の日英伊共同開発につきまして、協議体制、作業分担の検討に関わる進捗状況を確認をしまして、共同開発の加速化に向け、3か国のコミットメント、これを改めて確認をしたいというふうに思います。このような内容でございます。

Q:ロシアによる北海道礼文島沖の領空侵犯に関連して2点伺います。ロシア側は事実上領空侵犯を否定している状況ですけれども、今月2日の会見では「適切な権限のあるチャンネルを通じて協議すべきだ」として、日本側との協議を求めていました。これには防衛当局間も含むと考えられますけれども、まず1点目として、その後のロシア側とのやり取りや協議の有無を教えてください。2点目として、協議を行っていないのであれば、ロシア側の呼びかけに応じない理由を教えてください。

A:この10月2日のロシアの外務省報道官の発言につきましては、ロシア側として日本側の抗議をですね、真摯に受け止めているというものとは言えず、極めて遺憾だと考えます。この発言を受けて、10月3日、改めてロシア政府に外交ルートで今回の領空侵犯に関する日本側の立場、これを伝達をするとともに、再発防止、これを強く求めたところでございます。お尋ねの協議の実施の有無に関しまして、今後のことにつきましては、これはロシア側とやり取りを行っていきますが、その細部についてのお答えは差し控えをさせていただきます。いずれにせよ、引き続き、状況に応じて適切に判断しつつ、ロシア側に対して、外交・防衛双方のルートで、本領空侵犯事案が発生した原因、再発防止策について、然るべき説明を求めていく考えであります。

Q:関連で、今のお答えですと、では、その協議の呼びかけがロシア側からやり取りの中で協議をしようということになれば、日本側としてはそれに応じていく、その必要性があるというお考えだということでよろしいでしょうか。

A:ロシア側との防衛当局間の協議の実施の有無も含めましてですね、ロシア側とのやり取りの細部につきましては、お答えは差し控えさせていただきますが、いずれにせよ、引き続き現状において適切に判断をしつつ、ロシア側に対して、外交・防衛双方のルートで本領空侵犯事案が発生した原因、再発防止策についてはしかるべき説明を求めていく考えです。

Q:中国は、台湾の建国記念日の昨日の夜、衛星ロケットを打ち上げ、台湾上空を通過させました。また、大規模演習を行うとの見方もありますが、このような中国の動きについて、どのように見ていらっしゃるのか、どのように対応すべきとお考えかお聞かせください。

A:昨日ですが、台湾の国防部が、中国が衛星発射センターから衛星を搭載した運搬ロケット、これを発射をし、このロケットの高度は大気圏外であり、台湾に被害はない点について、発表しているということは承知をいたしております。また、中国の軍事動向については、平素から重大な関心を持って情報収集・分析に努めておりますが、個々の具体的な情報の内容につきましては、お答えが困難であるということを御理解をいただきたいと思います。その上で、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要でありまして、台湾をめぐる問題が、対話により平和的に解決されることを期待をするということが、我が国の従来からの一貫した立場であります。いずれにしましても、防衛省としては、我が国の周辺の軍事動向について、引き続き重大な関心をもって注視をするとともに、情報収集・警戒監視に万全を期してまいりたいというふうに思っております。その上で、中国が軍事力の強化を急速に進める中ですね、中台の軍事バランスは全体として中国側に有利な方向に急速に傾斜をする形で変化をしているわけでございますが、中国は、台湾周辺で軍事活動を活発化させてきており、この2022年の8月に弾道ミサイルの発射を含む大規模な軍事演習を行って以降、台湾周辺での艦艇・航空機の活動の活発化が指摘をされて、昨年以降、台湾周辺での大規模な軍事演習を数回実施をいたしております。この中国の一連の活動を通じてですね、中国軍が常態的に活動している状況は、既成事実化を図るとともに、実戦能力の向上を意図しているとみられます。こうした活動を含めまして、中国の軍事動向等は、我が国の国際社会の深刻な懸念事項となっております。今後とも警戒監視に万全を期してまいりたいと考えております。

Q:ウクライナ紛争で岸田政権は、一方的にロシアを悪として、ウクライナに肩入れする、硬直した外交を展開してきました。ロシアによる侵攻までの8年間、ウクライナ国内の東部ドンバスでロシア系住民への差別政策や、民間人殺傷などの民族浄化があった事実を、日本政府は全く認めませんでした。岸田政権の対露制裁とウクライナへの63億ドル、9015億円もの支援で、日本はロシアから敵視されています。その一方、米大統領選でトランプ政権になれば、米国のウクライナ政策の変更が予想されます。NATOの対応も一様ではない現在、日本は対米従属ではなく、自主的、主体的に両国の和平実現を後押しする外交へと転換する必要があると思います。本来、この質問は、外務省マターだと思うんですけれども、外務省の外交政策は防衛省の政策にも大きな影響を及ぼすものであると考えますので、中谷大臣の考えをぜひお聞かせください。

A:ウクライナの状況につきましては、国連のですね、常任理事国であるロシアが、白昼堂々、隣国の独立国を力によって現状変更するという行為、これは許されない行為だと思っております。国際秩序の根幹を揺るがす行為であるということで、こういった力による一方的な現状変更というのはどこであっても許されないと考えておりますので、このことにつきまして、この認識の下にですね、国際社会全体の平和と安全のためにロシアの侵略をやめさせ、1日も早く公正かつ永続的な平和をウクライナに実現をすべく、この問題に取り組んできました。残念ながら、事態が長期化をしておりますが、これが一刻も早く解決をしていくように我が国としては、ウクライナを引き続き、支援をしていかなければならないと考えております。したがいまして、このロシアによるウクライナ侵攻、欧州のみならず、アジアを含む国際社会の根幹を揺るがす暴挙でありまして、このような行為は断じて認められないと、そして、今後の支援の内容等については、予断をもってお答えすることは困難でありますが、我が国としては、引き続き国際社会と連携しながら、最大限の支援を行ってまいりたいと考えております。

Q:沖縄県の米軍伊江島補助飛行場の改修工事に関して伺います。米軍は来年2月頃に滑走路の改修工事に着手して、工期は9か月から12か月程度と見込まれていますけれども、それで今、そういう状態なので、伊江島での滑走路の不具合というのを理由に、例外的な措置として、嘉手納基地でのパラシュート降下訓練というのを実施しておりまして、昨日も訓練がありました。一方で、自治体や県は中止を求め続けています。こういった現状を踏まえると、少しでも早く伊江島での滑走路の改修工事というものを終える必要があると思うんですけれども、防衛省として、早く工事を終えるためにどういった働きかけをされているのかという点について教えてください。

A:伊江島の補助飛行場の滑走路の改修工事につきましては、本年11月以降に、必要な資材、機材の搬入を行った上で、スケジュールが変動する可能性はありますが、来年の2月頃に工事を開始をし、来年6月から9月に工事が完了する見込みであると米側から説明を受けております。この伊江島の滑走路不具合を理由といたしまして、嘉手納飛行場でのパラシュート降下訓練が実施をされている中で、基地負担の実情を踏まえますと、伊江島の滑走路が早期に使用再開されるように取り組んでいくということは、大変重要であります。そのために、防衛省といたしましては、滑走路改修工事の早期完了    に向けて、可能な限りの支援、協力をすることとしておりますが、その中で、自衛隊の施設部隊、これによる協力の工事も選択肢の一つとして検討しているところでございますが、これは、引き続き、米側とですね、緊密に連携をして、取り組んでまいりたい、そして、どのようなことが可能か、鋭意検討を続けていきますが、先ほども申し上げたとおりですね、自衛隊の施設部隊による協力も選択肢の一つであるというふうに考えております。

Q:関連でお伺いします。自衛隊施設部隊の協力というか、実際に部隊を入れるかどうかというんですかね、それの判断はいつまでにしたいというようなめどはありますか。

A:先ほどお話をしましたが、選択肢の一つとしてですね、鋭意検討を進めているということでございますので、時期的なことはまだ詰まってないと思います。

Q:靖国神社への参拝についてお尋ねいたします。10月17日から19日に靖国神社で秋季例大祭が開催されます。期間中に参拝されたり、真榊などの供物を奉納する御予定はありますでしょうか。

A:靖国神社の参拝につきましてはですね、国の内外を問わずに、国のために貴い命を犠牲にされた皆様方に、哀悼の誠を捧げ、尊崇の念を表するということは当然のことであると考えております。今後の参拝につきましては、個人として適切に判断をいたしますし、また、真榊の奉納につきましても参拝と同様ですね、個人として適切に判断をいたします。御質問のですね、10月の17日から19日の期間につきましては、先ほど発表したとおり、この時期は大臣は日本にいないということで、参拝はしないということでございます。

Q:自衛官の厳しい採用環境の関係で一点お尋ねします。自衛官のリアルな魅力を伝えることを目的に陸海空自衛隊サマー・フレンドシップキャンペーンが7月から9月に全国各地で開催されましたが、その成果について、どのように防衛省として分析されているのかお聞かせください。また、このサマーキャンプが自衛隊の採用・募集活動と連動しているということが謳われていますが、どのように弾みがついたとお考えでしょうか。教えてください。

A:これにつきましては、我が国全体がですね、深刻な人手不足社会を迎える中で、少子化や高校新卒者の有効求人倍率が上昇するなどですね、人材獲得競争はより熾烈なものとなっておりまして、自衛隊、防衛省も例外ではございません。人の組織である防衛省・自衛隊においても、より効果的な募集広報活動を行うということが重要になっておりまして、お尋ねのこのサマー・フレンドシップキャンペーン、これは、自衛隊のリアルな魅力を多くの方々に体験、そして体感いただこうという募集広報のキャンペーンでございます。本年は、全国の駐屯地で開催するイベントのほか、オンライン広報も組み合わせるなど、様々な機会を捉えて自衛隊の魅力、これを発信をし、多くの方々に体験をしてもらいました。お尋ねの今年度の採用効果につきましては、募集活動がまだ継続中であるということ、そして、経済状況等の様々な影響を受けるということから、予断をもってお答えすることは困難でありますが、このようなイベントを通じて、一人でも多くの方に職業としての自衛官を正しく理解をしていただきまして、職業選択の一つとして志していただきたいと考えております。非常に、数字が示すようにですね、厳しい募集状況の中でですね、精一杯この募集につきまして、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。

Q:関連で一点だけお尋ねします。自衛官ですけれども、消防、警察等との職業においてですね、非常に競い合っている状況にあると思いますが、中谷大臣は、どのようにすれば、より消防や警察ではなくて、自衛隊を選んでもらえると思われますか。

A:一つはやっぱり、処遇改善ですね。自衛隊に入りたいという環境条件を良くするということ。例えば、警察・消防は、退職をすれば、地方で雇用とか就職先がございますが、自衛隊の場合は、全国各地で採用されるという国家公務員でございますので、そういった退職後の雇用環境の整備、また、居住環境の整備といたしましては、Wi-Fiとか、まだないんですね。海上自衛隊でWi-Fiを付けるという事業は開始しておりますが、陸上自衛隊の場合も、やっぱり居住に居残りをしたりですね、居住性を要求するというようなことがございますので、これは私の個人的な考えに過ぎませんけれども、こういった点を含めましてですね、この自衛隊に関して、募集が状況が良くなるようにですね、今後、関係閣僚会議等でしっかり議論をしていきたいというふうに考えます。

以上