防衛大臣記者会見

日時
令和6年7月12日(金)10:36~11:28
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見

動画版①

動画版②

動画版③

1 発表事項

 ○ 本日の閣議におきまして、令和6年版防衛白書を説明の上、配布いたしました。本年の防衛白書は、我が国を取り巻く安全保障環境や、戦略3文書を踏まえて進めている防衛力の抜本的強化のための防衛省・自衛隊の取組を、分かりやすく御理解いただけるよう、令和5年度の事象を中心にまとめております。また、将来を担う小中高生の皆さんにも、安全保障について理解を深めてもらうべく、防衛白書の内容を分かりやすくコンパクトにまとめた「まるわかり!日本の防衛」も同時に公表いたしました。これらが、我が国の防衛に対する国民の皆さまの御理解の一助になればと考えております。

 ○ 防衛省・自衛隊における不適切な事案について申し上げます。まず、特定秘密について、本年4月に公表した漏えい事案を受け、防衛省全体における特定秘密の取扱い状況について集中的に点検してきましたが、その結果、特定秘密保護法上の漏えいと評価される事案や不適切な取扱い事案が多数確認されました。いずれも各機関や部隊内部に留まる事案であり、部外への流出は一切確認されてはいないものの、事務次官、各幕僚長、情報本部長を含む関係者約120名に対し、停職・減給・戒告を含む処分等を実施いたしました。次に、海上自衛隊において、潜水艦、潜水救難艦「ちはや」及び「ちよだ」に所属する隊員による潜水手当の不正受給、厚木航空基地隊、東京業務隊及び対馬防備隊における不正喫食が確認されたことから、海上幕僚長を含む関係者約100名に対し、免職・降任・停職を含む処分等を実施いたしました。そして、本省内部部局の指定職1名及び課長職2名について、パワーハラスメント行為が確認されたことから、本日付で、当該3名の幹部職員に対し、停職や減給の懲戒処分を実施いたしました。また、酒井海上幕僚長におきましては、7月19日付けで退職することが本日の閣議において承認されました。海上自衛隊において、ただ今説明したような様々な事案が発生したことを踏まえ、新たな体制により、海上自衛隊を立て直す必要があると判断し、海上幕僚長を、現自衛艦隊司令官の齋藤海将に交代させることとしたものです。私自身も防衛大臣として、今回公表した各事案により、防衛省・自衛隊に対する国民の皆様の信頼を損なったことに対する責任を痛感しており、防衛大臣の給与の1か月分を自主返納することといたしました。防衛省・自衛隊の活動は、国民の皆様の信頼あってのものですが、今回公表したいずれの事案も、国民の信頼を裏切る決してあってはならないものです。防衛大臣として、国民の皆様に深くお詫び申し上げます。防衛省・自衛隊の信頼回復に向けては、幹部のみならず隊員一人一人がしっかりと取り組んで行くことが不可欠と考えています。そのため、私から隊員一人一人に向けたビデオメッセージを発出することといたしました。再発防止策を徹底し、二度とこうしたことが起きないよう防衛省・自衛隊一丸となって取り組み、国民の信頼を取り戻していきたいと考えています。

2 質疑応答

Q:今の冒頭の御発言で大臣、給料の1か月分を自主返納という御発言出ました。その他、特定秘密やセクハラ事案はこれまでもありまして、再発防止を徹底するとされてきましたが、今回も同様の事案が発生しました。御自身の進退を含め防衛大臣としての責任について、どのように考えていらっしゃるかお伺いいたします。

A: この度、防衛省・自衛隊に対する国民の皆様の信頼を著しく損なう事案が発生してしまったことについて、改めてお詫びを申し上げます。今回公表した各事案によって、国民の皆様の信頼を損なったことに対して、私自身責任を痛感しております。従って、私自身防衛大臣としての給与の1か月分を自主返納することとしたところです。本日公表した事案の原因については、当事者達の順法精神や倫理観の欠如、使命の自覚や厳正な規律の保持、そういった基本的な心構えが著しく欠けていたという事情や、組織全体で誤った理解の下で特定秘密の取り扱いを行っていたという海上自衛隊全体の問題まで、多岐にわたるものと理解をしております。我が国の防衛に一分の隙も許されない中にありましては、新たに海上幕僚長に就任する齋藤海将も含めた関係幹部を中心として、徹底した情報保全体制の確立や、法令順守の徹底、ハラスメント防止などのための綱紀粛正が不可欠であり、引き続き、私のリーダーシップの下で防衛省・自衛隊を早急に立て直すこと、そして国民の皆様から信頼を回復することに全力を尽くすこと、これが私の責任であるというふうに考えております。

Q: 先ほど酒井海幕長について、新たな体制で立て直す必要があると判断し、交代させたというふうにおっしゃいましたが、事実上の更迭ということなんでしょうか。

A: 先ほど説明をしたように、海上自衛隊においては様々な事案ですね、種類の違う事案が発生をしたと、そういったことを踏まえて、正に海上自衛隊を立て直すという必要があるというふうに判断をしました。そこで海上幕僚長は、今、自衛艦隊司令官を務めている齋藤聡海将に交代させるということにしたところでございます。

Q:特定秘密についてお伺いいたします。海上自衛艦の38隻で組織的な不正が確認されたということですけれども、一方で先ほど大臣の御発言では、部外への流出は一切なかったというふうに強調されておりました。今回の調査は、あくまで公文書が残っている数年分の範囲内での調査ということで、過去に遡って調査できてるかは限界がありますけれども、これだけ大規模に組織的不正が確認された事実を鑑みますと、過去にも慣習的に行われていたということは、容易に推察できるわけでして、当然漏えいの懸念も残っているかと思います。そういう考えを多くの人が持つと思うのですが、大臣もこの点については同じように懸念を持っていらっしゃるのでしょうか。

A:本年4月に公表した海自及び陸自における特定秘密漏えい事案がございました。こういったこともありですね、特定秘密文書の誤廃棄などの不適切な取扱い事案などもあるのではないかというような私の推測の下でですね、全体的に類似の事案というものを調査させたところであります。その結果、今回、このような結果になっているということであります。そして、同時にですね、部外への流出というのも確認をさせました。その結果として、部外への流出は一切確認されていないという結果が出ております。言うまでもなく、そういった更なる事案が多数確認されたことについては、極めて深刻に受け止めています。特に、海上自衛隊の艦艇における保全措置の在り方をはじめ、幹部を含む防衛省の職員全体として、特定秘密の管理に対する理解が甚だ不十分であったということを痛感しておりまして、一人一人のそういった意識の向上であるとか、または、意識の向上だけではどうしようもない部分も、狭い艦艇の中ではですね、なかなか難しいところもあると思いますので、それを補うためのシステムの導入、自動的にこの人はこういうクリアランスを持っている、あるいは持っていないというのが分かるようなですね、意識しなくてもそういうことが自動的に行われるようなシステムの導入、そういった措置が急務であろうというふうに考えております。ですので、引き続き、再発防止検討委員会を行っておりますけれども、その議論を踏まえて策定した取組の一つ一つというものを直ちに徹底して、省全体の情報保全体制の抜本的強化のために、全力を尽くす、それに尽きると、今の時点では考えています。

Q:私の質問のポイントは、調査が遡れなかった期間において、漏えいの懸念があると多くの人が思うと思うんですけれども、その点について、大臣は懸念を持っているかいないか、その点だけ教えてください。

A:先ほど申し上げましたように、海上自衛隊、非常に今回多かったと、海上自衛隊の特殊な事情というのがあるというふうに思っています。非常にスペースの限られた狭い艦艇ですね、護衛艦であったり潜水艦であったり、その中でも、非常に特定秘密の、むしろたくさんあるわけですね、潜水艦の中では、そういった中で、区切られたスペースの中の乗組員の中で、クリアランスを持っている者、持っていない者というのが、混在しているという中でですね。陸上のように、陸上というのは陸上自衛隊ではなくて、通常、丘の上ではメリハリをつけて、明確に、持っている者と持っていない者をですね、区分することができるという環境ではなくて、極めて狭い空間の中で、そういったある意味、人の仕分けをしていかなければいけない、クリアランスを持っている者と持っていない者、その事象の度に、事案の度にしなければいけない、そういう事案があったんだろうと、しかしながら、一方でですね、これはあまり詳しく申し上げることはできないんですけれども、特定秘密の中身にもよるんですけれども、様々なものがございますよね。画像であったり、あるいは文書であったりというものがありますが、それは遠くから見て分かるものと、よく見ないと分からないものとか、あるいは、情報にさらされているだけの状態であって、それを見ようと思えば見ることができるものとか、そういった様々な種類、そして、それに対してどういう人が興味があるのかないのかというものもあると思います。あるいは、知識があるのかないのかによって、特定秘密の価値というものが、大きく左右すると思うんですが、そういうことを考えた時に、確かに遡るということは大事だと思いますが、しかし、物理的にできない部分もあります。今の時点で、どういう体制になっているのかということを、これを詳細に分析することでですね、過去にも同様の状態であったろうということは、これ逆に推測できるわけでありますから、現時点での流出がないということを踏まえれば、過去も同様に、同様の事案については流出はないだろうということは推測できるということであります。そういうふうに私自身は考えております。

Q:特定秘密漏えい事案について伺います。他国との連携への影響についてなんですけれども、日本は同盟国や同志国などと、安保上の連携強化を進めています。今週のNATOの首脳会談でも、そうした方針が確認されたかと思いますけれども、足元の防衛省・自衛隊でこうした機密情報管理のずさんさがあらわになったことで、他国からの信頼関係ですとか、今後の連携強化に与える影響というものをどう考えますでしょうか。

A:特定秘密の厳格な管理をはじめ、情報保全の徹底というものは、今後、今御指摘のあった同盟国・同志国等との防衛協力を強化していく上で、重要な基盤であり、今般のような事案があってはならないと考えます。諸外国との信頼関係を損なうことのないように、これもまた、私のリーダーシップを発揮しまして、再発防止検討委員会における議論を踏まえて策定した取組の一つ一つ、これを直ちに徹底をし、省全体の情報保全体制の抜本的強化のため、これも全力を尽くすということに尽きると、そういうふうに考えております。

Q:一連の問題についてお伺いします。過去、防衛庁や防衛省でですね、大きな不祥事が発覚した際に、当時の額賀長官とか稲田大臣は、責任を取って辞任しているかと思います。一方で、先ほど大臣は、私のリーダーシップの下でということで、続投の意思を示されましたけれども、こうした過去の事案との違いですね、なぜ続投するという判断をされたのか、改めてお伺いします。

A:先ほども申し上げましたように、私自身は今回の事案が発生したことについては、責任を痛感をしております。国民の皆様の信頼を損なったこと、そして、様々な今回の事案がですね、発生しております。それぞれ違った事案であります。私自身としては、今回、昨年の9月に防衛大臣に就任して10か月になります。そして、4月の陸自・海自の特定秘密漏えい事案などが出て、その際に、徹底して類似の事案がないかということを、私が指示をしました。あるいは、ハラスメント事案においてもですね、これは近年の防衛省の課題ではありましたけれども、私自身は、隊員向けのメッセージ、幹部隊員と一般隊員と分けて2種類でのハラスメント対策メッセージを発出するなどですね、これまで、場合によっては、長い間にわたって防衛省が、自衛隊が抱えてきたそういった問題について、いっぺんに解決したいという、そういう思いがあってですね、場合によっては厳しく、内局も含めて指導してきたつもりであります。その結果、今回いっぺんにそういう長い間に渡る課題が噴出してきたと、それで、このタイミングで公表ということになったというふうに私は理解をしております。したがって、私自身、防衛大臣としての給与の1か月分を自主返納することといたしましたが、それ以上の責任の取り方のことをたぶんおっしゃっているんだと思いますが、それは可能性としては当然あるんだと思いますが、しかしながら、私自身はまだ防衛大臣として残された任期の中で、今私自身が行っている、いわば防衛省・自衛隊のこれまでの長きに渡る悪い慣習であったり、そういった不正の事案などがあるとすればですね、これ以上また、私自身しっかりと調べさせて、今出てきたものがございますが、再発してはならないという強い思いの下、再発防止策、これをしっかりとやることが私の責任であろうと、その責任の延長線上にあるんだろうということから、いったんこの段階では、大臣給与の1か月分自主返納ということにして、引き続き、この大臣としての職責を全うしていく中でですね、当初、着任当時から一貫して変わらない、防衛省・自衛隊のですね、悪い部分があるとすれば、それをしっかりと改革していくという、その思いを任期中しっかりと遂げたいという、そういう思いでございます。

Q:防衛白書の関連で、防衛費についてお伺いします。防衛装備調達コストの円安対策は、一時的な購入見送りということは確かでしょうか。購入、あるいは購入見送りのラインはどのように設けていますか。必須購入の項目や、少し多めに購入したい項目などのカテゴライズはしていますか。

A:いわゆる防衛力整備計画においては、43兆円程度という規模を示しております。その中で、43兆円の中には、当然、人件費であったりという、あるいは装備品の調達であったり、あるいは全国の施設整備費であったり、色々あるわけですが、その中で、実際に円安を伴う為替レートの変動であったり、国内外の全般的な物価上昇などもあって、そういう中で、調達できるものが限られてくるのではないかというのは、先の国会においても多くの指摘を受けたところであります。防衛省・自衛隊としましては、43兆円という金額は、閣議決定をされた金額であり、この定められた金額の範囲内において、必要な防衛力の強化を着実に行っていくこと、このことが、私ども防衛省の役割りであるというふうに考えています。したがって、こういう厳しい状況ではありますが、防衛力整備の一層の効率化・合理化を徹底するとともに、更なる経費の精査や、まとめ買いであるとか、また、長期契約のそういったスケールメリットなどを活かして、価格低減策等の取組を粘り強く行いつつ、防衛力整備計画等に基づいた防衛力の抜本的強化を達成すべく努めるということになります。

Q:与那国島への映像監視装置の設置についてお伺いします。宇良部岳という山にですね、来年3月をめどに、自衛隊が映像監視装置を設置するという話がありますが、これはいわゆる台湾有事などを念頭に置いたものなのか、設置の目的についてお伺いします。また、設置について、与那国町への説明は既に行っているかどうかもあわせてお伺いします。

A:与那国島宇良部岳の件でございますね。我が国を取り巻く安全保障環境が厳しいということは、常々申し上げているところです。我が国の南西方面の警戒監視体制を一層強化する必要があると考えております。与那国島の宇良部岳に映像監視装置を設置するための調整を進めているというのは事実でございまして、しかしながら、その時期を含め、現時点で何ら決まったものはありません。その上で、本件につきましては、令和元年の8月以降、与那国町に対する御説明を行ってきているところでありまして、防衛省としては、引き続き、そういった丁寧な御説明や適切な情報提供を、自治体に対して努めていきたいというふうに考えております。

Q:不祥事の話にちょっと戻ります。岸田政権は、これまで防衛力の抜本的強化を進めて、今後増税も予定されております。そうした中で、このような一連の不祥事が起きると、国民感情の面からですね、防衛力の強化の流れに影響しかねないかと思いますけれども、その点、大臣の懸念というのはいかがでしょうか。

A:繰り返しの部分もちょっとありますが、防衛省・自衛隊の活動というのは、国民の皆様の信頼があってのものであります。今回公表しましたいずれの事案も、国民の信頼を裏切る、あってはならないものでございます。再発防止策を徹底し、二度とこうしたことが起きないようにすること、そして、防衛省・自衛隊一丸となって取り組み、その失った信頼を取り戻していきたい、そういう思いで、今おります。我が国を取り巻く安全保障環境というのに目を向けると、力による一方的な現状変更の試みや、その深刻化というものは、北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射など、戦後最も厳しく複雑な環境に直面しているというふうにいえます。その中で、国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜かなければいけないというのは、これはもう、ある意味、こういう不祥事があったからといって変わるものではありません。また、政府の最も重要な責務というものにも変化はありません。したがって、国民の皆様からの負託に引き続き、こたえていくということ、国家防衛戦略等により定められた防衛力の抜本的な強化について引き続き、丁寧な説明を尽くして、そして着実に実現していく必要があると、そういう考えであります。

Q:中国外務省の副報道局長が11日の記者会見で、海自護衛艦「すずつき」が中国の領海に一時侵入していたと発表しました。日本側は技術的なミスだったと中国側に説明しているとのことですが、事実関係や防衛省・自衛隊内で調査を進めているか教えてください。

A: 防衛省・自衛隊は、平素から、我が国周辺海空域において警戒監視活動をはじめとした様々な活動を行っているところですが、お尋ねの内容については、自衛隊の正に運用に関する事柄でありますので、お答えは差し控えさせていただきます。

Q:特定秘密漏えいの関係に戻りますが、特定秘密保護法が施行されてちょうど10年ほどになりますが、それ以前もこういう秘匿性の高い情報については日米で機密保護法とかで、ある意味保全に厳格にやっていたと思うのですが、いわゆる特定秘密保護法の施行に伴うことが今回の遵法意識の低下につながった可能性があるのか、現時点での認識をお伺いしたいのですが。

A:御質問にもあったように、特定秘密保護法が成立する前後においてですね、何か私どものいわゆる秘密に関する考え方が変わったということはございません。特定秘密保護法という法律ができましたので、今度はその法令に則って刑事罰などもそれによって規定されたわけでありますから、今度はその法律に従っていくということであって、秘密自体に対しての基本的な考え方や認識に違いはありません。以前から同じような意識の下で秘密というのはしっかりと我々の中で取り扱いを行うということになります。

Q:現時点で法律が変わったから、それに伴って何かこう周知徹底が遅れているとか、そういった影響とかについては、今のところは認識というか、そういったことはないということでしょうか。

A:おっしゃるように、法律ができる前後によって秘密に関する我々の意識というのが変わっているわけではありません。その後の漏えい後のですね、処分などについては、若干変わってきておりますが。

Q: 一連の不祥事のことで、今日まとめて発表、大臣もさっき一遍にお話しがありましたけれども、なんでこの時期にまとめての発表という形をとられたのかということをお伺いしたいと思います。というのが、多分この事案全部ばらばらですので、多分発表できるレベルに事実が確定した時期というのは違うのではないかと思うんですね、それぞれが確定した時期に速やかに発表されるという考え方もあったと思うんです。特に、例えば国会中にこれらの事案が明らかになったら、防衛省非常に厳しい対応を迫られたと思うんですが、それをなぜ通常国会終了後のこの時期にまとめてというふうに御判断をされたのか。それと関連でもう一つだけ、特に潜水手当の不正受給ですけれども、これに関しては、今年度の予算でですね、潜水艦の乗組員の処遇改善とかということもあったと思いますし、真向から反するような話だと思うんですね。処遇改善の手当を増やしたら、そこが不正受給されていたと、ここの点については大臣どのように思っていらっしゃるか。その2点お願いします。

A:まず、防衛省・自衛隊において、これまでもそうですが、何らかのそういった規定違反であるとか、あるいは不法行為だとか、そういったことが発覚した場合にはその事実関係と調査を始めて、そして内容が整った段階で公表するということになっております。本日公表した事案についても、それぞれの事案、それぞれ種類が違いますけれども、事案の発覚後に開始された調査の中で慎重に事実関係というものを確認をしてまいりました。例えば特定秘密漏えい事案等については、多数の事案を認知する中で、漏えいの部分であったり、漏えいが生じた背景、要因といった事実関係を一つ一つを丁寧にかつ可及的速やかに解決する必要がありました。その上で、今般調査結果と再発防止策の策定を終えて、政府部内の調整、これも必要ですから、政府部内の調整が整ったことから、公表することといたしました。海上自衛隊の潜水手当不正受給事案、また不正喫食事案につきましては、多数の部隊で同様の規律違反というものが確認されたこともあり、調査終了後、速やかに懲戒処分等を実施し、部内の規律を維持するという必要がございました。このように、それぞれの事案について必要な調査が終了したということ、そして事案の全容が解明できたものについて、これを迅速にやらなければならないものもあった、当事者、関係者への必要な処分というのを迅速に行い、そして今、ちょうど人事の時期というのもあります。様々なそういったことを考慮して公表することとしました。公表時期をこの時期として選定したということであります。

Q:潜水艦の不正受給の件で、今年度の予算で、これを手厚くするということが行われたばかりで、その後にこの不正受給というものが公表されたということについてはどうお考えでしょうか。

A:防衛力の抜本的強化というのを今進めております。当然、私の問題意識の中でですね、いくつもの課題がありますが、その中の一つが自衛隊の募集の問題があります。募集の問題を、厳しいこの環境の中で改善するには、処遇の改善等は行っていかなければいけません。そして、自衛隊という職業もですね、魅力のあるものとしなければいけないということ、厳しい職種になればなるほど、やはり手当というものも必要になります。そういう中の一環として、その潜水士の手当というものも勘案させていただいたところですが、今回こういった事案が発覚したことは、大変遺憾に思います。防衛予算については、その執行に当たってはこれまで以上に厳格に行っていくということ、このことをさらに重要視し、今後ですね万一また国民の疑惑や不信を招くような行為があってはならないので、そのような中で再発が起こらないように努めていく考えでいます。

Q:昨年12月と今年5月に発生した、米兵が起訴された性的暴行事件について伺います。防衛省は、外務省からも米軍からも情報を得られず、事件が公になった日に把握したと明らかにされています。防衛省が把握できなかったことで、見舞金など、補償の業務や被害者のケア、または米軍への抗議・要請など、防衛省の対応に遅れや支障が生じたと考えていますでしょうか。

A:被害者への対応につきましては、被害者のプライバシーの保護の観点から、個別具体的に申し上げることというのは、それぞれの事案によって異なっていくわけであります。防衛省としましても、被害者の方々や、その家族の心情というものに配慮しながら、警察や米側と緊密に連携して、適切に対応してまいりました。その対応というのは、今後とも変わらないと思います。米側への対応につきましては、まずは外務省が、捜査当局からの情報提供を踏まえて、米側との意思疎通を開始しているというふうに承知をしておりまして、政府として、日米間で適切にやり取りを行っていたところであります。その上で、防衛省としても、捜査当局から事案の概要が公にされたということも受けて、米側に対し、遺憾の意を伝えるとともに、綱紀粛正、また、再発防止の徹底を図るよう申し入れをしております。これまでも累次に申し上げてきたところですが、米軍人等による事件・事故というものは、地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、あってはならないものです。今後とも米側に対して、様々な機会を捉え、防衛省として、事故・事件防止の徹底というものを求めていく考えであります。

Q:米軍のオスプレイの配備に関して伺います。米軍岩国基地に、米海軍のCMV-22オスプレイと、ステルス戦闘機F-35Cが新たに配備される方針との報道がありますが、これに関して事実関係をお願いします。また、地元への説明の状況についても、あわせてお聞かせください。

A:岩国飛行場でありますけれども、米海軍の第5空母航空団に関する態勢の更新について連絡が来ておりますが、今、お話があったような具体的な機種も含め、その詳細については、現在米側に確認中であります。準備ができ次第、速やかに関係自治体等に対して御説明をさせていただきたいというふうに考えております。

Q:特定秘密について何点かお伺いします。先ほど大臣は、海自が組織全体で特定秘密保護法の理解が足りなかったと。誤った認識を持っていたと述べられましたが、法律の解釈上、特定秘密を知り得る状態に置くことが漏えいと評価されることについて、防衛省内部部局は知っていたのか。知っていたならば、なぜ海自の現場と漏えいに当たることを共有しなかったのか教えてください。

A:まず、特定秘密が情報に晒されていることは、それが違法に当たるということはもちろん、これは知っておりました。それをなぜ改善しなかったのか、というのは正にこれは、特定秘密の種類であるとかですね、あるいは、その特定秘密のそのものがどういう状態で開示をされているか、その場所であったり、その全体の部屋であったり、空間であったりというものが、それによって異なると思いますので、それぞれ関係部隊、あるいは内局においてもですね、それは特定秘密に触れることができる者のみがアプローチできるようにしなければいけないということ、そのことを徹底しております。しかしながら、今回こういう事案が発生したということになります。それぞれによって対応が異なる中で、従って、こういう事案が発生したということは、よりきめ細かくですね、指示をしなければいけないというふうに考えております。こういう時にはこういうふうにしなさい。こういう時にはこういうふうにしなさい。個別具体的な状況によって対応が異なるものですから、それはある意味、部隊に任せていた部分があると思いますが、しかし、それも徹底的に、特定秘密に触れることができない者が決して目にすることが無いような、そういう仕組み、先ほど申し上げたシステムを導入するとか、ということも踏まえて今後対策を講じてまいる、そういうふうに考えています。

Q:確認ですが、海自の現場に対してですね、防衛省の方から漏えいに当たりますよと、漏えいに当たるという注意喚起はされなかったんですか。

A:いつの時点でですか。

Q:別にいつでも結構なんですけれども。要するに法律の施行後にですね、特定秘密を知り得る状態に置くことが漏えいと評価されるということを、海自の現場の部隊に防衛省の方から注意喚起はされなかったのかということをお伺いしています。

A:いわゆる法律の解釈というのは、防衛省としては当然分かっております。こういうことはやってはいけないことだと、こういうことは許されるということは当然防衛省としては分かっていて、そのことを各機関に周知をしております。それは当然できているものだと、いうふうに我々は思っているところができていなかった。つまり、海上自衛隊において、教育の徹底が不十分だったというふうに言わざるを得ません。従って今回、教育の徹底を図るとともに、それでも中々、先ほど言った現場の状況ですね、狭い潜水艦や護衛艦の中でそういった峻別をしなければいけないという時には、システムの導入によって解決する。そういったことも含めてですね、今後の対策をとっていくということになります。

Q:関連してお伺いします。海自では適性評価を受ける者は必要最小限という法律解釈に基づいて特定秘密を直接取り扱うものに限定して、適性評価を実施していたということですが、この実態については防衛省内部部局は認識をしていたのか教えてください。

A:当然、法令の解釈については認識をしております。

Q:この法令の解釈ではなくて、海上自衛隊は、要するに特定秘密を直接取り扱う隊員に限定して適性評価を受けて、資格を取らせていたということなんですが、この答えについては、防衛省内部部局は知っていたんでしょうか。

A:むしろ、イロハのイの部分だと思います。当然これは知っております。

Q:大臣、それはあの今回の見直しでですね、これまで海自は特定秘密に関する情報を直接取り扱う者に限定して適性評価を実施していたが、艦艇の勤務環境を踏まえた適性評価制度の運用になっていなかったと、なっているんですね。

A:私どもが知っていたかどうかということであれば、私は知っていました。防衛省としては、それは把握をしていたということ。

Q:最後にもう一点よろしいでしょうか。そもそもこの特定秘密保護法が狭い空間において限られた人数で運用する海自の護衛艦の勤務環境の特性に合ってないという指摘もありますが、この点いかがでしょうか。

A:正にその指摘は仰るとおりですね、狭い空間において、例えば私どももですね、特定の秘密に係る情報に触れる場合には、その適正が無い者については部屋の外に出て行ってくれということになる訳ですよね、それは特定秘密を抱えているどの役所も同じような対応をとっていると思います。しかし、それが狭い艦艇の中であったりすると、そもそも部屋の外というのが、そういう概念がですね、それは通路であったり、仕切りがなかったりということで、どうしてもそれは遠くから見ようと思ったら見えてしまうというような状況、つまり遮るものがないとかですね。ということは、狭い空間の中ではあり得ることなんだろうと思います。しかしながら、それが理由としてですね、特定秘密に触れるということがあってはならないし、それは明らかな法令違反ということになりますので、したがってそれを、その対策を講じなければいけません。場合によってはこれぐらいいいだろうとか、思っていたことがあるとしたらですね、それは徹底的に教育をして、ダメなものはダメというふうにしなければいけませんし。しかし、どうしても、見ようと思ったら見えてしまうのであれば、何か見えないような工夫をするであるとか、あるいは見て良い者と見てはいけない者がですね、交錯する中においては、システムを導入するなどして、今そういう見てはいけない者が同じ空間にいるということを自動的に探知するような、そういうシステムを導入するとか、これは私の今の考えでございますけれども、そういったことを狭い空間の中では講じなければ、類似の事案というが起こってしまうというふうに考えます。ですので、早急に体制を再構築しなければいけないと考えます。

Q:防衛白書についてお伺いします。白書には、ハラスメント防止や情報保全の重要性を盛り込んでですね、防衛省・自衛隊のあるべき姿を書いていますが、本日の白書の公表と同じ日に大規模な処分が発表される事態となりました。そのことについての受け止めをお願いします。

A:今日最初の冒頭発言で、防衛白書について説明をさせていただきました。防衛省・自衛隊の取組について、より多くの皆さまの一層の御理解を賜るための一助となるように、本日、防衛白書を公表したところです。今日、公表した理由は、今日閣議決定があったものですから、これは閣議後会見ということで、閣議で決定されたものを報告するというそういう場でもありますから、今日報告をさせていただきました。防衛白書の内容というのは、令和5年度の事象を中心にまとめたものであります。閣議決定じゃなくて、防衛白書は閣議報告ということで今、指摘がありました。失礼しました。しかし、閣議の中で取り扱われた内容を会見の中で発表するのが今日のタイミング、そのタイミングと今回もハラスメント等、あるいは特定秘密漏えいなどの一連の事案の公表と同じタイミングに今日なってしまいました。また、今回の防衛白書では、ハラスメントを一切許容しない環境の構築であるとか、情報保全に関する取組についても、詳しく記述しているところでもあります。正に今日、タイミングが重なったとはいえですね、公表したその日にこのように多くの処分を行う事態になってしまったことは大変、私、残念なことだと思ってます。再発防止策を徹底して、それぞれ事案は異なりますが、それぞれの事案が二度と繰り返すことがないように、防衛省・自衛隊一丸となって取り組み、国民の皆様の信頼回復に努めていく考えです。

Q:先ほど、内局報道官の交代の人事が発表されているんですけれども、本日発表されましたパワーハラスメントの関連とこれは何か関係はあるんでしょうか。教えてください。

A:今、特定の職員の話をされましたが、私がこの場でですね、個々の職員の人事の理由についてお話しするというのは、時間のきりもありませんので、お答えは差し控えたいと思いますので、御理解をお願いします。

 下線部については、以下のように発言すべきものであったため、訂正。
「今般の事案が発生するまで、このような運用を海上自衛隊が行っていることについては、大臣は無論のこと、内部部局も把握していませんでしたが、事案発生後は当然把握しております。」

以上