防衛大臣記者会見

日時
令和6年4月26日(金)09:45~10:12
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見
動画版①
動画版②

1 発表事項

 ○ 私から2点申し上げます。1点目は、私の米国出張についてでございます。5月2日木曜日から4日土曜日までの間、米国ハワイ州を訪問し、日米豪比防衛相会談等を行う予定です。会談では、地域の安全保障環境や共通の課題について認識を共有するとともに、各国との協力強化に向けた具体的な取組について幅広く議論する予定です。本訪問を通じて、ルールに基づく国際秩序と「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた同盟国・同志国の結束を、強く発信していきたいと考えています。

 ○ 2点目ですが、海上自衛隊及び陸上自衛隊で発生した特定秘密漏えい事案についてでございます。海上自衛隊及び陸上自衛隊において、部内における特定秘密の漏えい事案が発生し、本日、その調査結果と処分について公表するため、私から一言申し上げます。詳細については事務方から説明させますが、調査結果を受け、本日、当事者及び関係者の懲戒処分を実施するとともに、陸上自衛隊の事案については警務隊に告発状を提出することとしました。いずれも各部隊の内部における漏えいであり、部外者に対する漏えいは一切確認されていませんが、海自OBに対する特定秘密漏えい事案に続き、このような事案が発生したことについて、極めて深刻に受け止めています。このため、私から、防衛省全体として、類似の事案の有無について調査を行うとともに、防衛副大臣を長とする再発防止検討委員会において、情報保全体制の見直しに向けた検討などを指示しました。我が国防衛を全うするために必要となる秘密情報を保有する防衛省において、こうした事案はあってはならないことです。今般の事案を深刻に受け止め、国民の皆様からの信頼回復に全力を尽くすよう、防衛省全体として、再発防止に全力を尽くしてまいります。

2 質疑応答

Q:北朝鮮軍が22日発射訓練を実施し、「核の引き金」と名付けた指揮統制システムの下で初めて行われたと報じられました。防衛省はこの一連の動きをどのように捉えていますでしょうか。

A:御指摘の北朝鮮の発表に関する報道は承知をしておりますが、その一つ一つにコメントするということはいたしません。その上で、22日の発射については、北朝鮮は少なくとも1発の短距離弾道ミサイルを発射し、発射されたミサイルは、約250km以上飛翔したのち、我が国の排他的経済水域、EEZ外に落下したものと推定していますが、具体的な発射の態様を含め、発射の詳細については、引き続き分析中です。北朝鮮は、核兵器や弾道ミサイル等の増強に集中的に取り組むことで、独自の核抑止力構築や、米韓両軍との紛争における対処能力の向上を企図していると考えられます。北朝鮮は今後も、各種ミサイル発射や核実験などの更なる挑発行為に出る可能性があると考えており、防衛省としては、引き続き、米国・韓国等とも緊密に連携しつつ、必要な情報の収集・分析を行うとともに、警戒監視に全力を挙げてまいります。

Q:特定秘密の漏えい事案についてお尋ねいたします。陸自と海自で共通していますのは、関係者の特定秘密を取り扱う重要性に対する意識の低さだと思います。法律が制定されて以降、防衛省・自衛隊としては、情報保全に取り組んでこられて、特に22年に事案が発覚して以降は再発防止策も講じてきたと思いますけれども、そういう中でこうした事案がまた改めて起きたということを鑑みますと、そもそもこれまでの取組、あるいは再発防止策自体にも問題なり課題があったのではないかと考えるのですが、この辺りはいかがでしょうか。もし、問題、課題がないと思われるのであれば、理由も教えてください。

A:今御指摘のあった海自OBに対する特定秘密漏えい事案というものは、これは部外者に対する漏えい事案であったことから、防衛省としては、副大臣を長とする再発防止委員会を、その当時設置をして、退職した職員との接触に関する規定の厳格化や、職員に対する保全教育の徹底等の措置を講じてきました。これに対して、今般の2事案は、いずれも共通しているのは、各部隊の内部における漏えいでありまして、部外者に対する漏えいであった、かつての海自OBの漏えいの事案とは異なる再発防止策の検討が必要だという、そういう認識をしております。その上で、今般の2事案は、いずれも部外者に対する漏えいは一切確認されておりませんけれども、部隊内における漏えいであったとしても、これは極めて深刻に受け止めるべきものと考えております。このために、まずは適性評価の確認を徹底するための措置や、職員に対する規範意識の徹底といった取組について、既に講じたところではありますが、引き続き保全教育等を通じて定着させてまいります。さらに、我が国防衛を全うするために必要となる秘密情報を保有する防衛省において、こうした事案はあってはならないことですので、こういった認識の下で、私の指示の下で、今後は省全体として、類似の事案の有無について調査を行うとともに、改めて、副大臣を長とする再発防止検討委員会において、この2事案を議題としてですね、この委員会を開催し、より実効的で強力な、新たな再発防止策について検討を行っていく考えです。

Q:もう1点だけお尋ねいたします。今回の事案が起きたことで、国民の間には、防衛省・自衛隊の特定秘密の取り扱い方に対して不信感なり不安を抱く方も少なからずいるのではないかと思うのですけれども、同時に、安全保障上連携を深めている同盟国や同志国の関係者の間でもですね、同様に受け止めている人がでてくるのではないかと推察しております。現場レベルでのやり取りというのは、今回の事案を受けただけでは変わらないのかもしれませんけれども、表面的に変化はないかもしれませんけれども、何かしら影響も少なからず出てくるのではないかなと考えているんですが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。

A:今回の2事案は、内部における漏えいであって、部外者に対する漏えいではなかったとはいえですね、先ほど申し上げましたけども、極めて深刻に受け止めるべきものというふうに考えております。そのための新たな再発防止策をこれから考えていきますが、おっしゃるように、この連休にも、ハワイ州にてですね、日米豪比の防衛相会談行われますが、そういった同盟国・同志国との連携をさらに深め、強化していく上で、こういった問題というものは、やはりあってはならないものだというふうに思っておりますから、その点は重く受け止めながら、再発防止策というのは速やかに、しかも徹底した再発防止策を速やかに講じていきたいという、それに尽きると、それが私の責務であろうというふうに考えております。

Q:嘉手納基地での不発弾処理について伺います。24日午後11時過ぎに沖縄防衛局が広報し、翌日には不発弾の処理が実施されました。交通規制や避難を伴うにもかかわらず、前日午後11時過ぎの発表では、周知期間としては短くないでしょうか。前日の夜の公表となった理由と、併せて大臣の見解を教えてください。

A:嘉手納飛行場内で発見された不発弾については、昨晩25日に米軍において爆破処理作業が行われました。これまでのところ、周辺地域には被害は生じていないとの報告を受けております。今回処理された不発弾でございますが、23日17時頃に、嘉手納飛行場内で米軍の施設工事中に発見をされて、翌日24日の9時頃に、米軍から沖縄防衛局に対する通報があったものです。発見場所は、嘉手納飛行場沿いを走る国道58号や、嘉手納町役場なども所在する住宅地域に近い場所であり、また、不発弾は、雨によって土砂崩れで危険性が高まるおそれがございまして、早急な処理が必要となる状況にありました。地域の安全を第一とした対応が必要不可欠であるとの観点から、避難が必要な世帯数も踏まえつつ、住民避難については嘉手納町、そして交通規制については、沖縄県警において実施可能な最速のタイミングというのを御検討いただいた上で、防衛省、米軍だけではなくて、嘉手納町及び沖縄県警のこの4者で協議をした結果、不発弾処理を25日に実施することとなったものであります。その上で、住民の皆様方にはですね、そういった緊急的な避難の要請という結果につながったことについては、それは大変申し訳なく思っておりますが、これは地域の安全を第一としたものだということで、ぜひ御理解をいただきたいなと思っています。その上で、防衛省において、その検討結果を受けて、直ちに公表の準備に取りかかりました。公表にあたっては、避難地域や交通規制箇所を正確に、分かりやすくお示しするために、嘉手納町や沖縄県警としっかり調整も行った結果として、公表というものはですね、24日の23時頃に行われたものと報告を受けております。今回の不発弾処理にあたっては、周辺住民の避難や交通規制の実施など、防衛省、米軍、嘉手納町及び沖縄県警が緊密に連携して、適切に対応したものと、そのように考えております。

Q:防衛費の関係でお伺いします。令和6年度の防衛費と、それを補完する取組に係る経費、これを合わせてですね、GDP比何%になるか、もし数字がありましたら教えてください。あわせて、政府は令和9年度にGDP比2%という目標を掲げており、今年度は計画の2年目となりますが、現状を踏まえて、今後どのように防衛力の抜本的強化に取り組んでいくか、改めて大臣のお考えをお聞かせください。

A:令和6年度予算における防衛力整備計画対象経費は7.7兆円であります。また、主に関係省庁の予算、防衛省の予算ではない関係省庁の予算が主なものでありますが、補完する取組に係る経費については1.2兆円であります。これらの合計額は、8.9兆円であり、国家安全保障戦略策定時、これは令和4年度の2022年度でありますが、そのGDP比との比較で言うと、約1.6%となります。そして後段の、来年度以降の予算規模等についてでありますが、これは各年度の予算編成過程で議論されていくものであり、予断をもってお答えすることは差し控えますが、防衛力の抜本的強化の着実な実現や総合的な防衛体制の強化に向けて、関係省庁とも連携して取り組んでまいります。

Q:海上自衛隊のヘリコプター事故についてお伺いします。新たに見つかったものがあるかなど、最新の捜索状況と、併せて海洋観測監「しょうなん」の活動予定や米軍機による支援を含めた今後の活動の見通しについて教えてください。

A:海自ヘリ2機の墜落事故に関してでありますが、防衛省・自衛隊としては、引き続き、行方不明の7名と機体の捜索に全力で当たっておりまして、現場付近で海上自衛隊の艦艇が、新たに発見、回収したものとしては、機体上部の一部と推定されるものや、アンテナカバー等を発見し回収をいたしました。そして今後の活動の見通しということですが、以前報告いたしました米軍の支援については、昨日においては、米海軍のP-8、1機が現場海域で捜索を実施しました。米軍の支援に防衛大臣として感謝を申し上げます。それから、海洋観測艦の「しょうなん」の活動予定については、明日以降、海洋観測艦「しょうなん」は、現場海域で機体の捜索を開始する予定であります。引き続き、まだ見つかっていない7名全員を一刻も早く無事救出すべく、防衛省・自衛隊として、海上保安庁や米海軍と連携し、全力で捜索に取り組んでまいります。

Q:墜落事故の関係でお尋ねします。機体の主要部分、これは約5,500メートルの海底に沈んでいる可能性があると言われております。学識者からはですね、それだけ深い深海での機体の捜索の困難さ、また引き揚げの難しさを指摘する声が複数挙がっているわけなんですけれども、今後の捜索、引き揚げのあり方について、改めて大臣どのように進めていかれるのかお考えをお聞かせください。どのようにこの困難さを乗り越えるお考えなのか。

A:まず、非常に海底が深いということは分かっております。海洋観測艦「しょうなん」の能力的にはこの約5,500メートルの捜索というのは可能ということであります。深くなればなるほど、その精度というものがですね、やはり落ちてくるものだと、これは一般論として言えることだろうというふうには思います。そしてそこから見つかった、仮に見つかったという時に、引き揚げを当然これは行っていくことになるわけですが、そこには同様に、深い約5,500メートル、見つかった場所が何メートルかそれは分かりませんが、極めて深いところで見つかった場合には引き揚げというのは困難が伴うということは、それは想像ができるところであろうと思います。民間のサルベージ船などあらゆる手段を活用しながらですね、今後引き揚げる段階がきた暁には、その段階で最善の方法で全力を尽くして引き揚げを行っていきたいというふうに思っております。

Q:関連でお尋ねします。事故発生直後に回収されましたフライトレコーダーについて、当初大臣から機体の異常を示すようなデータは初期段階の調査では見つからなかったという御案内がございましたが、その後の解析調査の状況について既に終了しているのかどうかも含めて教えていただける部分があればお願いします。

A: 引き続き、フライトレコーダーの解析は行っております。そして今御質問のあった、その引き続き行っている段階でも、今の段階において飛行中に機体に異常があったことを示すようなデータは確認をされておりません。そのフライトデータレコーダ、徐々に解析は深まっておりますが、事故調査委員会において他の情報もありますので、聞き取り調査などもありますし、回収された機体の一部などの分析等もございます。そういった様々な情報と併せて、事故原因の分析というのは進めていく所存であります。

Q:もう一点だけ、話題変わりまして、漏洩の関係で一点だけお尋ねします。これから類似事案の調査について進められるという御説明があったんですけれども、場合によっては、その時の発言を録音している方がいるのかもしれないのですが、中々そういった事態も想定難しいんですけれども、どのように裏付けを取っていかれるお考えなんでしょうか。

A:録音とおっしゃいましたか。

Q:例えば、特定秘密を取り扱う人が漏洩をした時の発言内容がきちんと記録されている場合というのは、恐らく中々ないのではないかと思うのですけれども、そういった実際、本来取り扱うべき人ではない人がそれを伝えていたとしても、例えば書類自体を渡していれば、それは非常に証明をしやすいと思うんですが、発言そのもの、例えば演習場で、訓練の前で発言をしていたことというのは恐らく残っていないように思うんですけれども、これを裏付けていくのは相当難しいのではないかと思うのですが。

A:今回の2事案もですね、どうやって表舞台に上がってきたかという、そういう経緯があります。内部の通報なども含めてですね、聞き取りの段階、類似の事案をですね、調査をする段階でそういったことが出てくるかどうかは分かりませんが、そういった類似の事案というのは積極的に調査をしていく、確かにその裏付けとなるようなデータというのはないのかもしれませんが、しかしあらゆる角度からの調査をすることにおいてですね、徹底的に調査をすると、様々な観点から、いろんな角度から調査することでその裏付けというものにたどり着くってこともあるんではないかなと思いますが、一概には中々言えない状況ですが。

Q:先程、防衛費と関連する経費を併せて1.6%という数字の御紹介がありましたが、先日も防衛力強化の加速の実現本部も開催されてましたが、防衛省として、今防衛費を大幅に増加した上で、事業の進捗管理だったりというのは順調に進んでるのかどうか、大臣としてどのように受け止めておられるか教えてください。

A:防衛力整備計画は5年計画の中の令和6年度は2年目に当たる訳ですが、1年目も陸海空自衛隊、そして内部部局含めてですね、相当努力を各部署でやっていただいた結果ですね、私は予算の執行、調達というのは順調に進んでいるものというふうに、私はそういう感想を持っております。

Q:関連なんですけども、大臣、3文書作成時、与党のチームにいたのでよく御存じだと思うんですけれど、先程も令和4年度とのGDP比の比較で1.6%ということで、他国とか当該年度で比較するのが国際的なスタダードかなと思うんですけれども、日本の場合は、色々財務省なり色んな政府内部局の調整でGDP比の比較が令和4年度との比較っていうことになっていますけれども、この辺りは大臣どのようにお考えですか。見かけ上増えているようには見えるけど、実際他国と比較する場合だと、ちょっと基準が違ってるということに対して大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:今は私は防衛大臣として政府の立場でありますから、あくまでも防衛力整備計画を始め、3文書に基づいて、その目標に向けてやっていくということに尽きます。

Q:昨日、小野寺衆議院議員をトップにする自民党の議員連盟が防衛産業と装備移転強化に向けた国家戦略を策定するように、岸田首相に提言を提出されたんですけれども、防衛省として、戦略を策定する必要性についてどのようにお考えか教えてください。

A:提言を総理官邸に持っていかれたということは承知しております。私の方にもですね、その提言は届いています。防衛大臣室の方に持ってきていただいております。そのいわゆる戦略といわれるものですが、今その構想といわれるものは既にあるわけですが、それを戦略に格上げするかどうかという話になるかと思いますが、提言というのは、これは重く受け止めながらですね、そして今の段階では何ができるかということを考えていかなければいけないなというふうに思います。

以上