防衛大臣臨時記者会見

日時
令和6年3月31日(日)12:14~12:20
場所
陸上自衛隊久里浜駐屯地本館1階
備考
陸上自衛隊システム通信・サイバー学校への改編行事後の木原防衛大臣臨時会見

1 発表事項

歴史と伝統ある陸上自衛隊通信学校が、陸上自衛隊システム通信・サイバー学校に改編をされ、新たな歴史の幕が開けたところです。今や、サイバー空間は平素から国家間の競争の場となっています。多くの人が気づかない間に状況が変化し、それが外交安全保障において、有利・不利を決定づける可能性も否定ができません。また、自衛隊の様々な活動もサイバー空間に依存しており、サイバーセキュリティなくして自衛隊の優勢は確保ができない状況となっています。こうした状況に対応するために、我が国の防衛に万全を期すために、防衛力整備計画では、サイバー専門部隊の約4千人体制への拡充など、サイバー防衛能力の強化を掲げています。そのような中、サイバー人材育成の中核を担うことになる学校の改編というのには大きな意義がございまして、次世代のサイバー要員を育む、その大きな第一歩となります。今回の改編では、隊員のサイバー教育を担うサイバー教育部の新設、サイバー教育のための施設や機材の充実、そしてサイバー教育の養成者数の拡充など、サイバー教育体制の強化を行うこととしております。ここ横須賀には、本校のほかにも、防衛大学校や、また、高等工科学校など、自衛隊の教育機関が複数所在をしており、自衛隊のサイバー人材育成の重要拠点となっているほか、専門的知見を有する民間の方々も多くいらっしゃいます。こうした土地柄を生かして官民の連携を深め、サイバー防衛能力の強化につなげていきたいと、そのように考えております。

2 質疑応答

Q:こちら横須賀には、先ほど正におっしゃったように、多くのサイバー関連育成機関が整っています。それにおいて、自衛隊のサイバー要員育成で、官民の協力はどうあるべきか、そのお考えがありましたらお聞かせください。

A:先ほど申し上げましたけれども、防衛大学校と高等工科学校、そして海上自衛隊にもですね、第二術科学校がございますので、そういった自衛隊の教育機関が複数所在をしているということ、そのことから、自衛隊のサイバー人材を育成する上で、横須賀というのは重要な拠点であろうかと思っています。そして、サイバー人材の確保・育成を進める上で、自衛隊の学校で行う教育はもちろん重要ですが、御指摘の民間の方との協力も重要な手法の1つというふうに考えています。そこで、防衛省・自衛隊は、これまでも、部外の教育機関の活用をしたり、あるいは部内で行う教育での部外から講師を呼び、活用したりと、そういうことを既に推し進めておりまして、これまでも民間の方との連携を深めてまいりました。引き続き、横須賀市に所在するサイバー関連の機関を含めて、専門的知見を有する部外の機関との連携を深めるなど、取り得る手段は全て取るということによって、サイバー防衛能力を強化しなければいけない、そういうふうに考えております。

Q:自衛隊・防衛省がサイバー防衛の強化を急ぐ一方で、能動的サイバー防御の法整備については、まだ国会での審議の見通しが立っておりません。大臣に改めてこうした現状の認識と、改めて重要性をお伺いいたします。

A:まず能動的サイバー防御、その重要性について申し上げると、サイバー空間においては、自由なアクセスやその活用を妨げるリスクというものが深刻化しており、攻撃者側が優位にあるサイバー攻撃の脅威は急速に高まっています。また、重要インフラの機能停止や破壊、機微情報の窃取等を目的とするとみられるですね、サイバー攻撃は、国家を背景とした形でも平素から行われております。軍事と非軍事、そして有事と平時のその境目というものが曖昧になってきております。ハイブリッド戦が展開をされるようになりました。また、グレーゾーン事態が恒常的に生起している現在の安全保障環境においては、サイバー空間においても、政府横断的な政策を進めて、我が国の国益を隙間なく守るということが必要であります。このような近年のサイバー空間における厳しい情勢を踏まえ、国家安全保障戦略においては、武力攻撃に至らないものの、安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃を可能な限り未然に排除し、発生してしまった場合には、その被害の拡大をですね、防止する、最小化する、そのために能動的サイバー防御を導入する旨が、記述をされました。我が国のサイバー対応能力を向上させることは、現在の安全保障環境に鑑みると、ますます急を要する課題にありまして、可能な限り早期にその法案をお示しできるように、内閣官房を中心にではありますけれども、政府全体として検討を加速していると、そのように承知をしております。そのため、現時点では具体的な取組内容が決定しているものではありませんが、防衛省・自衛隊としても、自らのサイバー防衛能力の強化の取組を通じて、このような政府の取組に積極的に貢献をしていく所存です。

以上