防衛大臣記者会見

日時
令和6年3月29日(金)08:52~09:02
場所
国会議事堂本館内閣議室前
備考
木原防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

なし。

2 質疑応答

Q:トマホークの教育訓練について伺います。25日から本日まで、米海軍による海自隊員を対象とした教育訓練が実施されていますが、この訓練の意義と今後の見通しについて教えてください。

A:意義と見通しということですが、防衛省・自衛隊としては、我が国への侵攻部隊を早期に、そして遠方で阻止・排除するために、スタンド・オフ防衛能力を強化することとしております。このため、トマホークについては、今月の25日から米軍の横須賀基地において、海上自衛官等に対する要員養成講習が行われています。この講習は、米海軍からトマホークの運用に必要な知識に関する教育を受けるものでありまして、今後も2か月毎の教育を行う旨、駐日米国大使のですね、ラーム・エマニュエル閣下から発表があったということを承知しております。米側による今般の講習の実施や今後の講習の継続について、我が国のトマホーク要員養成を前に進めるものとして歓迎をしているところです。今後の見通しということですが、今回の講習に加えて、1月に締結したLOAに基づいて、米側から、より高度なトマホークの運用に係る要員養成のための教育を受けることとなっておりまして、令和7年度、2025年度からのトマホークの取得に間に合うように要員養成を進めてまいる所存です。

Q:昨日成立した来年度予算についてお伺いします。防衛省予算ではイージス・システム搭載艦の取得経費を計上していると思いますけれども、当初の計画より額が上昇していることについての所感を改めてお願いします。また、いわゆるライフサイクルコストについてですね、今金額が示せるようであればお願いします。

A:昨日来年度予算が成立をしました。来年度予算につきましては、今御指摘のイージス・システム搭載艦の取得経費3,731億円を計上しておりまして、令和5年度予算と合わせると、合計して約5,900億円となります。防衛力整備計画の段階においては、この取得経費を約0.4兆円としていたところ、当時との差額は、したがって約0.2兆円程度となっております。この差額についてですけれども、防衛力整備計画策定の時点というのは令和4年の12月でございましたけれども、それからですね、4つほど要因が生じたと思っておりまして、1つ目は艦船の設計進捗による船体建造費の精緻化であります。より精緻にやっていくと、そういう上振れのようなものがあったと。それから円安に伴う為替レートの変動もございました。それから3つ目は、国内外の物価の上昇、もうこれも全産業において言われているところです。それから4つ目としては、米国との協議の進捗に伴うシステム・インテグレーションに係る内容・経費の精緻化をしている段階でのそういった上振れ、そういった4つの要因があったということでございます。防衛省としては、今回お認めいただいた予算を基にですね、高度化する弾道ミサイル等の脅威から我が国を防護することを主眼とするイージス・システム搭載艦の整備をしっかりと進めていくことが何より重要であるというふうに考えます。それからですね、令和6年度の予算案を編成するに当たりまして、そのイージス・システム搭載艦の取得経費の予算案への計上の前提としてはですね、実効的なプロジェクト管理体制の構築を図るとされたところ、この徹底が重要であると考えております。引き続き、日米の関係者間で情報共有と調整を緊密に実施するとともに、私としても、これからが大事ですので、防衛力抜本的強化実現推進本部という省内の本部、これは私が本部長を務めておりますが、その会議の下で、事業の進捗状況、あるいはリスク等を管理していく所存であります。ライフサイクルコストにつきましては、積算に当たって、鋭意米国等との調整を継続して、防衛省として説明責任を果たせるように、精緻な金額の積算を進めているところでありまして、遅くとも艦艇建造の初年度となる令和6年度中には、ライフサイクルコストをお示しできるように、鋭意調整・作業を進めてまいります。

Q:平和安全法制についてお伺いします。本日、施行から8年を迎えますが、法律の意義とこれまでの成果、今後の課題などあればお願いします。

A:3月29日で8年という平和安全法制ですけれども、いかなる事態においても国民の命や平和な暮らしというものを守り抜くことは、防衛省を含めた政府全体の大変重たい責任でございます。ですから8年前ですか、2015年にですね、成立した平和安全法制、それ以降、日米同盟はかつてないほど強固なものとなりました。また抑止力・対処力も向上したと考えております。地域の平和と安定にも寄与するとともに、国際社会の平和と安定により積極的に貢献できるようになったと思っています。また、法律施行後、平和安全法制に基づく任務の実績は一つ一つ積み重なっています。これからも二国間や多国間を含めて、平和安全法制に基づく新たな任務に係る訓練を実施することによって、自衛隊の任務遂行能力の向上と、関係各国との連携強化に努めていきたいというふうに考えています。これは政府全体としても、引き続き、平和安全法制を効果的に運用して、いかなる事態にも国民の命と平和な暮らしを守るべく、緊張感を持って対応に万全を期してまいる所存です。

Q:来年度予算についてお伺いします。予算の中には、沖縄での自衛隊訓練場整備計画に向けた土地取得費も計上されていると思いますが、訓練場整備に向けたうるま市石川のゴルフ場跡地取得に対する現在の大臣のお考え、防衛省内での検討状況を教えてください。

A:沖縄県のうるま市における陸上自衛隊の訓練場の整備につきましては、これまでもやり取りを何度かさせていただいておりますが、地元から厳しい御意見をいただいているというふうに認識しておりまして、防衛省としてはそういった様々な御意見をしっかりと受け止めなければならないというふうに考えています。その上で、この事業につきましては、現時点において、昨日お認めいただいた、その土地取得も含めて、計画を白紙にするとの考えはありませんが、現在、住民生活との関係を重視するとの観点から、取得後の土地の利用の在り方については、改めて検討を行っているところです。検討の具体的な状況については、まだお答えできる段階にありませんが、様々な方面からいただいている御意見というのを現在の検討作業の中には、当然盛り込んでいくということになります。しっかりと幅広く検討を今進めておりますが、結論を得られた段階で、地元の皆様に対して丁寧に説明していく必要があるというふうに考えております。

Q:石川県の馳知事が小松空港第二滑走路の整備について、事実上断念する方向であるとの報道があります。防衛省としては、第二滑走路の整備を想定していた用地で新たな施設整備を計画していると思いますが、大臣の受け止めを聞かせてください。

A:馳知事に関する報道というのは、防衛省としてはまだ承知をしておりませんが、馳知事とはですね、昨年12月に防衛省にお出でになりましてですね、そして小松飛行場第二滑走路の整備に係る御要望をいただきました。その際、私からは、防衛省として第二滑走路については、自衛隊施設の強靱化の観点から、小松飛行場西側の防衛省用地の取扱いが大きな課題となること等によって、慎重な検討が必要であるということを申し上げたところであります。その馳知事のコメントを存じ上げないものですから、現時点で、防衛省としてその点についてコメントするということはなかなか難しいこととなります。

以上