防衛大臣記者会見

日時
令和5年3月22日(水)08:55~09:06
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見
動画版

1 発表事項

 なし

2 質疑応答

Q:今日の閣議で、吉田陸幕長の統幕長就任が決まったかと思います。防衛大学校卒業者以外からの統幕長就任は初めてだと思いますが、統幕長を含めですね、今回の人事の狙いについてお願いします。また、吉田新統幕長にはどのような期待をされているかお願いします。

A:統合幕僚長については、一般大学出身者が着任したことはありませんが、人事については適材適所で行っており、出身大学に基づき登用しているものではありません。なお、個々の人事の理由についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。その上で、今回の将官人事は、戦後、最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、様々な事象に適切に対応するとともに、例えば、統合運用の実効性の強化など防衛力の抜本的強化に向けた取組を推進するという観点から行いました。新たに統合幕僚長に着任する吉田陸将には、これまで培った見識や経験を活かし、最上位にある自衛官としてリーダーシップを発揮して、職務に精励されることを期待をしているところであります。

Q:アメリカのエマニュエル大使に対してですね、日米同盟の強化が沖縄にとって基地負担の増大につながっているということについて、見解を伺ったところ、それは負担ではなく、自由で開かれたインド太平洋地域を守るための責任だとの考え方を示されました。沖縄の基地負担についての大臣の考え方を改めて伺いたいということと、大使の負担ではなく責任であるという考え方についての御見解を教えてください。

A:安全保障上極めて重要な位置にある沖縄に米軍が駐留することは、日米同盟の抑止力・対処力を構成する重要な要素であり、現在の安全保障環境では、その重要性は更に増していると考えております。御指摘のエマニュエル大使の発言は、こうした現在の安全保障環境における、日米同盟と沖縄における米軍の駐留の重要性を述べられたものだと考えております。その上で、沖縄には大きな基地負担を負っていただいており、現在の厳しい安全保障環境にあっても、日米同盟の強化と同時に、沖縄の基地負担軽減の観点から、米軍基地の整理・縮小等を進めていくことが重要であると考えております。本年1月のですね、日米「2+2」においても、米側との間で、在日米軍再編の着実な実施や、地元への影響を軽減することの重要性を再確認しているところであります。引き続き、日米間で合意されている嘉手納以南の土地の返還や、米海兵隊のグアム移転などの計画を推し進め、目に見える成果を、一つずつ着実に積み上げていくことが重要だと考えております。

Q:岸田総理がウクライナを訪問しましたけれども、これについての受け止めとですね、今後、ウクライナへの協力や支援について、改めてお考えをお願いします。

A: 昨日、岸田総理がウクライナを訪問して、キーウにてゼレンスキー・ウクライナ大統領との首脳会談を行ったと承知をしております。ロシアによるウクライナ侵略は、明らかにウクライナの主権及び領土一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法と国連憲章の深刻な違反であります。このような力による一方的な現状変更は、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、断じて認められません。防衛省・自衛隊としても、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意であり、引き続き最大限の支援を行っていきたいというふうに思っております。

Q:関連でお伺いします。昨日、総理がゼレンスキー大統領との共同記者会見の中でNATOの信託基金を通じた殺傷性のない装備品の支援というのを表明されました。防衛省として何か関与していく予定があれば教えてください。

A:ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を脅かすものであり断じて認められません。我が国としても、平和秩序を守り抜くため、国際社会と結束し、断固たる決意で対応してきております。防衛省はこれまで、自衛隊法に基づいて、防衛装備移転三原則の下、防弾チョッキ、防護マスク、防護衣、小型のドローン、民生車両といった非殺傷の装備品等を提供してきております。防衛省・自衛隊としてはウクライナに寄り添い、できる限りの支援を行っていきたいと考えており、今般の首脳会談の結果も踏まえ、政府としての検討に参画してまいりたいと考えております。

Q:総理のウクライナ訪問の関連でお伺いします。当初予定されていたインドまでは、航空自衛隊が政府専用機を運航したと承知しております。インドから先、ポーランド、ウクライナへの輸送や警護に関して防衛省・自衛隊の関与はなかったのかをお伺いします。また、関連してポーランドやウクライナなど、関係各国の軍などに対してですね、防衛省・自衛隊から何か今回のことで協力を求めたことはありますでしょうか。

A:今回の総理のウクライナ訪問に当たってはですね、防衛省・自衛隊として御指摘のような関与は行っておりません。

Q:反撃能力について、お伺いさせてください。これまで大臣、国会答弁で「相手方のミサイルの発射、特に第一撃を事前に察知して、その攻撃を阻止することが難しくなっている」というふうに説明しつつ、「他国が我が国に対して武力攻撃を着手したときが武力攻撃の発生だとして、反撃能力の行使が可能」だと説明されています。着手段階の武力攻撃に際して、客観的な事実認定が可能か、大臣の考えを教えていただきますでしょうか。

A:政府は、従来から、どの時点で武力攻撃の着手があったとみるべきかについてはですね、その時点の国際情勢、そして相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるものであり、我が国として、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、その持ち得るすべての情報を総合して客観的、合理的に判断することとしており、この考え方にしたがってですね、判断を行ってまいりたいと考えているところであります。

Q:関連してお伺いします。参院での予算審議も実質、あと1週間程度かと思います。今国会で反撃能力の行使というのは非常に大きな問題、一番大きな課題だったと思いますが、国民に対する説明として大臣は、国民が今回の反撃能力、理解できるような説明がされているとお考えでしょうか、どういうふうにお考えか教えていただけますか。

A:我々、あくまでもこの反撃能力の行使との関係についてはですね、今申し上げた点が一番大きなところだと思っておりますが、その点については何度も御説明を申し上げたところであります。その上でですね、反撃能力を保有したということに関してはですね、この後も別にこれが変わるわけではなくですね、武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃する先制攻撃は許されておりませんし、それを行うことはないというまでもありません。我が国の武力の行使についてはですね、事態対処法の手続きに則って、対処基本方針を閣議決定し、国会の承認を求めるなど、国会の関与を得て運用されるものですが、こうした手続きも含め、反撃能力を含む我が国の武力行使については、慎重に判断するものと考えておるところであります。

Q:元陸上自衛官の五ノ井里奈さんの性被害の件で、先週の17日、福島地方検察庁が、元隊員の3人を強制わいせつ罪で在宅起訴しました。この検察が起訴したことについて、大臣の受け止めをお願いします。

A:防衛省は、本件事案に関する調査の結果、セクシュアル・ハラスメントが確認されたため、昨年12月、5名の陸上自衛官をセクハラを行ったとして免職の懲戒処分を行いました。そのうち3名が、3月17日、福島地方検察庁により強制わいせつ罪で起訴されたものと承知をしております。いずれにしても、ハラスメントは、隊員相互の信頼関係を失墜させ、組織の根幹を揺るがす決してあってはならないものであるとの認識の下、ハラスメント防止対策に関する有識者会議の検討結果を踏まえた新たな対策を確立し、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築するよう努めてまいりたいと考えております。

以上