防衛大臣記者会見

日時
令和5年3月10日(金)10:12~10:27
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見
動画版

1 発表事項

 なし

2 質疑応答

Q:先日結果が公表された自衛隊や防衛問題に関する世論調査結果についてお伺いします。自衛隊の規模についてですね、増強した方がよいというふうな回答が、同じような質問では過去最多となる41.5%に上っています。一方でですね、その、今の程度でよいという現状維持の回答も53%ということで、全体の半数を超えてるんですけども、改めて先般の3文書の策定など含めてですね、国民への説明が十分だったというふうにお考えかという点についてお伺いしたいのとですね、あと、同じ調査で、別の質問なんですけれども、自衛隊に期待する役割ということでですね、住民避難を含めた国民保護に期待するという回答が77.7%と比較的高い割合でありました。一方で、武力攻撃の排除というものが自衛隊の主任務になると思いますので、実際の住民避難とか、国民保護の関連とかあくまで限定的な面もあると思うんですけれども、こういった期待に応えるために、今後、どういうふうに取り組んでいくか大臣のお考えをお願いします。

A:御指摘のですね、世論調査では、自衛隊の規模について、これまでと調査方法が異なるため単純比較はできないものの、「増強した方がよい」が前回よりも増加し過去最高の割合となり、「今の程度でよい」が前回よりも減少したと承知しております。これは、自衛隊の様々な活動に加え、国民の皆様の中で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しているとの認識が広まり、自衛隊の各種任務に対する期待が高まっていることなどが背景要因として影響したのではないかと考えております。昨年末に3文書が公表されたことも踏まえ、厳しい安全保障環境や、自衛隊の現状、そして、今後整備していく防衛力の内容について、説明・発信の機会をこれまで以上に増やせるように工夫していく必要があると考えております。また、自衛隊の役割について、日本が攻撃を受けた時の国民の保護を期待している方が77.7%という高い数値であったと承知をしております。防衛省・自衛隊としては、警察、消防といった関係省庁と連携をしつつ、住民避難の支援等の措置を実施することになりますが、自衛隊の各種輸送アセットの利用などについても検討し、国民保護の実効性を高める取組を実施することで、国民の皆様の期待に応えられるよう努めてまいりたいと考えております。

Q:16日に予定されている、石垣駐屯地の開設について、その後の22日に住民説明会を実施すると石垣市が発表されたんですけども、住民説明会の実施の意義について、どう捉えているかということと、また、今後、沖縄県内の各施設で、部隊の改編や装備品の増強などがある場合には、改めて住民説明会を開くお考えか、教えてください。

A:石垣駐屯地の開設にあたってはですね、3月22日に、石垣市、沖縄防衛局及び石垣駐屯地が協力して、石垣市民を対象にですね、石垣駐屯地開設説明会を実施する予定であります。この説明会においては、防衛省側から、駐屯地の施設や自衛隊の活動概要について説明をさせていただく予定であり、石垣市民の皆様に、石垣駐屯地への理解を深めていただく機会としていただきたいと考えております。その上で、今後の部隊の改編等に際しては、必ずしも説明会の実施が前提となるわけではなく、個々の案件に応じて、関係自治体と調整を行いながらですね、様々な形で情報提供させていただきたいと考えております。

Q:トマホークについてお伺いします。浜田大臣が、6日の参院予算委員会で「トマホークは反撃能力を保有するために取得するわけではなく、スタンドオフ防衛能力として整備されるもの」と答弁されましたが、この答弁の趣旨をお伺いしたいでんすけれども、これはいわゆるトマホークは対艦艇などに使用するのが目的で、相手国領域内の軍事拠点をたたくとか、対地上目標に向けた能力としては行使する予定はないという、そういう趣旨なんでしょうか。

A:国家防衛戦略等においてはですね、我が国に侵攻してくる艦艇や上陸部隊等に対して、脅威圏外から対処するスタンド・オフ防衛能力を抜本的に強化することとしているところでありますが、トマホークはこの一環として導入するものであり、御指摘の答弁はこの趣旨を申し上げたものであります。その上で、反撃能力については、スタンド・オフ防衛能力を活用することとしており、御指摘のトマホークも、反撃能力として活用され得るものであります。ただし、我が国が保有するスタンド・オフ・ミサイルのうち、具体的にどのミサイルを、どのように反撃能力として活用するかについて、あらかじめ具体的に申し上げることは困難であります。これは、実際に発生した状況に即して、武力の行使の三要件に基づき、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために、他に手段がなく、やむを得ない必要最小限の措置として、いかなる措置をとるかという観点から、個別具体的に判断するためであります。

Q:関連なんですけども、国家安保戦略では、反撃能力の定義として、相手の領域において反撃を加えることが可能とするものだというふうに明記されてるんですけど、今の大臣の答弁も含めると、例えば、対地ではなくて、相手の艦艇が相手のまだ領海内にいる、港湾の施設とかにいるとかそういった所の艦艇も攻撃できるというそういう理解でもいいんでしょうか。

A:その都度、仮定の質問にお答えするのは大変難しいわけでありますから、今ここでその点についてですね、御説明することは差し控えますが、基本的に我々とすれば、あくまでもこれはスタンド・オフ・ミサイルとして今後あるべきいろいろな事態を想定はしておりますけれども、いずれにしてもそれを今、ここでお話することはないということでありますので、我々の方針どおりと御理解いただければというふうに思います。

Q:防衛力整備計画の事業経費の内、内訳が明らかになっていなかった1兆4,500億円分について、立憲民主党の長妻政調会長が昨日、防衛省から開示があったということを明らかにしています。スタンド・オフ防衛力能力やIAMDなど防衛省がこれまで公表していた主要事業にも関わる金額ですけれども、開示がこのタイミングになったのは何故なのかということと、あと既に衆院で来年度予算案が通過していますが、予算審議に必要な情報ではなかったか、大臣の見解をお願いします。

A:御指摘の1.45兆円は、防衛力整備計画のですね、総事業経費約43.5兆円のうち、同計画の概要説明資料及び長妻昭議員の求めに応じて提出した資料に記載されていないものの経費です。その内訳については、2月27日の立憲民主党の議員の求めに応じ、予算委員会における長妻議員からの御指摘も踏まえ、可能な限り丁寧に説明を行う観点から、その額を記載した資料を、衆議院の予算審議中である同日時点で同議員に提出をさせていただきました。また、それまでの同委員会に係るやり取りを踏まえ、同一の資料を2月28日の未明に長妻議員事務所にも提出をしておりました。なお、3月8日、長妻議員から改めてこの1.45兆円の内訳を示すよう求めがあったことを受けて、その資料を再度提出したところであります。防衛力整備計画の事業経費約43.5兆円については、5年間で行う総事業経費であり、別途令和5年度予算案はお示ししているところで、必ずしも今回の衆議院における予算審議にかけるべきものではありませんが、防衛力の抜本的強化に向けた取組については、引き続き可能な限り丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。

Q:先ほどもちょっと触れられていましたけども、2月にも11.45兆円分の金額が示されて、野党からは小出しにしているという指摘もありますけれども、迅速な形で一度に出すということはできなかったのか、その辺の見解いかがでしょう。

A:基本的にそういうふうに御指摘をされるところもあるわけではありますけれども、しかし我々とすれば、その都度その都度予算の額についてはですね、御説明をしてるところでありますので、小出しということはないというふうに思っております。

Q:日韓関係についてお伺いできればと思っております。来週16日にも日韓の首脳会談が開かれる見通しということになっております。GSOMIAについて韓国側から正常化をする方針という一部報道もございます。一方で日韓間では、レーダー照射問題がまだ尾を引いてという状態にもあると思いますけれど、こういった中で日韓の防衛協力を今後どのように推進していくべきか、防衛大臣のお考えをお願いできますでしょうか。

A:北朝鮮の核・ミサイルをめぐる状況を含め、日韓両国を取り巻く安全保障環境が厳しさと複雑さを増す中で、日韓、日米韓の連携は益々重要になっております。そのような中で、日本政府としては、3月6日、韓国政府より発表された措置を、2018年の大法院判決より非常に厳しい状態にあった日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価をしております。現在、日韓防衛当局間には火器管制レーダー照射事案をはじめとする様々な課題がありますが、このような日韓関係を健全な関係に戻す大きな流れの中で、防衛省・自衛隊としては、防衛当局間の懸案の解決のため、韓国側と緊密に意思疎通を図っていきたいと考えております。その上で、個別の交流案件については、実施の可否やその時期等を含め、防衛省として適切に判断していきたいというふうに考えております。

Q:北朝鮮は今朝、金正恩総書記がミサイル発射演習を視察する様子を報道しました。韓国軍は昨日、北朝鮮が西部から西の海に複数の短距離ミサイルを発射したと発表しましたけれども、政府の現状の分析をお願いします。

A:御指摘の発表については承知をしております。現時点において、我が国の領域や排他的経済水域への弾道ミサイルの飛来は確認されておらず、また、関係機関からの被害報告等の情報は確認されていないと承知をしております。その上で、防衛省としては、北朝鮮の軍事動向について、平素から重大な関心を持って情報収集・分析に努めているところであります。今般、北朝鮮側が発表した画像は、昨年4月に北朝鮮が「新型戦術誘導兵器」と称して発射を発表したものと外形上類似しているとの指摘もあり、これを発射した可能性も含め、情報収集・分析を行っているところであります。いずれにしても、防衛省としては、引き続き、米国・韓国等とも緊密に連携しながら、必要な情報収集・分析及び警戒監視に全力を挙げ、我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

Q:先ほどの毎日新聞さんの防衛力整備計画の43兆円のうちの、新たに内訳を発表した1.4兆円なんですけど、例えば、スタンド・オフ防衛能力で0.2兆円、統合防空ミサイル防空能力で0.5兆円などと書かれているんですけど、いわゆる費目だけしか書かれてなくて、その能力向上のために何をどういうものを整備するんだという具体的なものが分からないんですけど、これについて説明をお願いします。

A:細かな数字については、私の方から御説明をさせていただきますが、御指摘の1.45兆円に含まれる事業の例を挙げれば、統合防空ミサイル防衛能力については、各種誘導弾・関連機材の定期整備に係る経費約240億円、機動展開能力・国民保護については、小型トラックの取得に係る経費約150億円、高機動車の取得に係る経費約140億円、燃料給油車の取得に係る経費約26億円、コンテナトレーラーの取得に係る経費約26億円といった事業を計上しておるところであります。

下線部:大臣発言中、武力攻撃(誤)を武力の行使(正)に修正

以上