防衛大臣記者会見

日時
令和5年2月21日(火)09:11~09:22
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見
動画版

1 発表事項

 今般、国家安全保障戦略等に定められた、人的基盤の強化について、これを着実に実現するために、私の下にですね、防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会を設置することといたしました。検討には、民間企業、報道界、学術界、官界と幅広い分野から9名の有識者に御参加をいただき、人的基盤の強化に関する様々な課題について検討していただきます。第1回目の検討会は、明日、開催する予定であります。

2 質疑応答

Q:先日、18日、20日の北朝鮮のミサイル発射事案に関し、弾種や新たに判明した事実関係など、最新の分析状況、また、昨年から高い頻度でミサイル発射をしている北朝鮮の狙いをどのように捉えているか教えてください。また、昨日は、2発発射だったにもかかわらず、海上保安庁から発射情報が3回出される事態もありましたが、情報伝達・共有の面で、解決すべき課題はあると大臣はお考えでしょうか。

A:先日発射された弾道ミサイルの種類についてはですね、18日に発射された1発は、ICBM級弾道ミサイル「火星15」型、20日に発射された2発は、短距離弾道ミサイルであったと推定をしております。これ以上の詳細については現在分析中であり、これまでに発表した内容のほか、新たにお知らせすべき事項はございません。北朝鮮の意図ということでありますが、北朝鮮がミサイル発射を繰り返す意図についてはですね、確定的にお答えすることは困難でありますが、その上で申し上げれば、北朝鮮自身は、米国に対抗して核・ミサイル能力を強化していく意思を一貫して示しているものと承知しており、今後も、各種ミサイルの発射や核実験の実施を含め、更なる挑発行為に出る可能性もあると考えております。防衛省としては、北朝鮮の軍事動向について、米国等とも緊密に連携しつつ、引き続き、情報収集・分析及び警戒監視に万全を期してまいりたいと考えております。また、海上保安庁から3回発射情報が発出された件についてはですね、内閣官房にお尋ねをいただきたいと思いますが、防衛省としては、今回を含め、これまでも内閣官房に必要な情報を適切に伝達してきており、政府全体での情報発信に支障を生じないよう、引き続き万全を期してまいりたいと考えております。

Q:ピューリッツァー賞の受賞歴もある米国の調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が2月8日、バイデン政権がドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン、ノルドストリームの爆破を計画、実行させたというスクープを発表しました。これが事実だとすれば、約1兆円の建設費のかかったノルドストリームにはドイツも出資しており、米国の同盟国であるドイツにとっては、背信行為そのものです。日本政府はハーシュ氏の記事内容について、検証や情報収集を行っていますでしょうか。また、米国は誠実な同盟国かどうか疑いが出ている中、日本の安全保障を米国に委ね、有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか、再考すべきではないでしょうか。浜田大臣の御見解をお聞かせください。

A:報道の一つ一つにはですね、お答えすることはできませんので、私の方からコメントは控えさせていただきたいと思います。

Q:日中関係についてお伺いします。いわゆる気球問題などですね、懸案がある中で、日中の防衛当局間協議と安保対話をこのタイミングで開く狙いと期待する成果についてお聞かせください。

A:本日、日中防衛当局間協議が、そしてまた明日、日中安保対話が、それぞれ対面で開催される予定であり、地域情勢や防衛交流等につき、幅広く意見交換を行う予定であります。昨年11月の日中首脳会談においては、日中安保対話等による意思疎通の強化で一致をしております。御指摘の気球の問題を含め、日中間には課題や懸案があるからこそ、率直な対話を重ねることが重要であり、今回の協議が、両国の安全保障分野における信頼醸成と相互理解に資することを期待をしております。

Q:気球などへの武器使用についてお伺いします。先週、大臣が会見で、今回の法解釈の整理で、いわゆるドローンも対象に当てはまると明言されました。このドローンを無人機というふうに訳すと、一般にイメージするような回転翼のマルチコプター製のものだけではなくて、アメリカ軍のグローバルホークに相当するような、日本周辺での飛行が確認されている中国軍の偵察型無人機も対象に入るという解釈もできる余地が生まれると思いますが、大臣のおっしゃっている、このドローンとはどういう機体だとか、どういう性能のものを指すのかというのを教えてください。

A:ドローンといってもですね、様々なものが存在をしますけれども、一般論として申し上げれば、今般お示しした考え方の対象は無人の気球に限られるものではなく、無人の航空機についても当てはまります。いずれにせよ、領空侵犯をする気球を含む無人の航空機については、我が国領域内の人の生命及び財産、また航空路を飛行する航空機の安全の確保といった保護すべき法益のために必要と認める場合には、正当防衛または緊急避難に該当しなくても、武器を使用することが許されると考えております。

Q:確認なんですけれども、性能や機体の大きさに関わらず、無人であれば全て対象になるという、そういう理解でよろしいですか。

A:自衛隊法第84条に規定する外国の航空機に該当すれば、御指摘のものも含め、無人の航空機であれば、今回の整理が当てはまると考えております。

Q:冒頭、御紹介のあった人的基盤強化のための検討委員会なんですけれども、こちらの設置の目的、狙いなどについて、お教えください。

A:自衛隊員の人材確保が大変厳しくなっている中で、これまで以上に、民間の労働市場の動向や働き方に対する意識の変化といった社会全体の動きを踏まえて検討を進める必要があり、今般、有識者の方々をお招きし、検討することとしたところであります。

Q:沖縄県うるま市などの県内6か所の米陸軍の貯油施設でですね、有機フッ素化合物PFASを含む泡消火剤の関連のその貯水の施設などがですね、2026年度までに撤去されるということが分かりました。撤去に向けた具体的なスケジュールとかですね、総工費とか、そういったものが、もし防衛省として把握しているのであればお伺いしたいと思います。

A:御指摘のですね、陸軍貯油施設についてはですね、現在、米側が泡消火設備の撤去に向けた取組を進めていると承知をしておりますけれども、撤去を完了する時期等の事実関係についてはですね、米側に確認中であります。防衛省としては、泡消火設備が撤去されるまでの間、引き続き米側に対し、施設の安全管理の徹底を求めてまいりたいと考えております。

Q:北朝鮮のミサイルの発射に関してお伺いします。同時に多数撃たれた場合、いわゆる飽和攻撃に対処することが可能なのか。また、どういうミサイル防衛体制が必要とお考えなのか教えてください。

A:個別のですね、攻撃様相に対する迎撃の可否についてはですね、一概にはお答えすることは困難でありますが、一般論として申し上げれば、飽和攻撃への対処に際してですね、複数の目標に同時に対処を行うための非常に高い迎撃能力を整備する必要があると考えております。このため、防衛省としては、弾道ミサイル等の探知・追尾能力や迎撃能力を抜本的に強化するとともに、ネットワークを通じた各種センサー・シューターを一元的かつ最適にですね、運用できる体制を確立し、統合防空ミサイル防衛能力を強化することとしております。また、我が国に対するミサイル攻撃については、ミサイル防衛システムを用いて迎撃しつつ、反撃能力を持つことにより、相手のミサイル発射を制約し、迎撃を行いやすくすることで、ミサイル防衛と相まってですね、ミサイル攻撃そのものを抑止していくことが重要と考えております。

以上