防衛大臣記者会見

日時
令和5年2月17日(金)14:12~14:31
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見
動画版①
動画版②

1 発表事項

 なし

2 質疑応答

Q:反撃能力に用いる長射程ミサイルの保管に関して伺います。2023年度に青森県、大分県の自衛隊施設に、長射程ミサイルの保管を想定した大型弾薬庫計4棟の新設作業に着手する計画があると承知しておりますが、この2か所の選定や今後130か所整備していく中で、どういった点で優先順を付けて進めていくのか。また、今後、南西諸島でも大型弾薬庫を新設する意向があるのか教えてください。

A:国家防衛戦略及び防衛力整備計画においてはですね、自衛隊の十分な継戦能力の確保・維持を図る必要があることから、必要十分な弾薬を早急に保有することとしております。このため、弾薬の取得量に見合う火薬庫の確保を進めることとしておるところであります。令和5年度予算案では、陸上自衛隊大分分屯地や海上自衛隊大湊総監部における火薬庫等の新設4棟、約52億円に係る経費等を計上しております。両施設は、部隊運用上の利便性、2つ目、自衛隊用地内での地積の有無、3として保安距離の確保の可否等を総合的に勘案した結果、整備を行うこととしております。現時点で、個別具体的な火薬庫について、スタンド・オフ・ミサイルを保管するか否か決定しているわけではありません。また、個々の火薬庫に保管する弾薬の種類についてはですね、その詳細を示すことにより、自衛隊の能力が明らかにするおそれがあるため、具体的にお示しすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。令和6年度以降の具体的な火薬庫の整備場所についても、現在検討中でありますけれども、設置に際しては、関係自治体に丁寧に説明してまいりたいと考えておるところであります。

Q:政府は、昨日ですね気球などの無人機が領空侵犯した場合に、正当防衛や、緊急避難に当たらなくても武器使用ができるという解釈を明確にしました。今後ですね、要領や基準の改正など、自衛隊内でどのような手続きがあるでしょうか。また、武器使用について、無人機が外国からの軍用機であることをどう確認するのでしょうか。また、地上の国民の生命及び財産の保護や航空路を飛行する航空機の安全確保は何をもってこれらの要件に当たると判断するのかお願いします。

A:政府は、従来からですね、自衛隊法第84条に規定する対領空侵犯措置の際の武器の使用は、同条に規定する必要な措置として、正当防衛又は緊急避難の要件に該当する場合にのみ許されると述べてまいりました。これは、有人かつ軍用の航空機を念頭に置いたものであり、武器を使用した場合には、結果として撃墜という形態になる蓋然性が極めて高く、領空侵犯機のパイロットの人命等との関係を考慮する必要がある趣旨で述べたものであります。これに対し、今回のように領空侵犯し高高度を飛行する無人の気球については、武器の使用を行っても直接に人に危害が及ぶことはないことから、我が国領域内の人の生命及び財産、また航空路を飛行する航空機の安全確保といった保護すべき法益のために、必要と認める場合には、正当防衛又は緊急避難に該当しなくても、武器を使用することが許されると考えております。その上で、無人機や気球といった多様な手段による我が国領空への侵入のおそれが増す中、今回の整理を踏まえて、国民の生命及び財産を守るために、また、我が国の主権を守るため、国際法規及び慣習を踏まえて、より一層厳正に対処してまいりたいと考えておるところであります。また、いかなる場合に武器の使用が可能かは、個別具体的な状況によることから一概にお答えすることは困難でありますが、一般に、飛行ルートの情報や事前通報の情報、目視等による確認などを行って、外国の航空機であるかなどを判断しつつ、今回の整理を踏まえて、部隊がしっかりと対応できるよう、必要な規則類を適切かつ速やかに見直していきたいと考えております。

Q:井筒空幕長がですね、昨日の定例会見で、自衛隊の各種レーダー等により気球を探知することは可能というふうに発言されました。この発言に関連して伺います。防衛省が14日、中国の無人偵察用気球であると強く推定されると発表した一連の気球の領空侵犯事案は、自衛隊の装備を含む日本が保有する独自のアセットが領空侵犯行為を捉えたものなのか、あるいは他の様々な情報を基に領空侵犯があったと断定されたのか、どちらでしょうか。また、いずれの気球もですね、中国のものと強く推定されると結論付けられた、そこの結論に至った根拠も御説明いただければと思います。

A:過去に我が国領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体については、その所属を含めた詳細について、所要の分析を経る必要があり、分析を継続してきたところであります。そして、更なる分析を重ねた結果、この飛行物体は、中国が飛行させた無人偵察用気球と強く推定されることに至りました。一方、防衛省として行っている気球に関する情報の収集手段の一つ一つや、分析の内容を含め、お答えできないことを御理解いただければと思います。

Q:15日夕方のですね、米軍三沢基地所属のF-16戦闘機が燃料タンク2基をですね、青森県の太平洋沖に投棄した事案についてお尋ねします。米軍三沢の米軍機を巡ってはですね、近年、燃料タンクとか、そういう模擬弾の落下・投棄のトラブルが頻発していますが、その点を踏まえてですね、今回の事案への受け止め、そして、地元自治体への連絡がですね、発生から1日たった16日の夕方以降と1日遅れが出ております。なぜタイムラグが生じているのか、事実関係お知らせいただければと思います。

A:御指摘の件は、昨日米側から、2月15日水曜日16時20分頃、訓練中の米空軍F-16戦闘機1機が、飛行中にエマージェンシーに陥り、標準的な安全手順に従って、燃料タンク2基を青森県沖太平洋上の領海12海里の外に投棄をしました。同機は16時35分頃、三沢基地に安全に着陸をしました。人や財産に対する脅威はないとの連絡があったものであります。現時点において、本件による被害が発生したとの報告は受けておりませんが、防衛省として、関係自治体等へ情報提供を行うとともにですね、米側に対し、航空機の点検整備の徹底及び再発防止を要請したところであります。防衛省としては、今般の事案は、日本の領海の外で発生した事案であると承知しておりますが、他方で、今般のような事案であっても、発生直後から日本側に積極的に情報提供されてしかるべきと考えており、米側には引き続き、迅速な情報提供を行うよう求めてまいりたいと考えております。

Q:関連しまして、落下・投棄トラブルもですね、頻発もそうなんですけれども、連絡の遅れというのも、米軍三沢を巡っては頻発している状況にあります。今日の午前中には、三村申吾青森県知事はですね、連絡の遅れも含めて県民の不安、米軍への不信感をですね、増幅させると、遺憾の意を表明しております。連絡の遅れの頻発に対して、地元の不信感払拭へですね、何か連絡体制、運用の見直しなど、手立てを講じるお考えはありませんでしょうか。

A:米軍機の運用に当たってはですね、安全の確保が大前提であり、米軍機による事故等は地域の方々に不安を与えることになるわけでありますが、これはあってはならないものであると認識をしております。防衛省としては、米側に対して点検・整備の確実な実施や、安全管理等の徹底による再発防止を申し入れるとともに、万が一、事故が発生した場合には、迅速な情報提供を行うよう累次の機会に求めているところであります。引き続き、米軍機の飛行に際しては、安全面に最大限配慮しつつ、地域の方々に与える影響を最小限にとどめるよう、日米間で協力しながら取り組んでまいりたいと考えます。

Q:防衛装備庁の橋渡し研究について伺わせてください。来年度予算案では、188億円と今年度のおよそ20倍の予算が計上されています。この研究の意義についてどう考えるか教えてください。

A:AIや量子など民生技術が急速に進展していく中で、こうした技術をより広範囲にわたり防衛用途に取り込んでいくためにはですね、この橋渡し研究を強化することが急務だというふうに考えております。先般、戦略3文書を策定し、その中で、防衛産業以外の企業やスタートアップ企業やアカデミアが持つ先端技術を防衛目的で活用するための取組を強化していくとの方針を、政府として明確に打ち出しました。令和5年度予算案には、橋渡し研究を抜本的に拡充し、令和4年度に比べて20倍となる約188億円を計上しておるところであります。防衛省としては、先端技術を防衛目的に活用することに当たっては、この強化した橋渡し研究が非常に有効なものと考えております。早期の実装化につなげていく取組の一環として、強力に推進したいと考えております。また、企業やアカデミアに対してはですね、防衛省の考え方や取組の内容を分かりやすく丁寧に御説明し、また、積極的に発信することを通じて、この先進技術の橋渡し研究について御理解を得る努力をしていかなければならないと考えております。

Q:今、お答えいただいたことにも関連するかもしれないですけれども、やはり、企業の中にはですね、基礎研究と比べて橋渡し研究というのは、装備品の開発に近づくということでですね、不安とか懸念、判断が難しいというような声が聞かれますけれども、そうした声には、どういうふうにお応えしてくお考えでしょうか。

A:我々のその今、意図するところというのを、やはり御理解をいただくための説明をしっかりしていくことが重要だと思いますし、また、逆に言えばその中でいろいろな派生した技術というものも出てくるものと期待するところもあるわけでありますので、そういったことをやはり、この国の安全保障にですね、大きな貢献をするという事業であるということを我々とすれば、強調しながらですね、説明をしていきたいというふうに思っております。

Q:自衛隊法84条の対領空侵犯措置に関してお伺いします。武器使用基準の緩和が示されましたが、従来の基準では領空侵犯をした気球などの無人機により国民の生命・財産に大きな侵害が発生する、危険が迫っている場合、それを排除するために、正当防衛や緊急避難を根拠に武器使用はできないのか教えてください。

A:政府は従来からですね、自衛隊法第84条に規定する対領空侵犯措置の任務にあたる自衛隊機はですね、自衛隊法第84条に規定する必要な措置として、正当防衛又は緊急避難に該当する場合には武器を使用することができます。これは、有人であっても無人であっても変わりません。その上で、今回のように領空侵犯し、高高度を飛行する無人の気球等についてはですね、我が国領域内の人の生命及び財産、また航空路を飛行する航空機の安全の確保といった保護すべき法益のために、必要と認める場合は、正当防衛又は緊急避難に該当しなくても、武器使用をすることが許される旨お示しをいたしました。具体的な差異については、個別具体的な状況のために、一概にお示しすることはできませんが、今回の整理により、正当防衛又は緊急避難の要件に該当しない場合であっても、今回のように領空侵犯し高高度を飛行する無人の気球等については、武器を使用することができるようになります。

Q:関連しまして、この武器の使用の基準を緩和することによって、どういう運用上のメリットがあるのかを教えてください。

A:運用上のメリットということでありますが、今、申し上げたとおりでありますけれども、今後、そういった我々の活動の範囲がですね、運用の範囲が広がったということになりますし、それによって民間航空機等のですね危険を排除することができるというようなこともできるというふうに考えておりますので、今、我々の今後、対応の仕方についてもですね、しっかりと考えていきたいというふうに思っております。

Q:最後にもう一点、今回の武器使用基準の緩和の対象というのは、気球だけではなく、日本にもしばしば飛来する無人機も対象になり得るという理解でよろしいでしょうか。

A:これはまた当然、今回の資料によってはですね、いわゆるドローンということを考えてもですね、今回のように、領空侵犯するものであって、そしてまた、自衛隊が対処する場合にはですね、今回の整理が当てはまるようになるというふうに考えております。

Q:今の気球の対処に関連してなんですけれども、今回整理されて、非常に国民の生命・財産の保護という法益を改めて示されましたけれども、気球が偵察行為をしていた場合に、直ちに物理的な攻撃と違って、直ちに国民の生命・財産に侵害があるかという判断が難しいと思うんですけれども、大臣は偵察行為は保護すべき法益を侵害するというふうにお考えでしょうか。

A:全て個別具体的なですね、要するに状況に応じて対応していくということになると思いますので、我々のこの今回の整理というのは、そういったことを喚起をし、そして我々のできることの確認をするということの意味も含めてですね、必要なことだというふうに思ってきちっと整理をしたということであります。今後個別に、いろいろと状況状況によって変わってくると思いますが、その点は今後の我々のいろいろな対応を考える上において、重要なことだというふうに思っていますので、今後とも予断なくですね、しっかりと対応していきたいというふうに思っております。

Q:米軍三沢基地のF-16に関連してお尋ねするんですが、そもそも防衛省側に第一報として連絡がもたらされたのは、いつ、何時頃になりますでしょうか。

A:先ほど申し上げましたけれども、昨日ですね、16日我々の方に連絡が来たということであります。

Q:16日の具体的に何時ぐらいになるんでしょうか。

A:現場の方に聞いていただけますか、申し訳ないです、細かいところまで、すみません。

Q:これまでの詳細等について、何か米軍側からは説明は追加等であったんでしょうか。

A:今、先ほど私が話したとおりのことであります。

以上