防衛大臣記者会見

日時
令和5年2月10日(金)11:43~11:57
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見
動画版

1 発表事項

 ○ 本日、フィリピンのガルベス国防大臣代行との間で、防衛相会談を実施する予定であります。会談では、新たな国家安全保障戦略等について説明するほか、地域情勢や二国間防衛協力等について議論する予定であります。フィリピンとの間では、昨日、自衛隊の人道支援・災害救援活動に関する取決めが署名されたところでありますが、安全保障上、大きな意義を有する同国との協力関係を更に発展させたい考えであります。

 ○ 次に、本日、防衛省設置法等の一部を改正する法律案及び防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案が閣議決定されました。このうち、後者については、昨年策定された3文書に記載された防衛生産・技術基盤の抜本的強化のための施策を、令和5年度より実施するための新たな法律案であります。これにより、防衛産業の位置付けを明確化するとともに、防衛生産基盤強化、装備移転円滑化や装備品等契約における秘密の保全といった各種措置を設けるところでございます。

2 質疑応答

Q:昨日行われた日フィリピン首脳会談の成果について伺います。防衛交流分野では、自衛隊がフィリピンで行う人道支援・災害救援の円滑化に関する取決めで合意をしました。この取決めに関して署名の意義と今後期待される効果について伺います。また、先ほど発表のあった、防衛大臣会談も含めて防衛省として今後、フィリピンとの防衛協力をどのように進めていくお考えかよろしくお願いします。

A:昨日、フィリピン国防省との間で、御指摘の取決めが署名をされました。これまで、自衛隊が人道支援・災害救援に関連する共同訓練等のためフィリピンを訪問する際には、必要に応じて、防衛当局間の取決めを作成することがありました。今般署名された文書は、人道支援・災害救援活動に適用される取決めをあらかじめ包括的に定めるものであります。これにより、自衛隊のフィリピン訪問時の取決めの作成が不要となり、共同訓練等の一層の円滑化が期待できます。新たな国家戦略等には、フィリピンを含む同志国との連携強化が盛り込まれております。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、フィリピンとの防衛協力・交流を更に強化してまいりたいと考えているところであります。

Q:冒頭、御紹介あった法案のうちですね、後段の防衛基盤強化の法案ですけれども、法案の中には、撤退する防衛産業の生産基盤がやむを得ない場合は、国が取得することや、装備品等機密を新たに指定し罰則も設けていますが、こうした措置が今なぜ必要なのか、新法提出の意義をお願いします。

A:自衛隊の任務遂行に必要な装備品のですね、製造等を担う防衛産業はまさに防衛力そのものであります。他方で、装備品等のサプライチェーンについては、事業撤退や外国への依存に伴い、安定的供給が脅かされるリスク、サイバーセキュリティのリスクなど、様々な課題が顕在化しております。このような状況の下、防衛省が装備品等の適確な調達を行うためには、防衛生産・技術基盤の維持・強化が一層重要であり、企業の声も踏まえ関係省庁とも議論し、防衛産業による装備品等の安定的な製造等を確保する法律案を提出することといたしたところであります。

Q:同じ法案についてお伺いいたします。防衛装備移転の促進のための基金の創設も盛り込まれたと思います。仕様の変更などにかかる費用を助成できるようになるとのことですが、これまではどのようなケースで課題があり、今回の基金の創設によってどう改善できると見込んでらっしゃいますでしょうか。また、予算案に積んだ400億円の積算根拠と併せてお答えください。

A:装備移転は、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するといった目的をですね、実現するために重要な政策手段であります。また、防衛力そのものである防衛産業の維持・強化にも効果的と考えております。その上で、装備移転に当たっては、我が国の装備品に用いられている先進的な技術の流出を防止する観点から、装備品の仕様等の調整を求める場合もあり、これは安全保障上の観点から講じられる措置であります。このような、我が国の安全保障上の事由によるコストをですね、企業に過度に負担させることは適当ではないことから、今般、基金を造成し、我が国の企業への措置を講じることとしたものであります。また、積算根拠については、現在、我が国が諸外国から引き合いを受けている装備移転の具体的案件を積み上げた上で、令和5年度予算案において、400億円を計上しているものですが、具体的な案件の内容について、相手国との関係もあることから、お答えできないことを御理解いただきたいと思います。防衛省としては、この措置を通じ官民一体となって装備移転を円滑に実施していく考えであります。

Q:アメリカが撃墜した中国の気球関連でお伺いします。国内でもですね、新たに鹿児島県内などで類似の目撃例が報道されたりしていますが、現状で防衛省としてですね、把握している類似の事例が何件あるのか、あと、昨日の官房長官会見でも出てましたけれども、気球を確認した経緯についてですね、お伺いできればと思います。

A:例えば、令和2年6月や令和3年9月などにですね、我が国上空において飛行物体が目撃された事例があり、今般の米国における事案との関連も含めて、分析を進めてるところであります。さらに、平時からの情報収集・警戒監視活動の中で所属不明の類似の気球を確認した事例があり、例えば、令和4年1月、九州西方の公海の上空で、警戒監視活動に従事している哨戒機により確認をしております。こうした気球に関する情報は、警戒監視も含め、様々な手段により収集をしております。一方、収集した情報の一つ一つや、その収集手段について網羅的に明らかにすることは、我が国の情報収集能力などが明らかになるため、困難なことを御理解いただきたいと思います。

Q:大臣は8日の衆議院予算委員会で、沖縄へのスタンド・オフ・ミサイル配備について質問されて、配備計画はまだ決まっていないとした上で、「もし、そういう事になれば丁寧に説明していかなければならない」という御発言がありましたが、沖縄県内に敵基地攻撃能力にもつながる長射程ミサイルを配備する計画、その可能性が今後出てくることは否定できないというふうに理解してよろしいでしょうか。また、沖縄県の玉城デニー知事が先日、「敵基地攻撃能力を含むような装備を南西地域で持つとしたら、憲法の意思とは違うと明確に反対する」と発言をされているんですけれども、それについて大臣の御見解を教えてください。

A:島嶼部を含む我が国に侵攻してくる艦艇や上陸部隊等に対してですね、脅威圏外から対処するため、スタンド・オフ防衛能力を強化することとしておりますが、スタンド・オフ・ミサイルの具体的な配備先は決定はしておりません。また、反撃能力は、スタンド・オフ防衛能力等を活用することとしておりますが、これは憲法、国際法、国内法の範囲内で運用されるものであります。その上で申し上げますと、スタンド・オフ防衛能力の強化によって、我が国の様々な地域から重層的に相手方の艦艇や上陸部隊等を阻止・排除できる能力を保有することが必要であります。こうした取組は、自衛隊の抑止力・対処力を向上させ、武力攻撃そのものの可能性を低下させるものであり、国民の安全につながるものと考えております。

Q:様々な地域からということなんですけれど、沖縄県内もその可能性の一つとしては依然として否定はできないという理解でよろしいでしょうか。

A:いずれにしてもまだ、具体的な配備先についてはですね、これは決定しておりません。

Q:キャンプ・キンザーの関係でお伺いしたいんですけどれも、米軍の公衆衛生センターが2019年にですね、キャンプ・キンザーの中で、基準値を大幅に超える広範囲な深刻な土壌汚染が存在してるということで、子どもだったりですね、屋外の作業員の健康に危険をもたらすリスクがあるということで、そういう報告書を作成していたということが情報公開で分かりました。これを受けてですね、浦添市議会が先日、実態把握と汚染土壌の早期撤去を政府に求める意見書を全会一致で可決しております。これについての大臣の受け止めと今後の防衛省の対応についてお伺います。

A:御指摘のですね、意見書が可決されたことは承知をしております。キャンプ・キンザーの返還についてはですね、沖縄統合計画に基づいて、必要な工事や米軍との協議等の取組を進めているところであります。その上で、米軍から施設・区域が返還された場合には、これまでも我が国の責任で、土壌調査等の支障除去措置を含む原状回復を行ってきております。引き続き、キャンプ・キンザーの円滑な跡地利用に向けて、適切に取り組んでまいりたいと考えております。

Q:適切な対応という中に、こういった実態把握とかそういったものも基本的に含まれるというか、検討すべきものであるというふうに理解してよろしいでしょうか。

A:一応我々とすれば、今までどおりの対応をしっかりとしていくということが今、答えられることであります。

Q:気球の件に戻るんですけれども、アメリカの国務省は中国がこれまで40か国以上の領空に偵察気球を飛来させているとの分析を明らかにしています。その中には、日本の防衛施設の偵察も含まれるという報道も出ています。防衛省としてですね、アメリカから提供された情報も踏まえて、これまで確認されたような物体は、中国の偵察気球である可能性が高いと考えていらっしゃるんでしょうか。

A:気球の飛行なども含めた我が国周辺の情勢についてはですね、米国を始め同盟国・同志国等と平素から緊密に連携し情報共有等を行っていますが、米国とのやり取りの有無も含めてですね、一つ一つの情報についてはですね、事柄の性質上、お答えできないことを御理解いただきたいと思います。

以上