防衛大臣記者会見

日時
令和5年2月7日(火)10:12~10:25
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見
動画版

1 発表事項

 なし

2 質疑応答

Q:2月3日の衆議院予算委員会における自民党の津島淳議員とのやり取りで、大臣は海上自衛隊と海上保安庁の連携強化について「武力攻撃事態を想定した共同訓練を早期に実施したい」と答弁されました。また、防衛大臣による海上保安庁の統制要領も共同訓練で検証する考えを述べられましたが、共同訓練と統制要領の策定の時期は、それぞれいつ頃を想定されているのかお願いいたします。

A:自衛隊と海上保安庁は、平素からですね、情報の共有・連携に努めているところでありますが、武力攻撃事態における対応も含めて連携を強化することは、厳しい安全保障環境の中で、あらゆる事態に対応する体制を構築する上で極めて重要であると考えております。そのため、海上警備行動命令が発令される事態を想定した共同訓練は引き続き実施していくほか、武力攻撃事態を想定した共同訓練を早期に実施したいと考えております。また、自衛隊法第80条に基づく、武力攻撃事態における防衛大臣による海上保安庁の統制要領は、既に作成に向けた作業を実施しており、引き続き、作業を進めるとともに、共同訓練において検証していきたいと考えております。その上で、御指摘の共同訓練の実施時期及び統制要領の策定の時期についてはですね、現時点で予断をもってお答えできる段階にないことを御理解いただければと思います。

Q:アメリカ軍が、本土上空などで飛行していた中国の気球を撃墜した件でお伺いします。自衛隊法84条では、領空侵犯に対する措置が定められていますが、日本の領空に仮に許可なく外国の気球が侵入した場合、防衛省・自衛隊としてどう対応するお考えでしょうか。また、アメリカのように撃墜する可能性があるのかも含めてお願いします。

A:外国の気球であっても、我が国の許可なく領空に侵入すれば、領空侵犯となることは変わりありません。また、国際法上、国家は領空に対して完全かつ排他的な主権を持つため、領域国は、この主権を確保するため、領空侵犯した航空機に対して、必要な措置を採ることができます。そして、対領空侵犯措置の任務に当たる自衛隊機は、自衛隊法第84条に規定する必要な措置として、武器を使用することができるというのが、従来からの政府の考えであります。個別具体的な状況にもよることから、一概にお答えすることは困難でありますが、一般論として申し上げれば、国民の生命及び財産などを守るために、必要と認める場合には所要の措置を採ることが可能と考えております。

Q:所要の措置という中には、撃墜も含まれるということですか。

A:それは今、お話にあったことでありますけれども、所要の措置を採ることが可能ということでありまして、我々その今の御指摘の点についてはですね、当然のごとく我々その生命と財産を守るためにはですね、必要なことであれば、それは実施するということだと思います。

Q:米軍のオスプレイの対応について伺います。米国が全てのオスプレイについて、一定時間を経過したものはクラッチの関連部品を交換する措置を発表しました。一方で、これは予防的な措置で、根本的な原因は引き続き調査中とのことですが、根本的な原因が分かるまでは飛行を止めるですとか、少なくとも陸地に近い場所の訓練を自粛してもらうなどの対策が必要ではないかと思うんですが、米側の働きかけについて、大臣のお考えを教えてください。

A:本件について、米側からはですね、オスプレイのクラッチを原因とする特有の現象の発生を予防するための措置の一環として、全てのオスプレイについて、一定の使用時間を経過した一部の部品を交換することとしたとの説明がございました。詳細については引き続き確認中でありますが、ただ今申し上げたとおり、今回米側が発表した部品交換の措置は、あくまで予防的な措置であり、オスプレイの機体自体の安全性に問題はないということに変わりはありません。本現象については、深刻なトラブルを起こすことなく安全に運用できる手順が既に確立をされております。加えて、全ての搭乗員は、こうした手順について訓練を受けており、適切に対処可能となるよう、シミュレータ訓練にも本現象が反映されているところであります。これらを踏まえて、防衛省として、オスプレイの飛行停止等の措置を米側に求めることは、現状考えておりません。

Q:防衛省の話題と直接関係なくて恐縮なんですけれども、先週、荒井首相秘書官がですね、性的少数者、同性婚について差別的な発言しましたけれども、内閣の一員としての発言の受け止めとですね、大臣、政治家個人として発言について御見解があればお願いします。

A:荒井元総理秘書官のですね、一連の発言については、不当な差別と受け止められても仕方がないものであり、また、政府の方針と全く相容れないものであります。このため、岸田総理が、総理秘書官としての職務を解くという判断を行ったものと承知しております。性的志向、性自認を理由とする不当な差別や偏見があってはならないと考えており、政府として多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向け、引き続き様々な国民の声を受け止めてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

Q:常設統合司令部の関連でお伺いいたします。先日、陸海空三自衛隊を一元的に指揮する常設の統合司令部を市ヶ谷に新設する方針を固めたという報道が出ておりますけれども、事実関係とですね、市ヶ谷に設置を決めたということであれば、その理由並びに設置の時期についてお伺いいたします。

A:報道については承知をしておりますが、常設の統合司令部を市ヶ谷に新設するといった方針を決めた事実はありません。その上で、国家防衛戦略や防衛力整備計画においてはですね、陸海空自衛隊の一元的な指揮を行い得る常設の統合司令部について、既存の組織の見直し等により、速やかに創設することとされているところであります。こういった方針の下、我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増していることを踏まえて、引き続き検討を加速させてまいりたいと考えております。

Q:昨年末に決定した、新たな防衛3文書で、航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に名称変更するという方針が明記されました。日本の防衛上にとっても、宇宙領域の重要性は高まってると思いますけれども、防衛省としては、この名称を変更するということによって、どのような効果を期待しているのかという大臣の御見解をお聞かせください。

A:今や、宇宙空間の安定利用を確保することは国家にとって死活的に重要であり、防衛省・自衛隊としても、宇宙優勢を確保すべく、宇宙作戦能力の強化に取り組んでまいりました。宇宙領域の重要性の高まりと、宇宙作戦能力の質的・量的強化を踏まえると、航空自衛隊において、宇宙作戦は、今後航空作戦と並び立つ主要な任務として位置付けられるものとなります。このため、「名は体を表す」という観点から、今般、航空宇宙自衛隊へ改称することが適切であると判断したところであります。自衛隊の名称変更は、自衛隊創立以来初の試みであります。厳しさを増す安全保障環境の下、宇宙領域の取組に対する我が国の断固たる決意を示すことにもつながり、ひいては周辺国に対する抑止力の向上に大きく資するものと考えているところであります。

Q:気球の件に戻って大変恐縮なんですけれども、先ほど大臣、自衛隊法第84条で対処するという考え方を示されましたが、そうしますと、その気球の飛来に対して対処する観点について、現行の法律などには不備はないというふうにお考えなんでしょうか。また、20年と21年にですね、日本の上空で気球が見つかったという事案について、昨日の記者会見で官房副長官が関連を調べるという話をされてましたが、防衛省ではどういう検討をされているのか、併せてお願いします。

A:我々とすればですね、この2つの案件については、我々のいろいろな部署においてですね、レーダーサイトなどによる警戒監視をしっかりしておるところであって、当然これを我々とすれば、気球をフォローしていたところもあるわけでありますが、まだこれに関しては、引き続きですね、米国等との関連も含めて、詳細に分析をしておるところでございます。いずれにしても、我々とすると、これに対してですね、今現在、対応をですね、詳細にすることは控えますが、いずれにしても、これが国民のですね、生命・財産に関わるようなことであるならば、我が国の主権を守るためにですね、国際法規及び慣習を踏まえて、より一層厳正に対処していく考えであります。

以上