防衛大臣記者会見

日時
令和5年1月20日(金)11:25~11:39
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 2022年度のですね、3四半期までにおける緊急発進回数は612回であり、このうち、中国機に対する緊急発進回数は462回であります。そして、ロシア機に対する緊急発進回数は133回でありました。この期間中、今年度2度目となる、中露両国の爆撃機による長距離にわたる共同飛行に加え、中国空母からの約320回に及ぶ艦載戦闘機及び艦載ヘリの発着艦などの中国機による活発な活動がありました。防衛省・自衛隊としては、引き続き警戒監視に万全を期し、厳正に対領空侵犯措置を行ってまいります。

2 質疑応答

Q:通常国会に提出する法案についてお伺いいたします。一部報道によると、防衛装備品の製造などに関わる企業に対し、装備品情報を外部に漏らした企業関係者に対する刑事罰の規定を拡大する方針を固めたとのことですが、事実関係などをお聞かせください。

A:近年、安全保障環境が厳しさを増して、諸外国による情報収集活動の強化やサイバー攻撃の脅威の増大、また、諸外国からの装備品等の導入や共同開発の進展に伴い、これまで以上に契約企業が取り扱う装備品等に関する情報管理の徹底が必要となっております。特に、防衛省から提供した秘密情報を含む装備品等の情報が、契約企業を通じて漏えいした場合、安全保障上の影響に加え、我が国及び防衛産業に対する諸外国からの信頼喪失や、その後の装備品等の開発や調達の円滑な実施に多大な支障が生じることとなります。このため防衛省では、産業保全制度の一層の強化のため、法整備を含めた必要な措置を行ってまいります。

Q:防衛費の増額についてお伺いします。昨日、自民党でですね、財源に関する特命委員会の初会合が開かれましたけれども、防衛力の抜本的な強化に向けて、予算を使用するお立場として、どういった議論を期待したいのか御所感がありましたらお願いいたします。

A:防衛関係費の増額に向けたですね、財源に関する今後の自民党での検討などについて、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。防衛力強化のための財源確保についてはですね、防衛力強化の内容や規模と合わせて、これまで、国家安全保障会議や有識者会議などの場においてですね、様々な議論が積み重ねられてまいりました。こうした流れの中で、与党においても、今後、防衛関係費の増額に向けた安定財源についての議論を一層深めていただけるのではないかと考えております。いずれにせよ、今後必要なことは、第一に5年間の事業や予算の内容について、国民の皆様に丁寧に説明していくことと考えています。国民の皆様の信頼にしっかり応えられるようにですね、引き続き、防衛力の抜本的強化の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

Q:国家安全保障戦略について伺います。昨年12月に閣議決定された国家安保戦略では、「国家としての力の発揮は国民の決意から始まる」と記載し、「国民が安保政策に主体的に参加できるよう環境を整備する」とも明記されています。「国民の決意」とは具体的にどういったことを意味しているのか、また、「国民が主体的に参加できる環境整備」とはどうしたことを念頭に置いているのか、御見解をお聞かせ下さい。

A:御質問のですね、「国民の決意」の意味は、国家安全保障戦略に記載されているとおりであり、国家としての力の発揮にはですね、我々の決意が必要ということであります。その上で更に申し上げればですね、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境において、我が国を守る一義的な責任は我が国にあるとの認識の下、伝統的な外交・防衛の分野にとどまらない幅広い分野を対象とする国家安全保障政策を、総合的な国力を最大限活用して、着実に実施していくためには、国民の皆様の御理解と御協力が不可欠であるとという趣旨であります。政府として、国民の皆様と共にですね、今後努力していく考えであります。また、「国民が主体的に参加できる環境整備」についてはですね、民主主義国である我が国において、安全保障政策を総合的な国力を最大限活用して着実に実施していくためには、国民の皆様の 御理解と御協力を得ていくことが不可欠であり、安全保障政策等について国民の皆様に丁寧に説明していくことを示したものであります。

Q:下地島空港の米軍の利用に関して、今回米軍は訓練を見送るということにはなったんですけれども、今後の考え方として伺えればと思います。政府と沖縄県の間で確認されております屋良覚書、西銘確認書について、これらの取決めの趣旨に鑑みると、米軍が使用の意向を示し、一方で、県が自粛を求めているという場合、政府としても米軍に自粛を働きかける必要があるとも考えられますが、このあたりの政府の対応について大臣の考えをお聞かせください。

A:米軍機による民間空港の利用に際してはですね、航空当局への必要な通報が行われるものと承知しております。その際、公共の安全に妥当な配慮を払い、安全性が最大限確保されるべきことは言うまでもありません。また、民間航空機の円滑かつ安全な定期運航の確保を含む地元への影響を最小限にとどめることが必要と考えております。防衛省としては、こうした配慮を米側に求める等の対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

Q:下地島以外の他の空港を使うときと同じような対応でということで理解してよろしいでしょうか。

A:我々とすれば、これは地元の皆さん方の御理解というのは、これは当然必要でありますし、我々とすれば、この配慮というものをしっかりとですね、米側に求めていくという考えであります。

Q:昨日、防衛力抜本的強化実現準備本部会議の初会合が開かれたとの発表がありましたが、会議のねらいや初回会合の議論の概要、大臣の発言などがあれば教えてください。

A:昨年末に策定されたですね、国家防衛戦略及び防衛力整備計画に基づき、防衛力の抜本的強化を、防衛省が一丸となって、しっかりと実現していくために、防衛力抜本的強化実現準備本部を立ち上げ、昨日、第一回目の会議を開催をいたしました。会議の中では、私からは、大きな転換期にある安全保障の現実の中で、防衛省の一人一人が先頭に立っているという自覚を持って、防衛力の抜本的強化の実現に向けて努力するよう指示をするとともに、私自身もその先頭に立っていく旨を述べたところであります。今後、国会における予算審議の状況を踏まえつつ、適切な予算執行に向けた準備を進めるとともに、国民への説明責任もしっかりと果たしてまいりたいと考えております。

Q:関連なんですけども、昨年、閣議決定された安保関連3文書の策定に向けて、防衛省では防衛力強化加速会議というのを開催されて、議論を重ねていましたが、この加速会議の議論が、3文書の内容にどのような影響を与えたか、加速会議が果たした役割について大臣の見解をお伺いします。併せて、加速会議の内容、冒頭の大臣挨拶の後非公開でしたが、3文書の改定が終わった現時点において、どのような議論を重ねて、省内の意見集約を果たしたか、その会議結果の概要などを説明するお考えがないか、大臣の考えをお願いします。

A:防衛力強化加速会議を含め、防衛省は、新たな国家安全保障戦略等の策定に向けてですね、我が国の防衛を全うするため、真に必要なものは何なのか、防衛力強化を加速していくための、あらゆる選択肢について議論してきたところであります。新たな国家安全保障戦略の策定についてはですね、こうした議論の内容が十分に踏まえられたものと考えているところであります。具体的な検討内容については公表できませんが、厳しい安全保障環境や、自衛隊の現状、そして、今後整備していく防衛力の内容について、国民の皆様の御理解を得ることは重要であると考えており、丁寧かつ分かりやすい説明に努めてまいりたいと考えております。

Q:沖縄の下地島空港の関連でお伺いします。大臣としてはですね、この自衛隊も訓練があったりでですね、この空港を活用すべきというふうに現時点でお考えかという点と、あと、その覚書の関係で県側との調整が必要になると思いますけども、どのように対応していくお考えでしょうか。

A:一般論として申し上げれば、防衛省としては、我が国の防衛上、多様な空港からの運用は重要であり、日頃からそのための訓練を重ねるとともに、平素から柔軟に利用できることが重要だと考えております。国家安全保障戦略等においても述べられている民間空港を含む公共インフラの整備や利活用についてはですね、今後、関係省庁間で積極的に議論していくものと認識しておりますが、現時点においては個別具体的な状況について申し上げる段階にないことを御理解を願いたいと思います。なお、屋良覚書は、昭和46年当時の総理府総務長官及び運輸大臣と琉球政府との間で、下地島空港の使用方法について、管理者たる沖縄県が調整の権限を有している旨を確認したものと承知をしております。本空港の自衛隊機による利用については、地元住民の意向といった地域の個別事情を踏まえる必要があると考えております。

Q:大臣、これ多様な空港という中に、下地島も含まれているという認識でよろしいでしょうか。

A:一般的に言わせていただければ、あらゆる空港を本当は我々が常に下りていることがですね、その空港を利用する際には、大変無駄なくですね、危険も回避しながら対応ができるというふうに考えておりますので、その意味では空港は、下地島も含めるということだと思います。

以上