防衛大臣記者会見

日時
令和5年1月17日(火)11:02~11:30
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 なし

2 質疑応答

Q:山口県の周防大島沖で発生した、海自護衛艦「いなづま」の事故についてなんですけれども、大臣の受け止めと、今後の対応及び現在の調査状況や、考えられる事故原因等などお聞かせください。

A:今般、海自護衛艦「いなづま」が船体を損傷させるとともに、油を流出させるなどの事故を起こしたことにより、国民の皆様に御心配をおかけし、誠に申し訳なく思っております。今回の事故を受け、海上自衛隊は護衛艦隊各艦の運行関係者に対し、同種事案の教訓・反省を周知させるとともに、各指揮官による安全確認を速やかに実施するよう指示をしております。加えて、各部隊・各機関の長に対し、運航・管理に係る基本の徹底状況を確認させ、実効的な対策を実施するよう指示しております。当該事故の原因については、現在、海上保安庁が捜査をしており、防衛省・自衛隊としては、この捜査にですね、全面的に協力しておるところであります。また、10日火曜日に、海上幕僚監部に立ち上げた事故調査委員会を通じて、事実関係の究明を進めるとともに、安全対策を徹底し、同種事案の再発防止に努めてまいりたいと考えております。大変、このような事故を起こしてしまったことを、心からお詫びをする次第であります。

Q:新型ミサイルの開発について伺います。政府が攻撃用、偵察用、あと防空妨害用の3種の弾頭を交換可能な新型の巡航ミサイルを開発する方針だと報道されています。事実関係や開発の時期、ねらいについて教えてください。

A:防衛省においてはですね、スタンド・オフ防衛能力の強化のため、平成30年度から、島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術に関するですね、研究を実施してきたところであります。本研究は、これまでの要素技術の研究において得られた長射程化技術、高機動化技術といった研究成果を活用しつつ、将来の拡張性を有したモジュール化による多機能性を持つ、対艦誘導弾のプラットフォームの確立を目指すものであります。令和5年度予算案においては、モジュール化したシーカや弾頭、多機能性を持つ対艦誘導弾のベースとなるプラットフォームの設計、試作品の製造を実施するための経費として342億円を計上しているところ、引き続き、新たな国家安全保障戦略等に基づくスタンド・オフ防衛能力の強化に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

Q:今のところ、実用化の目途とかというのは、あるのでしょうか。

A:本研究のですね、要素技術を確立するものでありますので、実用化の時期についてはですね、具体的なことをお答えすることは困難でありますけれども、早期実用化に向けた効率的な研究を進めてですね、研究開発期間の短縮ができるようにですね、検討を進める予定であります。

Q:P-1の調達に関してお尋ねしたいと思います。P-1が来年度の予算で3機で914億円、この5年間で19機を調達するというお話になってたと思うんですけれども、性能的にも価格的にも、これが果たして妥当なんでしょうかということですね。まず、そのP-1自体の当初から比べると2倍にお値段が上がっている、そして能力的にはあまり高くないというふうに聞いております。21年のグアムで行われた米軍主催の固定翼機の演習でもですね、P-1はですねP-8に及ばず、他国のP-3Cにも及ばず、それでP-8が指摘して、ここにその潜水艦いるよというふうに指摘されてもそれを探知できなかったというふうに、国防部会で武居元海幕長がお話されたというふうに伺っております。更にもう一つ、光学電子センサーも諸外国の2倍ぐらい高いんだけれども、性能は悪い、よく故障するんでP-1の可動率の低下の原因にもなっているという話を聞いております。こういうことが事実であるならば、これをそのまま無造作に19機も調達することが果たして防衛省として正しい選択なんでしょうかということなんですが、いかがでしょうか。

A:今、細部について、この私のところに、今、持ち合わせている情報が、適切な情報がですね、持ち合わせておりませんので、細部については、事務方の方にお問い合わせしていただければというふうに思います。

Q:先日の「2+2」の関係でお伺いします。沖縄の海兵隊の第3海兵師団司令部とですね、第12海兵連隊を沖縄に残留させて、12連隊の方は海兵沿岸連隊に改編することで決定していますけれども、司令部の残留と、MLRへの、沖縄部隊のですね、改編するということの意味合いというか意義について、大臣はどのように考えるかという点をまずお伺いします。もう一つですね、MLRというのは、前線で対艦の攻撃とかですね、防空を担う部隊ですけれども、地元への負担が減るとか、あるいは増えるとかですね、その負担がどうなっていくかというところを大臣はどのようにお考えかという点と、自治体への説明などについてですね、今後どうするかをお伺いしたいと思います。

A:今般の日米の「2+2」で発表した、第3海兵師団司令部及び第12海兵連隊の沖縄残留並びに同連隊の海兵沿岸連隊への改編により、在日米軍の態勢は、引き続き高度な指揮・統制能力を確保しつつ、より多面的な能力を有し、より強靱性があり、より機動的なものに強化されます。同時に、このような取組は、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを改めて示すものであり、我が国自身の防衛力の抜本的強化と相まって、日米同盟の抑止力・対処力を大きく向上させるものであります。その上で、現行の再編計画の基本的な原則は維持し、再編終了後に沖縄に残留する海兵隊の規模を、現行再編計画と同様、約1万人とするなど、沖縄の負担軽減に最大限配慮しております。このような内容については、地元自治体にも御説明しておりますが、防衛省としては、引き続き、地元負担軽減のための取組を着実に推進するとともに、地元に対する丁寧な説明に努めてまいりたいというふうに考えております。

Q:北海道内の陸上自衛隊の定員について伺います。2022年から23年度の改編で、北海道内の陸上自衛隊が計620人減ることが北海道内の自治体への取材で分かりました。自治体から地域経済や対ロシアの抑止力などに影響が出るのではとの懸念の声が出ていますが、大臣は影響についてどのようにお考えか、対応などを考えていらっしゃるかお聞きします。

A:従来より、北海道を含め、戦車、火砲等の部隊の縮小を行ってきたところであります。一方で、ロシア軍の軍事動向は、中国との戦略的な連携と相まって防衛上の強い懸念であると認識をしております。その上で、新たな防衛力整備計画において、北海道については良好な訓練環境を踏まえ、高い練度等を維持した1個師団、2個旅団、1個機甲師団を引き続き保持するとともに、最新装備である10式戦車への換装を推進するなど、北海道における防衛体制に万全を期していくこととしております。また、北海道を始めとする国内の演習場等の整備、活用等を行うこととしているほか、駐屯地等の運営に当たっては地元も御理解を得られるように地域の特性に配慮することとしております。防衛省としては、国家安全保障戦略等に基づき、戦後、最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、北海道における陸上自衛隊の体制を含め、防衛力の抜本的強化を図ってまいりたいというふうに考えております。

Q:元防衛大臣で自民党の安全保障調査会長の小野寺五典衆議院議員が、名護市辺野古の普天間代替施設建設事業の関連事業を受注する業者の関連財団法人で評議員を務め、報酬を得ていたことが明らかになりました。与党で防衛政策に影響力のある議員が、受注業者の関連団体から報酬を得ていたことについて、有識者から政治倫理上、問題だとの指摘もありますが、事業者の防衛大臣としてのお考えをお聞かせください。

A:個々の国会議員の活動についてですね、政府としてコメントする立場にないわけでございます。その上で、普天間飛行場の代替施設建設事業に関する工事等の契約についてはですね、入札により適切に行われたものと承知しているところであります。

Q:鹿児島県の馬毛島での米軍訓練移転を伴う自衛隊基地の着工について、何点かお伺いします。FCLPの移転先は、日米間の長年の懸案でもあるわけですけれども、着工についての大臣の受け止め、それから、「2+2」や日米防衛相会談での米側の反応が、もし共同文書以上のもので何か大臣の御記憶にあればお願いいたします。一方で、地元の西之表市長は賛否を現在、明らかにしていないわけですけれども、この状況で着工したことは、適切と考えてらっしゃるか、お願いいたします。

A:戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえてですね、我が国の防衛、日米同盟の抑止力・対処力の維持・強化のために極めて重要な馬毛島における自衛隊施設の整備について、政府として早期に運用が開始できるよう取り組んでいるところであります。この施設整備に当たってはですね、これまでも、西之表市や鹿児島県等に対して、説明を積み重ねてまいりました。八板西之表市長から御提案をいただいた協議の場も11回を数える等、有意義な意見交換を続け、しっかりとした意思疎通が図れているものと考えております。このような中で、環境影響評価法を遵守し、今月12日に評価書の公告を行った上で馬毛島島内の工事を開始をしました。防衛省としては、引き続き西之表市を始めとした地元自治体等と緊密に連携しながら、施設整備を進めてまいりたいと思います。また、馬毛島の土地取得について、相手方の関係もあることから取得に要した経費、積算根拠を示す時期に関して予断をもってお答えすることはできませんが、今後、適切な段階で御説明したいと考えているところであります。

Q:この馬毛島基地についてですね、地元並びに国民の理解がしっかり広がっているかという認識を改めてちょっとお伺いしたいんですけれども。

A:確かに、地元とはきちっとした形で、我々としては意思疎通を図ってきているところでありますけれども、今後、自衛隊、米軍の活動、これについてはですね、地元自治体とは、こういった形でお話をさせていただいているところでありますが、今後ですね、多くの国民の方々に理解していただけるように、馬毛島の重要性というものをですね、更に我々としては、説明をしっかりとしていきたいというふうに考えているところであります。

Q:先ほどの、馬毛島の買収合意額の約160億円のですね、それについての積算根拠を適切な時期に示すということで、先ほども御説明いただいたんですけれども、その適切な時期っていうのはいつなんでしょうか。目途であるとか、どういう状況になったらその説明をされるのかというところまでお願いいたします。

A:繰り返しになりますけれども、この時期に関しては、先ほど申し上げたとおり、今ここで予断をもってお話することはできないわけでありますけれども、これから我々が、このやっていく上でですね、いろいろな土地に関しては多くの進め方があるわけでありますが、今、土地の取得状況に関してはですね、その所有者を防衛省とした登記が完了している土地と、所有権移転請求権の仮登記を完了した土地、すなわち、防衛省が今後確実に取得する土地と合わせるとですね、馬毛島全体の公簿上の土地面積の99%に達しておりますので、基地建設に必要な土地は既に取得をしておるわけでありますので、そういった意味について、また、細かなことについて必要があればですね、事務方に聞いていただければというふうに思います。

Q:お尋ねしたいんですが、昨年末に、入間病院で看護士が1名自殺をされたという話を聞いたんですが、これは事実でしょうか。

A:手元にその点についての資料ございませんので、今ここでお答えすることはできないので、また事務方にお聞きしていただければと思います。

Q:それでですね、かつては、自衛隊の看護士って130%いて、それで例えば女性の看護士が妊娠とか出産しても、ほぼほぼ充足率は保たれていたという話は聞いてるんですが、今なんか19%ほどしかいらっしゃらない。しかもその、民間と比べて自衛隊の看護士って待遇がいいそうなんですよね。そのいい待遇でなんでこんなに減ってしまったんだというところの大臣、何かこうお考え、思い当たるところございますでしょうか。

A:自衛官たる看護官についてはですね、防衛医科大学校看護学科の卒業生を年間約70名程度任官をしておるわけであります。充足率は、令和3年度末時点で約126%となっております。医療職たる看護師についてはですね、募集に基づく採用によって、充足率は令和3年度末時点で約99%というふうになっております。看護官、看護師ともに、必要数を確保できており、引き続き質の高い人材の確保に努めて参りたいと考えております。

Q:先ほど、「2+2」の関連で出ていたことで関連してお伺いします。大臣、沖縄の負担軽減にも最大限配慮されたとの御説明がありましたが、今回「2+2」などで示された負担軽減策で、十分負担軽減が図られる、これで十分だとお考えかということ、あるいは、負担増になってしまうけれども、安全保障環境を考えれば、致し方なく、県民に理解してもらうしかないというお考えなのか、お聞かせください。

A:今般の日米「2+2」で確認した米軍再編計画の再調整においてはですね、格段に厳しさを増す安全保障環境に対応するための米軍の態勢強化を図りつつも、現行再編計画の基本的な原則は維持し、再編終了後に沖縄に残留する海兵隊の規模を、現行再編計画と同様の約1万人とするなど、沖縄の負担軽減に最大限配慮をしております。 その上で、沖縄の基地負担軽減を図るためには、引き続き、日米間で合意されている嘉手納以南の土地の返還や、米海兵隊のグアム移転などの計画を推し進め、目に見える成果を、一つ一つ着実に積み上げていくことが重要と考えております。また、本件については、引き続き、地元の皆様に、丁寧に説明してまいりたいというふうに考えております。

Q:昨日ですね、山崎統合幕僚長の定年延長人事が発表になりましたけれども、ねらいやですね、その背景についてお聞かせください。また、前任の河野幕僚長は3度にわたり延長されましたけれども、いつまで延長させるか、何をするまでというような目安のようなものがあるんでしょうか。お考えをお聞かせください。

A:山崎統幕長はですね、令和5年1月15日に定年に達しましたが、我が国の防衛する能力をこれまで以上に抜本的に強化し、自衛隊の各種任務を適切に遂行するためには、山崎陸将を引き続き統幕長として勤務させる必要があると判断し、自衛隊法第45条3項に基づいて延長をいたしました。細かなまた基準についてはですね、事務方の方に聞いていただければと思います。

Q:護衛艦の「いなづま」の件で伺いたいんですけれども、今、事故原因について調査しているところだと思いますが、今後、どのような点を重点的に調べる予定でしょうか。また、スクリューなど損傷が確認されていますが、船の修繕については、どのような日程で行う予定でしょうか。教えてください。

A:本事故の原因等にかかる事実関係についてはですね、現在、捜査等が行われていることもありまして、お答えできないことを御理解いただきたいと思います。また、この事故においてはですね、他の船舶や乗組員への被害は確認されておりません。また、護衛艦「いなづま」の船体前部ではソーナードーム外部のへこみや亀裂を、船体後部では右舵軸のずれを確認したほか、右軸プロペラブレードの一部脱落を確認し、当該脱落部から一時、漏油が確認されましたが、すべてこれは回収済みという報告を受けております。修理のですね規模については現時点では定かでありませんが、造船所ドックでの損傷状況の詳細な調査を行った上で、復旧に向けた修理を計画的に進めてまいりたいと考えております。

Q:陸自の銃剣道に関してお伺いたいんですけれども、陸上自衛隊では銃剣道を専業にしている、つまりその、課業で全部銃剣道に使っている、競技会に参加する隊員がいるというように聞いております。これですね、銃剣道、今どこの国でもそういう銃剣道みたいなことをやっている国は無いわけで、はっきり言えばチャンバラごっこをね、給料を貰ってやっているということであるんですけれども、しかもそれが部隊長の成績に影響するということで皆さん力を入れてらっしゃるということなんですけれども、これを部隊では6割を切るような充足率のところが一杯あるのに、こういうことを続けているということは、必要なんでしょうか。

A:銃剣道というのはやはり、従来自分たちの能力向上のために取り入れているものだというふうに思います。そういった意味において、その必要性というものについてはですね、いろいろ考え方もあるかと思いますけれども、今後そういったものも含めて、我々とすれば考えていかなければならないことなのかもしれません。今後の検討をまたしていくということを今、申し上げるに過ぎませんけれども、必要性については各部隊によってですね、これは考えていくことだと思いますので、我々として今、ここでそれに対する意見というものは持ち合わせておりませんので、今後、部隊の方の考え方を尊重していきたいというふうに考えます。

Q:部隊でどうこうという問題では無いかと思います。結局それが部隊長の成績に直結してしまうことがそもそも問題だし、これあの、隊員によっては銃剣道の道具一式、30何万円をですねローン組ませて買わされたり、自腹切らされたりしてるんですよね。部隊によっては、部隊の4分の1くらいが専業でこう銃剣道やっているみたいなとこもあったというふうに伺っております。結局それっていうのは、銃剣道関連に天下りしたOBの方々のですね、利権ということで繋がっているんじゃないかというふうに思うんですけれども、どの国も、もしくは陸自のOBの方々に言っても、「あんなもん今時、実戦で役に立たないよ」という人が、私の周りではほぼ全員ですね、そういうことを延々と続けて、人件費を無駄遣いするということが、防衛省として正しいんでしょうか。

A:御指摘の点もいろいろな御意見があることも、これは多分そうだろうと思うわけであります。これからの、要するにそういったものも含めて、我々とすれば議論していかなければならないと思いますし、しかしながら、我々この点についてはですね、またその御意見もいただきましたので、また検討してまいりたいというふうに思うところであります。

Q:安倍元首相に関してお伺いしたいんですけれども、昨年の末に出た月刊文藝春秋で、旧統一教会から5,000億円以上の資金がこれ、北朝鮮に渡ったという、根拠は米国防省の資料だというような記事が出ておりました。これ事実とすればですね、そういう宗教団体がですね、北朝鮮の核開発であるとか、弾道弾、特にアメリカにまで届くICBMまで開発しているわけでありまして、我が国のみならず同盟国のアメリカに対してもこれ非常に大きな脅威を持ってると思うんですね。しかもそれを非常に深い関係があったのが安倍元首相、つまり我が国の首相であるし、なおかつ自衛隊の総司令官という立場の方がコミットしていた、まあ悪く言ってしまうと、間接侵略に手を貸していたんではないかということがあると思うんですけれども、安倍総理のそういう責任に関しては、何か大臣思うところはございますでしょうか。

A:今の御指摘の点については、私ども所管ではございませんし、私の立場でお答えすることは差し控えたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

Q:どちらが所管になるんでしょうか。

A:お調べください。申し訳ございません。

Q:旧統一教会と非常に仲のいいという、萩生田さんがですね、今政府与党の政調会長、政策の責任者なんですけれども、こういう教祖夫妻を真のお父さん、お母さんと呼ぶ人が、党の政策を決定する立場にあることに関して大臣どのようにお考えですか。

A:その件についてもコメントは差し控えたいと思いますのでよろしくお願いします。

以上