防衛大臣臨時記者会見

日時
令和5年1月13日(金)08:16~08:27(日本時間)
場所
米国ワシントンD.C.ウィラード・インターコンチネンタル地下1階
備考
日米防衛相会談後の浜田防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 16時から17時までの60分間、オースティン国防長官と会談を実施いたしました。本日の会談では、昨日の日米「2+2」の成果を踏まえ、それぞれの新たな戦略について、速やかに実行に移していくことで一致をし、その具体的な取組について議論を行いました。私からは、反撃能力を含めた防衛力の抜本的な強化を早期に実現する強い決意を述べ、オースティン長官から強い支持を示されました。また、抜本的に強化される日本の防衛力の下での同盟の役割・任務の分担について、集中的な議論を速やかに実施させることを確認をいたしました。特に、日米協力の下での反撃能力の効果的な運用、事態の発生を抑止するための平素からの日米共同による取組、そして、あらゆる段階における迅速かつ効果的な日米間の調整等について議論を深めていくことを確認をいたしました。さらに、オースティン長官から、日本に対する核を含めた米国の拡大抑止のコミットメントは揺るぎないものである旨の発言があり、米国の拡大抑止がより信頼でき、より強靭なものであり続けるための取組を更に深化させていくことを確認をいたしました。日米共同による取組の実際の実行として、ISR能力の強化の観点から、日本における米軍無人機MQ-9の一時展開及び日米共同情報分析組織の運用開始を歓迎をいたしました。また、同盟の技術的優位の確保が死活的に重要との認識の下、装備・技術協力を加速させることで一致をし、その基盤となる研究・開発に関する了解覚書及び防衛装備品等の供給の安定化に係る取決めに署名をいたしました。最後に、昨日の「2+2」で確認された米軍の態勢の取組を実行することで合意するとともに、在日米軍の安定的な駐留と日々の活動には、地域社会の理解と協力が重要であることで一致をいたしました。本日は、「2+2」での議論も踏まえつつ、新たな戦略の下での具体的な取組について、幅広くかつ率直な議論を行いました。本会談の成果も踏まえ、引き続き、オースティン長官とともに、日米同盟の強化、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて取り組んでまいります。

2 質疑応答

Q:本日のオースティン長官との会談、そして昨日の「2+2」と一連の協議を通じて、今回の訪米の成果、改めてどう評価されてますでしょうか。それと明日、岸田総理とバイデン大統領の日米首脳会談、控えていますけれども、安全保障の観点からどういった成果に期待されていますでしょうか。この2点よろしくお願いいたします。

A:今回、両国の新たな戦略文書が出揃ったこのタイミングで、日米「2+2」及び日米防衛相会談が実施をされ、日米双方の新たな戦略の下での日米同盟の一層の強化について充実した議論ができたことを、大変意義深く感じております。特に、それぞれの会談において、米国から、国家防衛戦略等で示した防衛力の抜本的強化の取組へのですね、強い支持が示されたほか、改めて、米国の拡大抑止のコミットメントが揺るぎない旨の発言があったことは、非常に心強いものでありました。今後、新たな戦略を実行に移していく上で、米国との協力はますます重要となります。今般の訪米の成果を踏まえ、引き続き、米国とともにですね、日米同盟の抑止力・対処力の更なる強化に向けて取り組んでまいります。また、日米両首脳のですね、強いリーダーシップの下で、既に強固な日米同盟をより一層力強いものとしていくため、明日の首脳会談においてもですね、活発な議論がなされることを期待をしております。

Q:反撃能力について、2つほど伺わせてください。反撃能力のですね、米国と連携した効果的な運用について言及ありましたけれども、今後、情報収集とかターゲティングなどですね、どういった分野で協力深めたいかということをお聞かせください。あともう一点ですね、トマホークの購入について、日本は来年度予算案に予算計上していますけれども、今日の会談でどのような言及があったか教えてください。

A:本日の会談ではですね、私から、改めて、反撃能力を含めた防衛力の抜本的強化を早期に実現する強い決意を述べ、また、オースティン長官との間で、抜本的に強化される我が国の防衛力の下での同盟の役割・任務の分担について、集中的な議論を速やかに実施させることを確認をいたしました。その上で、日米協力の下で反撃能力を効果的に運用するための議論を深めていくことを確認をいたしました。国家防衛戦略においてお示ししているとおり、反撃能力についてはですね、日米共同でその能力をより効果的に発揮する協力体制を構築していくことが必要です。その点、御指摘の情報収集やターゲティング、また、日米間における様々なレベルでの調整要領は、検討対象に含まれると考えております。昨日の日米「2+2」や本日の会談での議論も踏まえてですね、反撃能力に関する日米の防衛協力の詳細について、引き続き日米間で議論を進めてまいりたいと思います。そしてトマホークについてはですね、私の方から発言はしませんでしたので、また詳細については、この後のブリーフィングで聞いていただければというふうに思います。

Q:拡大抑止に関してお伺いをします。昨日の「2+2」でもですね、議題の一つとして集中的に議論されたと思うんですけれども、今日の大臣の冒頭の発言でですね、核の運用面を含めたあり方について議論したとおっしゃったと思うんですけれども、今日、バイの場ですね、どういった議論がなされたかお願いします。

A:今日の拡大抑止についてはですね、会談で地域におけるですね、核を取り巻く状況はこれまでになく切実なものになっている中でですね、核の運用面のあり方も含めてですね、この差し迫った課題に対して、米側とよく議論をしていきたい旨私から述べさせていただきました。そしてまた、オースティン長官からはですね、改めて日本に対する核を含めた米国の拡大抑止のコミットメントは揺るぎない旨の発言がありました。

Q:昨日の「2+2」後の共同記者会見で、林外務大臣が、日米ガイドラインについて「直ちに見直しが必要になるとは考えていない」とおっしゃいましたけども、これは浜田大臣も同じ認識でしょうか。

A:基本的に我々、今までもですね、お互いに今後の日米防衛協力の内容やですね、日米の役割・任務・能力を含めてですね、日米で幅広く議論していきたいと考えておるところでありますし、こうした中で、日米ガイドラインの見直しの必要についてもですね、不断に検討していきたいというふうには思っていますので、我々とすれば今、現在においてこのガイドラインについてのですね、見直しについてはですね考えていない、しかしこれからも不断にですね、検討していくということだというふうに思っているところであります。

Q:大臣、今日署名された共同研究の迅速化とサプライチェーン協力の強化、これによって将来的にどのような成果を期待されるのか教えてください。

A:我が国は、昨今のですね、この厳しい安全保障環境に踏まえて、米国との間で共同研究・開発等におけるプロセスの合理化を推進していますが、また、防衛産業が抱える様々なリスクを踏まえますとですね、同盟国・同志国等と協力してサプライチェーンの強靭化を図っていくことはですね、国家安全保障を確保するために不可欠であると考えております。今般署名した「研究・開発等に関する了解覚書」及び「防衛装備品等の供給の安定化に係る取決め」はですね、それぞれ、共同研究・開発の速やかな着手や、日米によるサプライチェーンの相互補完に寄与するものと考えております。これらの新たな協力枠組みも活用しながら、同盟の抑止力・対処力にとって技術的優位性を確保することが死活的重要であるとの認識に立ち、米国との装備・技術協力を加速していきたいというふうに考えております。

以上