新年明けましておめでとうございます。よろしくお願いします。
今年もまたいろいろ御世話になるわけでございますが、私、来週から米国の出張がございまして、それについて御報告をさせていただきたいと思います。1月11日から米国を訪問して、日米安全保障協議委員会「2+2」に出席するとともに、日米防衛相会談を実施をします。「2+2」では、昨年策定された日米両国の戦略文書を踏まえ、日米同盟の抑止力・対処力の更なる強化に向けた議論を行う予定であります。また、オースティン長官との会談では、装備技術協力をはじめとする様々な分野における、より具体的な取組について議論する予定です。今回の訪米を通じ、日米同盟の強化、「自由で開かれたインド太平洋」の推進に向けて更に邁進していく所存であります。
Q:今、御紹介あった日米2+2についてお伺いします。日本は、昨年末に安保関連3文書を改定して、反撃能力の保有を打ち出しました。3文書では反撃能力に関して、我が国の反撃能力の行使を含む日米間の運用の調整などに取り組む、日米の基本的な役割分担に変更はないが、弾道ミサイル等の対処と同様に日米が協力して対処していくなどと明記されていますが、今回の「2+2」で反撃能力の保有、運用に向けて、米国とどのような協議を行いたいと考えているか、大臣の見解をお願いします。併せて、3文書改定を踏まえて、2015年以来となる日米ガイドラインの見直しの必要性について、大臣の考えをお願いします。
A:日米「2+2」等における具体的な議論の内容については、現時点で予断をもってお答えすることはいたしませんが、両国の戦略文書を踏まえ、日米同盟の抑止力・対処力を更に強化するための方策について議論を行う予定であります。また、日米ガイドラインの扱いについて、現時点で何ら決まっていることはありません。まずは、今回新たに策定した戦略文書を踏まえ、日米間のあらゆるレベルで緊密に連携するため、協議していきます。いずれにせよ、引き続き、様々な分野における日米安保・防衛協力を更に促進し、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していく考えであります。
Q:北朝鮮の情勢について伺います。昨年12月31日と今年1月1日に相次いでミサイルを発射しました。またですね、1月1日付けの労働新聞では、新型ICBMの開発や、核弾頭の保有量の増加などについても言及されています。こうした一連の北朝鮮情勢について受け止めと、防衛省としてどう対応していくお考えか、お聞かせください。
A:北朝鮮の発表内容の一つ一つにコメントすることはいたしませんが、北朝鮮は、昨年から立て続けにミサイル発射を繰り返すなど、核・ミサイル開発を急速に進展させています。こうした北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全保障にとって、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威であると認識をしております。その上で、北朝鮮は、一貫して核・ミサイル能力を強化していく姿勢を示しており、今後も、各種ミサイルの発射や核実験の実施など、更なる挑発行為に出てくる可能性があると考えられます。防衛省・自衛隊としては、引き続き米国・韓国等とも緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げ、我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいりたいと考えます。
Q:南西諸島防衛について伺います。1月3日付、沖縄タイムスが沖縄県内41市町村へのアンケートを行った結果、そのうちの約95%、37人が台湾有事の危険性が高まっているとの認識を示し、政治的な立場を超えて、政府の外交努力不足や防衛力強化への説明不足を指摘したと報じられています。実際に戦争になれば、沖縄県だけでなく、首都圏も含め日本列島全ての米軍並びに自衛隊基地、それに原発などがミサイル攻撃を受ける可能性があります。さらに、中国は核保有国でもあり、敵基地を攻撃すれば、確実に日本全土にミサイルが飛んできます。そもそも、中国と台湾の紛争、つまり、国内問題になぜ南西諸島を含む日本全土が巻き込まれ攻撃されなくてはならないのでしょうか。大臣の考えをお聞かせください。
A:仮定の御質問には答えることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、我々とすれば中国の動向、そして地域のいろいろな動きをしっかりと見極めながら、対処していかなければならないと考えておりますので、今後、我々としてなすべきことをしっかりとやっていきたいというふうに考えておるところであります。
Q:防衛費に関してお伺いします。防衛力整備計画には、今後5年間で必要となる水準として43兆円が明記されていますが、計画に基づく各種事業の契約の結果として、2028年度以降の後年度負担額は16兆5,000億円とされています。有識者からは巨額のローン払いが残るツケとして28年度以降の計画で必要な装備の購入にしわ寄せがいくなど、予算の硬直化の問題や、巨額の後年度負担を理由に28年度以降の計画で更なる防衛費の増額につながる恐れがあるとの指摘が出ていますが、そうした懸念について、大臣の見解をお願いします。
A:将来の防衛費の水準についてはですね、国家安全保障戦略及び防衛力整備計画において、2027年度については、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組をあわせ、そのための予算水準が現在のGDPの2%に達するよう、所要の措置を講じるとともに、その後の整備計画については、令和5年から9年度の5年間における集中的な整備を適正に勘案した内容とし、2027年度の水準を基に安定的かつ持続可能な防衛力整備を進めることとされております。この点、今回の防衛力整備計画で相当数の部品や装備品の整備を行うため、2028年度以降は新規の物件費を抑制することが可能であると考えております。具体的には、これまで不足していた部品を次の5年間で集中的に取得することにより、装備品の維持整備・可動確保に係る経費は相当程度減額する見込みであること、P-1哨戒機のような次の5年間で取り切り、次期には取得する必要がなくなる装備も相当数あること、施設整備も次の5年間で集中的に実施することから、以後の施設整備に係る経費は相当程度減額する見込みであることなどを踏まえれば、防衛関係費の規模は持続可能な水準となる見込みであります。更に、前中期防期間中には、様々な効率化努力により、1.7兆円のコスト縮減を図っており、このような取組を今回や次期整備計画においても当然実施していきます。いずれにせよ、2028年度以降についても、その時点における国際情勢等を勘案しつつ、我が国を将来にわたり守り抜くために必要な防衛力の整備をしっかりと行っていく考えであります。
Q:関連でお伺いします。28年度以降の後年度負担額、この16.5兆円についてですね、防衛力整備計画の全文には契約額43兆5,000億円は明記されていますが、28年度以降の後年度負担額の記載はなく、多くの国民にとって分かりづらい内容となっています。国民への説明責任が十分に果たされているとお考えでしょうか。併せて、昨年12月の記者ブリーフで配られた計画の概要には、28年度以降の後年度負担に関する絵が示されていましたが、1月5日時点の防衛省のホームページには防衛力整備計画に関する概要についての情報がアップされていません。残り2文書にはその概要がアップされているのに、なぜ計画だけ概要が示されていないのかその理由をお願いします。
A:今般の戦略3文書については、その要点を分かりやすく解説する観点から、閣議決定文に加えて図や写真等を用いた概要資料と併せて説明を行っております。この点、防衛力整備計画の2028年度以降の後年度負担額についても、御指摘の記者ブリーフで御説明した概要資料に記載していましたが、1月5日夕刻、防衛省ホームページにも掲載したところであります。いずれにせよ、戦略3文書については、これまでその時点で可能な限りの説明を行ってきたところでありますが、今後、更なる説明に努めてまいりたいと考えております。
Q:この防衛費に関して、今後5年間の歳出額は43兆円ですが、後年度負担の16.5兆円を足した約60兆円の方が実態をあらわしている数字だと思いますが、大臣はどちらの方が国民に正確に情報発信をしていると考えますか。
A:基本的に防衛省の計画の中において、単年度で全て取り切る予算が出るということがないものも数多くあってですね、その意味ではどうしても、後年度負担になるものが数多くあるわけでありますので、そういった防衛省の予算のですね、特殊性というものをしっかりとまた説明していかなければならないのかなというふうに思いますし、我々とすれば、その努力をこれからも続けていきたいというふうに思っています。かなり前からこの点についてもですね、後年度負担については議論のあるところでありますし、説明してきたところでありますが、更にしっかりと説明をしていきたいというふうには考えております。
Q:冒頭大臣、「2+2」についてお話されまして、議題については予断をもってお答えできないとのお答えでしたけど、昨年と同様、鹿児島県西之表市へ整備中の馬毛島についても議題の一つになる見通しであるのかどうかを1点教えてください。
A:そこまで我々とすればですね、まだ具体的な議論の内容についてですね、現時点で予断をもってお答えすることはいたしませんが、両国の戦略文書を踏まえてですね、日米同盟の抑止力・対処力を更に強化するための方策については議論を行う予定でおりますので、今、この時点でそういった一つ一つの点にですね、私の方からお話することは難しいと思いますので、御理解いただければと思います。
Q:追加で、近く評価書を公表して年度内の着工をするという方針が示されておりますけれども、それは今回の「2+2」にあわせて米側に日米同盟の強化という点でも議題になるのかなというふうに思っているんですけど、その点については、どのようにお考えでしょうか。
A:直接的な関係はないとは思うんですが、当然、我々とすれば馬毛島の案件というのは大変重要なものだというふうに認識をしておりますし、当然そういった御指摘というかですね、御意見あろうかと思うわけでありますけれども、そこまで踏み込んで今回どうなるかというのは、ちょっとよく分からないところもありますので、ただ一つだけ言えることはやはり、我々とすれば馬毛島の重要性というものをですね、しっかりと頭に入れながら、いろいろな交渉に向かっていきたいというふうに考えております。
以上