防衛大臣記者会見

日時
令和4年12月27日(火)10:49~11:06
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 恒例の今年の漢字ということでですね、私が今年の一年の漢字はですね、「律」でございます。我々にとって今年最大の課題はですね、いわゆる3文書の策定でありましたけれども、今般の防衛力の抜本的強化は、戦後、防衛政策の大きな転換点となるものでありまして、43兆円という整備計画の総額は、我が国の防衛という我々の任務をしっかり果たし得るものとなりました。来年も、防衛省・自衛隊が国民を守る最後の砦としてですね、国民の期待と信頼にしっかりと応えられるように、私をはじめ全自衛隊員が自身を律してですね、防衛力の抜本的強化に取り組んでいく必要があると考え、「律」といたしました。その考えの中でですね、今年はワールドカップの年でもありました。堂安律さんが2点も得点を挙げたということもあり、「律」という字の関連性からいくと、ワールドカップでの堂安選手の活躍というのは大変評価に値するというふうに思いますし、たまたま、私が緊張感を持ってこの「律」という字を書いたつもりであったわけでありますが、今回、防衛省を揺るがすようなですね、大変大きな事案も出てしまいましたので、更に、その思いを込めて、律するということが重要だというふうに考えておりますので、我々もこの緊張感を持って、今後とも仕事をしていきたいというふうに考えているところであります。

2 質疑応答

Q:改めてなんですけれども、今月末には国家安全保障戦略などの3文書であったり、2023年度当初予算案、防衛予算として6.8兆円がそれぞれ閣議決定されました。改めて大臣の受け止めと、今後防衛力の強化に向けて、どのように進めていくかお考えをお聞かせください。

A:今も少し申し上げましたけれども、先日の新たな国家防衛戦略等の閣議決定は、厳しさを増す安全保障環境に対応し、真に国民を守り抜ける体制を作り上げる、戦後防衛政策の大きな転換点になったと考えております。また、令和5年度予算案では、防衛力抜本的強化元年予算として、約6兆8000億円を計上したところであり、新たな整備計画の初年度に相応しい内容及び予算規模を確保できたと考えております。これらの成果は、決して一朝一夕に実現したものではありません。今年1年間、防衛省内において内幕一体となって検討を重ね、また、与党の皆様との精力的な議論を行ってきた成果であると考えております。改めて、関係者の皆様に心から御礼申し上げたいと思います。他方、防衛省・自衛隊の取組は、戦略文書を策定して終わりではありません。まさに今、スタートラインに立ったところであります。そして、またそれを進めていくためにも、防衛費の増額も含め、これまで以上に国民の皆様に説明をしていくことが重要と考えております。本年8月に防衛大臣に就任した際も、「存在する自衛隊から行動する自衛隊と呼ばれて久しい」と申し上げたところであります。自衛隊が国民を守る最後の砦としての責務を完遂し、国民の期待と信頼にしっかりと応えられるよう、防衛力の抜本的強化を必ず実現していくとの決意をもって、取り組んでまいりたいと考えております。

Q:昨日、海上自衛隊における特定秘密漏えい問題について、防衛省の方から処分とか発表されました。改めて、大臣の受け止めと今後の再発防止に向けた考えをお聞かせください。

A:現職の幹部自衛官による秘密の漏えいは、防衛省・自衛隊への国民の信頼を損なうものであり、極めて遺憾であると考えております。このような事案が再び発生することの無いよう、昨日、私から再発防止に係る指示を発出するとともに、副大臣を長とする再発防止検討委員会を立ち上げ、防衛省全体で検討を行う体制を整備いたしました。自衛隊の円滑な運用を確保し、我が国防衛を全うするためには、情報の保全は徹底が不可欠であります。今後、再発防止策をはじめ関係する施策にですね、一層取り組み、信頼回復に全力を尽くしてまいりたいと考えておるところであります。

Q:北朝鮮の今年1年のミサイル発射について伺います。今年は過去に例のない頻度で発射が繰り返されたほか、5年ぶりにミサイルが日本の上空を通過し、Jアラートも発動されました。この1年通じた北朝鮮のミサイル発射について、受け止めをお願いします。また、併せて今年は年初の1月5日にミサイルが発射されてますけれども、年末年始の警戒体制が万全かどうかも併せて伺います。

A:北朝鮮は、本年、かつてない高い頻度で弾道ミサイル等を発射を繰り返しました。潜水艦や鉄道といった様々なプラットフォームからの発射、極超音速ミサイルと称するものや変則軌道で飛翔するミサイルの発射、我が国上空を通過させる形での発射や、米国本土を射程に含み得る新型ICBM級弾道ミサイルの発射など、一連の発射を通じて、ミサイル関連技術・運用能力を急速に進展していることは間違いございません。こうした北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全保障にとって、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威であります。地域及び国際社会の平和と安全を著しく損なうものであり、断じて容認することはできません。北朝鮮は核・ミサイル能力を強化していく姿勢を崩しておらず、今後も、各種ミサイルの発射や核実験の実施など、更なる挑発行為に出てくる可能性があると考えられます。防衛省・自衛隊としては、年末年始か否にかかわらず、北朝鮮の軍事動向について、引き続き米国・韓国等とも緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げ、24時間365日、我が国の平和と安全の確保に万全を尽くしてまいります。

Q:昨日の海自の特定秘密の漏えいのことでお伺いします。特定秘密を漏らしたのがですね、情報部門の幹部ということでですね、最も情報保全をしないといけないような、意識しないといけないような方が漏らしたということで、組織内で情報保全に意識がかなり薄いのではないかと思われるんですけれども、このような情報保全に対する意識の向上についてどのように、今後、改善していくのかをお願いします。

A:今回の案件に関しては、大変、我々としてもこの特定秘密が漏えいされたということに対して、大変重く受け止めているところであります。これを徹底すべく、そのための、今、新しい組織を立ち上げて、副大臣を中心にですね、この案件についての結論、どのような対策をしていくのかも含めてですね、議論をしていくということになると思いますので、それをしっかりとその中で議論していただいて、その方針をしっかりと定めてまいりたいというふうに考えているところであります。

Q:情報部門の幹部が漏らしたというのは、すごく重大なことだと思うんですけれども、そこにいる人間でさえこれだけの薄い意識であるとすると、防衛省全体でですね、保全の意識を向上させるというのはかなり難しいと思うんですけれども、そこらへんに対して何かこう、大臣としてこういうことをしていきたいというのはありますでしょうか。

A:今の御指摘にあるように、特に情報部門でそのように緩みがあったということは、おっしゃるとおりでありますし、今後、これを防衛省全体にそれを知らしめていくためには、かなり思い切った策も考えなければならないというふうに考えますが、その点に関しては、今後、議論の上でしっかりと方向性を出していきたいというふうに考えております。

Q:特定秘密漏えいについて重ねてお伺いいたします。昨日、処分された1佐はですね、上司であった元自衛艦隊司令官に畏怖の念を抱いて、その中で特別な情報を提供しないといけないというふうに思ったというのが背景として説明されております。こうした上司に対する過剰なサービスというものは、属人的なものでしょうか、それとも、上下関係厳しい階級社会に縛られた組織的な問題が背景にあるという、組織的な体制によるものだというふうに考えますでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

A:今、御指摘の点についてはですね、再発防止委員会を立ち上げましたので、その中でいろいろと分析、そしてまた方向性をということで対応していきたいというふうに思っておるところでありますので、今、ここで私からですね、具体的なことは申し上げられませんが、とにかく今回の案件に関しては大変重く受け止めておりますので、しっかりと議論をさせていただきたいというふうに思います。

Q:加えてですね、実際、今回のようなOBと現職職員の接触のあり方についてですね、なにがしかのルールもこれから必要になってくると思いますが、その点で何かお考えありましたらお聞かせください。

A:その点に関しましては、今、申し上げたとおり、今後の対応というふうに、示していきたいと思いますけども、当然これ厳しくなることは、これは間違いのないことだというふうに思います。

Q:話題変わって、防衛力強化についての国民への説明について伺います。先日、予算案閣議決定後の省議で、大臣が「今後必要なこととして国民の理解をしっかりと得ていくこと、国民に理解してもらえるよう丁寧な説明を防衛省の皆さんが1人1人が心がけていただきたい」と述べていますが、今後、具体的にどのように説明していくお考えか、また、防衛力強化について、防衛省が国民に対して国民の理解を得る説明というのを、防衛省がこれまで尽くしてきたとお考えでしょうか。

A:戦略3文書についてはですね、国会における質疑や皆様からの御質問にお答えする形で、その時点で可能な限りの説明を行ってきたところであります。政府として結論を得て閣議決定しましたので、今後、さらなる説明に努めてまいりたいと考えております。特に、防衛省・自衛隊としては、今般の防衛力の抜本的強化においては、これまでにない大きな取組を進めてまいります。そのため、厳しい安全保障環境や、自衛隊の現状、そして、   今後整備していく防衛力の内容について、様々な機会を活用しつつ、国民の皆様に丁寧かつ分かりやすい説明に努めてまいりたいと考えております。

Q:もう1点伺います。防衛力強化を巡っては、防衛省内で防衛力強化加速会議が15回にわたって開かれました。丁寧な説明を尽くすのであればですね、こうした会議でどのような議論がされて防衛省がこの強化の内容を決めたのか、できる範囲でその概要なんかを明らかにすべきだと思いますけれども、大臣のお考えを伺いたいです。

A:防衛力強化加速会議はですね、岸田総理から、新たな国家安全保障戦略等の改定や防衛力の強化に取り組むこと等について指示があったことを踏まえ、令和3年11月に防衛大臣を議長として立ち上げ、これまで計15回開催をしてきたところであります。本会議では、防衛力強化を加速していくためのあらゆる選択肢について議論してきたところでありますが、そのような具体的な検討内容については、我が方の手の内を明らかにすることとなるため、公表できないことを御理解いただければと思います。他方、防衛省としては、厳しい安全保障環境や、自衛隊の現状、そして、今後整備していく防衛力の内容について、国民の皆様の御理解を得ることは重要であると考えており、丁寧かつ分かりやすい説明に努めてまいりたいと考えております。

Q:細かい話で恐縮なんですけれども、鹿児島県馬毛島への自衛隊基地整備計画で、来年度予算案に契約ベースで約3,030億円の予算を計上されました。2022年度からの積み上げでは7,600億円を超える額となっています。環境影響評価の手続きも大詰めとなっていますけれども、今回の予算計上の意義と、今後の整備を進めるに当たっての所感をお聞かせください。

A:厳しさを増す安全保障環境を踏まえれば、政府としては、できるだけ早期に運用が開始できるよう、馬毛島における施設整備に取り組んでいく必要があると考えております。そのために必要な経費を令和5年度予算案にも計上し、工事等を着実に進めていくこととしております。環境影響評価書の公告後、今年度中も含め、できる限り速やかに工事に着手したいと考えており、早期の整備、そして運用開始に向けて事業を進めてまいりたいというふうに思っておるところであります。

  どうも1年ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。よいお年をお迎えください。ありがとうございました。

以上