防衛大臣記者会見

日時
令和4年12月13日(火)13:58~14:15
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 なし

2 質疑応答

Q:冒頭、幹事社からまとめて2問お伺いします。国家安全保障戦略など3文書について、自民・公明両党の実務者協議が昨日合意しました。反撃能力の保有などを明記しておりますが、改めて意義など、受け止めをお願いします。一方、防衛費の財源の一部を増税でまかなうことについて、高市大臣がSNSで「総理の真意が理解できない」と発信するなど、閣内にも総理の意向が浸透しないと見受けられる件が出ていますけれども、閣僚の一人として受け止めをお願いします。

A:12日の与党ワーキングチームにおいて、新たな国家安全保障戦略等について自民・公明両党の間で合意されたと承知しており、与党における活発な議論に感謝を申し上げます。新たな国家安全保障戦略等の策定は大詰めを迎えているところですが、引き続き与党のプロセスを踏まえながら政府として、しっかり仕上げてまいりたいと考えておるところであります。もう1点、財源の一部を増税でということで、いろいろな御意見があることは聞いておりますけれども、防衛力強化にかかる歳出・歳入両面での財源確保の具体的内容を、年末に一体的に決定するとの認識は共有をされていると考えております。いずれにせよ、年末に一体的に決定すべく調整を進めてまいりたいと考えております。

Q:財源のところで、もう一点確認なんですけれども、防衛省の方も圧縮の取組とかもやると思うんですけれども、大臣としてはそれをどういうふうに防衛費を捻出するため歳出を削減していくのかという点を教えてください。

A:防衛費増額の財源については、現在、与党の税制調査会で議論が行われているものと承知をしており、私の立場からコメントは控えたいと思います。いずれにせよ、防衛力強化にかかる歳出・歳入両面での財源確保の具体的内容を、年末に一体的に決定すべく調整を進めてまいりたいと思います。なお、国家の責任として、まずは歳出改革に最大限努力することは当然であります。防衛省・自衛隊においても、防衛装備品の調達の効率化・合理化等、コスト縮減のための取組を着実に推進する考えであります。

Q:統一教会の活動の国家安全保障上の脅威について、大臣の御意見を伺います。統一教会が日本人信者から献金という形で巻き上げた莫大な資金が韓国の教団本部に送られ、さらに、北朝鮮に多額の資金援助を行ってきたと全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士の方々が12月10日の記者会会見で指摘し、各メディアでも報じられております。文鮮明氏が、金日成に送った金額だけでも4,500億円を超えるとも言われ、三代にわたって献金は続いています。これらの莫大な資金の一部は、北朝鮮の核ミサイル開発の資金に充てられた可能性も十分あると言われており、事実であれば、統一教会の活動が日本の国家安全保障上の脅威です。現在の統一教会は、韓鶴子総裁の独裁下にある国際的な組織犯罪であり、上意下達が徹底していて、日本の教団は、単なる支部に過ぎません。被害者救済は、日本人の血税であがなうのではなく、韓国の統一教会本部に返金させるべきです。仮に日本国内の教団を解散させたとしても、献金も戻らず、北朝鮮に対して核ミサイルの開発のアシストをしてきた韓国の統一教会本体は残り、人権上の問題も国家安全保障上の問題も解決しません。防衛省は、統一教会の活動を国家安全保障上の深刻な脅威と捉え、日本政府全省庁をあげて、こうした資金の流れを解明し、韓国教団本部、韓鶴子教祖や幹部に対して、使用者責任を問うなどして、被害者救済と統一教会の活動を根絶することに取り組むべきではないでしょうか。お考えをお教えください。

A:この間の被害者に対する救済法案が成立をしたわけでありますし、そういった意味合いにおいて、我々の所管とは少々違ったところがあるわけでありますので、そういった事象があるということであれば、また、我々も注目をしていかなければならないと思いますけれども、他の省庁が今、見守っているところでありますので、我々は、その活動を見守りながら、また、できることがあればということで対応していきたいというふうに思っています。

Q:一部の報道でですね、防衛省がSNSなど世論の情報操作ですとか、防衛省に有利な世論を作り出すようなSNSのトレンドを作るような、その研究を始めるというような報道があるんですけれども、事実関係と、もし事実の場合は、どういう意図や狙いがあるのか教えていただけますでしょうか。

A:御指摘の点については我々も承知をしておるところでありますけれども、御指摘の報道については事実誤認があり、防衛省として、国内世論を特定の方向に誘導するような取組を行うことはありません。本報道は、あたかも防衛省がそのような取組を行うかのような誤解を招くものであり、防衛省として大変遺憾であります。よって、防衛省としては、本報道が誤解を与えるものである旨、文書により厳重に抗議をしたところであります。

Q:3文書を巡る議論の進め方、プロセスについて大臣の認識を伺いたいんですけれども、先ほどの高市大臣も3文書の内容を全て見ていないのに増税を含む財源の議論するのはおかしいという趣旨の発言をされています。今後、3文書改定を巡っては今週末にも閣議決定される見込みですが、我々メディアも含めて国民に防衛力の具体的な内容が示されていません。これまでの大綱・中期防だったらそれでもよかったかもしれませんが、今回、防衛費の大幅増だったり、反撃能力を含めて安保政策の大転換に繋がる防衛力強化の内容なのに、情報開示があまりされていないということに対して、この手続、進め方が正しかったと思いますか。

A:基本的に今回の説明の仕方というのは、前回の安全保障戦略を出した時にもですね、こういった形で行っているわけでありますし、我々とすれば、一体として全てこの年末までに発表させていただくことをですね、お示しをしてきているところでありますので、今回の進め方においてはですね、瑕疵は無かったというふうに考えております。

Q:先ほどの世論工作の件で書いた記者として質問します。そうしますと、防衛装備庁が10月に決定して、もう事業が始まった、あの事業の内容と目的というのは何なんでしょうか。

A:本調査研究については、昭和(※1)4年度においても認知領域を含む情報戦への対応のあり方について、技術的側面から検討するに当たって、認知領域に関する既存の研究、諸外国の動向、民間での活用事例等に関する調査研究を行うものであり、報道にあるような、防衛省が国内世論を特定の方向に誘導することを目的とした調査研究ではございません。

Q:関連して伺います。入札に応じた三菱総研も、それから落札したEYストラテジー社の両社の関係者によると、防衛省からの説明は、まさにAIとSNSを使ってインフルエンサーを経由して世論工作をする、あたかも民間企業のステルスマーケティングのような研究だという説明を受けています。それはどうしてでしょうか。

A:それと世論操作と何の関係があるのかよく分かりません。我々とすれば、抗議文を出してますから、それを読んで御質問願えればと思います。

Q:質問に答える前に抗議文出すとは非常に無礼だと思いますが、質問に答えてください。

A:無礼とかそういう問題ではない。

Q:私は今聞いているんです。あたかもステルスマーケティングのようなことを、そういう説明を受けてるけど、大臣はどう考えられるんですか。

A:我々とすればそんな意図はどこにもございません。

Q:そういう説明を、でも企業関係者にしてるわけですよ、防衛省の。

A:そういう意図はございません。

Q:意図がなく何でそういう説明をするんですか。

A:今、お話ししたじゃないですか。要するに研究、そして諸外国の動向、民間での活用事例等に関する調査研究を行う。

Q:それはあの官僚が用意したペーパーですけれども、私が聞いたところによると入札した三菱総研も、落札したEYストラテジーの関係者も防衛省の担当者から、AIとSNSを使ってインフルエンサーを経由した民間のステルスマーケティングのような手法で防衛省の有利になるような世論工作をするための研究をしたいんだということを言ってますが、それについて説明してください。

A:私は、それは私自身がまだ聞いておりませんので、それは確認させていただきたいと思いますが、これ以上、個別具体的なことに関してはですね、お答えを控えさせていただきたいと思いますので。よろしくお願いします。

Q:極めて重要なことなんで答えていただきたいと思うんですけれども。

A:いやいや。我々とすれば詳細については、これは今、この時点でお答えすることができないんで。

Q:まだ詳細について調べていないということですか。

A:いや、調べてないんではなくて、我々はそういった意図を持って、こういったことを調査研究をしていないということを私は申し上げています。

Q:そういう意図がないのに何故、防衛省の担当者が、入札基準に際してそんな説明をしたのか。

A:だから、それも含めて我々の方で確認をさせていただきますので。

Q:早急に確認してください。

A:確認します。それが正しいことか悪いことか、世論操作に繋がるか繋がらないかというのは、これは主観の問題であって、これは我々はそんな意図はないということでやってるわけですから、そういったことはないです。

Q:だから大臣は、事実誤認という言い方をして、事実無根と言ってないわけですね。

A:事実誤認は誤認と言ったというふうに。

Q:無根ではないわけですよね。

A:ここでこうやって話をすることではないと思いますので。

Q:話しするべきことでしょう、大臣会見なんですから。

A:いやいや、そんなことはありませんよ。

Q:大臣会見でこういう質問して何がいけないんですか。

A:いけなくないですけど、それはだけど、我々とすればこれ以上はお答えができないということです。

Q:じゃあ大臣が事実誤認と言ったのは、事実無根とは違うということですね。

A:誤認です。

Q:誤認ですね、無根じゃないんですね。

A:誤認です。

Q:分かりました。大臣が先ほど説明で、「そういった世論調査の取組をしていることはない」と言ったけど、取組というのは研究をして、成果が出て、その後に政策判断で取組をするかどうかということだと思うんですけれども、研究してるということは認めますか。

A:研究は、先ほど申し上げたとおりであります。我々とすれば、今、申し上げたとおりであってですね、AIを活用した国内世論の誘導を行う研究に着手したとの事実はありませんし、また、その防衛省として国内世論を特定の方向に誘導することを目的とした取組を行うことはないということを申し上げるところでありますので、そういう意味では今、御指摘の点に対してですね、我々それをあたかも悪用するような話をされてるけれども、決してそうではないということを申し上げてるところであります。

Q:悪用ということは、要するに外国からの情報戦に対して、それに対抗するために国内世論操作の研究をしてるのであって、あたかも日本国民に対して防衛省が世論操作をするための研究ではないという意味ですか。

A:そうです。

Q:そういう外国からの情報戦に対抗するために世論操作の研究をしてるというのは事実ですね。

A:それは当たり前のことであって、先ほど申し上げたとおり、我々あらゆるいろいろな情報を取ることによって、この研究をしているということであって、決してそれを世論操作に使おうなどということは思っていませんし、ロシアによるウクライナの侵略の状況等を見ればですね、そういったいろいろな偽情報の見破りの分析(※2)、そしてまた適切な情報発信等を肝とした認知領域を含む情報戦への対応が急務であるが故に、所要の能力及び体制を整備することを目的としてやってるわけであります。

Q:その入札企業の関係者から聞いてる話だと、主目的は国内世論操作の研究であると、副次的な副産物として、外国からの情報戦に対抗する外国の情報戦の手法が分かると。

A:その点についても、私は直接、現場から聞いておりませんので、その点はまた、我々でまた議論させていただきたいと思います。

Q:今回の研究は、悪用しようと思えば国内世論工作もできるけれども、本当は違うんだと、これは外国からの情報戦に対抗するために、外国の手法を学ぶためにそういう研究をしたんだということですね。

A:それは今、お話したとおりであります。もう1回繰り返させていただきますけど、偽情報の見破りの分析(※2)、そして迅速かつ適切な情報発信等を肝とした認知領域を含む情報戦への対応が急務であり、所要の能力及び体制を整備することを目的としているということであります。

Q:民間企業のステルスマーケティングと何が違うんですか。

A:それ以上は抗議文の中に書いてございますので、それをよく読んでいただいて、対応していただけたら。

Q:質疑を打ち切って抗議文なんか、極めて無礼なやり方ですね。

A:無礼じゃないですよ。

Q:無礼ですよ。

A:それはあなたが無礼だと感じてるだけであって。

Q:記者会見の途中でなんで質問を受けないんですか。

A:実際にあれで表に全て出ちゃってるのに、我々として対応しようがないじゃないですか。

Q:民間のステルスマーケティングと何が違うんですか。

A:違ってないんじゃないですか。あらゆる情報を集めて、それをまた分析して、我々としてそれに対応するためにどういうことをするかということを、これから考えると言っているだけのことでありますので。

Q:その研究の成果がまとまれば悪用もできる研究ということですね。

A:そんなことはありませんよ。

Q:いや、できるでしょ。だって外国からの手法が分かるんですから。

A:そんなことはできないと思います。

Q:悪用もできるじゃないですか。

A:悪用はしませんから。

Q:しないというのは政策判断であって、やろうと思えばできるということですよね。

A:いやいや、しませんから。

Q:それ、言ってるだけしょ、大臣。

A:言ってるだけだと言うんだったら、しませんから。

Q:大臣が代われば、また分かりませんね。

A;しませんから。

Q:大臣は永久にやるわけじゃないですからね。

A:いや、石井さんの御指摘があるからしませんから大丈夫です。

Q:大臣は永久に防衛大臣でいるわけじゃないですからね。

A:それは分かりませんけれども、私はしっかりとそれを繋げていきたいと思ってます。

  • 1 下線部:大臣発言中、昭和(誤)を令和(正)に修正
  • 2 下線部:大臣発言中、偽情報の見破りの分析(誤)を偽情報の見破りや分析(正)に修正

以上