防衛大臣記者会見

日時
令和4年12月9日(金)13:49~14:05
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 次期戦闘機の開発については、国際協力を視野に我が国主導の開発を進めるとの方針のもと協議を進め、本日、日本・イギリス・イタリア3か国首脳による首脳共同声明を発出しました。今後、3か国の技術を結集した優れた戦闘機を共同開発してまいります。この協力が我が国の経済全般の革新を促すとともに、インド太平洋地域と欧州地域の平和と安定の礎となることを期待しております。

2 質疑応答

Q:防衛費の増額の財源について伺います。岸田総理大臣は昨日、政府与党政策懇談会で、防衛力を抜本的に強化した5年後に1兆円強の財源が不足するとして税制措置の検討を与党に指示しました。大臣の受け止めをお願いします。一方、仮に増税を行う場合は、国民の理解を得るためにも、防衛省自身の効率化・合理化の取組が一層、求められることになると思いますが、どう取り組んでいくお考えかお願いします。

A:御指摘の政府与党政策懇談会については、昨日、私も政府側として参加をさせていただきました。その際、岸田総理大臣から、防衛費増額の財源に関し、令和9年度以降に不足する1兆円強を国民の税制で賄う旨、御発言があったところであります。いずれにせよ、財源については、引き続き与党とも相談しながら、年末に一体的に決定すべく調整を進めてまいりたいと考えております。なお、国家の責任として、まずは歳出改革に最大限努力することは当然であります。防衛省・自衛隊においても、防衛装備品の調達の効率化・合理化等、コスト縮減のための取組を着実に推進する考えであります。

Q:国会審議のことについてお伺いします。臨時国会が会期末、間もなくですけれども、今国会、防衛分野、大変注目を集めています。反撃能力の保有や防衛費の相当な増額、防衛力の抜本的な強化に向けて、この国会審議を通じて国民の理解が深まるような御議論が十分できたと大臣自身考えるか見解を教えてください。反撃能力の保有も含めて安保3文書の閣議決定がされていない現状では、政府見解がつまびらかにできない部分もあったのかなと考えますがその辺はいかがでしょうか。

A:新たな国家安全保障戦略等の策定や、いわゆる反撃能力の保有、防衛費に係る検討状況については、これまでも国会における質疑にお答えする形で、可能な限りの説明を行ってきたところですが、まずは年末までに政府としての結論をしっかりと得た上で、国民の皆様への更なる説明に努めてまいりたいと考えております。つまびらかではないかという話でありますけれども、今申し上げたとおり、繰り返しになりますけれども、新たな国家安全保障戦略等の策定や、防衛費の検討状況については、これまでも国会における質疑にお答えする形で、可能な限り説明を行ってきたところでありますが、国家安全保障戦略等や防衛費についてはですね、有識者会議の報告書や、与党間の協議も踏まえつつ、年末に向けて検討しているところであり、具体的な内容等をお答えできないことを御理解いただきたいというふうに思います。

Q:関連で、来年の常会ではもう少ししっかり、いろんなことを説明できるかなというふうにお考えでしょうか。

A:基本的に今、年末に向けて、国家安全保障戦略等も踏まえですね、策定をこれを急いでいるわけでありますんで、その内容がまたこれが明らかになってですね、当然審議の中でですね、また御説明することもあると思いますので、それにまた力を注いでまいりたいというふうに考えます。

Q:冒頭御発表ありました次期戦闘機に関して、改めて3か国の合意に至った受け止めと、あとは、どういった戦闘機にして、どういう戦い方を将来していきたいか大臣のお考えがありましたらお願いします。

A:次期戦闘機の共同開発は、3か国の技術を結集し、コスト等を分担しつつ、将来の航空優勢を担保する優れた戦闘機を開発するものであります。また、量産機数の増加や国際的に活躍する次世代エンジニアの育成等を通じ、我が国の防衛生産・技術基盤を維持・強化してまいります。更に、基本的価値を共有し、ともに米国の同盟国である日英伊3か国の協力は、今後何世代にもわたり、英伊両国との幅広い協力の礎となるものと考えております。

Q:昨日ですね、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡って、沖縄県による埋め立て承認撤回処分を取り消した国土交通大臣の裁決に対して、それを違法であるということで、沖縄県側が国を訴えた裁判なんですが、その最高裁判決で県側の上告を棄却するという判決が出ました。それについて大臣の受け止めを伺います。

A:お尋ねの訴訟に関してはですね、昨日、最高裁判所において、沖縄県の上告を棄却する判決がなされたと承知をしておりますけれども、沖縄県と国土交通省との間の訴訟について、防衛省としてですね、お答えすべき立場にないということをですね、御理解いただきたいと思います。防衛省としては、今後とも、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながらですね、普天間飛行場の一日も早い返還を実現するため、引き続き、辺野古への移設に向けた工事を着実に進めたいと考えております。

Q:鹿児島県の馬毛島基地整備計画の環境アセスメントで、評価書に対する環境大臣意見が5日に出されました。騒音への最大限の対策などを求められましたが、その受け止めと、浜田防衛大臣の意見や最終的な評価書にどう反映させるか、今後の対応をお願いします。また、浜田防衛大臣の意見はいつ頃、出されるのでしょうか。最終的な評価書公告の時期の目途までお願いします。

A:馬毛島の施設整備に係る環境影響評価書については、環境大臣からの御意見も勘案した上で、事業者である熊本防衛支局長に対して、間もなく、主務大臣として意見を述べる予定であります。その後、熊本防衛支局において、主務大臣の意見をしっかりと確認した上で、必要に応じて、評価書を補正することとなります。このため、今後の対応について、予断を持ってお答えができないことをですね、御理解いただければというふうに思います。

Q:次期戦闘機の話に戻るんですけれども、当初アメリカのロッキード・マーチンとですね、組むというお話があったと思うんですが、結局英国・イタリアとの3か国での共同開発に転換しました。欧州との安保協力にも踏み出す転換点でもあるかと思うんですが、このことの意味、あるいは背景はどういうふうに受け止めてらっしゃるのかというのが1点と、また関連してですね、イギリスなどから共同開発するに当たっては、まず輸出を目指すっていうことも前提だという話が出てますが、日本の防衛装備移転三原則運用指針の見直しなんかについては、どのように取り組むつもりなんでしょうか。考えをお聞かせください。

A:共同開発を目指す上では、各国が、配備予定時期を同じくして、国際協力を追求する開発計画を有していることが重要だと考えております。米国は、我が国と同様のスケジュールで、国際協力を志向した次期戦闘機を開発・配備するプログラムを有していなかったことも踏まえ、今般、日英伊3か国の共同開発に至ったところであります。米国は、いずれも米国の同盟国である日英伊3か国の開発に係る協力を支持するとの立場であり、相互運用性の確保を含め、引き続き、米国と緊密に連携してまいりたいと考えております。そしてまた、この輸出の件でありますけれども、パートナー国を通じた将来的な第三国への輸出について、現時点において何ら決定したものはありませんが、英国が輸出を重視していることを踏まえ、今後、英伊とともにですね、検討してまいりたいと考えております。また、日本から第三国への直接輸出を含め、様々な議論のあるところでありますが、防衛装備移転の推進の在り方については、新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた議論の中でですね、検討してまいりたいと考えております。

Q:2点お伺いします。防衛費に関してですが、防衛費増額に伴う増税についてはですね、納税者である国民に真意を問うべきであるという指摘もありますが、大臣はその辺はどのようにお考えでしょうか。

A:特定のですね、政策の是非を選挙で問うべきか否かについて、政府としてコメントすることはですね、差し控えさせていただきたいと思います。いずれにせよ、財源については、引き続き与党と相談しながらですね、年末に一体的に決定すべく調整を進めてまいりたいと思います。

Q:政府は、航空自衛隊の名称を「航空宇宙自衛隊」に変更するとの報道がありますが、まずそれが事実かどうか教えてください。

A:現在、宇宙領域の体制強化について検討中でありまして、お答えできる段階にはございません。その上で、宇宙分野は安全保障の基盤として死活的に重要な役割を果たしており、各国が人工衛星など、宇宙システムを軍事作戦の基盤として利用する一方、一部の国は自国の軍事的優位性を確保する観点から、他国の宇宙利用を妨げる能力の向上に努めています。このような状況の中、宇宙領域における我が国の優位性を確保するため、宇宙作戦能力の強化に取り組んでいるところであります。引き続き、年末に向けた国家安全保障戦略等を策定していく過程で、宇宙領域における能力の抜本的な強化についても、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速してまいりたいと考えております。

Q:関連してお伺いしますけれども、仮に名称を変更した場合にですね、変更すると、法改正だけではなく、細かい現場の事務作業も必要になります。そうしますと、自衛隊の本来任務で必要なマンパワーが割かれ、コストも必要になります。この1円でも歳出を抑制するという国家財政がひっ迫する中で、わざわざ名称を変更する必要があるのか、大臣のお考えを教えてください。

A:繰り返しになりますけれども、現在、宇宙領域の体制強化について検討中であります。お答えできる段階にはございません。その上で、これまでの取組について申し上げれば、令和3年度に宇宙作戦群を新編し、令和4年度末には、SSAシステムの運用を担う第1宇宙作戦隊、衛星妨害状況把握装置の運用を担う第2宇宙作戦隊等を新編するなど、宇宙作戦の体制整備を着実に推進しているところであります。いずれにせよ、新たな国家安全保障戦略を策定していく過程で、お尋ねの点を含む宇宙領域における能力の抜本的な強化について、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

Q:名称を変更することで、抑止力は高まるというふうにお考えでしょうか。

A:いずれにしても、この部隊としての性格というものをしっかりと位置付けて、そしてまたその政策を進めていく上でのですね、この部隊としての有り様というものを明確にしていくということは、大変重要だというふうに考えておりますので、名称を変更して今後どうなるのかというのはですね、これからのやり様だというふうには思いますけれども、決してこれが意味のないことではないのかもしれないというふうには考えます。これから何をするのかを明示する意味では、有効だというふうに思います。

以上

下線部は仮称