防衛大臣記者会見

日時
令和4年11月29日(火)15:16~15:29
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 なし

2 質疑応答

Q:防衛費についてお伺いします。昨日、岸田総理は研究開発費などを加えた安全保障関連経費について、2027年度時点でGDP比2%とするよう指示されました。防衛費が現行の1%水準から、大幅に増える見通しとなったことについて改めて受け止めをお願いします。一方で、防衛省や自民党内には、中期防関連予算の2%純増を求める声も根強い中で、この2%枠内に研究開発費などが含まれたことについての受け止めも併せてお伺いします。

A:防衛力の抜本的な強化に向けて、昨日、総理から、ひとつ、中核となる防衛費については、5年以内に緊急的にその強化を進める必要がある、そのため、予算は財源が無いからできないということではなく、様々な工夫をした上で、必要な内容を迅速にしっかり確保する。二つ目として、このため、年末に緊急的に整備すべき5年間の中期防衛力計画の規模、そして将来にわたり、強化された防衛力を安定的に維持するための、令和9年度に向けての歳出・歳入両面での財源確保の措置を一体的に決定する、その旨の指示を受けたところであります。防衛省としては、総理からの指示を受け、財務省等との調整を加速し、与党との協議も進めて結論を得たいと考えているところであります。

Q:先ほどですね、鹿児島県馬毛島での基地整備の計画を巡って、地元の県知事が県議会で計画を容認する考えを示しました。大臣の受け止めをお願いします。

A:本日、塩田知事から、馬毛島における自衛隊施設の整備に対するご理解をいただいたことは大変ありがたいことと考えております。馬毛島における自衛隊施設に関わる地元自治体すべてから、本事業に係る防衛省・自衛隊の取組に対するそれぞれのお立場が示されたこととなります。防衛省としては、今後とも、地元自治体と緊密に意思疎通を図りながら、施設整備を進めていきたいと考えております。

Q:関連してなんですけれども、地元の西之表市長がですね、市長のリコールを目指した署名活動というのが始まるんですけれども、その馬毛島基地整備を巡ってですね、地元の住民の分断が現れたとも言えるとも思いますが、これについての大臣の考えをお願い致します。

A:報道については承知をさせていただいておりますけれども、ご指摘のような活動について、私の立場でコメントすることは考えておりません。

Q:昨日の総理指示についてなんですけれども、令和9年度に防衛費、それを補完する取組をあわせてGDP2%に達するよう予算措置を講じると指示がありましたが、GDP比2%の数値目標にどのような意義があるとお考えでしょうか。また、それを補完する取組とは何を指すのでしょうか。いわゆるNATO基準に準じた海保予算やPKO分担金、旧軍人恩給費などを含むのか、更に政府有識者会議で提言された総合的な防衛体制に資する4つの経費を指すのか、具体的に例示して教えてください。

A:国防費対GDP比2%という目標はNATOという民主主義国家の集まりが、安全保障環境を維持するという目的のために、各国の経済力に応じた相応の国防費を支出するものとして定めているものと承知をしております。わが国としても国際社会の中で安全保障環境の変化を踏まえた防衛力の強化を図る上で、GDP比で見ることは、指標として一定の意味があると考えております。いずれにせよ、防衛力強化の内容、予算、財源の3つに関する議論を、一体的かつ強力に進め年末までに結論を出させていただきたいと思います。なお、防衛関係費以外の関連経費のあり方については、関係省庁において、総合的な防衛体制の強化に向けた具体的な仕組みについて検討する中で、議論していくものと考えております。

Q:反撃能力について改めて伺いたいと思います。何度もこの質問を受けていらっしゃると思いますが、防衛省は今国会でもですね、反撃能力についてですね、誘導弾などからの攻撃があった場合に、他に防ぐ手段がないと認められる時に誘導弾等の基地を叩くことは法理的には自衛の範囲内に含まれると認識していると答弁されていると思います。改めて伺います。これは敵の基地で日本への攻撃準備が明確に認められる場合、日本が攻撃を受ける前にその敵基地を叩くことを想定しているご答弁なんでしょうか。

A:政府としては、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところでありますが、いわゆる反撃能力については、現在検討中であるため、具体的にお答えできる段階にありません。今後、新たな国家安全保障戦略等を策定する中で、与党間の協議における議論も踏まえながら、年末までに結論を出させていただきたいと考えております。

Q:併せてですが、こうした新しい能力、選択肢をですね、こうした反撃能力を日本が保有することについては、国民的コンセンサスが必要だと考えます。有事の際にそうした国民的支持がですね、やはり今言われています、継戦能力を大きく支えるものだというふうに感じておりますし、やはりこうした防衛力の抜本的強化について、今後、決定した場合に国民に対して説明する機会というのは今ご検討中なんでしょうか。

A:今までもお話をさせていただているわけでありますが、あらゆる機会を捉えてですね、我々の方からも情報発信をしていきたいというふうに考えておりますし、この点に関しては、また今後も、我々として決定した後にですね、いろいろと方法を考えながらやらせていただきたいというふうに考えております。

Q:反撃能力の関係ですけれども、先の与党ワーキングチームで対象を軍事目標とすると政府、提示されてますが、国際人道法では、「軍事目標のみを軍事行動の対象とする」と定められておりますけれども、自衛隊による武力攻撃の対象も、これに従うものなのか、防衛省の見解をお尋ねします。その上で、現在、与党間での議論が進む反撃能力の対象はどうあるべきとお考えか、見解をお願いします。

A:ジュネーブ諸条約及び同第一追加議定書を含む国際人道法上、軍事行動は軍事目標に限定して行うこととされております。自衛隊が武力行使を行うに当たっては、自衛隊法第88条に規定するとおり、こうした国際人道法を含む国際法を遵守することとなります。また、反撃能力については現在検討中であるため、具体的にお答えできる段階にはございませんが、この検討は、これまで縷々申し上げているとおり、あらゆる選択肢は排除いたしませんが、憲法及び国際法の範囲内で検討しているところであります。

Q:下地島空港の自衛隊による利用について、屋良覚書を踏まえた大臣のご認識を伺います。屋良覚書を踏まえると、自衛隊の空港の利用というのは沖縄県の同意が得られる範囲に限られるという認識でよろしいでしょうか。また、県の同意を得ずに利用できるような制度、整備等について今後検討をされるお考えはありますでしょうか。

A:屋良覚書は、昭和46年当時の総理府総務長官及び運輸大臣と琉球政府との間で、下地島空港の使用方法について、管理者たる沖縄県が調整の権限を有している旨を確認したものと承知をしております。本空港の自衛隊機による利用については、地元住民の意向といった地域の個別事情を踏まえる必要があると考えております。いずれにせよ、わが国の防衛上、多様な空港等からの運用は重要であり、日頃からそのための訓練を重ね、平素から柔軟に利用できることが必要であります。先般いただいた、国力として防衛力を総合的に考える有識者会議における提言なども踏まえつつ、自衛隊が既存施設を平素から柔軟に利用できるよう関係省庁や、地方自治体、関係団体からご協力をいただけるように努めてまいりたいと考えております。

Q:すみません、確認なんですけれども、ご協力いただけるようにということは、県の協力が得られていない限りは、防衛省単独で使ったりとかっていうことは、今のところ想定されないということでよろしいでしょうか。

A:繰り返しになりますが、下地島空港を含む既存施設を自衛隊が平素から柔軟に利用できるよう関係各所からご協力が得られるように努めてまいりたいと考えておるところであります。

Q:昨日の総理指示にも関連することなんですけれども、防衛費に関して大臣の所感をお伺いしたいんですけれども、浜田大臣ご自身も防衛力の抜本強化に必要な予算を確保したいというふうにこれまでおっしゃってきましたけれども、5年後に防衛費とそれを補完する取組でGDP比2%に達した場合、大臣がおっしゃっていた防衛力の抜本強化に必要な予算として十分な規模感を確保できたと考えるかどうか、その辺の大臣の考えをお願いします。

A:まだ、その辺のところはこれからの議論ということになってるわけで、要するに数字がどのようになってくるのかというのがまだ確定していないわけですから、今この時点でですね、コメントすることは中々できないわけでありますが、我々はあくまでも何度も申し上げているとおり、抜本的に強化しろということは、我々自衛隊が予算を無駄なく使えるようにですね、色々な部分でブラッシュアップをしながらですね、やっていくということになると思いますので、全体予算でどうこうということよりも、要するにその理解が得られるしっかりとしたその我々の必要なものの説明というのをですね、明確にできるようにやっていくことが、肝要だというふうに思いますので、いずれにせよ、これは当然の如く、財政当局との議論がこれから重なっていくと思いますので、その中で我々もしっかりと主張しながら、予算の獲得というのを考えていきたいというふうに考えます。

以上