防衛大臣記者会見

日時
令和4年11月15日(火)16:05~16:20
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 なし

2 質疑応答

Q:13日に実施された日米韓首脳会合において、「北朝鮮のミサイル警戒データをリアルタイムで共有する意図を有する」との共同声明が出されました。現時点で何か具体的に決まっていることがありましたらお聞かせください。

A:11月13日、日曜日に行われた日米韓首脳共同声明において、「北朝鮮のミサイル警戒データをリアルタイムで共有する意図を有する」との言及がありました。北朝鮮がかつてない高い頻度かつ新たな態様でのミサイル発射を繰り返し、更なる挑発行動に出る可能性も考えられる中、日米、日韓、日米韓の連携は益々重要となってきており、この取組は、日米韓3か国の抑止力強化に資すると考えます。詳細については、今後調整予定ですが、日米韓で緊密に連携しながら、国民の生命、そして平和な暮らしを断固守り抜く決意であります。

Q:私達、自衛隊内におけるハラスメントの被害を訴えられている方に何人か取材をさせていただいているんですけれども、取材を進めますと、自衛隊におけるハラスメント問題というのが深刻なんだということが、よく分かってくるんですけれども、大臣、自衛隊におけるハラスメント対策、どのようなことを講じていくか、お考えをお聞かせ願いますか。

A:防衛省・自衛隊においてはですね、長くハラスメント防止対策に取り組んできたところでありますが、相談件数が増加の一途をたどるなど、引き続き、重大な問題となっております。これは、従来行ってきた、防衛省のハラスメント防止対策の効果が組織全体まで行き届いていなかったことの表れであり、極めて深刻で誠に遺憾であります。部隊行動を基本とする防衛省・自衛隊において、ハラスメントは、隊員相互の信頼性を失わせ、精強性を揺るがす、決してあってはならないことであり、組織として許さないという強い姿勢をもって、その根絶を図らなければならないと考えております。

Q:取材をしますと、部隊内での調査で遅々として進まずですね、防衛省に設置されているハラスメントホットライン相談窓口に頼ったところ、そこの相談員が、今度はあくびをしたりですね、ほとんど居眠りをしているような状態でしか対応をしてくれなくて、ひどく失望したという被害者の方もいらっしゃいました。こういう状態については、大臣はどうお考えでしょうか。

A:相談窓口ホットラインはですね、ハラスメントの防止や対応に際し、重要な機能を有していると認識をしております。このような観点から、現在実施しております、防衛大臣指示に基づく相談の対応状況の緊急点検や特別防衛監察において、ハラスメントの徹底的な実態把握と事実究明に努めております。そして、防衛省・自衛隊における相談体制の在り方も含め、有識者会議において検証していただいた上で、新たなハラスメント防止対策の提言を行っていただき、防衛省・自衛隊のハラスメント防止対策を抜本的に見直していきたいと考えております。

Q:被害者の方、口を揃えて防衛省・自衛隊内部の調査は信用できないんだというふうにおっしゃいます。こういった声に対して、大臣どういうふうにお考えでしょうか。

A:今、ご指摘のあった点についてもですね、防衛省・自衛隊において、このハラスメントが重大な問題になっていることを踏まえて、9月6日に「ハラスメントの根絶に向けた措置に関する防衛大臣指示」を発出させていただきました。全職員に対し、ハラスメントがあった場合には、直ちに相談窓口等に相談・通報するように指示をいたしましたし、また、相談の対応状況の緊急点検や特別防衛監察の実施を指示し、徹底的なハラスメントの実態把握と事実究明に努めております。更に、先般1日に学界等の第三者を委員とする有識者会議を設置いたしました。この有識者会議において、自衛隊内部の意識やこれまでのハラスメント防止対策を検証していただいた上で、新たなハラスメント防止対策の提言を行っていただき、防衛省・自衛隊のハラスメント防止対策を抜本的に見直してまいります。いずれにいたしましても、我々、今回のこの特別監察についてもですね、かなりの危機感をもってですね、この監察を発出したわけでありますので、今後、これをまた有識者会議で検討していただいて、その中でいかにしてこういったものを根絶していくかということを明確にしながらですね、我々、組織として大変大きな問題でありますので、そういう認識のもとに今後、活動していきたいというふうに考えているところであります。

Q:日韓関係についてお伺いします。日韓首脳会談が正式な形では3年ぶりとなる形で一昨日行われました。韓国は先日の国際観艦式にも参加して、関係改善に向けた動きも見られますけれども、防衛当局間では依然としてレーダー照射問題などの懸案もありますが、今後解決にどのように取り組んでいかれるのか、いかがでしょうか。

A:北朝鮮の核・ミサイルをめぐる状況を含め、日韓両国を取り巻く安全保障環境が厳しさと複雑さを増す中で、日韓、日米韓の連携は益々重要となっており、今般の日韓首脳会談においても、地域の抑止力強化等について、引き続き日韓、日米韓で緊密に連携していくことを確認をしております。他方、現在、日韓防衛当局間には火器管制レーダー照射事案を始めとする様々な課題があり、両国の防衛協力・交流に影響を及ぼしておりますが、防衛省・自衛隊としては、こうした課題について、日韓・日米韓の連携が損なわれることのないよう、引き続き韓国側の適切な対応を強く求めていくこととしております。その上で、防衛省・自衛隊としては、今回の国際観艦式への韓国の参加については大変評価をしたいと考えており、北朝鮮への対応を始め、インド太平洋地域の平和と安定のため、韓国側と緊密に意思疎通を図っていく考えでおります。

Q:今年のキーン・ソードなんですけれども、日米の他にオーストラリア、イギリス、カナダとかが参加していて、これらの国がどのような役割を果たしているのか、それとですね、キーン・ソードについて言いますと、やる度にここ何年かの間にオブザーバーの国が増えておりまして、そのどんどん関与する国が増えていくことに対する意義について教えていただきたいと思います。あと、自衛隊の多国間訓練なんですけれども、ここ数年の間に自衛隊が参加する多国間訓練と更に訓練そのものに参加する国の数が急速に膨らんでいるんですけれども、この動きをどのようにみていらっしゃるか、考えてらっしゃるかというところも教えてください。

A:今月10日から19日までの間、実施している日米共同統合演習キーン・ソード23においては、一部の訓練においてオーストラリア・カナダ・イギリス海軍艦艇及びオーストラリア・カナダの航空機が参加するとともに、オブザーバーとして8つの国及び機関の軍人が参加をしております。 前回のキーン・ソード21における参加国である7カ国よりも1カ国増加しておりますが、このように共同訓練を実施する際に、オブザーバーを含めて多くの国が参加することは、基本的価値を共有する同盟国、同志国等との連携を強化することに寄与するものであると考えております。

Q:それで段々広がっていく共同訓練の動きなんですけれども、一部にはアジア版のNATOを作る方に流れていくのではないかということも言われておりますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

A:わが国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増す中で、国民の命と暮らしを守り抜くためにはですね、地域における同盟国・同志国との連携は不可欠であり、陸上自衛隊はこれまでもコブラ・ゴールドやカーン・クエストといった多国間訓練に参加し、これらの国々との連携を強化してきております。 こうした訓練の参加国数は年々増加する傾向にありますが、このような動きはアジア版NATOの創設を念頭に置いたものではありません。わが国としては、米国、オーストラリア、インド、ASEAN、欧州などとの同盟国・同志国とも連携し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を戦略的に推進していくことで、地域の平和と繁栄に貢献をしていきたいと考えておるところでございます。

Q:キーン・ソードに関連してなんですけれども、今回初めて徳之島で水陸両用訓練をされるということですが、この意義についてお伺いします。また、奄美大島では今夏もオリエントシールドが行われるなど、日米訓練が続いているんですけれども、その意義と狙いについてもお願いいたします。

A:今月10日から開始した日米共同統合演習、いわゆるキーン・ソード23において、徳之島では日米のオスプレイによる着上陸訓練及び自衛隊の水陸両用車AAV等による着上陸訓練を実施しております。本訓練を通じて、日米が共同して島嶼防衛のための作戦を実施する場合の連携要領を訓練することなどにより、自衛隊の即応性及び日米の連携強化と共同作戦能力の向上を図っております。また、奄美大島では、本年8月から9月に実施された陸自と米陸軍とのオリエントシールドに続き、陸・海・空自衛隊と米軍による日米共同統合演習キーン・ソード23を実施しております。本訓練では、日米部隊間の連絡調整所設置の訓練や患者後送に係る連携訓練等を実施をしております。これらの訓練は、島嶼部を含むわが国におけるあらゆる事態に即応するための抑止力・対処力を強化することを目的としており、重要な意義を有すると考えております。

Q:奄美など南西諸島で相次いで日米訓練を実施することで周辺国を刺激して標的リスクを高めるという指摘もあります。住民の避難訓練や自治体との連携など、島に住む住民を守る取組の必要性についてお聞かせください。

A:南西諸島での共同訓練の実施は、有事において島嶼部を含むわが国を防衛し、日米の抑止力・対処力を高める観点から行っているものであり、リスクを高めるものではありません。その上で、有事の際に何よりも大事なことは、国民の命や暮らしを守るために必要なものは何なのか、こうした現実的な議論をしっかりと積み重ねていくことであり、その観点からも、国民保護は重要なものであると考えております。 国民保護について、防衛省・自衛隊は、警察及び消防等とともに連携しつつ、被害状況の確認、人命救助、住民避難の支援等の措置を実施することになりますが、引き続き、あらゆる事態を想定の上、各種の訓練等を行うとともに、関係省庁や地方自治体との連携の強化に取り組んでまいります。その上で、新たな国家安全保障戦略等を策定する中で、防衛省としても国民保護のために何ができるのか、しっかり検討していきたいと考えております。

Q:最初の北朝鮮のミサイル警戒情報に関する情報共有の件で、追加でお伺いします。北朝鮮が移動式発射台であるとか変則軌道であるとかですね、非常に探知が難しい、そういう核・ミサイル技術を進展させているという情勢を踏まえてですね、ミサイル情報をリアルタイムに共有する必要性が高まっているのか、そういうご認識なのかという認識をお伺いしたいのと、例えば日韓の間ではGSOMIAの枠組ありますけれども、今回首脳会談で合意した内容というのは、それよりも格段に進んだ取組だと、そういうご認識なんでしょうか。

A:今回まだ会談が終わったばかりでありますので、我々として判断するだけのものはございませんので、今後総理がお戻りになられてからいろいろなご指示があるかもしれませんので、そういうことも踏まえて今後の対処の仕方を考えていきたいというふうに考えておるところであります。

以上