防衛大臣記者会見

日時
令和4年11月11日(金)10:14~10:27
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 なし。

2 質疑応答

Q:一部報道によりますと、海上自衛隊と海上保安庁の連携を強化するため、日本が攻撃を受けた武力攻撃事態を想定した初の共同訓練を今年度内にも実施する方針を固めたとのことですが、調整状況について伺います。

A:ご指摘の報道については承知をしておりますが、海上自衛隊と海上保安庁との間で武力攻撃事態を想定した共同訓練を今年度内にも実施する方針が固まったという事実はございません。その上で、海上自衛隊と海上保安庁は、平素から情報共有・連携に努めているところでありますが、武力攻撃事態における対応も含めて連携を強化することは、厳しい安全保障環境の中で、あらゆる事態に対応する体制を構築する上で極めて重要であると考えております。武力攻撃事態における防衛大臣による海上保安庁の統制要領を具体化し、共同訓練などを通じて実効性を高め、もってわが国の抑止力・対処力を強化していくという重要な課題にどのように取り組んでいくか、新たな国家安全保障戦略等を策定する中で、政府として精力的に検討していく考えであります。

Q:防衛力の強化の有識者会議の議論について、お伺いします。先ほどの質問とは少し関連するんですけれども、会議では公共インフラの整備や利活用を進めるとしてですね、南西諸島、特に先島諸島を例示して国民保護のために必要な空港・港湾の新設や強化を進める考えを示されています。この南西諸島で自衛隊や海保が空港や港湾を利用しやすくする必要性について、大臣どのようにお考えかお聞かせください。

A:南西諸島の空港や港湾は、離島の住民生活や観光といった産業基盤のみならず、有事や災害等の各種事態における人員や物資の輸送の観点においても、大変重要な役割を担うものと認識をしております。また、防衛省としては、わが国防衛上、多様な空港・港湾からの運用が重要であるところ、日頃からそのための訓練を重ねる必要があるとの観点から、これらを平素から柔軟に利用できることが重要と考えております。これが確保された上で、空港・港湾の整備・機能強化について、例えば、輸送手段が船舶や航空機に限られる先島諸島には、国民保護の所要も含め、部隊運用上の有用性の高いものもあるため、公共インフラの整備や利活用に係る防衛省のニーズを反映できるよう、関係省庁と積極的に議論していきたいと考えております。

Q:今の質問に関連なんですけれども、地元の理解もですね、こういう公共インフラの整備に関してはすごい重要だと思うんですけれども、大臣としてはどのように理解を得ていく考えかという点とですね、その理解を得られない場合はどういうふうにお考えなのかお伺いします。

A:我々はあくまでも、地域の理解を求めるということですので、積極的に我々の方からもしっかりとした説明をしながら理解をいただけるように説明を重ねるということが大変重要だというふうに考えております。

Q:基本的には、理解を得る前提というか、その理解を得られるまでしっかりやっていくという、続けて説明とかそういった丁寧な対応を続けて、最終的には必ず理解を得るという方向で考えていらっしゃるということでよろしいでしょうか。

A:基本、我々の今までもそうでありましたけれども、地元の皆様方にしっかりと説明をし、理解を得るための努力を重ねるということが大変重要であるということは、これは間違いのないことだというふうに思っていますので、今後ともその姿勢を変えることなく、しっかりと説明をしていきたいというふうに考える次第であります。

Q:海自鹿屋航空基地への米軍無人機一時展開で、昨日、鹿児島県知事が運用開始の時期や試験飛行の際の時間やルート、部隊の飲酒のルールといった運用に関することについて事前の情報提供を要請しました。様々な情報を提供していくことが県民との信頼関係を築くことにも繋がるというような発言もあったんですけれども、それの受け止めと、それに対する対応をお願いします。

A:自衛隊や米軍が能力を発揮し、わが国の防衛を万全なものとするためには、関係する自治体のご理解が重要であると考えております。このような考えの下、鹿児島県及び鹿屋市に対し、運用開始は11月になるものと見込んでおり、準備が整い次第、適切な段階でお知らせすることをお伝えさせていただきました。また、航空機の状況を確認するための飛行については、準備が整い次第、11月初旬までに実施し、具体的な日程については、天候や準備の状況にもよるため、特定の日程を示すことは難しいことを鹿児島県や鹿屋市に対し、事前にお伝えをさせていただきました。そして、その旨と合わせ、飛行ルートについては、米軍の運用に関するものであるため、お示しすることは困難であることを昨日、木村政務官から塩田知事に対し、お伝えをさせていただきました。防衛省としては、引き続き、米軍関係者の行動に関する情報も含め、お伝えできる情報については、適切に提供させていただくとともに、米側に対しても、適切に情報提供するよう、引き続き求めてまいります。

Q:そのルートの件なんですけれども、飛行ルートの件なんですけれども、昨日、最後に知事もですね、普通の警戒監視のルートなどを求めているわけではなくて、基地周辺を飛ぶ時のルートなどは提供できるんじゃないかという発言もありました。それについてはいかがでしょうか。

A:航空機の状況を確認するための飛行は、運用開始に向けた準備とはいえ、MQ-9の実機を使用して行われる、限りなく実運用に近いものであり、運用情報の保全の観点から、その内容についてお答えをすることは困難であります。他方、米軍の活動について、地元のご理解をいただきながら行っていくべきものであることは当然であり、今後も、伝達可能な情報について、可能な限り伝達をしてまいりたいと考えております。

Q:防衛費に関してお伺いします。先の7月の参院選挙で防衛費増額の具体的な財源、例えば増税や国債増発などを国民に示して、信を問うべきであったとの指摘もありますが、大臣のご見解を教えてください。

A:先の参議院選挙における与党の公約について、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。財源の在り方についても、今後、有識者からご意見や与党における議論も踏まえ、防衛力の内容、予算規模と合わせて、政府として検討してまいりたいと考えております。

Q:もう1点。これは敵基地攻撃に関することですが、昭和31年の敵基地攻撃の政府答弁と、今年5月17日に閣議決定されました答弁書に基づけば、存立危機事態に認定され、武力行使の3要件に基づき集団的自衛権を行使する場合も、他国の基地を攻撃することは法理的に可能なのか、教えてください。

A:ご指摘についてはですね、これまでもお答えをしているとおりでありますが、いわゆる敵基地攻撃に係る政府の統一見解は、当時のいわゆる旧3要件の下で示されたものであります。その後、平和安全法制の成立により、武力の行使の要件は、いわゆる新3要件となりました。わが国の武力の行使は、新3要件に基づいて行われることとなります。いずれにせよ、いわゆる反撃能力については、現在検討中であり、検討の結果も含めて具体的にお答えできる段階にはありませんが、これまで申し上げているとおり、憲法及び国際法の範囲内で検討を進めているところであります。

Q:端的に言いますと、反撃能力の是非は置いといて、敵基地攻撃というのは、集団的自衛権の行使にも使えるという理解でよろしいでしょうか。

A:繰り返すことはいたしませんが、ただ今お答えしたとおりでありまして、いわゆる反撃能力については、現在検討中であり、検討の結果も含めて具体的にお答えできる段階にはありませんが、これまで申し上げているとおり、憲法及び国際法の範囲内で検討を進めるということでございます。

Q:5月17日の閣議決定された政府答弁書では、集団的自衛権行使の場合でも敵基地攻撃はそのまま当てはまるというふうに読めますけれども、その点いかがでしょうか。

A:ご指摘の答弁書の内容は、ただ今お答えした考え方について、あくまでも法理の観点から正確を期して述べているものであると思います。

Q:沖縄県の米軍那覇港湾施設の関連でお伺いします。去年から今年にかけてですね、航空機の離発着が相次いでいるんですけれども、この使用条件に関して定めた「5.15メモ」というものがございますが、それでその使用の主目的に沿うかどうかということについて、これまで政府と沖縄県の方で見解は違っていると思いますが、先日玉城デニー知事がですね、この「5.15メモ」の内容について、協議する必要性に言及しておりますけれども、大臣はその協議の必要性についてどのように考えているかお伺いします。

A:今回のようにですね、MV-22オスプレイが、船舶での輸送のために、那覇港湾施設を使用することは、港湾施設への輸送対象の搬出入の一環であると考えております。このため、那覇港湾施設におけるオスプレイの使用は、日米合同委員会合意で合意された、いわゆる「5.15メモ」の使用主目的である港湾施設としての形態に合致するものと考えております。いずれせよ、防衛省として、周辺住民の皆様方の生活に最大限配慮がなされるよう、引き続き、米側に働きかけていくとともに、地元の方々に対し、那覇港湾施設の使用に関する政府の考え方について、様々な機会を通じて、ご説明してまいりたいと考えております。

以上