防衛大臣記者会見

日時
令和4年11月4日(金)14:06~14:28
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 サイバー分野における諸外国等との協力の一環として、NATO承認の研究機関であるNATOサイバー防衛協力センターとの間で、今年10月に参加に係る取決めへの署名手続が完了し、防衛省は正式に同センターの活動に参加することとなりました。同センターは、サイバー行動に適用され得る国際法を研究・発表するなどの取組を行ってきており、防衛省は、同センターへの正式参加を通じて、NATO諸国を始めとする諸外国等とのサイバー分野での協力を一層強化していきたいと考えております。

2 質疑応答

Q:北朝鮮のミサイル関連で2点伺います。1点目は、北朝鮮は今週2度弾道ミサイルを発射していますが、特に、昨日のICBM級の可能性があるミサイルと、飛翔体との関連などについて、何か新しい情報があれば教えてください。

A:今回、日本列島を越えて飛翔する可能性があると探知したものについては、その後、当該情報を確認したところ、日本列島を越えず、日本海上空にてレーダーから消失したことが確認をされた旨、昨日公表したところであります。今回探知したものについては、ICBM級の可能性がある弾道ミサイル1発を含む、発射を公表した3発の弾道ミサイルとの関係があるかどうかも含め、これ以上の詳細については現在分析中であります。

Q:2点目なんですが、Jアラートについて、当初ミサイルが7時48分頃太平洋を通過したものとみられるとの情報が発出されましたが、その後、防衛省が日本列島を通過していなかったと訂正しました。この件について、今回はJアラートの発令は適切であったとお考えでしょうか。お願いいたします。

A:Jアラートの送信は、万が一の落下物に備え、避難を確実かつできる限り時間を確保して行えるよう、迅速かつ漏れのないように行うことが必要であります。昨日の弾道ミサイル発射については、日本列島を越えて飛翔する可能性があるものを探知したことから、直ちに内閣官房に情報伝達を行い、この結果、Jアラートが送信されました。その後の確認により、日本列島を越えて飛翔する可能性があると探知したものについては、日本列島を越えず、日本海上空にてレーダーから消失したことが確認された旨、昨日公表したところであります。一方、今回のJアラートの送信は、その時点の情報に基づき、国民の安全を最優先に考慮して行ったものであり、ミサイルによる落下物の危険性を速やかに国民に知らせるというJアラートの役割に鑑みれば、問題があったとは考えておりません。他方、国民の皆様にできる限り早く安心していただく観点も重要であることから、今回探知したものが、わが国上空を通過していないことが判断できた時点で、速やかに、防衛省からその旨の発表を行ったところであります。いずれにせよ、国民の皆様へ迅速かつ正確な情報提供に取り組むとともに、北朝鮮の軍事動向について、引き続き情報収集・分析及び警戒監視に全力を挙げ、あらゆる事態への対応に万全を期してまいりたいと考えております。

Q:防衛目的で活用できる公共インフラの整備促進に向けて、予算の特別枠を創設して、防衛関係費として計上する方向で調整しているという報道があるんですけれども、その調整状況や現時点で公共インフラの整備というのがどういうものを想定されているのか教えていただけますでしょうか。

A:関係省庁において、総合的な防衛体制の強化に向けた具体的な仕組みについて検討する中で、防衛関係費以外の関連経費の在り方についても、議論していくものと考えておりますが、現時点において、何らかの方針が決定したとの事実はございません。

Q:先ほどのJアラートに関して1問お伺いいたします。大臣もおっしゃったようにですね、万が一の落下物に備えて、時間を確保するために遺漏なくお伝えするということでしたけれども、今回に関しては7時50分のJアラートでまず避難を呼びかけて、8時のJアラートで7時48分頃に通過したという情報でした。すでに避難を呼びかけた時には、もともとの推定でも、もうすでに日本列島を飛び越える時間になってしまったということだと思うんですけれども、この時間に関して防衛省、内閣官房も含めてですけれども、どのように評価しているのでしょうか。

A:繰り返しになりますが、昨日に日本列島を越えて飛翔する可能性があるものと探知したものについては、わが国に影響を及ぼさないと確実に言えるかの確認を行い、わが国上空を通過していないことが判断できた時点で、速やかに国民の皆様方にお知らせしたところであります。その上で、昨日8時00分の時点においては、その時点の情報に基づき、わが国の上空の通過に関する情報をJアラートで伝達したと承知しています。

Q:聞きたかったのはですね、その時点での情報をお伝えしたのは分かるんですけれども、7時50分に出して、そのあと8時にお知らせして、でも7時48分に通過していました、7時50分にお伝えした時にはすでに通過しているという計算になってしまうんですけれども、その最初の初動の時間の遅さというか、そこはどういうふうにお考えになっているでしょうか。

A:我々とすると情報は、適宜、そういった形でJアラートの方に連絡しているわけでありますので、その点に関しては私どもの方よりも、内閣の方に聞いていただいた方がよろしいかと思います。

Q:佐賀空港へのオスプレイ配備計画についてなんですけれども、先日、漁協と佐賀県の間の公害防止協定が見直されました。まずはこのことについての大臣の受け止めをお願いします。

A:陸自オスプレイの佐賀空港配備に関してですね、11月1日に、有明海漁協において、オスプレイ等配備計画検討委員会が開催されて、佐賀空港を自衛隊と共用しないことを規定した公害防止協定について、見直しのご判断をいただき、公害防止協定が、見直されたものと承知をしております。今般重いご判断をいただいたことについて、西久保組合長を始め有明海漁協の皆様には、御礼を申し上げたいと思います。防衛省としては、今回いただいたご判断をしっかりと受け止め、引き続き、有明海や漁業に影響が出ないよう万全を尽くすとともに、用地取得に向けて、可能な限り早期に地権者のご理解がいただけるよう、取り組んでまいりたいと考えております。

Q:協定の見直しというものが、配備計画にとってどういう意味があるというふうに考えていらっしゃいますか。

A:この協定というものの存在というのは大変重いと思っておりまして、これを見直していただくことが、まずこの今回の事業へのですね、第一歩になるということは、これは間違いのないことでありますので、その意味では大変大きな決定をしていただいたというふうに考えております。

Q:防衛省としては、今後、どういったことに対応方針として取り組んでいかれるんでしょうか。

A:今後はですね、当然のごとく、これは早期の用地取得に向けて、駐屯地予定地の地権者との交渉に着手したいと考えております。

Q:いわゆる「反撃能力」についてお伺いします。2003年の国会答弁で防衛省は戦闘機、主に戦闘機からの敵基地攻撃能力に必要な装備体系として、相手のレーダー網を破壊する電子戦機、ステルス機、対地精密誘導弾、衛星の4つの機能が必要だというふうに答弁していました。政府が検討しているいわゆる「反撃能力」に必要な装備体系として一般論としてどのような機能が必要だと想定していますか。

A:ご指摘の答弁については、あくまでもイラクにおける米国の航空機による攻撃能力について、過去の事例に基づき一般論としてその代表的な機能を述べたものであります。政府としては、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、いわゆる「反撃能力」も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところであり、お尋ねについてお答えできる段階にないことをご理解いただきたいと思います。

Q:「反撃能力」の是非の結論を出す12月まで残すところ1か月半ですが、この段階においてもそうした基本的な考え方ですら説明できないのは、問題だと思いますが、もう一度大臣、一般論としてどのような機能が「反撃能力」に必要かと考えるか答弁をお願いします。

A:ご指摘のオペレーションについてはですね、あくまでも一般論として、また、一つの議論の材料として述べたものでありますので、そのオペレーションを実行するための具体的な装備体系について申し上げることは適切ではないと思います。いずれにせよ、政府としては、いわゆる「反撃能力」も含め、あらゆる選択肢を検討しているところですが、これ以上の詳細についてはですね、検討中の段階にあることからお答えできないことをご理解いただきたいというふうに思います。

Q:公共インフラの話題に戻って恐縮なんですが、先日、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議の会合の中でですね、有識者から「港湾など自衛隊が使用することに抵抗感がある自治体から協力を得られるように尽力する必要がある」という意見が出されておりました。自衛隊の民間の港湾とか空港の使用について、自治体の理解を得るために、今後、防衛省としてどういった取組、対応が必要とお考えかお伺いします。

A:わが国の防衛上、多様な空港等からの運用はですね、大変重要であり、日頃からそのための訓練を重ね、平素から柔軟に利用できることが必要であります。これが確保された上で、空港・港湾の整備・機能強化に関しては、例えば、輸送手段が船舶や航空機に限られる先島諸島においては、部隊運用上の有用性が高いものもあると考えております。これらの考えは、ご指摘の有識者会議でも述べたとおりであります。一方で、自衛隊による使用に様々な制約・制限が課されている空港・港湾もあることから、自衛隊が既存施設を平素から柔軟に利用できるよう関係省庁や、地方自治体、関係団体等からご協力をいただきたいと考えておるところであります。また、公共のインフラの整備や利活用に係る防衛省のニーズを反映できるよう、真に防衛に役立つ仕組み作りについて、関係省庁との議論を積極的に参画していきたいというふうに考えております。

Q:冒頭ご発表があったNATOとのサイバー分野での協力についてお伺いします。具体的にですね、例えば人材育成であるとか、訓練であるとか、どのような形で具体的に協力を進めたいかというお話が1点と、それからウクライナ侵攻以降ですね、特にNATOとの防衛協力というのが加速しているかと思いますが、そのサイバー分野でNATOとの協力を重視した理由についてお伺いします。

A:同センターのですね、活動への正式参加によって、同志国等との更なる連携深化や各国のサイバー政策に係る最新動向の把握につながるものと考えております。これ以上の詳細については、必要があれば事務方にお尋ねいただければというふうに思います。

Q:トマホーク購入についてなんですが、一部専門家から、アメリカからのそういった購入が偏るんじゃないかという意見もあり、それについて今日、野党も言及しています。そのことについては、どういったご意見をお持ちでしょうか。

A:「反撃能力」の保有を念頭にトマホークの購入を検討しているとの報道があることは承知しておりますが、いわゆる「反撃能力」については現在検討中であります。具体的な内容等は何ら決まっておりません。また、米国とは平素から様々なやりとりを行っておりますが、その逐一については、相手国との関係もあることから、お答えすることができないことについてご理解をいただきたいというふうに思います。

Q:Jアラートについて伺います。8時時点で上空を通過したとの情報を出したとのことですけれども、軌道を予測して自衛隊がこの時間に通過すると推測した情報を内閣に伝えて出たものだというふうに聞いてますが、受け取る側にしてみればですね、予測情報であればもっと早く出せるのではないかとも思いますし、そもそも確認できてない情報を出すのは、どうなのかという意見もあります。情報発信のあり方は内閣官房に聞いて欲しいとのことでしたけれども、そのあり方をですね、防衛省と内閣府で何か協議して改善するなどのお考えはありますでしょうか。

A:現時点で今、我々がその発射からその間の態勢についてはですね、どのように確認したかということが表に出ることは、決してわが国にとってプラスでありませんので、敢えて申し上げませんけれども、当然のごとく、今ご指摘にあった内容等々について、我々議論していく必要があるというものに関しては、いろいろなご指摘がある点を留意しながら、これからも検討を重ねていくことは、これは当然なことだと考えています。

Q:話題が最初のサイバー協力について、ちょっと戻るんですけれども、同志国との連携深化と大臣も先ほど触れられていただきましたが、改めてですね、NATOとあとサイバーという2つの面でですね、今回の協力の意義を教えてください。

A:先ほども申し上げたとおりでありまして、その意味では、この同センターに正式参加することによってサイバーというものに対して、いろいろなNATOがどのような考え方を持ち、そしてまた、我々とのその今の最新的な動向に繋がるものというものを我々が把握をすることによってその方向性に向けてですね、我々も向かっていくことが大変重要だというふうに思っていますので、そのNATOとの間のこういった防衛協力センターへ参加すること、これは大変、我々にとっては意義のあることだというふうに考えております。

Q:抑止力についてお伺いします。いわゆる「反撃能力」を保有した場合に、抑止力が向上すると考えるか、また向上するとしたらどういった理由で向上するお考えなのか教えてください。

A:政府としては、わが国の抑止力を高め、ミサイルなどによる攻撃の可能性を一層低下させるため、いわゆる「反撃能力」も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速させているところであります。その上で、核兵器の脅威に対して、わが国の平和と安全を維持し、その存立を全うするためには、わが国の防衛力の抜本的強化に加え、米国の拡大抑止の信頼性向上等を通じて、抑止力を強化していくことが大変重要であるというふうに考えておるところであります。

Q:関連なんですけれども、抑止の関連で日本が保有を検討する通常戦力だけで、核を保有している周辺国に対して抑止が成り立つと考えますか。

A:あらゆる選択肢を排除せずに検討しているところでありますが、現時点でお答えする段階にはありません。新たな国家安全保障戦略を策定する中で現実的な検討を加速してまいりたいと考えております。

Q:通常戦力、これもその一般論として、通常戦力だけで核保有国に対して抑止が成り立ちますかという質問で、それとも日本が保有を検討している「反撃能力」というのは、アメリカの核の傘による核抑止、これを更に通常の戦力で補強するという、そういうお考えなのかどうかということをお伺いします。

A:私の方から、今お話ししたとおりでありまして、それが一つのことを、「反撃能力」だけでですね、それでアメリカとの間の、核の補強になるというかですね、それを支えることにつながるというふうに、補強する材料だというふうに今ご指摘があったわけでありますが、しかし我々とすれば、この防衛力というのを全体的に捉えてですね、今後新たな戦略を考えているところでありますので、そういったことも含めて議論をしているということだと考えております。

Q:トマホークに関してお伺いします。大臣はトマホークの購入に向けて、米側と交渉をされているのは事実でしょうか。

A:今ですか、私がですか。

Q:そうです。

A:いや、私自身がどうこうというよりも、平素から米国との間であらゆるやり取りを行っておるところでありますが、その逐一についてはですね、相手国との関係もあることから、お答えすることができないことについてご理解いただきたい、このように思います。

Q:一部報道でアメリカの国防総省が日本への売却を概ね了承したという報道もありますが、この点はいかがでしょうか。

A:あくまでも報道で出たことについてはですね、いちいち私どもがコメントすることは避けたいと思います。今お話しをしたとおり、アメリカとの関係のこともございますので、我々とすれば、今この時点でお答えすることはないというふうに考えております。

Q:あと1点、一般論で結構なんですけれども、専守防衛上、トマホークを保有することは可能なんでしょうか。

A:これ専守防衛というか、我々の考えているその態勢というものがですね、この先制攻撃というか、そういったものにあたらない中で、検討しているわけでありますので、あくまでも憲法の範囲内、そしてまた国際法に則った中でですね、我々のこういったものに対する考え方というのはあるべきだというふうに考えますので、我々それがすぐ「反撃能力」につながるかどうかについては、これまた議論があることだというふうに考えております。

以上