防衛大臣記者会見

日時
令和4年10月21日(金)11:38~11:50
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 ○ 自衛隊は、11月10日から11月19日にかけて、今年度最大規模の演習である、令和4年度日米共同統合演習「キーン・ソード23」を実施します。この演習は、自衛隊から約2万6千人、米軍から1万人が参加する予定です。また、訓練の一部には、オーストラリア軍、イギリス軍、カナダ軍の参加も得て、連携要領の維持、強化も図ります。防衛省・自衛隊としては、あらゆる事態に即応するための抑止力・対処力を強化するとともに、日米の強固な意思と連携を示すことで、わが国の防衛及び地域の平和と安全の確保に寄与していく考えであります。詳細については、後程、事務方から説明をさせていただきます。

2 質疑応答

Q:防衛3文書改定についてですね、与党協議が本格化していますが、政府が保有を目指す「反撃能力」について、「先制攻撃」ととられない反撃の在り方について議論になっていると承知しています。有事の際にですね、敵の攻撃着手をどう見極め着手と判断するかについて、大臣のご見解をお願いします。

A:わが国が自衛権を行使できるのは、他国が武力攻撃に着手した時点であり、いわゆる「先制攻撃」を行うことは許されないとの考えに変更はありません。その上で、一般論として申し上げれば、政府は従来から、わが国に対する武力攻撃が発生した場合とは、他国がわが国に対して武力攻撃に着手した時であると解してきていますが、どの時点で武力攻撃の着手があったと見るべきかについては、その時点の国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるものであり、個別具体的な状況に即して判断すべきものであります。いずれにせよ、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、いわゆる「反撃能力」も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところであり、与党間での議論も踏まえつつ、検討を加速させていきます。

Q:昨日の政府の防衛費に関する有識者会議についてお伺いします。浜田大臣の方から今後5年間、またその先10年後を見据えた防衛力に関する方針をご説明されたということですが、改めて抜本的な防衛力強化にどう取り組むのかお考えをお聞かせください。また併せてですね、有識者会議で総理の方からですね、研究開発や公共インフラの予算などをどう防衛力強化に活かすか、具体策を検討するようにと関係省庁に指示がありました。これに関する意義やご所感をお聞かせください。

A:昨日ですね、第2回の「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」が開催されまして、私も関係閣僚として参加し、防衛力の抜本的強化について説明をいたしました。岸田総理からは、防衛力の抜本的強化は喫緊の課題であり、総合的な防衛体制の強化のため、わが国の持てる力を結集すべきこと、防衛体制の強化に資する研究開発の推進や公共インフラの整備等を進める具体的な仕組みについて早急に検討すること、その際、防衛省や海上保安庁のニーズに踏まえた上で、関係する予算がうまく活用されることが重要といった発言がありました。防衛省としては、総理のお考えを踏まえ、関係省庁と早急に検討を行うとともに、今後とも積極的に議論に参加してまいりたいと考えているところであります。

Q:馬毛島についてお伺いします。一部報道で、近く再編交付金の額を防衛省から通知するというような報道がありましたが、その事実関係と、もしその決まっているのであれば、額と日時教えていただけますでしょうか。

A:ご指摘の報道については承知をしております。再編交付金については、関係機関との調整を経た上で自治体に交付額を通知する際に公表することとなります。種子島の1市2町への再編交付金についても、準備が整い次第お知らせをしたいと考えているところであります。

Q:17日の衆院予算委員会での萩生田委員とのやりとりで確認なんですが、海上保安庁と武力攻撃事態を想定した共同訓練、実施したことはないと発言されましたが、こうした訓練を今後やる必要性があると考えるか、また武力攻撃事態において海保を防衛大臣の統制下に置く場合の統制要領を作成する必要性があると考えるか、見解をお願いします。併せて、もし統制要領を作るのであれば、要領の中身はどのようなものが想定されるか、武力攻撃事態下で海保と海自でどのような役割分担が想定されるか、イメージがあれば教えてください。

A:海上自衛隊と海上保安庁は、平素から情報共有・連携に努めているところでありますけれども、武力攻撃事態における対応も含めて連携を強化することは、厳しい安全保障環境の中で、あらゆる事態に対応する体制を構築する上で極めて重要だと考えております。武力攻撃事態における防衛大臣による海上保安庁の統制要領を具体化し、共同訓練などを通じて実効性を高め、もってわが国の抑止力・対処力を強化していくという重要な課題にどのように取り組んでいくか、新たな国家安全保障戦略等を策定する中で、政府として精力的に検討していきたいというふうに考えております。

Q:キーン・ソードに関してお伺いします。キーン・ソードの中で、沖縄県内の民間港を使う計画があると思うんですけれども、その沖縄県内の民間港を使う訓練にはどういった意義があると考えているか、大臣の考えを教えてください。また、沖縄県内では反発もあると思うんですけれども、それでも実施する必要性があるのか伺います。

A:防衛省・自衛隊としては、各種事態に備えて、自衛隊の活動に必要な装備品や補給品の輸送能力向上のために、自治体が管理する港湾を含めて訓練を行うことが必要だというふうに考えております。引き続き、地元自治体や関係者の皆様に、丁寧に説明をしていく考えであります。

Q:16式MCVを港から搬入する計画もあったと思うんですけれども、こちらは実施しない方向でしょうか。もしそうであれば、取り止めた理由も教えてください。

A:沖縄県内の民間港湾を使用して16式機動戦闘車の輸送を行う計画は今のところありません。

Q:実施しないことにした理由を教えていただけますか。

A:演習を実施するにあたり、関係者間で様々な調整を実施してきましたが、調整過程の逐一については、お答えをできないことをご理解をいただきたいと思います。

Q:米軍嘉手納基地内のですね、防錆整備格納庫の移設計画に関して伺います。先日、沖縄県議会がですね、計画の見直しを求める決議と意見書を全会一致で可決しております。全会一致という可決は非常に重いと思いますけれども、大臣どのように受け止めていらっしゃるかという点とですね、併せて防衛省として今後、米側にどういうふうにこの計画の撤回、見直しをこう求めていくかとか、あるいはその協議を続けるのか、今どういうお考えかお伺いします。

A:10月18日の沖縄県議会において、ご指摘の格納庫の移設計画の見直しを求める決議と意見書が、全会一致で決議されたことは承知をしております。本件格納庫の建設計画については、現在、米側との間において、嘉手納町のご懸念を伝達した上で、建設計画の詳細について説明を求めつつ、様々なレベルで協議を行っているところであります。防衛省としては、引き続き、地元のご懸念を十分に受け止めながら、米側としっかりと協議を行ってまいりたいというふうに考えております。

Q:この協議なんですけれども、従前から続いていると思いますが、進展というか、解決の目途とかそういうものはあるんでしょうか。

A:今のところ、我々とすれば我々の考え等々も含めてですね、米側の方に努めておりますし、地元との理解というものが、大変重要であるということもお伝えをさせていただいているわけでありまして、今、現レベルで皆様方に、ご報告する具体的な内容をですね、相手方のこともありますので、お答えできないことをご理解いただければというふうに思います。

Q:昨日の政府の有識者会議で大臣が説明された防衛力の強化の中身に関してなんですけれども、この防衛力強化の目標と概ねのタイムラインという形で、5年後、10年後の必要な防衛力整備の内容が書かれてますけれども、これは「反撃能力」の保有というのを前提にして作られているものなんでしょうか、そうではないでしょうか。

A:議論の内容についてはですね、内閣官房から公表されるものと承知しておりまして、私からご紹介することは控えますが、今後とも積極的に議論に参加してまいりたいと考えておるところであります。

Q:確認なんですけれども、このスタンド・オフ防衛能力、スタンド・オフ・ミサイルの装備化というのは、これ資料に掲げてますけれども、これを「反撃能力」に転用するということはあり得るんでしょうか。

A:今のところ、我々とすれば、それも含めて「反撃能力」をこれからも検討していくというところで考えておりますので、スタンド・オフ・ミサイルはスタンド・オフ・ミサイルだということでですね、我々これが「反撃能力」に使うとかなどとかという議論はしておりませんので、我々とすれば、これからの議論をしていくということになるわけであります。

以上