防衛大臣記者会見

日時
令和4年10月14日(金)10:59~11:21
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 〇 私の方から2点申し上げたいと思います。2022年度上半期における緊急発進回数は446回でありまして、昨年度同時期の緊急発進回数の390回と比べ、60回近い増加となりました。このうち、中国機に対する緊急発進回数は340回であり、昨年度同時期における回数と比べ、約60回の増加となっております。これは、近年でも比較的高い水準にあります。中国機の活動を注視するとともに、引き続き警戒監視に万全を期し、厳正に対領空侵犯措置を行ってまいります。

 〇 次に、インダストリーデー等の開催についてでございますが、初めての試みとして、わが国の防衛産業と米軍及び米国の国防産業とのマッチングの機会を創出するため、インダストリーデーを10月21日に開催します。このインダストリーデーにより、米国製装備品のサプライチェーンやアジア太平洋地域における米軍の維持整備へのわが国防衛産業の参画の促進、防衛産業のマーケット拡大を図っていきたいと考えております。また、優れた技術や製品を有する中小企業等が、防衛産業への新規参入の機会を創出するため、防衛産業参入促進展を10月24日から28日の間で開催をいたします。これらの展示会を含め、国内の防衛生産・技術基盤の維持・強化のため、各種取組を積極的に推進してまいります。

2 質疑応答

Q:米国のバイデン政権が「国家安全保障戦略」を発表しまして、中国を唯一の競争相手と位置づけ、NATOやクアッドなどの協力基盤の重要性などに触れました。3文書改定に向けて、米国の戦略との擦り合わせに度々言及されておりますが、今回の発表内容をどう受け止め、日本の3文書改定にどう活かされるか、お考えをお聞かせください。

A:米国政府は先日、「国家安全保障戦略」を公表したと承知をしております。 今般の戦略においては、戦略環境の変化の中で、世界が直面している戦略的な競争や地球規模課題に対して、米国がリーダーシップをとりながら、日本を含む同盟国等と連携しつつ対応していく考えを示しております。防衛省としても、今般公表された戦略の下で行われる米国の取組とともに緊密に連携を行い、わが国の防衛力を抜本的に強化しつつ、幅広い分野における取組を通じて日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していきたいと考えております。また、新たな国家安全保障戦略等については、本年末までに策定することになっており、現時点でその内容等についてお答えできる段階ではありませんが、いずれにせよ、日米両国間では、日頃から戦略や政策をすり合わせるために緊密に連携してきており、その方向性は一致していると考えております。

Q:元陸上自衛官の女性のセクハラの問題について、1点お伺いします。野党のヒアリングでですね、当事者の五ノ井さんが加害者からの直接の謝罪を受けるということが明らかにされました。今回、この直接の謝罪を行うことになった経緯と大臣の受け止めについて、併せて謝罪するのはどういう立場の方で何人かとあればお願いします。

A:本日行われました立憲民主党の会合において、五ノ井氏から「17日に加害者から直接謝罪を受ける」旨、発言されたと承知をしております。自衛隊員に対しては服務教育の一環として結節を捉え、規律心や責任感、公徳心などについて指導を行っているところであり、謝罪については本人の意思が重要であると認識しております。今回、17日に加害者とされる複数名の隊員が五ノ井氏に対し、直接謝罪する旨の報告を受けております。

Q:米軍嘉手納基地内で、住宅地に近い場所への防錆整備格納庫移設が計画されている問題について、沖縄県や地元の嘉手納町だけでなくて、沖縄県議会も与野党で一致して計画に反対する意見書を可決する見通しになっているんですけれども、この間、大臣が就任されてから、米側との協議で確認された事や議論の進展があれば教えてください。

A:ご指摘の格納庫の建設計画については、現在、米側との間において、嘉手納町のご懸念を伝達した上で、建設計画の詳細について説明を求めつつ、様々なレベルで協議を行っているところであります。その上で、具体的な協議の内容については、相手方もあることから、お答えできないことをご理解いただきたいと思います。いずれにしましても、防衛省としては、嘉手納町のご懸念を十分に受け止め、引き続き、米側としっかりと協議を行ってまいりたいと考えております。

Q:今日未明の北朝鮮のミサイルについてなんですが、まだそんな時間はたっていないんですけれども、新しく何か分かっている情報があれば教えていただきたいのと、あらためてこの一連の、連続の発射について大臣の受け止めをお願いします。

A:北朝鮮が本日未明に発射した弾道ミサイルについては、少なくとも1発が発射された旨お伝えしていたところでありますが、更なる分析を進めた結果、現時点までに得られた諸情報を総合的に勘案すると、北朝鮮は本日1時47分頃、1発の弾道ミサイルを北朝鮮平壌近郊から発射したものと推定されます。防衛省としては、引き続き関連情報の収集と分析を努めるとともに、警戒監視に万全を期してまいりたいと思っております。米国、韓国をはじめとして、関係国と緊密に連携しながら、国民の生命、そして平和な暮らしを断固守り抜く決意であります。

Q:先ほどの五ノ井さんの関係で追加でお伺いいたします。やっと、加害者本人の謝罪に至るわけですけれども、改めて発生から1年以上経ちまして、その間に本人は、インターネット上でも誹謗中傷とか受けてですね、ツイッターでは、人生、時間が止まったままだといったこともおっしゃっております。謝罪に至ることになりましたけれども、大臣の今の感想、ご本人への思いというのをお願いします。

A:我々この件に関しては大変重大なことだというふうに受け止めをしているわけでありますので、特別監察を含め、今、我々にできることをしっかりとやらしていただいておるわけでありますが、今後、この件に関してはですね、我々ハラスメントのこの問題というのは部隊行動を基本にする防衛省・自衛隊において隊員間では決してあってはならないことであり、組織で許さないという強い姿勢をもってその根絶を図る必要があると考えております。そのような観点から現在、防衛省において今申し上げたように特別監察を行っておりますし、五ノ井氏に係る事案につきましても、事実関係に基づいてですね、厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。

Q:五ノ井さんの件で1つ追加でお願いします。17日に直接加害者から謝罪されるということで、ある程度関与した人物は絞れていると思うんですけれども、懲戒処分の見通しをお願いいたします。

A:それも含めて今、我々とすれば対応しているところでありますけれども、懲戒処分を宣告するまでにですね、規律違反の事実が明らかになった以降もですね、処分の慎重を期す観点から、自衛隊法施行規則において規定された重層的な手続きを進める必要があります。このため、懲戒処分の完了の見通しも一概に申し上げることは困難でありますが、いずれにいたしましても速やかに懲戒処分を実施し、公表する考えでおります。

Q:馬毛島の基地整備計画の環境アセスメントに関して、本日、鹿児島県知事から準備書に対する知事意見がございました。FCLPで夜間の訓練を避けるよう米側に要請することですとか、種子島沖で飛行した場合の騒音を予測することなども求められているんですけれども、それについて地元知事があらためて懸念を示したことにもなりますが、それの受け止めと今後の対応をお願いします。

A:馬毛島における自衛隊施設の整備に関し、本日、環境影響評価準備書に対する鹿児島県知事のご意見をいただいたとの報告を受けました。今後、いただいたご意見をしっかりと確認させていただきたいと思います。防衛省としては、今回いただいた鹿児島県知事からのご意見等を踏まえ、環境影響評価法を順守し、適切に手続を進めてまいりたいと考えております。

Q:原発防護についてお伺いします。昨日、13日の連合審査で、大臣、原発防護を強化する目的でPAC-3の配備の仕方の見直しについて、「前向きに検討していく」と答弁されました。現行の配備の仕方にどのような課題があって、なぜ前向きに検討する必要があると考えるのか、大臣の見解をお願いします。また検討作業いつ頃までに終えたいと考えているのか、スケジュール感あれば教えてください。

A:ご指摘の答弁はですね、現行のPAC-3の28個高射隊の具体的な配備地の見直しを検討する旨述べたものではなく、玄葉委員が「原発に向かうミサイルに対して万全を期すことが必要である」と発言されたことを受けて、「前向きに遺漏ないよう、今後とも検討」する旨を述べたものであります。いずれにせよ、新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた議論を加速する中で、原発に向かうミサイルへの対応も含め、迎撃能力を高めるべく、しっかりと検討を進めてまいりたいというふうに考えているところであります。

Q:別件なんですけれども、国家安全保障戦略の改定に向けて、昨日、与党協議の枠組だとか、2階建てになっているんですけれども、その親会とワーキングチームの陣立てでやるということが発表されましたが、今後の国家安保戦略の改定に向けて、この与党協議に期待することなどあれば教えてください。

A:与党の自民党・公明党におかれては、これまでも、新たな国家安全保障戦略等の策定について、党内での勉強会の開催や政府への提言の提出など、積極的に議論をいただいていると承知をしております。私としても、あらゆる選択肢を排除せず現実的な検討を加速し、防衛力を抜本的に強化していく上で、与党からのご意見も踏まえつつ進めていきたいと考えております。活発な議論を期待しているところであります。

Q:敵基地攻撃能力に関して、何点かお伺いします。日本が敵基地攻撃能力、反撃能力を保有したとしても、核兵器保有国に対して抑止力が効くのか疑問視する見方がありますが、大臣のお考えを教えてください。

A:政府としては、わが国の抑止力を高め、ミサイルなどによる攻撃の可能性を一層低下させるため、いわゆる「反撃能力」も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速させております。いずれにせよ、核兵器の脅威に対してわが国の平和と安全を維持し、その存立を全うするためには、わが国の防衛力の抜本的強化に加え、米国の拡大抑止の信頼性向上等を通じて、抑止力を強化していくことが大変重要であると考えておるところであります。

Q:今、財政状況が非常に厳しいわけですが、敵基地攻撃能力、反撃能力を保有する場合、国民のコンセンサス、理解が得られるとお考えでしょうか。

A:我々とすると、この今のご指摘に対しては、国民の皆様方に丁寧にご説明をし、そして理解を得るということが、極めて重要だと考えておるわけでありまして、今後、あらゆる機会を通じて、また説明する機会を作っていきたいというふうに考えます。

Q:最後にもう1点、存立危機事態に認定されて、武力行使の3要件を満たせば、限定的な集団的自衛権を行使して、他国の基地にミサイルを撃ち込むことは法的に可能か、ご見解を教えてください。

A:いわゆる「敵基地攻撃」に係る政府の統一見解は、当時のいわゆる旧3要件の下で示されたものであります。その後、平和安全法制の成立により、武力の行使の要件は、いわゆる新3要件となりました。わが国の武力の行使は、新3要件に基づいて行われることになります。その上で、いわゆる「反撃能力」を含むあらゆる選択肢については、憲法及び国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ検討を行っており、今後、新たな国家安全保障戦略等を策定する中で、しっかりと議論していきたいと考えているところであります。

Q:一般の方にわかりやすく言うと、可能であるということですか。

A:基本的に、我々は今もお話をしたとおり、憲法及び国際法の範囲内で判断するということを申し上げているところでありますので、この日米の役割分担も維持しつつですね、今後も検討を行い、そして判断していくということだと思います。

Q:オスプレイの関係でお尋ねします。北海道で今日まで行われている日米共同訓練の機会にあわせて、日米合同委員会が沖縄県外の山岳地帯でのオスプレイの低空飛行訓練の実施で合意してますけれども、この訓練は実際に実施されたのでしょうか。把握できていなければ理由も教えてください。

A:本年9月26日、MV-22オスプレイが、訓練移転の機会を捉え、安全対策をとりながら、高度300フィート以上500フィート未満の飛行訓練を実施すること等について日米間で合意をいたしました。本飛行訓練は、沖縄を除く日本国内の住宅地等を避けた山岳地帯において実施されるものでありますが、これ以上の詳細については、米軍の運用に関することであり、お答えできないことをご理解をいただきたいと思います。

Q:重ねて伺います。米軍の運用とのことですけれども、合同委員会の合意では、安全対策がとられているかということを、例えば祝日等に実施しないとか夜間に実施しないということを書かれていますけれども、これ訓練が行われているかどうか把握していなければ、そういったことはちゃんととられているかということも防衛省として分からないのではないかと思いますけれども、米側に情報提供を求める考えなどはないでしょうか。

A:今回のこのレゾリュート・ドラゴン22については、本飛行訓練はですね、陸上自衛隊と米海兵隊の共同訓練の一部として実施するものではないということでありますので、今回のこのレゾリュート・ドラゴン22の中では実施されていないということだと思います。

Q:靖国神社の参拝の関連でお伺いします。今、まもなく秋の靖国神社例大祭があると思うんですけれども、大臣はこの時期にあわせて参拝というのを考えているかどうかというのを教えてください。

A:国の内外を問わずですね、国のために貴い命を犠牲にされた皆様方に対して、哀悼の誠を捧げ、尊崇の念を表すことは当然のことだと考えております。今後の参拝については、個人として適切に判断をしたいというふうに考えております。

Q:低空飛行訓練をやったのかどうか、把握できていないということなのか、把握できているんだけれども、こういった場で公表できないということなのか、少し詳しく教えていただけますか。

A:先ほども申したとおりでありまして、これ以上の細かいことについてはですね、是非、我々のこの今の状況において、今、お話をしたとおり、沖縄を除く日本国内の住宅地等を避けた山岳地帯において実施されるということでありましたので、そこまでで我々とすればこの米軍の運用に関することに関してですね、お答えできないことをご理解いただければというふうに思う次第であります。

以上