防衛大臣臨時記者会見

日時
令和4年10月4日(火)10:07~10:18
場所
防衛省A棟1階エントランス
備考
北朝鮮による弾道ミサイル発射事案後の浜田防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 北朝鮮は本日7時22分頃、北朝鮮内陸部から、1発の弾道ミサイルを、東方向に向けて発射しました。詳細については現在分析中ですが、当該弾道ミサイルは、最高高度約1,000km程度で、約4,600km程度飛翔し、7時28分頃から7時29分頃にかけて、青森県上空を通過した後、7時44分頃、日本の東約3,200kmのわが国排他的経済水域外に落下したものと推定されます。今回の弾道ミサイルが、約1,000kmに及ぶ高度に達し、約4,600km飛翔したこと等を踏まえれば、当該弾道ミサイルは、中距離弾道ミサイル以上の射程を有する弾道ミサイルであったものとみられますが、北朝鮮は過去4回「火星12」型の中距離弾道ミサイルを発射しており、同型の可能性があります。これ以上の詳細については分析中であります。なお、これまで北朝鮮による弾道ミサイル発射事案において、発射地点から着弾地点までの推定距離として発表してきた飛翔距離の中でも、今回の飛翔距離約4,600kmは、最長であったと考えられます。

 今回の発射について、防衛省から、政府内及び関係機関に対して、速やかに情報提供を行いました。現在までのところ、航空機や船舶からの被害報告等の情報は確認されていません。北朝鮮は、特に今年に入ってから、かつてない高い頻度で、かつ新たな態様でのミサイル発射を繰り返しています。ここ数日も立て続けに弾道ミサイルを発射しており、9月25日以降、今回で既に5回に及びます。

 挑発を執拗かつ一方的にエスカレートさせる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、わが国を含む国際社会全体にとっての深刻な挑戦です。また、このような弾道ミサイル発射は、関連する安保理決議に違反するものであります。

 特に、わが国上空を通過させる形での弾道ミサイル発射は、航空機や船舶はもとより、上空を弾道ミサイルが通過したと判断される地域の住民の安全確保の観点からも極めて問題である行為であります。わが国としては断じて容認できず、北朝鮮に対し、北京の「大使館」ルートを通じて厳重に抗議し、最も強い表現で非難しました。総理には、本件について直ちに報告を行い、まず、発射直後には、情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと、2つ目は、航空機、船舶等の安全確認をすること、3番目に不測の事態に備え、万全の態勢をとること、また、上空通過後には、わが国上空を通過させる形での弾道ミサイル発射は、わが国の国民の生命、財産に重大な影響を及ぼし得る行為であることを踏まえ、1つ、ミサイルが通過したと判断される地域に重点を置き、落下物等による被害がないか、速やかに確認すること、2つ目、北朝鮮の今後の動向を含め、引き続き、情報収集・分析を徹底すること、3つ目、米国や韓国等、関係諸国と連携し、引き続き、必要な対応を適時適切に行うこと、との指示がありました。

 防衛省・自衛隊としては、国民の安全・安心の確保に万全を期すため、北朝鮮が発射した弾道ミサイルを自衛隊の各種レーダーにより確認しておりましたが、わが国に飛来するおそれがないと判断したことから、自衛隊法第82条の3に基づく弾道ミサイル等破壊措置は実施しませんでした。私からも、わが国領域及び同周辺海域における被害の有無の確認を徹底すること、2、米国等と緊密に連携しつつ、必要な情報の収集・分析に全力を挙げること、3、不測の事態の発生に備え、引き続き警戒監視に万全を期すことを指示しております。防衛省としては、引き続き関連情報の収集と分析に努めるとともに、警戒監視に万全を期してまいります。米国、韓国を始めとして、関係国と緊密に連携しながら、国民の生命、そして平和な暮らしを断固守り抜く決意であります。こうした状況を踏まえ、いわゆる「反撃能力」も含めあらゆる選択肢を排除せず検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでまいります。

2 質疑応答

Q:冒頭ありましたように、今月で6回目の北朝鮮によるミサイルの発射となりました。特に今回は飛翔距離が最長ということですけれども、北朝鮮の意図についてどのように今、分析されているのか、分析状況をお聞かせください。

A:北朝鮮の意図についてはですね、わが国の方から断定的にお答えすることは困難でありますが、どういった狙いがあるにせよ、北朝鮮が繰り返す弾道ミサイルの発射は断じて許されず、ミサイル技術の著しい向上を見過ごすことはできません。防衛省としては北朝鮮の軍事動向について、米国等とともに緊密に連携しつつ引き続き、情報収集、分析及び警戒監視に全力を挙げて参ります。

Q:今回日本列島を通過したのは、7回目だと思うんですけれども、過去の6回はIRBMだったりテポドンだったりということだと思うんですが、今回飛距離4,600ということですが、過去には数日後にやっぱりICBMだったみたいな分析状況もあったと思うんですが、このICBMも含めた分析状況だったり、大臣の受け止めだったりをお聞かせください。

A:我々とすると先程も申し上げたように、一つお話したことの中で言わせていただければ、今回の弾道ミサイルはですね、1,000kmに及ぶ高度に達して、そしてまた、4,600km飛翔したこと等を踏まえればですね、当該の弾道ミサイルは中距離弾道ミサイル以上の射程を有する弾道ミサイルであったものとみられますけれども、北朝鮮は4回、火星12型の中距離弾道ミサイルを発射しており、同型の可能性があると考えております。これ以上の詳細についてはですね、分析中でありますので、以上であります。

Q:7時28分から9分ごろに青森県の上空を通過したということですけれども、もし分かれば、詳しい市町村名などもう少し詳しいことが分かりましたら。

A:それはちょっと事務局の方にお尋ねいただければと思います。

Q:火星12型と同型とみられるということなんですが、前回の2017年の発射では3,700kmということでかなり飛距離が伸びているわけなんですけれども、このあたりの技術的な進歩というのは、改良型の可能性だったり、そのあたりどういった分析がされていますでしょうか。

A:その件に関してはですね、分析中でありまして、その距離の差異というのはどうなのかも含めてですね、これは今から分析をさせていただきたいと思います。

Q:日本の東側約3,200km辺りに落下ということですけれども、もし何か、目安としてどのあたり、太平洋の真ん中らへんなのか、何かあればお願いします。

A:起算はですね、岩手県釜石市から起算したものであります。

Q:釜石市から3200kmの地点。

A:はい。

Q:軌道はロフテッド軌道でよろしかったでしょうか。

A:基本的に、今いろいろと情報が入ってきておりますけれども、それについても今、分析中でありますので、また後程お答えしたいと思います。

Q:弾道ミサイルをレーダーで追っていたということですけれども、Jアラート3回目出て、対象地域がそれぞれ異なっていたようなんですけれども、何か捕捉しづらいようなミサイルだったのか。何か対象地域が変わった理由を教えてください。

A:それはあの、Jアラートに関しては、内閣官房の担当でありますので、私の方でお答えするのは、差し控えさせていただきます。

Q:先ほど、自衛隊の各種レーダーで確認したということでしたけれども、具体的に、防衛省としてどういう態勢、まあSM-3とかPAC-3とかもあると思うのですけれども、どういう態勢に構えていたかというのを、改めてお願いします。

A:自衛隊の情報収集についてはですね、これは各種情報を踏まえた総合的な分析評価などに基づいてですね、弾道ミサイル等破壊措置命令の要否を判断し、適時適切な態勢を構築しているところであります。今回の北朝鮮による弾道ミサイル発射に際しても、情報収集・警戒監視を万全を期していたところであります。

以上