防衛大臣記者会見

日時
令和4年9月20日(火)11:01~11:16
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 ○ 本日の閣議におきまして、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費の一部の使用が決定されました。自衛隊は、警戒監視、対領空侵犯措置等の幅広い活動において燃料を使用しておりますが、ロシアにおけるウクライナ侵略以降、原油価格の高騰が続いており、自衛隊の部隊運用に必要な燃料の調達価格が大幅に上昇しております。このような調達価格の上昇により、1、2か月以内に燃料購入のための予算が不足する見込みであり、今月中に予備を措置しなければ、自衛隊の持続的な部隊運用に支障が生じることから、燃料費の不足を補うため、予備費約507億円を使用することといたしました。

 ○ 9月28日、ゲルハルツ・ドイツ空軍総監が来日をされます。あわせて、ユーロファイター3機をはじめとするドイツ空軍機が初来日し、航空自衛隊機と共同訓練を実施いたします。ドイツはインド太平洋地域への関与を強化しており、昨年には約20年ぶりにフリゲート艦「バイエルン」がインド太平洋地域に派遣され、わが国と共同訓練を実施いたしました。今回のドイツ空軍の戦闘機による初来日は、ドイツのインド太平洋地域への揺るぎないコミットメント及び日独防衛協力の深化を象徴するものであります。今般の訪日を歓迎し、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化、そして、グローバルな課題への対処のために、今後も基本的価値を共有するパートナーであるドイツと連携をしてまいります。

2 質疑応答

Q:中国海軍のですね、測量艦1隻が15日、鹿児島県の屋久島から口永良部島の付近にかけてですね、日本の領海に侵入しました。中国海軍艦艇による領海侵入は昨年11月から今年4月、7月と今回を併せて通算7度目となります。近年活動を活発化させている中国艦艇の動向についての受け止めとですね、今回の事案の分析状況についてお聞かせください。

A:近年、中国の海空戦力によるわが国周辺の海空域における軍事活動は、益々拡大・活発化の傾向にあります。今回の領海内航行についても、こうした活動拡大・活発化の一環とみられます。防衛省・自衛隊としては、こうした領海内航行について、懸念を持って注視しているところであり、艦艇、航空機等による平素からの警戒監視とともに、こうした個別の事案についても、万全の警戒監視を行ってまいります。

Q:日本がPKOに部隊を派遣をしてから、今月で30年になります。当時と現在を比べると、自衛隊の役割も変わってきてるのかなと思いますが、30年のご所感とですね、今後の自衛隊としての取組みについての大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

A:これまで防衛省・自衛隊は、約30年にわたり、カンボジア、ゴラン高原、東ティモール、南スーダンをはじめ、世界の様々な地域で国連PKO等に参加してまいりました。南スーダンでは、現在も自衛官4名が司令部要員としてUNMISSの活動に貢献をしておるところであります。また、国連三角パートナーシップ・プログラムへの支援として、アフリカ・アジア諸国へ陸上自衛官を派遣し、施設・医療分野での貢献を実施する等、国連PKO等で養った経験を活用し、PKO要員派遣国の能力構築支援について取り組んでおります。さらに、工兵マニュアルの改訂作業の議長国として、改訂作業を推進した実績から、工兵用訓練用教材の改訂及び普及等の推進にも取り組んでいるところであります。わが国は、今後とも現地ミッション司令部要員の派遣といったわが国自身の直接的な貢献と、能力構築支援などの他国の活動への支援を両輪とした各種取り組みを推進し、グローバルな安全保障環境の改善に寄与してまいりたいと思っているところであります。

Q:台風14号の関係ですけれども、自衛隊にも災害派遣要請出てると思うんですけれども、把握している被害の状況等についてお伺いします。

A:今、現状として我々各部隊が各地域におるわけでありますので、その意味では要請のある内容についてですね、各地方公共団体と連絡を取り合いながら、対応しておるところであります。いずれにしても、細かなことに関しましては、また事務局の方から説明させたいと思いますので、そちらの方にまたご質問いただければと思います。

Q:先週の閣議後会見でも質問がありました、防衛費の関係でですね、大臣、NATO基準に含む評価もされておりましたけれども、さらに広いですね、インフラとかやサイバーとかも含めたですね、枠組みを検討すべきというような議論があるようですけれども、こうした議論に防衛費の数字としてのクレディビリティーとか信頼性を疑問視するような声もあるんですけれども、こういった考え方についての大臣のお考えを伺えればと思います。

A:NATOという民主国家の集まりが、安全保障環境を維持するために各国の経済力に応じた相応の国防費を支出しているという点で、NATO定義に基づく対GDP比は指標として一定の意味があると考えておりますが、いずれにせよ、わが国の防衛費の内容や規模等については、新たな国家安全保障戦略等の策定や今後の予算編成過程において検討していくことになると思います。わが国の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、しっかりと検討してまいりたいと思っておるところであります。

Q:安倍元総理の国葬について伺います。新聞、テレビ、通信社各紙の世論調査で国葬に対する反対が50パーセントを上回って、賛成が非常に少なくなっています。そうした状況の中、国民の大多数が反対という中で、大臣は自衛隊に対して、儀じょうなどを行うように命令をするわけですが、それについてのご所感をお聞かせください。

A:この国葬についてはですね、様々な意見があることは承知をしておりますけれども、政府として引き続き国民の皆様の理解が得られるような様々な場を通じて、内閣の考え方についてですね、説明を尽くしてゆく立場であります。防衛省としては、故安倍晋三国葬儀事務局を含む関係省庁と連携しながら、国葬儀が滞りなく厳粛に執り行われるよう、しっかりと準備をしてまいりたいと思っております。

Q:関連して伺います。大臣は自衛隊に儀じょうなどするように命令することを心苦しく思っていませんか。あるいは、心苦しく思っていませんか。国民の大多数が反対する中で、儀仗などをするように命令することを心苦しく大臣は思われてますか。

A:我々からすると、これは閣内でいろいろな議論をしながら決まったことでありますので、そういった批判はあることを承知しながらも我々とすれば、我々に与えられた任務をこなすということだというふうに思っております。

Q:関連してもう1問伺います。安倍元総理の葬儀に儀じょう隊などが参加するのは、私的な葬儀に次いで、今度公的な国葬ということになりますが、自衛隊発足後、歴代防衛庁長官、あるいは総理大臣、防衛大臣OB、全て含めて、私的な葬儀と公的な葬儀2回にわたって自衛隊が儀じょうなどを行う例というのはありましたでしょうか。

A:たまたま今回の場合は、この国葬を決める前に、ようするに1つの家族葬というか私的な部分でも葬儀があったわけでありますので、その流れの中で、結果的にたまたま2回、この儀じょうを行うということになったわけでありますので、その意味では今回が初めてということだと思います。

Q:歴代総理大臣は、私的な葬儀と別に、内閣・自民党合同葬であるとか、あるいは、国民葬という形で、私的な葬儀と公的な葬儀を分ける場合もありますが、なぜその時は2回やらずに、今回だけ2回行うわけですか。

A:その時には、私が今、適切な情報を持っておりませんので、細部についてはですね、また事務方の方にお問い合わせをいただきたいというふうに思うわけでありますが、我々とすれば、今回のタイミング、いろいろな状況によって、我々のできることをしっかりやっていくということは、これは間違いのないことでありますので、この辺のところ細かな部分については、また事務方に聞いていただければというふうに思います。

Q:最後もう1問お伺いします。批判が多い中で、自衛隊員が儀じょうなどを行うわけですが、それをやらざるを得ない自衛隊員がかわいそうだと思いますか。

A:我々とすれば、これは政府の中、閣内で決まったことでありますので、そのことに対して、また私の了解によってこの儀じょうが行われるわけでありますので、その点に関してはこれは任務ということで果たしていただくということはこれは私からの指示でありますので、そのとおりにやっていただくということだと思います。

Q:大臣が冒頭おっしゃいました、燃料の予備費使用で教えてください。令和4年度の予算では燃料費はいくら取得されていて、また今回予備費を使用することによって、あとどれくらい警戒監視の燃料がもつのか教えてください。

A:防衛省では、警戒監視、緊急発進、災害派遣、部隊訓練等の幅広い活動に必要な燃料として、令和4年度当初予算において油購入費を989億円計上しておるところであります。そしてまた、今回の色々な状況において、調達価格が大幅に上昇している中で、1、2カ月以内に燃料購入のための予算が不足する見込みであり、今月中に予算を措置しなければ、自衛隊の持続的な部隊運用に支障が生じることから、燃料費の不足を補うために、予備費として507億円を使用することとしたところであります。

Q:もうひとつ分かれば教えていただきたいのですが、この不足した燃料というのは、どういった種類の燃料なんでしょうか。

A:細かなことに関してはですね、事務方の方に聞いていただきたいと思います。今、私の方は資料を持っておりませんので。

Q:国葬の関係で大臣のご所感を是非お伺いしたいんですけれども、先ほどその説明の中で、国葬反対が多いという中で、政府として国民の理解が得られるよう様々な場を通じて、説明を尽くしていく立場ですとおっしゃいましたが、先々週、総理が議会運営委員会の閉会中審査で異例とも言える総理が出席されて説明をされても理解が広がっていませんが、これは理解しない国民がいけないのか、それとも、そもそも開催の意義というか理由というのが、中々無理があったと思うのか、大臣、この理解が広がっていない原因どのように考えますか。

A:まだ、その意味では、説明が足りていないということだと思います。

以上