防衛大臣記者会見

日時
令和4年9月13日(火)10:47~11:02
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 ○ 本日から9月16日金曜日までの間、就任後初の外国訪問として、米国を訪問し、現地時間14日水曜日に日米防衛相会談を行います。会談では、日米同盟を取り巻く安全保障環境について意見交換を行います。また、国家安全保障戦略等の検討状況を踏まえ、日米同盟の強化に向けた具体的な取組について、率直な議論を行う予定であります。同盟国である米国のカウンターパートたるオースティン長官と対面で議論し、個人的な人間関係を構築することは大変重要であります。今回の訪米を通じ、オースティン長官とともに、いかなる事態にも緊密に連携して対応していくこと、両国の戦略をより整合の取れたものとしていくことを確認する所存であります。

2 質疑応答

Q:尖閣諸島を政府が国有化して、11日で10年を迎えました。ただ、ご存じのように、中国海警局の領海侵入がもうほとんど常態化して、全然、緊張緩和は見通しが立たない状況です。大臣の受け止めをお聞かせください。

A:尖閣諸島周辺のですね、情勢は依然として予断を許さない状況であります。わが国としては、極めて深刻に懸念しております。尖閣諸島は、歴史的にも国際法上もわが国固有の領土であります。防衛省・自衛隊として、引き続き、関係省庁と連携しながら、警戒監視に万全を期すとともに、中国側の力による一方的な現状変更の試みに対しては、わが国の領土・領海・領空を断固として守り抜くとの考えの下、毅然かつ冷静に対処してまいります。

Q:先日の沖縄県知事選挙でいわゆる、辺野古移設容認を掲げていた自民党の候補が惨敗いたしました。この結果について、あるいは今後、その結果がもたらす影響についてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

A:地方自治体の首長選挙についてはですね、地域住民の方々がその地域の課題を巡ってご判断される機会であると認識しており、防衛省としてお答えすべき立場にないことをご理解を願いたいと思います。日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせた時、辺野古移設が唯一の解決策であるという考えに変わりはなく、この方針に基づいて着実に工事を進めていく考えでおります。

Q:平和安全法制について伺います。9月19日に法の成立から7年を迎えます。特に今年はロシアによるウクライナ侵攻や、中国軍による台湾周辺での軍事演習で複数のミサイルが日本のEEZ内に着弾するなど、台湾を巡る情勢が緊迫化しています。これらを踏まえた上で、平和安全法制の意義や法成立7年の受け止めについてお願いします。

A:いかなる事態においても国民の命や平和な暮らしを守り抜くことは、政府の最も重い責任であります。2015年に成立した平和安全法制により、日米同盟はかつてないほど強固となり、抑止力・対処力を向上しております。このことは、地域の平和と安定にも寄与していると考えております。また、国際社会の平和と安定により積極的に貢献できるようにもなりました。法律施行後、平和安全法制に基づく任務の実績は、一つずつ積み重なっております。現在、ロシアによるウクライナ侵略や、中国による力による一方的な現状変更やその試み、北朝鮮による核・ミサイル開発の進展など、わが国が直面する安全保障上の課題は深刻化しております。このような情勢の中において、平和安全法制を効果的に運用していくことは一層重要であると考えております。いかなる事態にも対応できるよう、引き続き努力してまいりたいと思っております。

Q:関連でお伺いします。先月、米海軍主催のリムパックで存立危機事態の認定を行う前提で武力行使を伴うシナリオ訓練に自衛隊が参加しました。存立危機事態を想定した実動訓練は初めてということですが、この訓練の意義について大臣の見解をお願いします。あわせて実動訓練が初めて行うまでに法施行から6年以上かかったわけですが、ここまで時間がかかった理由と、この訓練の実施にはウクライナ侵攻や台湾情勢の緊迫化など日本を取り巻く安保環境の悪化が影響しているのかどうか、教えてください。

A:防衛省・自衛隊は、6月29日から8月4日までの間、ハワイ諸島などで実施された多国間共同訓練「リムパック2022」に参加し、その中で、わが国政府が存立危機事態の認定を行ったという前提の実動訓練に初めて参加をいたしました。共同訓練については、平素から、参加国との間で時期や実施内容等についての調整が整った場合に実施をしております。今回の訓練においても、参加国との調整を経て、時期や内容等を決定し実施したところであります。本訓練は、海上自衛隊の戦術技量の向上を図るとともに、米海軍及びその他リムパック参加国との相互理解の増進及び信頼関係の強化を目的としたものであります。特定の国や地域を念頭に置いたものではありません。防衛省・自衛隊としては、引き続きこうした訓練に参加をし、平和安全法制を効果的に運用し、あらゆる事態に対応できるよう万全を期していきたいと考えております。

Q:8月24日の「グリーントランスフォーメーション実行会議」で岸田総理が原発再稼働と新増設の方針を明らかにされました。しかし、ウクライナのザポリージャ原発に対して激しい砲撃が加えられ、9月11日には原子炉が停止したという危機的状況を目の当たりにすると、有事において原発が武力攻撃の対象となり、非常に大きなリスクがあることが明らかになりました。この岸田総理の方針変更は、防衛省が日本の原発防護について、中露あるいは北朝鮮のミサイル飽和攻撃にも耐え得る絶対の自信があると考えてよろしいのでしょうか。また、今回の岸田総理の方針転換を受けて、防衛省が原発防護についてどのようなことを新たに防衛計画に追加するのかなどについても教えてください。

A:仮定の質問についてはですね、お答えするのは適切ではないと思いますので、コメントは避けさせていただきたいと思います。いずれにしても、今、我々は3文書の策定のための議論を進めているところでありますので、その意味ではいろいろな場面場面を考えながら、議論していくことになろうかと思いますけれども、総理の発言については私からコメントすることは差し控えたいと思います。

Q:鹿児島県馬毛島での基地整備計画を巡って、西之表市が先日9日に島内の市有地売却を市議会に提案して、中種子、南種子両町も既に計画に賛意を示している状況ですが、3市町への米軍再編交付金の交付について、検討状況をお示しください。また、今年度から交付するとした場合に、その交付時期や金額など決まっていることがあればお願いいたします。

A:先週9日金曜日に、馬毛島小中学校跡地の払下げ等の3議案が西之表市議会に提出をされました。これは、馬毛島基地の安定的な運用、そしてまた適正な管理、そして円滑な運営という観点から、防衛省が西之表市に要望していた内容を実現するために必要な手続であります。また、中種子町及び南種子町には、既に馬毛島基地の整備に賛意を示すとともに、必要な手続を行っていただいております。このような状況を踏まえ、西之表市、中種子町及び南種子町を再編関連特定周辺市町村に指定をし、再編関連特別事業を実施することが、再編事業の円滑かつ確実な実施に資するとの判断に至りました。そのため、昨日、関連する手続を開始をいたしました。今後、所要の手続を経て、指定したいと考えております。今、再編交付金関連のお話がありましたけれども、まさに今、現在手続をしているところでありますので、具体的な指定の時期や交付額について、現時点でですね、お答えできる段階にはございませんので、また今後、いろいろな手続をですね、進めていくところでありますので、今お答えすることはできないということで、ご理解いただければというふうに思います。

Q:沖縄県知事選挙に関してお伺いしたいと思います。大臣就任後、沖縄訪問をおそらく来週以降予定されているとは思うんですけれども、その際に今回、県知事選挙で当選、再選されました玉城デニー知事と面会する意思があるのか、予定があるのかお聞かせください。

A:具体的な日程はまだ決まっておりませんが、できるだけ早く、機会を捉え、沖縄を訪問し、自らの目で現地状況の確認をするとともに、地元の皆様とお話しをさせていただきたいというふうに考えております。

Q:県知事と会う予定がございますでしょうか。

A:選挙終わったばっかりでありますので、知事の方の日程がどうなるかということもございますので、また、私の方との日程との擦り合わせがまだこれからというところでありますので、もう少しお時間いただければというふうに思います。

Q:防衛費の増額についてお伺いします。政府はですね、防衛費の増額について、海保などの費用も含めたNATO基準を参考にした方法を導入していくという報道がありますが、現在の事実関係をお聞かせください。

A:報道についてはですね、承知をしております。NATO加盟国は、対GDP比2%以上を達成することでですね、合意をしているところであります。NATOという民主主義国家の集まりが、安全保障環境を維持するために各国の経済力に応じた相応の国防費を支出しているという点で、対GDP比は指標として一定の意味があると考えております。わが国はNATO加盟国ではなく、NATO定義に基づいて所要の経費を整理しておりませんが、いずれにせよ、防衛費の内容や規模等についてはですね、新たな国家安全保障戦略等の策定や今後の予算編成過程においてですね、検討してまいりたいと思っております。

Q:大臣ご自身としては、この防衛費、海保費などを含めて算定することについての必要性というのは、どのように考えてらっしゃいますでしょうか。

A:考え方として、そういった指標があるというのは、悪いことではないと思いますが、これに対してはまだ、今後議論が進んでいくと思いますので、今、私がこの時点で、コメントするのは差し控えさせていただきます。

Q:安倍元首相の国葬儀に、自衛隊の参加が今日、閣議了解されたかと思うんですが、あらためて、国葬に自衛隊として臨む意義や思い、それから参加人数や「弔砲」などの詳細について、決まっていることがあればお聞かせ願います。

A:国葬について、今日、閣議決定をされたわけでありますが、自衛隊の儀じょう等の実施について、本日の閣議で了解されたのはご存じのことと思いますが、現在、内閣府に設置された故安倍晋三国葬儀事務局を含む関係省庁と連携しながら、国葬儀が滞りなく厳粛に執り行われるよう、準備しているところであります。具体的な内容については、これまで日本武道館で実施された元総理の内閣・自民党合同葬の例を踏まえ、儀じょう、と列、そしてまた、弔砲及び奏楽に係る要員等、合計で千数百名程度が参加する方向で検討中であります。また、弔砲については、「栄誉礼等及び礼砲の実施要綱について」に準じて、19発を発射する方向で検討をしております。

下線部:修正事項(閣議決定→閣議了解)

以上