防衛大臣記者会見

日時
令和4年9月9日(金)13:01~13:18
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 ○ 私から1点、9月12日(月)より、化学兵器禁止機関に、南 福太郎2等陸佐を査察官として派遣することとしました。南2佐は、化学兵器禁止条約の締約国における化学兵器の廃棄状況について、査察を実施する予定です。軍備管理・軍縮分野における国際機関の取組への協力は、国際社会の平和と安全の確保の観点から重要であり、職員を派遣することとしたものであります。

2 質疑応答

Q:昨日行われましたインドとの2+2会合、これ絡みで2点ほどお伺いたします。まず1つは、改めてですけれども成果それから意義、昨日発表されているとおりですが、大臣からご覧になっての成果と意義について改めてどのようにお考えでしょうか。

A:日印防衛相会談において、私から、ロシアによるウクライナ侵略は、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすもので、断じて認められず、日本やインドをはじめとする基本的価値を共有する国々が結束して対応することが重要であると述べました。これに対し、シン国防大臣から、ウクライナ情勢に対し懸念を示すとともに、ウクライナとロシアの間の対話の早期再開を含め、紛争解決のためにあらゆる外交努力を惜しまないとの発言がありました。また、シン大臣は、ウクライナへの継続した人道支援や物資の提供についても発言をされました。その上で、シン大臣との間で、主権や領土一体性の重要性、暴力の即時停止、いかなる地域においても力による一方的な現状変更は認められないといった基本原則を引き続き、しっかりと訴えていくべきとの認識で一致をいたしました。また、私から、先月の中国による、わが国EEZ内を含むわが国近海へ向けた弾道ミサイルの発射を強く非難をいたしました。これに対し、シン大臣からは、最近の台湾をめぐる情勢に懸念を示すとともに、一方的な行動を避け、緊張の緩和と、地域の平和と安定のための努力を求めるインドの立場を繰り返されました。その上で、シン大臣と共に、力による一方的な現状変更やその試みに強く反対し、国際法を遵守していくことが重要との考えで一致をいたしました。

Q:今のお話ですと、ウクライナ関連でロシアとの対話のための努力をしたのはインド側からの発言ですね。それから中国の台湾をめぐる云々というくだりでしたけれども、総じて共同声明の方も然りなんですけれども、日本側、大臣の方からは、ロシアそれから中国と具体的に国名を指してその上でシン国防大臣に語りかけていたかと思うんですけれども、それに対する何て言うんでしょうね、直接的な回答というのが両方とも国防大臣会合の時もそうでしたし、2+2の冒頭の時もそうでしたし、言及を避けていると言いますか、そういうイメージがあったんですが、もちろんインドのいろんな立場というかありますけれども、それについては、浜田大臣はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

A:その意味では率直にですね、お答えをいただいたのかなというふうに思っています。今後のですね、わが国の民主主義とですね、法の支配といった基本的価値を共有するとともに安全保障上の戦略的利益を有する特別な戦略的グローバルパートナーであり、自由で開かれたインド太平洋の維持強化に向けて2国間や日米豪印の4か国で緊密に連携していくことが重要だというふうに考えておるわけでございまして、日印の防衛協力について共同訓練においては、日印のACSAが活用されるなど2国間の連携が強化されていることに加え、日米印豪共同訓練のマラバールの実施など多国間での連携が活発しているのは事実であります。その意味で、この我々の今回の2+2、そしてまた防衛相会談においてですね、インドとしての立場というのをこの点を強調していたのではないかなというふうに私は思っています。その意味では、大変有意義な議論ができたというふうに思っています。

Q:その意味ではあれでしょうか、昨日の2+2会合の後の共同声明の一部にもありましたけれども、防衛協力がこれまでもあったわけですけれども一段と高みに引き上げられたというふうにお感じでしょうか。

A:そういう意味では、重層的にですね、かなり上位に関してもそうですし、また、実務間というか、軍の方との交流も含めてですね、かなり幅広く議論ができる体制が整ったという印象は受けました。

Q:先日発生したですね、千歳駐屯地における小銃自殺についてお尋ねしたいと思います。今年になってから、東立川でも同様の自殺が起きておりまして、聞くところによると通常、火薬庫の中のその巡回というのは、曹と士が組んであって、曹がその弾薬を持って、士が銃を持つ、つまり士の方が銃しか持ってないわけで、弾がないのでこういう事件が発生し得ないはずなんですけれども、なぜこの発生し得ない事件が起こったのか、こういうことがまた市街地が近い駐屯地でございますので、その弾を持った隊員が外に出てしまうというのは大変なことになるというわけで、今後、防衛省では弾薬庫を強化するというふうに今、方針であるかと思うんですけども、こういう反対運動が起こることも起きかねないと思うんですけれども、大臣そのへんいかがお考えでしょうか。

A:今、詳細については現在陸上自衛隊においてですね、捜査・調査中でありますので、お答えを差し控えさせていただきますが、今後ですね、捜査・調査の結果を踏まえて、必要な措置を講じてまいりたいというふうに思っているところであります。

Q:北朝鮮がらみですけれども、本日、北朝鮮の建国記念日にあたります。6年前の今日には5回目の核実験が行われたり、最近の報道ですと数週間以内に、エンジンの燃焼実験を行ったという報道もあります。警戒監視の状況とご認識について伺えればと思います。

A:ご指摘のですね、報道については承知をしております。その上で、北朝鮮の軍事動向については、防衛省として平素から重大な関心を持って情報収集・分析に努めておりますが、事柄の性質上、個々の具体的な情報の内容についてお答えすることは困難であります。防衛省としては北朝鮮の軍事動向について引き続き、米国、韓国等とともに、緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げ、わが国の平和と安全の確保に万全を期してまいりたい、このように思っております。

Q:岸田総理は昨日、防衛力の強化に関して、「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」を設置して、9月の下旬に初会合開くと表明されました。大臣の出席などを含めてですね、防衛省としてどのように関わっていくのか今のお考えを教えてください。

A:昨日、岸田総理より「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」を設置する旨、発表がありました。この有識者会議においては、わが国を取り巻く厳しい安全保障環境を乗り切るため、わが国が有するあらゆる政策手段を組み合わせて対応していくことが重要であるとの観点から、防衛力の抜本的強化のみならず、自衛隊と民間との共同活動なども含めた総合的な防衛体制の強化や、総合的な防衛体制の強化と経済財政の在り方などについて、幅広く議論されるものと承知しております。私としては、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討し、防衛力を抜本的に強化していく考えであります。有識者会議のメンバーについては、現在調整中であると承知しておりますが、防衛力に関する議論が行われる場合には、当然ながら積極的に議論に参加してまいりたいと考えておるところであります。

Q:南西方面の関係で、3点お伺いします。先ほど、馬毛島の基地整備計画に関連して西之表市が市議会に市有地の売却意見を提案したんですけれども、その受け止めと今後の対応をお願いします。

A:西之表市議会に、馬毛島小中学校跡地の払下げ、市道認定の廃止及び宿舎用地の払下げの3議案が提出されました。これは、馬毛島基地の安定的な運用と適正な管理、そして円滑な運営に資する手続きであると認識をしております。また、中種子町及び南種子町は、これまでも馬毛島基地の整備に賛意を示すとともに、協力する姿勢をお示しいただいております。このような状況を踏まえ、今後の対応について、鋭意検討を進めてまいりたいというふうに思っています。

Q:昨日ですね、米太平洋陸軍のフリン司令官が奄美大島を上空から視察されたと思うんですけれども、上空からの視察というのは初めてかと思うんですが、どのようなものを見て、防衛省としてはどういうことを意図してこの上空視察というのを行ったんでしょうか。

A:我々とすれば今、現場の方で対応しておりますので、詳細については現場の方にご質問いただけますでしょうか。

Q:もう1点なんですけれども、上空からですね、奄美の瀬戸内町のところの弾薬庫の整備状況などもご覧になったのかなと私も見ていて思ったんですけれども、弾薬庫なんですが、5棟整備する予定ということで、出ているんですけれども、これ増設したりですとか、規模を増やしたりというような予定はございますか。それから他紙のインタビューでしたけれども、スタンド・オフ・ミサイルの保管を念頭としているというような記述があったかと思うんですけれども、この瀬戸内の弾薬庫というのはスタンド・オフ・ミサイルの保管を前提として整備されているんでしょうか。つまり、奄美にスタンド・オフ・ミサイルが配備されるということでよろしいんでしょうか。お願いいたします。

A:今回の私の説明等々、またスタンド・オフ・ミサイル用の火薬庫の整備については、これをミサイルの弾薬をですね、安全に保管するため、また、部隊運用を継続的に実施するためにですね、必要な弾薬の取得に伴う火薬庫の整備が必要であると認識しております。他方で今後の火薬庫の整備計画に関しては新たな国家安全保障戦略等を策定する中で、検討を進めてまいりますが、現時点で具体的に決まったものはございません。

Q:スタンド・オフを前提とした火薬庫であるということではないということでしょうか。

A:はい。まだ、これから計画検討進めるところでありますので、まだ今現時点でまだお話しすることはできませんということです。

Q:防衛政策ではないんですけれど、閣僚の一人として、昨日行われた国葬に関する閉会中審査についてお伺いしたいと思います。閉会中審査ではですね、どういう場合に国葬とするかの基準が曖昧さとかの批判が相次いでいたんですけど、総理の昨日の質疑や説明で国民の理解が得られたというふうにお感じになっているかどうか。また、大臣ご自身としては、国葬すべきだと考えるかどうかについてお考えをお伺いできればと思います。

A:この点に関しましては、あくまでもですね、総理が自分のお考えをお話をされたということ、そしてまた、政府としての国葬にした旨をお話をしていただいたわけでございます。そういった意味において、我々政府の人間としてですね、この国葬に対して政権として国葬を行うということを決定しているわけでありますので、総理としてはその点を含めですね、きちっと説明されたというふうに思っております。

Q:先ほどの南西防衛の関係で、大臣、奄美大島の方に弾薬庫計画という先ほどもあったんですけれども、確か久間大臣の頃にですね、やはり同じような計画を奄美大島で作っていらしたんじゃないかなと記憶を私もっているのですが、その計画をこれから主導させるという形なんでしょうか。それともう一つよろしいですか。沖縄県知事選挙が今度の日曜日、投開票されますが、その結果如何次第では、辺野古の問題も含めてどういった対応に変化があるのかどうか、それなりに考えがありましたら伺っておきたいと思います。

A:まず、奄美の件でありますが、現在、南西地域においては部隊配備に伴い奄美大島の瀬戸内分屯基地で5棟、宮古島の保良訓練場で3棟、石垣島駐屯地で4棟の火薬庫の整備を進めてきているところであります。他方、今後の火薬庫の整備計画を含む島嶼防衛における後方支援体制の在り方については、新たな国家安全保障戦略等を策定する中で検討を進めてまいりますが、現時点で具体的に決まったものはございません。そして、今回の選挙についてはですね、あくまでもこれは県民の皆様方が選ばれることでありますので、そのことについて我々の方が結果についてですね、今コメントすることは適切ではないと思いますので、私の方から差し控えさせていただきたいというふうに思います。

以上