防衛大臣記者会見

日時
令和4年9月6日(火)11:17~11:37
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 ○ 日印の防衛相会談及び日印の「2+2」の実施についてでございますが、9月8日(木)、インドのシン国防大臣とジャイシャンカル外務大臣を日本に迎え、午前に防衛相会談を、午後に「2+2」を実施する予定であります。日印防衛相会談は、対面では約3年ぶりの開催であり、日印「2+2」は、2019年の11月以来、2回目の開催となります。今回の会談は、地域情勢について両国の認識を共有するとともに、日印間の安全保障・防衛協力の更なる進展に向けて、具体的な議論を行う予定であります。

 ○ 次に、防衛省・自衛隊におけるハラスメントの根絶についてであります。防衛省・自衛隊においては、長くハラスメント防止対策に取り組んできたところでありますが、相談件数の増加の一途をたどるなど、引き続き、重大な問題となっております。ハラスメントは、基本的人権の侵害であり、また、自衛隊の精強性を揺るがす、決してあってはならないことであります。このため、本日、関係幹部を集め、「ハラスメントの根絶に向けた措置に関する防衛大臣指示」を発出いたしました。指示事項は4点であります。全職員に対し、改めてハラスメントの相談窓口・相談員を周知徹底の上、相談・通報を指示すること、2つ目、現在のハラスメント相談の対応状況を緊急点検し、全ての案件に適切に対応すること、3番目に、全自衛隊を対象とした特別防衛監察の実施、4番目に、ハラスメント対策の抜本的見直しのための有識者会議の設置であります。また、現在行っている、元陸上自衛官のセクハラ被害事案の調査について、更なる公平性・第三者性の確保のために、本件調査を主導する者として、防衛監察本部所属の検事及び検察庁からの出向事務官の2名を、4日、東北方面隊に派遣しました。防衛省として、ハラスメント防止対策になお一層しっかり取り組んでまいります。

2 質疑応答

Q:先日、中国が台湾で行いました「重要軍事演習」、それから最近ですと、中国及びロシアの船6隻で北海道沖で機関銃射撃訓練を実施するなど、最近中国、ロシア両軍のですね、日本近海で行動が極めて活発化しています。これについての大臣の受け止め及び中国とロシアとのですね、連携が今までにも増して深まっている現状について、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

A:先月、中国は、台湾周辺で多数の艦艇・航空機を用いて大規模な軍事演習を行いましたが、中国側の一連の活動は、非常に威圧的であったと認識しています。また、先月4日に、中国が、わが国EEZを含むわが国の近海に設定された訓練海域に向けて弾道ミサイルを発射したことは、わが国の安全保障及び国民の安全に関わる重大な問題であり、強く非難いたします。ロシアにおいては、3日、極東において実施中の大規模軍事演習「ヴォストーク」の枠組みで、択捉島及び国後島における軍事演習を実施した旨発表したと承知しております。わが国の抗議にもかかわらず、北方領土においてロシアによる軍事演習が実施されたことは極めて遺憾であります。また、3日には、北海道の西方約190kmの海域において、中露海軍艦艇6隻が順に、洋上へ機関銃による射撃を実施したことを確認しております。このように、中露両国はわが国周辺において活発な活動を行うとともに、中国軍とロシア軍が爆撃機の共同飛行や艦艇の共同航行を実施するなど、中国軍とロシア軍が連携を強化する動きもみられます。こうした点を踏まえて、防衛省・自衛隊としては、わが国周辺における両国の活動や、中露両国による軍事連携の動向について、懸念を持って注視していきたいと思っております。

Q:敵基地攻撃に関して何点かお伺いします。政府は1956年の国会答弁以来、法理的には自衛の範囲に含まれ可能としてきましたが、なぜ敵基地攻撃能力を保有してこなかったのか、他国に脅威を与えるためを避けるためなのか、日米の役割分担を考慮したのか、政策判断の理由を教えてください。

A:政府としては、従来から、誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地を叩くことは、憲法上、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能と考えておるところであります。その上で、政府としては、これまで、いわゆる「敵基地攻撃」について、日米の役割分担の中で、米国の打撃力に依存していると説明してきたところであります。他方で、急速なスピードで変化・進化しているミサイルなどの技術に対しても、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかどうかという問題意識の下、いわゆる「反撃能力」も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところであります。

Q:もう一点教えて下さい。法理上、自衛権を行使して敵基地攻撃を行う場合、許される必要最小限度の武力行使の範囲を教えてください。例えば同時に複数の基地を叩くことが可能なのかお願いします。

A:わが国として、如何なる状況において講ずる如何なる措置が自衛の範囲に含まれるかについては、実際に発生した武力攻撃の規模、態様等に即して個別具体的に判断されるべきものであります。一概にお答えをすることは困難であります。いずれにせよ、いわゆる「反撃能力」については、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところであり、年末に向けた新たな国家安全保障戦略等を策定していく過程で、憲法及び国際法の範囲内で、しっかりと検討してまいりたいと思っているところであります。

Q:最後にもう一点、憲法解釈上、専ら相手の国土の潰滅的破壊のためのみに用いられる攻撃的兵器は保有できないとされていますが、敵の地下にある司令部の破壊を目的にした爆弾や兵器は保有できるのか教えてください。

A:防衛省としては、いわゆる「反撃能力」も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところでありますが、ご指摘のような点も含めて、仮定に基づくご質問の逐一について、現時点で予断をもってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:内閣官房が1日に公表した政府主催の新たな国家安全保障戦略等の策定に関する有識者等の意見交換についてご質問です。公開された防衛力強化、防衛関係費の項目に関する要旨の中で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について、出席者した有識者から、普天間基地移転に膨大な資金と長い年月のかかることに力を入れることには疑問、時間と効果をもっと考えて欲しいと意見が上がったと紹介されています。辺野古移設計画について費用対効果に疑問を突き付けられた感じですが、大臣の受け止めをお願いします。

A:内閣官房が公表した議論の要旨の中で、ご指摘の発言が記載されていることは承知をしておりますが、発言の逐一についてコメントすることは差し控えさせていただきます。その上で、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせた時、政府として辺野古移設が唯一の解決策であるとの考えに変わりはなく、この方針に基づいて着実に工事を進めていく考えであります。また、この工事に要する経費については、普天間飛行場の1日も早い返還を実現するために不可欠な経費であると考えていますが、事業を進めていくに当たっては、引き続き経費の抑制に努めてまいりたいというふうに思っております。

Q:冒頭にございましたハラスメント防止についてお伺いいたします。ハラスメント防止について、本日、関係幹部が集まられて会議を実施され、大臣から指示を発出されたとのことですが、こちら先日、セクハラ性被害を訴えられた元自衛官の方が要望書を提出なさったことを受けて実施をされたことでしょうか。それとも、もともと予定されていたものでしょうか。

A:防衛省・自衛隊においてはですね、長くハラスメント防止対策に取り組んできたところですが、相談件数が増加の一途をたどるなど、引き続き重大な問題となっております。ハラスメントは自衛隊の精強性を揺るがす、決してあってはならないことであり、その根絶を図る必要があると考えております。今般、私のそうした認識を防衛省・自衛隊全体に示すとともにハラスメント対策を抜本的に見直す必要があると考えたことから、大臣指示を発出したものであります。

Q:今のセクハラの関連でおたずねします。元陸上自衛官自ら被害を訴えておられますが、その内容を大臣、報道等でご承知かと存じますが、この案件について大臣は率直にどのようなご見解をお持ちでしょうか。

A:今、私がこの問題に対して、この問題の重要性、重大性も含めて感じておるところ、そしてまた我々のですね、この自衛隊においてこういったことが起きているということであるならば、これはしっかりと調査を行ってですね、そしてその中で、我々のこの組織としての決してこれを許してはならないという姿勢をもって、その根絶を図る必要があると考えてこのような形にしたところであります。

Q:関連で、調査に第三者性の確保をというお話でしたが、その調査はどれくらいの目途でまとめるおつもりでしょうか。

A:我々とすれば、これは一応、全体の調査ということも含めておりますので、それなりの時間はかかると思っておりますが、できるだけ早くこれ結論を出すよう、調査を進めていきたいというふうに思います。

Q:有識者会議の設置とおっしゃいましたが、これのメンバーとか時期とか決まっているのでしょうか。

A:これは今、まだ詳しくですね、皆様方に披露するというふうには、段階にはありませんけれども、今のところ学界、法曹界、報道界、経済界及び医学界、それぞれの分野から、知見のある委員をお招きし、幅広い意見を取り入れ、活動をしていただく予定であります。有識者会議の進め方については、有識者会議においてご議論をいただくことになると思います。

Q:米空軍が止めていたオスプレイなんですけれども、CV22が飛行を再開しました。木更津のオスプレイの飛行予定についてお伺いします。

A:陸上自衛隊のオスプレイについてはですね、防衛省では、確認的に操縦士への教育やクラッチの機能確認等の点検を行って、安全に万全を期した上で、順次、飛行訓練を実施することとしております。その際、暫定配備先である木更津市に対しては、防衛省としての考え方を丁寧に説明させていただくことが重要と考えており、順次説明をさせていただいているところであります。

Q:冒頭のハラスメント関係に戻るんですけれども、五ノ井さんの調査に関しては、ご本人は第三者委員会の立ち上げ、第三者委員会による調査というのを希望しておりました。今回、第三者性確保するために検事出身者とかを派遣するということですけれども、これはあくまで防衛省の調査にそういった人を出すというか、第三者委員会ではないということでしょうか。調査の仕組みをもう少しお伺いできればと思います。

A:調査の仕組み、監察本部の方で中心にやるわけでありますので、それは監察本部の方針でやっていくことになろうかと思います。そしてまた、有識者会議についてはですね、先ほど申し上げましたように、我々のこのハラスメントに対する対応についてですね、議論していただくことになりますので、これは基本的に我々のこの今、当然、この有識者会議においても元陸上自衛官のですね、五ノ井氏が告発された性被害への対応についての検証、そしてまた自衛隊内部の意識及びこれまでのハラスメント防止対策を検証し、新たなハラスメント防止対策の提言を行うものであります。なお、それらの検証、検討は現在、陸上自衛隊において行われている調査の結果も踏まえて行うこととなります。

Q:それでは、有識者会議の中でも、五ノ井さんに関する調査もするということになる。

A:そうですね。

Q:冒頭の方に、セクハラの件なんですけれども、ハラスメントの総数としてですね、増加の一途をたどっていると大臣おっしゃいましたけれども、全体的にどれ位の件数なのか、もし伺っているなら教えていただきたいのと、特別防衛監察の実施ということですけれども、監察の実施というのは、この増加の一途をたどっているハラスメント全体に対して監察対象行為というふうに認識し、この特別防衛監察を実施されるのか、ご見解をお願いします。

A:それは、今、増加の一途をたどるとのことでありましたが、私の方から申し上げましたが、内局のホットライン及び各機関等の相談窓口への各種ハラスメントの相談件数の合計はですね、平成28年度は256件、平成29年度は326件、平成30年度は625件、令和元年度は1074件、令和2年度は1468件、令和3年度は2311件であります。

Q:特別防衛監察というのは、それらを受けて、監察対象行為というが散見されることを受けて、大臣がこのことを指示をなさったという、そういう理解でよろしいでしょうか。

A:はい、そうであります。

Q:それは、セクハラ、パワハラなど、ハラスメント全般が含まれている。

A:と思います。

Q:今、先ほど大臣がおっしゃられた数字、かなり短期間で伸びているようにも見受けられるのですけれども、現時点で大臣、この増加の原因というのはどういうふうにご覧になっているのでしょうか。

A:この状況ですか。いろんなこの理由が考えられるわけでありますが、本人が自覚している場合、自覚していない場合というのもあると思いますので、そういったことがあっても、我々このハラスメントを許すわけにはいかないという立場でありますので、組織としてしっかりとこれはハラスメントに対する認識を新たにしてもらって、今後、こういったことが起きないようにするというのが大変重要だと考えておりますんで、その思いで今回、このような対処をしたということであります。

Q:直近で急増している原因については、どういうふうにお考えですか。

A:そこのところを調べてもらいたいなというふうに思っています。なぜそうなっているのかも含めてですね。

以上