防衛大臣記者会見

日時
令和4年9月2日(金)11:03~11:25
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 なし。

2 質疑応答

Q:一昨日、2023年度概算要求決定されました。金額にして5兆5947億円、過去最大規模ということですが、まず、これについてのですね、大臣の受け止め、ないしは主に強調したい点をお願いいたします。

A:わが国がですね、直面する厳しい現実に向き合って、将来にわたりわが国を守り抜くためには、防衛力を5年以内に抜本的に強化することが必要であります。その第1歩となる令和5年度の概算要求では、わが国への侵攻そのものを抑止し、万一抑止が破られた場合にも対処可能な防衛力の構築に向けて必要な事業を要求することとしております。具体的には、スタンド・オフ防衛能力、総合ミサイル防空能力、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力、持続性・強靱性といった分野を中心に強化をするとともに、防衛生産・技術基盤、人的基盤等の要素を重視してまいりたいというふうに思っております。防衛費の内容や規模については、引き続き新たな国家安全保障戦略の策定や今後の予算編成過程において検討していくこととなりますが、防衛力を抜本的に強化するため、必要な予算をしっかり確保してまいりたいというふうに思っております。

Q:それに関連いたします。今回の概算要求ですと、いわゆる金額を示さない事項要求というものが合計100個ですか、3桁極めて多い、これの中にはかなり金額がかかるものが相当数含まれていてですね、普通に考えれば、これを合計しますと、6兆円はおろか、7兆円あるいはそれ以上に膨れ上がる可能性も十分あるようなイメージがあります。すなわち、年末にならないと実際のこの5兆5947の金額自体が、ほとんど、何ていうんでしょうか、意味をなさないといいますか、それを国民の理解ですね、国民の理解ないしは国民への説明、防衛費の必要性は大体認められるとは思うんですけれども、かといってこれだけものすごい規模のですね、事項要求がありますと、果たして一般的な国民の理解が得られるのか、それについての説明についてはどのようにお考えですか。

A:この点につきましてはですね、事項要求が多いということに対しての問題点というよりは、我々とすれば、これだけの抜本的な強化を求められておるわけでありますので、当然のごとく、この事項が多くなるのは、当然我々とすれば、防衛を担当するものとしては、これを対応していくのはこれだけの要求というか、事項がありますというのを出しておるわけでありますので、その規模に関しましてですね、多くなるか、まだ事項要求全部が認められるわけではないわけだと思うんです。ですから、これを我々とすれば、どういった予算にしていくのかも含めて、我々がこれから年末に向けてですね、それまでにいろいろな議論があると思いますので、我々とすれば、それをまた今後、年末に向けてどのような形になるかを説明できるような形を作っていくことになろうかというふうに思います。

Q:説明できるというのは、要するに事項要求個々の項目について、これこれで何億円、これこれで何億円というような、それの根拠を示していくということでよろしいでしょうか。

A:事項要求については、これからもいろいろな議論というのが、これからも我々3文書等の策定もありますので、そういったことも含めて、議論していくことになろうかと思いますので、今の状態でいくと我々全省一丸となってですね、今後しっかりと要求していくということが、一つの考え方だというふうに思ってますので、今すぐ数字が全部どうだということが言えないのは確かに、ご意見があるかもしれませんが、我々とすれば、今後のいろいろな政府との調整の中で、説明していくような形になるじゃないかなというふうに思っています。

Q:イージス・システム搭載艦のことでお伺いします。発表された全長とかですね、基準排水量からすると、自衛隊が保有する艦船で最大規模となる見通しですけれども、こうした規模にする狙いについてお聞かせください。あと、これだけの大型船体ですと、艦船自体のですね防御機能が脆弱ならないかとか、あとは乗組員の不足が指摘される中でどうやって人員を確保するのか、その辺の課題もあるかと思いますが、どう対応していくお考えかお聞かせください。

A:現下の安全保障環境においてはですね、南西方面での洋上侵攻阻止能力を強化するため、今、既存のイージス艦8隻がですね、BMDの任務に専従しなければならない状態でありますので、これを解消することは重要な課題になっております。他方、北朝鮮は弾道ミサイル防衛網の突破を企図した同時複数の発射やロフテッド軌道による弾道ミサイルの発射を行うなど、弾道ミサイルの運用能力の向上が顕著になっていることから、BMD任務の必要性は依然として顕著であります。このため、イージス・システム搭載艦については、情勢に応じ、2艦で常時持続的にわが国を防護し得るものとし、かつ、多様なミサイルの脅威に対応可能な能力が必要であると考えております。稼働率はもとより荒天時にも運用可能な耐洋性や、長期間の洋上任務につくために乗員の居住環境の改善、将来的に極超音速滑空兵器にも対応できる拡張性等を有した大型艦艇とする方向で検討を行うとしたものであります。現在、令和5年度の概算要求に設計と構成品等の取得を事項要求しているところであります。搭載機能を含め細部については、並行的に米国政府や日米の民間事業者の知見を最大限活用する形で、年末の政府予算案の決定までに検討を進めていく予定であります。

Q:関連して、イージス・システム搭載艦についてお伺いしたいんですけれども、今回この就役をですね2027年度末を目指すとされていますけれども、防衛力の抜本的強化における搭載艦の位置づけを改めて伺いたいのと、建造期間が従来より短縮されるというふうに伺ってますが、その狙いについてもお願いします。

A:イージス・システム搭載艦の配備によって、既存イージス艦8隻がBMD任務に専従しなければならない状態を早期に解消し、南西方面での洋上侵攻阻止能力を強化することは重要な課題であると考えております。また、北朝鮮は弾道ミサイル防衛網の突破を企図した同時複数の発射やロフテッド軌道による弾道ミサイルの発射を行うなど、弾道ミサイルの運用能力の向上が顕著になっております。特に、数千kmの高度まで打ち上げられた弾道ミサイルを迎撃するためには、既存のイージス艦よりも遥かに高い迎撃能力を有するイージス・システム搭載艦が必要であります。こうした厳しい安全保障環境に適切に対応するため、同艦の必要性を踏まえ、通常の大型艦艇の取得プロセスによる場合と比較して、より早期に就役させるため防衛省全体で努力をしているところであります。1隻目を令和9年度末に就役、2隻目を令和10年度に就役させることを目標として、建造に向けた細部検討を進めているところであります。従って、「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」ために極めて重要な取組みであると考えております。

Q:反撃能力に関することなんですけれども、昨日、NSSを中心に防衛省も参加していた国家安全保障戦略の策定に関する有識者との意見交換の議事要旨が公表されました。その中で反撃能力に関して、有識者から日本が保有する攻撃能力の意義や限界について議論し、認識を共有しておく必要があるとの指摘がありました。現状、政府は検討中ということを理由に反撃能力を用いる際の条件や具体的な想定、検討している装備品の中身などを明らかにしていませんが、反撃能力の保有の時期を判断する年末までにこうした内容の一端について国会議論などを通じて国民に示す考えはありますでしょうか。

A:防衛省といたしましてはですね、有識者の方々から伺った知見も踏まえて、引き続きあらゆる選択肢をですね排除せず、現実的に検討しスピード感をもって防衛力を抜本的に強化していく考えであります。

Q:関連なんですけれども、2013年の国家安保戦略策定の時には、有識者を交えた安全保障と防衛力に関する懇談会を開いて、議論の過程で政府側が安保戦略に盛り込まれるべき要素など政府の考え方を示していましたが、防衛省なり政府などでこうした反撃能力に関して政府はこういう考え方を検討しているんだということを示す考えはありますでしょうか。

A:今のところ、それも含めて我々とすれば、これからも議論を重ねていくことになろうかと思いますので、今現在このことに関してですね、私の方からコメントすることはございません。

Q:概算要求に戻りましてお伺いします。無人機の関係なんですけれども、無人アセット防衛能力ということで今回、評価をしていると思いますけれども、その中で今回から攻撃型の無人機も本格的に整備の金額、事項要求として盛り込んでいると思います。改めて大臣としてどういう理由で攻撃型も含めた無人機が必要かと、どういうふうに具体的に使っていきたいかという考えをお願いします。

A:2020年のナゴルノ・カラバフにおける軍事衝突や、今般のロシアによるウクライナ侵略において、無人機が効果的に使用されたことが指摘されております。また、本年7月以降、中国の無人機が単独で沖縄本島と宮古島との間を通過しているなど、近年、軍事分野における各国の無人アセットの活用が急速に拡大をしております。無人アセットは、将来の戦闘様相を一変させ得る革新的なゲームチェンジャーであるとも指摘されており、無人アセットを駆使した新たな戦い方への対応が急務となっております。このため、防衛省・自衛隊としても、隊員に対する危険や負担を局限しつつ、広域における常続的な警戒監視態勢等の構築をするとともに、抑止が破られた場合に、非対称な優勢の確保に資する能力を獲得するため、「無人アセット防衛能力」を重点的に強化することとしております。この観点から、令和5年度概算要求において、攻撃用や、情報収集・警戒監視、輸送といった様々な任務に効果的に活用し得る無人アセットを整備することとしておるところであります。

Q:概算要求関連でもう1問お伺いします。冒頭の事項要求とも関係してくるんですけれども、今回ホームページに公表されている概算要求の概要というパンフレットにはですね、事業毎の金額を載せない形をとりました。今後、議論の中で大きく金額が変わるということも分かりますけれども、一方で大臣もおっしゃているように、国民への丁寧な説明というのも必要だと思っております。改めて大臣のお考えをお願いします。

A:令和5年度概算要求ではですね、要求・要望枠内として、これまでの延長線上にあるものとして行う防衛力整備事業を中心に5兆5947億円を要求するとともに、それとは別途、事項要求として、防衛力を5年以内に抜本的に強化するために必要な取組を要求しております。今後、両者を一体のものとして、防衛力の抜本的強化に必要な事業をしっかりと積み上げてまいりたいと思っているところであります。現在、要求・要望枠の金額はですね、事業毎に定まっておりますけれども、事項要求の内容や金額は、今後の予算編成過程を通じて、防衛力強化の内容、規模、財源を3点セットで検討し、結論を得ることとされていることから、現時点ではお答えができません。こうした状況の中で、概算要求のパンフレットにおいて要求・要望枠の金額のみを記載した場合、その額が今年度の要求額であるとの誤解を生じるとともに、年末の政府予算案の金額と大きく異なる可能性もあることから、概算要求の段階で金額をお示しすることを差し控えました。いずれにいたしましても、防衛省としては、厳しさを増す安全保障環境の下で、わが国を守っていくために必要な取組について国民の皆様のご理解を得られるよう引き続き十分に説明を行っていきたいと考えておるところであります。

Q:概算要求に関してなんですけれども、一昨日の概算要求省議において大臣は、発言の中でですね、新たな整備計画は、スタンド・オフ防衛能力等の実践的運用能力の獲得と、装備品の稼働率向上や弾薬等の十分な確保、防衛施設の強靭化への集中と、2本柱で進めたいというご発言をされました。これは、アセットの整備と分けることで稼働率向上や施設の強靭化を迅速に予算執行するといった考えがあるのか、発言の狙いについて教えてください。

A: 省議において申し上げた「2本柱」は、将来の防衛力の中核となる装備品を可能な限り早期に戦力化しつつ、同時に、稼働率向上や弾薬確保、施設の強靭化等に集中的に取り組むことで、現有装備品等についても最大有効活用するということ、この2つの取組みはいずれも重要であります。防衛力の抜本的強化のため、ともに推進していくべきであることを明確にするべくお示ししたものであります。

Q:概算要求について関連です。今回の要求の中ではですね、開発中だった12式地対艦誘導弾の運用前倒し等、各種の装備化を早めるような事業が散見されるますが、こうした前倒しで必要な検討であったり、開発というのが荒くなってしまうような課題というのはないのか、大臣の考えをお願いします。

A:我々からすると、ご指摘の12式地対艦誘導弾能力向上型の地発型及び島嶼防衛用高速滑空弾の研究開発事業につきましては、それぞれ令和3年度から令和7年度まで、平成30年度から令和7年度までの間で実施する計画であります。令和5年度概算要求においては、これらの研究開発事業を継続するための経費を計上しております。また、防衛省としては、これらのミサイルの早期装備化に向け、研究開発の完了前の段階で量産品の製造に着手するための事項要求を行っております。これまでの研究開発の成果などを活用し、早期装備化を実現できるようこれら研究開発事業を計画的かつ着実に進めていく所存であります。

Q:鹿児島県馬毛島への米軍機移転計画を巡って、地元の西之表市長が先ほど、「市議会で市民の不安解消にいたっておらず、計画への同意、不同意を言える段階にない。防衛省から行政手続きがあれば適切に対応する」との発言をしました。この発言に対する大臣の受け止めと、防衛省としての今後の対応をお願いします。

A:本日、八板西之表市長が西之表市議会において、馬毛島における自衛隊施設の整備に関してのご自身のお考えを述べられたことは、承知をしております。他方、ご発言の詳細について、現時点では把握をしておらず、改めてご発言について報告を受けたいと考えております。いずれにしても、引き続き、地元の声にしっかりと耳を傾け、西之表市長と緊密に意思疎通を図った上で、一層連携してまいりたいというふうに考えております。

Q:市民の不安解消に至っていないという発言をされたんですけれども、その部分に対しては、どのようにお考えでしょうか。

A:私が、発言に対して一つずつ今、聞いておりませんので、今、それに対してどうこうということは言えないわけでありまして、しかし、やはりそういったいろいろな説明しなければならないことというのはこれからも沢山あると思いますので、今後、市長との間でですね、しっかりと連携を図って、そしてまた、市民の皆様にですね、ご理解いただけるような対応をですね、今後もしっかりしていきたいというふうに思っております。

以上