防衛大臣記者会見

日時
令和4年8月5日(金)10:40~11:04
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 〇 令和4年度自衛隊記念日記念行事の日程が決まりましたので、お知らせをいたします。新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、各記念行事の実施についてそれぞれ判断をいたしました。まず、10月8日に航空自衛隊千歳、入間、築城、那覇の各基地において、搭乗数を制限して、体験飛行を実施いたします。次に、11月5日、防衛省慰霊碑地区において、内閣総理大臣ご臨席のもと、ご遺族と最小限の防衛省関係者が参列し、自衛隊殉職隊員追悼式を実施いたします。11月6日、相模湾において、内閣総理大臣を観閲官として無観客での形態により観閲式を実施をいたします。なお、観閲式の模様については、映像配信を実施する予定であります。さらに、11月18日、19日、日本武道館において、観客数を制限して、自衛隊音楽まつりを開催をいたします。一方、感謝状贈呈式、自衛隊記念日のレセプションについては、中止といたします。なお、各行事の詳細につきましては、事務方へお問い合わせをお願いします。

2 質疑応答

Q:幹事社から2問続けてお伺いいたします。いずれも台湾情勢に関してです。昨日も発表がありましたが、中国軍が台湾周辺で大規模な軍事演習を行うなど、台湾情勢が緊迫化しています。大臣の受け止めと、昨日発表がありました弾道ミサイルについて、追加の情報があれば教えてください。2つ目は、米国のペロシ下院議長が現在来日中ですが、台湾周辺を含む日本周辺の警戒監視状況について、防衛省の対応を教えてください。

A:台湾海峡の平和と安定は、わが国の安全保障はもとより、国際社会の安定に大変重要です。こうした中で、中国は昨日、15時頃から16時過ぎにかけて、9発の弾道ミサイルを発射し、そのうち5発は、わが国EEZ内に落下したものと推定されます。中国の一連の行動につきましては、非常に威圧的であると認識しているとともに、わが国のEEZを含むわが国の近海に設定された訓練海域に弾道ミサイルが落下しており、わが国の安全保障及び国民の安全に係る重大な問題であり強く非難します。また、中国に対しては外交ルートを通じて抗議を行ったところです。いずれにしても、防衛省・自衛隊としては、わが国周辺の海・空域における中国軍の動向について、警戒監視、情報収集活動を継続するとともに、引き続き状況を注視し、対応に万全を期してまいりたいと考えております。

Q:昨日ですね、中国の無人機3機が沖縄県周辺を飛行したと発表がありましたが、これに対する大臣の受け止めとですね、現在、中国で行われている軍事訓練との関連性について、どのようにお考えかお聞かせください。

A:昨日の午前から夜にかけて、中国の偵察型の無人機「BZK-005」、1機及び偵察/攻撃型の無人機「TB-001」、1機が東シナ海方面から飛来し、沖縄本島と宮古島との間を通過し、太平洋に至り、先島諸島の南の太平洋上で旋回後、反転し、再び沖縄本島と宮古島との間を通過し、東シナ海に至ったことを確認しております。また、推定中国の無人機1機が東シナ海から飛来し、台湾の北東沖の公海上空を旋回飛行していることを確認をいたしました。これらに対しまして、航空自衛隊の南西航空方面隊の戦闘機を緊急発進させ、対応しました。今回のような中国の軍用機による沖縄本島と宮古島間の通過について、公表は今年度6回目、また、2013年7月に初めて通過を確認してから通算で77回目となります。なお、無人機の飛行を公表したのは、9回目となります。これらの無人機の飛行は、中国が本日から実施すると発表した軍事演習との関連が考えられるところです。いずれにせよ、防衛省・自衛隊としては、今後も活動を活発化させている中国軍の動向を注視しつつ、わが国の領土、領空、領海を断固として守り抜くとの方針の下、国際法及び自衛隊法に従いながら、対領空侵犯措置に万全を期していく考えであります。

Q:昨日の、日本のEEZ内にですね5発中国の弾道ミサイルが落下した件なんですけれども、これについてですね、明確な意図をもってEEZ内に打ち込んできたのか、それともたまたまなのか、どのように分析されていますでしょうか。

A:中国側からの言い分からしますと、中国側は日本のEEZを認めていないところでありますから、意識をしてないということになるのだと思いますが、我々の評価としては、いずれにいたしましても、昨日の設定された訓練海域の範囲内でEEZの中に落下をしたと評価をしているものであります。

Q:明確な意図があったというふうに見てらっしゃいますか。

A:中国側の意図について、断定的に申し上げることはできませんけれども、いくつも訓練海域を設定した中で、あの海域に撃ち込んでいるということを考えあわせれば、意図してあの地域に落下をさせたということが言えると思います。

Q:昨日のミサイル発射の件、これからの日本の防衛増力にどのような影響がありますか。

A:昨日のミサイル発射につきましては、わが国の非常に近い海域に落下をしておるということから、先ほども申し上げましたけれども、わが国の安全保障に対しても、大きな影響を与えるものだと思ってます。そういう意味で、今後も警戒監視を強めるとともに、情報分析に努めたいと考えております。

Q:台湾情勢関係なんですけれども、昨日公表された無人機とEEZ内を含めた弾道ミサイルの2つというのの関連性というのはあるのかとお考えでしょうか。弾道ミサイルと無人機の活動というのは、なんらか弾道ミサイルの情報を収集しているとか関係があるのかどうか、どのようにお考えになってるのでしょうか。

A:無人機の活動については、確たることは申し上げることはできませんが、中国側が昨日から実施すると発表しています軍事演習との関連性は考えられるところであると思います。

Q:台湾関係なんですけれども、現在の安全保障環境を見ると、ウクライナ方面と台湾周辺で同時に緊張が高まっている状況になっていると思います。米国のペロシ下院議長のご判断で訪台になったと思うんですけれども、この時期の訪台というのは、改めてどのように評価されていますでしょうか。

A:台湾海峡の平和と安定は重要であるということを常々わが国は主張しており、日米間でも認識を共有しておるところであります。その中で、ペロシ下院議長の訪台については、政府としてはコメントする立場にはありませんが、その上で、昨日、わが国のEEZを含む日本の近海に設定された訓練海域に弾道ミサイルが落下するという事態になりまして、わが国の安全保障、わが国の国民の安全に関わる重大な問題であり、強く非難します。防衛省・自衛隊としては、引き続き、情報の収集・分析、警戒監視等に全力を尽くしてまいります。

Q:2問ほどお伺いしたいと思います。昨日のミサイル発射にも関連するんですが、台湾周辺での中国の動向に関連してなんですが、元総理が「台湾有事は日本の有事」とも発言されてますけれども、自衛隊がどの段階で介入することを考えてらっしゃるのか、台湾で限定されている場合には介入できない、もしくは、事態認定などをして自衛隊がいわゆる「台湾有事」に出動することもあり得るのかということ。そして、もう1点がですね、米軍の艦艇が台湾東方に展開してますけれども、これに関連して、自衛隊が支援などは行っているんでしょうか。

A:台湾を巡る情勢の安定につきましては、南西地域を含むわが国の安全保障にとって重要であると考えております。台湾を巡る問題について、わが国としては、対話による平和的解決を期待するという立場に変わりはございません。他方で、ご指摘の事態も含めて、いかなる事態が、重要影響事態、存立危機事態、武力攻撃事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府として、その持ち得る全ての情報を総合して、客観的に、合理的に判断することとなります。一概にお答えすることは困難でありますが、その上で、一般論として申し上げますと、日本に対する武力攻撃が発生していない場合においても、例えば、重要影響事態となれば、自衛隊は後方支援活動等を行うことができるほか、存立危機事態となれば、防衛出動を行うことができるようになります。あと、米軍との連携についてでありますが、わが国は米軍とは日々情報をやり取りをしているところであります。しかしながら、これは米軍の運用、自衛隊の運用にも関わってくることでございますので、その実施の内容については逐一お答えすることは控えたいと思います。

Q:引き続き中国のミサイルに関してなんですけれども、先ほど、大臣EEZ内に当該地域に意図して落下させたものであるというふうにおっしゃいましたけれども、発射されたミサイルは、日本側の分析では9発のうち半数はEEZ内に向けて撃たれたということになるんですが、中国の今回の作戦対象、訓練の対象に自衛隊や在日米軍が含まれていたというふうに考えられるのか、現在の分析状況教えてください。

A:中国側の意図につきましては、引き続き分析中であります。

Q:話題変わりまして、昨日の自民党の国防部会でですね、防衛省側から戦車の削減方針について、現大綱を維持するとの方針が示されました。戦車の半数以上は北海道に配置されていますが、ロシアの脅威が高まる中で、情勢が変わったとの指摘もあります。戦車の削減方針を続ける狙いを教えてください。

A:戦車の将来体制については、現在も検討中であって、何ら決まっておりません。引き続き、今回のロシアによるウクライナ侵略もしっかり分析しながら、新たな国家安保戦略等の策定の中で検討していく課題であります。なお、現在の防衛大綱において、主に冷戦期に想定された大規模な陸上兵力を動員した着上陸侵攻のような侵略事態への備えについては、将来における情勢の変化に対応するために最小限の専門的知見や技能の維持・継承に必要な範囲に限り保持することとし、より徹底した効率化・合理化を図ることとしています。このような考えの下、戦車については、約300両まで減少させることとしているところであります。

Q:中国の弾道ミサイルの発射の関係ですが、今後の日本のミサイル防衛態勢に影響を与える可能性があるかどうか、教えてください。

A:中国の態勢について、断定的に申し上げることはできませんけれども、引き続き鋭意分析中のところであります。

Q:質問の趣旨は、日本のミサイル防衛の態勢に影響を与えるかどうかという点です。

A:そういうことも含めてですね、これから検討するということになると思います。

Q:先ほどの昨日の自民党の国防部会の件ですけれども、防衛省から来年度予算の概算要求について検討状況の説明があったということですけれども、年末の戦略3文書改訂にあわせて防衛力の抜本的強化を図る上で、どのような考え方で来年度の概算要求を行うのか、改めて大臣からご説明いただけますでしょうか。

A:防衛省においては、先般、閣議了解された概算要求基準に基いて、「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」との方針を示した「骨太方針2022」を踏まえ、令和5年度の概算要求に向けて検討を進めているところであります。具体的には、「スタンドオフ防衛能力」、「総合ミサイル防空能力」、「無人アセット防衛能力」、「領域横断作戦能力」、「指揮統制・情報関連機能」、「機動展開能力」、「持続性・強靱性」、「防衛生産・技術基盤」といった分野を防衛力の抜本的強化の柱として検討していくこととしています。このほか、防衛力を支える人的基盤の強化、衛生機能の強化等の要素も重視していく考えであります。防衛費の内容や規模等については、新たな国家安保戦略等の策定や今後の予算の編成過程において検討していくこととなります。しかしながら、わが国の安全保障環境が厳しさを増す中で、将来にわたり、わが国を守り抜くために、必要な事業をしっかりと要求してまいりたいと思います。

Q:台湾情勢について伺います。結果的に米中間、あるいは、中国と台湾の緊張の度合いが格段に高まったわけですが、その点について、ペロシ下院議長の訪台を大臣はどのように評価されるか教えてください。

A:ペロシ下院議長の訪台につきまして、政府としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。ただ一方で、ミサイルが発射をされて、わが国近海に設定された訓練海域に落下をしているという状況から考えて、国民の安全に関わる重大な問題であります。このことについて強く批判をしています。引き続き、情報収集・分析、警戒監視等に全力をあげてまいりたいと思います。

Q:安倍元総理は、かつて「台湾有事は日本有事」だという言葉を述べられましたが、大臣はその言葉についてどう考えられますか。

A:台湾は非常に地理的にも日本に近いところに存在をしております。そういうことで常々、台湾海峡の平和と安定が重要であるということは、わが国も述べているとおりのところであります。台湾を巡る情勢の安定は、南西地域を含む、わが国の安全保障にとって重要であります。台湾を巡る関係について、対話による平和的解決を期待するとの立場に変わりはございません。

以上

  • 1 下線部:修正事項(観閲式→観艦式)
  • 2 下線部:修正事項(本日→昨日)