防衛大臣記者会見

日時
令和4年7月29日(金)10:59~11:22
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 なし。

2 質疑応答

Q:北朝鮮の金正恩総書記がですね、27日の演説で、自国の核戦争抑止力について「万全の態勢が整っている」という趣旨の発言をし、また、米韓両政府の当局者らも、核実験の準備を整えたというふうに分析をしておりますが、金正恩委員長の発言への受け止めと、核実験の可能性について防衛省の最新の分析状況を教えてください。

A:まずは報道については承知をしておるところでございますが、金正恩委員長の演説について一つ一つコメントすることは困難であることをご理解をいただきたいと思います。その上で、防衛省として、北朝鮮が核実験を実施するための準備が整っている可能性があるということは考えていますが、実際に核実験を実施する時期を含めて、これ以上の詳細については、わが国の情報収集能力が明らかになりかねないため、お答えすることは差し控えさせていただきたい、困難であるとご理解をいただきたいと思います。いずれにいたしましても、防衛省としては、北朝鮮の軍事動向について、引き続き、米国や韓国等と緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析、警戒監視に全力を挙げていくとともに、北朝鮮の完全な非核化に向けて、日米、日米韓で緊密に連携してまいります。

Q:大臣は先日火曜日の会見で、旧統一教会との関係について、「これはあくまでボランティアのケースでございますので次の選挙でどうなるかということは、軽々にお答えすることはできないと思います」と答えました。しかし、今でも旧統一教会によって、高額な献金を迫られた被害者は無数に出てきております。旧統一教会と関係がある政治家は、被害者の立場に立って猛省し、襟を正して、きっぱりと旧統一教会関連団体含めて、癒着を断ち切るべきだと思いますが、大臣の所見をお願いします。

A:先週の私の会見の趣旨でございますけれども、まず、選挙区には様々なバックグラウンドをお持ちの方がいらっしゃいます。様々な宗教的なバックグラウンドをお持ちの方がいらっしゃいますけれども、その中で、これまでも存じ上げている方々の中で、支援していただくという方もいらっしゃるわけでございますが、そういったことについては、適切に判断をしてまいったところでございます。選挙というのは、まさに戦でありますから、その段階で様々な戦略等も含めて、今、手の内を明かすようなことはいたしたくないと考えておりまして、そういうことを申しましたけれども、いずれにいたしましても、適切に判断をし、対処いたしたいと思います。

Q:昨日の夜から今日の未明にかけて、米中が首脳会談をしまして、台湾情勢について、応酬がありました。大臣、白書の巻頭言でも緊張が高まっているということで、認識を示しておられますけれども、米中が対話を続けるということと、米中が首脳会談を行われたということの受け止めをお願いいたします。

A:まず、台湾情勢、台湾海峡の平和と安定が重要であるという認識については、日米間でも、見解を一にしているところであります。そして、このことが何よりも重要であるということは常々申し上げてきているところであります。そうしたところを中国に対しても、こういう認識を持っているということについて、懸念を表明したという意味においては、必要なことであるというふうに考えております。何よりも重要なのは、この件について、やはり意見交換を続けるということではないでしょうか。

Q:嘉手納基地の、米軍が新たに建設を計画しています防錆整備格納庫についてお伺いします。米側は2019年の時点で計画を立てて業者に説明していたんですけれども、地元に知らせたのは3年後でした。このことについて、米側の対応について、大臣、どう思われるか教えてください。

A:格納庫の建設計画については、米側より防衛局や嘉手納町を含む関係自治体に対しまして、本年5月に、計画の概要について説明があったものと承知をしております。その上で、現在、米側に対して嘉手納町のご懸念を伝達した上で、建設計画の詳細について説明を求めて、様々なやりとりを行っているところであります。防衛省としては、本件の格納庫の建設計画について、地元の皆様に与える影響は最小限にとどめるように米側と調整を行いながら、しっかりと取り組んでまいります。

Q:日本政府側にも、5月にしか連絡がなかったということでよろしいでしょうか。

A:ほぼ、嘉手納町に対する説明と同じタイミングだったと思います。

Q:少なくとも、3年以上、米側は黙っていたということになると思うんですが、それについて、日本政府への誠実な対応として捉えられるのか、いかがでしょうか。

A:米側が行う工事の説明のタイミングについては、防衛省としてコメントする立場にはございませんし、差し控えたいと思いますが、引き続き、米側と調整を行いながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

Q:大臣、先日から米側と調整されるということなんですけれども、その後、計画の変更であったり中止を求めたのでしょうか。

A:嘉手納町と米軍との間に立って、調整を進めているということであります。

Q:中止しないのであれば、SACOで日本政府が負担している駐機場の移転費用については、返還を求めるお考えはありますでしょうか。

A:格納庫の建設計画については、米側のことですので、今のご質問の趣旨は理解しかねるところでございますが、いずれにいたしましても、防衛省としては、調整を進めていくということでございます。

Q:騒音防止ということで、もともとあった駐機場を移転した、元のところにまた格納庫を作るということになると、日本政府が騒音防止のためにお金支出したことが無駄になってしまうと思うんですけれども、そういう趣旨なんですが、いかがでしょうか。

A:その趣旨を生かした形で、地元の負担をできるだけ小さくすることを考えながら調整してまいりたいと思います。

Q:ミャンマーのことでお伺いします。ミャンマー軍からの留学生の受け入れの件でですね、ミャンマー軍はアウンサン・スー・チー氏の側近であった元議員ら4人の死刑を執行しました。超党派の議員連盟からは、防衛省が今月、4人の留学生を受け入れたことに対して、中止を求める意見も出ています。大臣として、今回の死刑執行を契機にですね、受け入れのあり方を見直す考えがあるのか教えてください。

A:今回の死刑執行につきましては、わが国が一貫して求めてまいりました「被拘束者の解放」ということに関して大きく逆行するものであります。また、国民感情の先鋭化による対立の激化や、国際社会におけるミャンマーの更なる孤立を招くものであり、深刻に憂慮しております。ミャンマー情勢に関して、6月22日の日ASEAN防衛担当大臣会合においても、私からミャンマー国軍に対して、暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復について、具体的な行動を取るように強く求めました。また、その時点で既にミャンマー側から発表されていた、民主化活動家を含む被拘束者の死刑執行の承認に関しましても、強い懸念を表明しました。更に、ミャンマー人留学生の自衛隊の教育機関への受け入れについて、留学生が帰国後に、市民に対する暴力行為に関与しないことが前提である旨指摘をしたところであります。ミャンマー人留学生の受入れを含むミャンマーとの防衛交流・協力については、その意義や状況の推移を踏まえて、検討してきたところでありますが、今後、いずれにしたしましても、防衛省として、適切に対応してまいりたいと考えております。

Q:統一教会との関係について改めて伺いたいんですが、先ほど大臣は、選挙協力については、「戦なので手の内は明かせない」というようなことをおっしゃいましたけれども、改めて伺いたいのは、統一教会関係者だと認識された上で協力をしてもらうということについて、問題はないとお考えなのか、もし、そうお考えだとしたら、その理由はどうしてなのかも伺えますか。

A:当時ですね、その選挙になる日まで、私も長い間、地元活動をしておりました。その中でですね、様々な宗教的なバックグラウンドをお持ちの方もいらっしゃることも理解しております。そうした中で、そういった方が組織としてではなくてですね、個人としてのボランティアとして様々なお手伝いということがございましたけれども、選挙の際にそうしたことに対しては、それぞれ、判断をしていくことになります。ですから、それが正しかったのかどうかも含めてしっかり検討していかなければいけないことだと思っております。

Q:あれだけ社会問題を起こした教団ですので、それは当然、大臣もご存じだったと思いますけれども、そうした統一教会の関係者を陣営の中に入れる、選挙協力をしてもらうということに対しては、問題意識を持たなかったんでしょうか。

A:選挙協力の中でもいろんなものがございますけれども、実際には、私というよりも選対の中で判断をしていった話だと思います。

Q:旧統一教会との関係ですが、選挙協力以外の関係はありましたでしょうか。協会及び関係団体からの献金ですとか、もしくは逆に大臣の側からですね、教会の行事に対する講演ですとか祝電など、そうした関係がございますでしょうか、お答えください。

A:そうした関係はなかったものだと思います。先方からですねセミナーとか、そういう大会等への参加要請というものもなかったと思います。

Q:献金等、向こうからの金銭的支援もないとうことでよろしかったでしょうか。

A:それもなかったのではないかと思います。

Q:旧統一教会について伺います。大臣は、旧統一教会が霊感商法であるとか多額の献金問題で社会問題化している団体だということについてどう思われますか。

A:教会の1つ1つの教義について私も存じ上げているわけではございませんけれども、そういったことが1つ1つが社会問題化している、それによって迷惑を被り、あるいは多大被害を負っている方がおられるということについては、大変問題だと思っております。

Q:そういった問題を持った旧統一教会の関連団体の集会に安倍元総理がメッセージを送ったことについて大臣はどう考えられますか。

A:どういうメッセージを送ったのか、私も存じ上げておりませんので、コメントは控えさせていただきたいと思います。

Q:旧統一教会が社会的に問題がある宗教団体だということは大臣もかなり前から、随分前から認識はあったという理解でよろしいですか。

A:そういうことが言われている団体であるということは認識をしておりました。

Q:認識をした上で、選挙のボランティアとして旧統一教会のメンバーが電話作戦などに協力したことについて、今どう考えていらっしゃいますか。

A:先ほど申しましたとおり、協力の程度にもよると思いますので、選挙の時は様々なバックグラウンドをお持ちの方からそういうお手伝いをしていただいているということはございますから、その方についてもその内の一部ということで判断をしております。

Q:電話作戦程度だったら旧統一教会のメンバーに手伝ってもらっても問題はないという認識でしょうか。

A:電話作戦の中身にもよると思うんですけど、そういう判断を当時はしていたんだと思います。

Q:今後についてはどうお考えですか。

A:先ほども申しましたけれども、選挙の時に適切に判断をして対応したいと思います。

Q:適切に判断とのことですが、具体的にはどういったようなことが現状お考えでいらっしゃいますでしょうか。

A:適切に判断ということでございます。

Q:いわゆる統一教会、霊感商法等で問題になったことのある団体として大臣ご自身ご認識されていたとのことですが、大臣ご自身が関係を持たれることで、ある種団体側にそのお墨付きを与えることになりかねないのではないかと指摘もありますが、その点については大臣ご自身どのようにお考えでしょうか。

A:そういう影響が出ない、あまりそういうところまで候補者自身が考えていなかったというのが実態だと思いますが、いずれにしても適切に判断すべきであると思います。

Q:大臣、先日の会見で「統一教会の皆さんのメンバーの内、何人かは存じ上げております」と述べられました。本当にそれだけでしょうか。といいいますのも、アメリカのFBIの1975年の報告書には、お爺様の岸信介さんと笹川良一さん、こういった方々が国際勝共連合の創設に関わったと指摘されております。なおかつ、統一教会の元々の日本本部は渋谷区南平台町、岸信介さんの公邸の隣にあったといいます。ということは、大臣、ちっちゃい時から、国際勝共連合の皆さんとか、統一教会の隣にあった日本支部の人とか、割ともっとかなり接点があったんじゃないかと、お爺様と統一教会の関係も含めて、本当に何人かだけですか。

A:南平台に住んでいましたのは小学校の低学年の時でございますから、もしかしたら、お会いしてるかもしれませんけれども、あまり意識をしてどういう方かということまで認識をして会っているということではないと思います。そういうことでございます。

Q:大人になってからは、本当に何人かだけでしょうか。

A:全部把握しているわけではありませんし、統一教会の中の方と旧知であるということはありますけれども、旧知というのは、それまでも存じ上げているという意味で、それ以上の関係ではございません。

Q:今回あの事件でお兄様亡くされた立場でもあるとは思うんですけれども、山上容疑者が供述の中で、統一教会について、恨みがあったという趣旨の供述をしているという点において、こういう社会的な問題が起きなければ、こういう事件も起きなかった可能性もあるというようなお考えはありますでしょうか。

A:それぞれ色々な背景をお持ちの方だと思いますけれども、問題は、やはり犯行を実行した人にあると思います。そういう意味でその方が、どういう背景をお持ちかということについてよりも、犯行を行ったということの方が重要な問題だと思います。

Q:ご記憶にあるかと思うんですが、昔、オウム真理教と一部自衛隊員との関わりが問題になったことがありました。今回ですね、自衛隊、防衛省にどの程度、旧統一教会関連の信者がいるのかどうか把握しているのか、もしくは、信教の自由があってそういったことを調査をすること自体ができないのか、このあたりについて教えてください。

A:今の時点で、私自身が把握しているということはございません。その上で、これは非常に信教の自由とも関係することですので、慎重に対応する必要があると思います。適切に対応してまいりたいと思います。

以上