防衛大臣記者会見

日時
令和4年7月19日(火)11:08~11:33
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 〇 7月15日公表したとおり、ウクライナ避難民救済の国際平和協力業務実施計画で定めた実施期限である7月15日をもって、私からウクライナ避難民の救済空輸隊等の編組解除の命令を発出いたしました。今般の活動においては、UNHCRからの要請内容を踏まえまして、5月1日から6月27日までの、C-2輸送機により延べ6便、KC-767で延べ2便の計8便を運航しました。ドバイからポーランド、ルーマニアまで、毛布、ビニールシート、ソーラーランプ及びキッチンセットといった人道救済物資を合計約103トン輸送しました。UNHCR側から今般の協力について、謝意を表明されています。自衛隊は、引き続き、国際社会と連携しながら、ウクライナ避難民の方々に寄り添う支援への貢献に取組んでまいりたいと考えます。

2 質疑応答

Q:先日の参議院選挙で、自民党は議席を伸ばして大勝しました。こうした結果を受けてですね、選挙戦では防衛費増額も焦点となりましたが、国民の理解を得ることができたとお考えでいらっしゃいますでしょうか。また、年末にかけてどのように防衛費の増額であったり、3文書の改定に取組むお考えかお聞かせください。

A:参議院選挙の結果については、政府としてコメントすることは控えさせていただきます。その上で、ロシアのウクライナ侵略という許しがたい暴挙や、わが国が直面する厳しい安全保障環境が、連日のようにメディアで報道されてきた中で、わが国自身で防衛努力の重要性について、国民の間でも広く認識できているのではないかと考えています。わが国の国防という責務を担う防衛大臣として、防衛力の抜本的な強化をしていかなければならないと考えています。新たな国家安全保障戦略の策定に向けて、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に議論をしてまいります。その結果、防衛力の抜本的強化に当たって必要となるものの裏付けとなる予算をしっかり確保していく必要があります。先般閣議決定したいわゆる骨太方針において「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」としていたことについて、新たな国家安全保障戦略の策定や今後の予算編成過程を通じて検討してまいりたいと考えております。防衛省としては、厳しさを増す安全保障環境の中で、わが国の守りに必要な取組について国民の皆様の理解を得られるよう、引き続き十分に説明を行ってまいりたいと考えております。

Q:安倍元総理のご逝去に際しては、改めてお悔やみを申し上げます。その上で、岸田総理大臣がですね、安倍元総理の実績に鑑みて、いわゆる国葬の形式で葬儀を行うことを表明しました。ご親族のお立場としての受け止めなどがありましたらお願いいたします。

A:親族としては、これは名誉なことであると思います。その上で、国葬という形をとって行われるということでございますけれど、粛々と国葬を行うということだと思います。

Q:参院選沖縄選挙区で、普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する現職が当選したことについて見解を伺います。辺野古移設に反対する民意の表れと捉えられますでしょうか。また、結果を受けて工事を止めるお考えはありますでしょうか。

A:選挙の個々の結果について、防衛省としてお答えすべき立場にはないと考えております。普天間飛行場をめぐる問題の原点は、市街地に位置し、住民や学校で囲まれて、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の危険性の除去、これを一刻も早く実現することが大切であります。普天間飛行場の固定化は避けなければなりません。これは、政府と地元の皆様の共通認識であると考えております。政府として普天間飛行場の危険性の除去を考えた時に、辺野古移設が唯一の解決策であり、この方針に基づいて着実に工事を進めてまいることが、1日も早い返還の実現につながると考えております。

Q:もう1点お伺いします。米軍嘉手納基地で米軍が新たに防錆整備格納庫を建設しようとしています。ただでさえ民間地に近く、騒音や悪臭被害が大きいエリアで、地元が使用の中止を求めているんですけれども、また新たに格納庫が建設されるということについて地元の町長や町議会からも中止を求める声があがっていると思います。防衛省として米側に計画の中止を働きかける可能性があるかどうかを含めて今後の対応を教えてください。

A:ご指摘のありました嘉手納飛行場のパパループにおける米空軍の防錆整備格納庫の建設計画につきましては、先日、嘉手納町より計画撤回の要請がございました。これを受けて、防衛省から米側に対し、嘉手納町のご懸念を伝達したところです。防衛省として、防錆整備格納庫の建設計画について、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるように、米側と調整を行いながら、しっかりと取り組んでまいります。

Q:それはあの、このまま計画が進んだら、日米両政府が合意しているSACOの趣旨にも反するのではないかなと思うんですけれども、この点と先ほどの大臣の答弁は、中止は求めないけれども、影響は最小限にするように対処していくという理解でよろしいのか教えてください。

A:中止までは求めておりませんが、現地の事情、米側からの要請、それから嘉手納の懸念について今、伝えている状況であります。その中で現地での影響が最小限にとどまるように調整をしているところでございます。

Q:SACOの趣旨に反するという点については、どういうご理解でしょうか。

A:米軍の計画についてまずは、嘉手納町より計画の撤回があったわけですから、そのベースでそのことを踏まえて今後とも米側と調整を行いながら取り組んでいくということであります。

Q:中国の砂漠地帯に関する衛星写真の分析で中国が空自のAWACSのような構造物を作ってその後破壊していたことが分かりました。空自機を仮想標的とするミサイル攻撃の訓練などを実施した可能性がありますが、防衛省の分析や大臣のご所感、今後の対応などについてお聞かせください。

A:報道は承知しておりますが、わが方の情報収集能力を明らかにするおそれがありますので、防衛省として分析を含めて、詳細をお答えすることは困難であることをご理解をいただきたいと思います。その上で、中国については、透明性を欠いたまま、継続的に高い水準で国防費を増加させ、核・ミサイル戦力も含めて、軍事力の質・量を広範かつ急速に強化させています。海空域における軍事活動を急速に拡大・活発化させています。中国の軍事動向につきましては、国防政策や軍事力に関する透明性の不足と相まって、わが国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっております。防衛省としては、関連動向について、今後も高い関心を持って注視してまいりたいと考えております。

Q:亡くなった安倍元首相についてお伺いします。安倍元首相は総理退任後もですね、骨太の策定過程など積極的に発信されて、防衛政策に影響を与えてきたかと思われます。今回の事件でですね、安倍元総理が亡くなられたことで、年末にかけての3文書改定や防衛費増額の議論に及ぼす影響について、大臣の考えを教えてください。

A:安倍元総理につきましては、一議員としても、その発言については、影響力が大きかったと考えております。そういう意味で、今後ともですね、安倍元総理の遺志を継いだ議員の活動というものもあると思いますが、そうしたことからバックアップになっていただけるのではないかと思います。

Q:安倍元総理、ご逝去されたことはお悔やみ申し上げます。その上で、先程質問があった、秋に行われる国葬についてなんですけれども、大臣は名誉なことだというふうにおっしゃられましたが、一部野党からは、「安倍元総理の政治的評価が分かれており、国葬に反対だ」という意見もあります。また、日本維新の会も「国葬に反対ではないが、大々的に国葬を行えば経費もかかるので、その批判がご遺族に向かわないことを願う」と懸念を示されています。維新が示した懸念のとおり、一部で批判が上がっていることについて、大臣どのようにお考えでしょうか。

A:様々なご意見があるということは承知をしております。その中で最終的には総理の判断ということになると思います。

Q:海自鹿屋航空基地への米軍無人機展開計画で、地元の鹿屋市長が「やむを得ない」と容認する考えを示しました。加えて本日、鹿児島県知事も市長と市議会の意見を尊重して、「やむを得ない」というような考えを表明しているんですけれども、それについての受け止めをお願いいたします。それから、市長は「市民を守る責任との間で葛藤があった」というような発言もしています。この発言について、どのようにお考えでしょうか。また、計画を地元に正式に伝えてから、わずかな期間で配備が進められるんですけれども、地元理解は十分に得られたというふうにお考えでしょうか。以上3点、お願いいたします。

A:今月11日、鹿屋市議会全員協議会における鹿屋市長の発言については承知をしております。日米同盟の情報収集能力を強化し、わが国の防衛を全うするための今般の米軍無人機MQ-9の鹿屋航空基地への一時展開について、ご理解を頂いたことは大変ありがたいと考えております。私の地元である岩国市においても米軍の基地がございます。米軍の活動についても、地元の皆様のご理解を得るための努力を積み重ねることが大変重要であると、十分に理解をしております。防衛省として、今後とも地元からの意見、ご要望を伺い、MQ-9の一時展開について地元の更に理解が広がるように、準備を進めてまいりたいと考えております。また、「葛藤があった」という件がございました。鹿屋市長のご発言については、基地が所在する街の長として、国防に対する理解と市民生活を守る立場から、非常に重い決断であったと考えております。防衛省としても、今後とも、地元からのご要望、ご意見をしっかり受け止めて、MQ-9の一時展開に向けて準備を進めてまいります。

Q:この正式に伝えてからわずかの期間で配備が進むということについて、地元理解が十分に得られたというふうにお考えかどうかというところもう一度お願いいたします。

A:今回、MQ-9の日本への一時展開について、本年1月、検討中の時点で鹿屋市にご説明をしました。検討に必要な現地調査等を実施してまいったところであります。そして、現地調査を含む様々な検討の結果、今年5月、岩本政務官が鹿屋市等を訪問し、MQ-9を鹿屋基地に一時展開させていただきたい旨をご説明させていただいたところです。それ以降も、市議会へのご説明や住民説明会等を通じて、地元の皆様のご理解をいただけるように努めてまいりました。防衛省として、自衛隊や米軍の活動については、地元の自治体のご理解が重要であると考えております。6月30日、鹿屋市議会でのMQ-9の一時展開容認決議に続きまして、今般、鹿屋市長のご理解をいただいたことは、地元から一定のご理解を得ることができたと考えております。今後とも、ご要望やご意見をしっかりと受け止めて、一時展開に向けて準備を進めてまいります。

Q:今月7日、沖縄県金武町のキャンプ・ハンセンに隣接する民家で銃弾が発見された件についてなんですけれども、米軍の訓練で使用された流れ弾かどうか、地元で波紋が広がっています。銃弾には錆が付いており、窓ガラスの割れ方も不自然なことから故意に入れられた可能性も指摘されておりますが、大臣はどのように考えますか。

A:今月7日、金武町の伊芸区の民家において、ガラスが割れて、銃弾らしきものが落ちていたという連絡が金武町から沖縄防衛局にございました。民家の塀及び塀の上の網の破損は確認されなかったわけですが、当該民家のドアのガラスのうち、外側のガラスのみが割れているということです。銃弾のようなものは、錆のようなものが付いていたと見られます。こういうことを同日、沖縄防衛局が公表いたしました。また、8日には、米側から、キャンプ・ハンセンにおける実弾射撃訓練については、施設区域外に着弾しないような安全対策が施されていることなど説明を受け、沖縄防衛局より公表しております。同じく8日、「古く腐食した銃弾は、6日及び7日にキャンプ・ハンセンにおける実弾射撃訓練で使用されたどの火器からも発射されたはずがないものであると判断された」などの内容を米側が公表したと承知をしております。本事案については、現在、様々な可能性も視野に入れて、予断を持つことなく、警察当局において捜査が行われているものと承知をしております。防衛省としては、町民の皆様の不安が払拭されるように、引き続き適切に対処してまいります。

以上