防衛大臣記者会見

日時
令和4年7月5日(火)10:13~10:28
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 ○ 7月4日午前7時44分頃、海上自衛隊が監視していた中国海軍のジャンウェイⅡ級の1隻が、尖閣諸島魚釣島南西のわが国接続水域に入域しました。当該艦艇による領海侵入は確認されていません。同日午前7時50分頃、当該艦艇は、魚釣島南西のわが国接続水域から出域いたしました。中国艦艇が尖閣諸島の接続水域に入域したのは、平成28年6月、平成30年の1月、6月に続き4回目であります。また、6月15日以降、北海道沖、伊豆諸島沖、南西諸島沖、対馬海峡等で日本列島を周回するように航行している複数のロシア艦艇のうち1隻、これがステレグシチーⅡ級のフリゲートですが、7月4日7時05分頃から8時16分頃にかけて、尖閣諸島魚釣島の接続水域を航行したことで確認をしています。今般、接続水域に入域した中国艦艇の目的について確たることを申し上げることは困難ですが、ロシア艦艇の航行に対応してこのような航行をとった可能性があります。その上で、中国が尖閣諸島に関する独自の主張を行い、これまで海警船による領海侵入を行ってきた中で、今般中国がこのような航行を行ったことは、同海域における緊張を一方的に高める行為であり、深刻に懸念すべき状況であると考えています。 政府としては、海上自衛隊の護衛艦による監視等を行うとともに、外交ルートを通じて中国側に重大な懸念を表明して抗議し、再発防止を求めました。 近年、中国の海空戦力によるわが国の周辺の海空域における軍事行動は、益々、拡大・活発化しております。例えば、6月12日から30日にかけて、中国海軍の艦艇が日本列島を周回するような形で航行したことを確認しています。防衛省・自衛隊としては、艦艇、航空機による平素からの警戒監視とともに、こうした個別の案件についても、万全の警戒監視を行ってまいります。 いずれにせよ、尖閣諸島は、歴史的にも国際法上もわが国固有の領土であり、中国側の一方的な現状変更の試みに対して、わが国の領土・領海・領空を断固として守り抜くとの考えの下、毅然かつ冷静に対処してまいります。

 ○ サイバー攻撃の脅威が日々、高度化・巧妙化する中で、サイバー空間における能力の向上は喫緊の課題であります。サイバーセキュリティに関する専門的知見を備えた優秀な人材の安定的な確保が不可欠であります。このため、サイバーセキュリティに関する専門的知見を備え優秀な人材を確保することを目的に、第2回目となる「防衛省サイバーコンテスト」を8月21日にオンラインで開会いたします。参加者の募集は、7月5日から7月31日まで行います。多くの方の参加をお待ちしております。

2 質疑応答

Q:6月中旬から下旬にかけての中露艦艇の周回に関してお伺いします。ロシア艦艇を追う形で日本列島を周回した中国艦艇3隻が数日間、伊豆諸島から沖縄にかけての海域を航行した上で6月30日に東シナ海方面へ向かったことが確認されました。この間の中国艦艇の意図や狙いについてどのように分析していますでしょうか。また、中露艦艇の行動が活発化していることについての見解と合わせて改めてお聞かせください。

A:6月12日から30日にかけて、中国海軍の艦艇が、対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡、伊豆諸島周辺を経て、沖縄本島と宮古島の間を航行し、日本列島を周回するような形で航行したことを確認をいたしております。これに先立ち、ロシアの艦艇も、6月15日から21日にかけて同様の航行を行っております。中露艦艇が短期間に同様の航路でわが国を周回するような形で航行したことは、両国によるわが国周辺における軍事プレゼンスの誇示であります。わが国に対する示威行動とも考えられるところ、防衛省としては懸念を持って関連動向を注視しております。これらに加えて、昨日には、中国軍艦艇が、尖閣諸島周辺の接続水域に入域したことを確認するとともに、6月21日から24日にかけて、わが国南西諸島及び台湾周辺の海空域において、中国海軍艦艇や爆撃機・情報収集機が活動していることを確認しています。また、台湾国防部の発表によりますと、同期間6月21日から23日においてですけれど、延べ57機の中国軍機が台湾の南西・南東の空域へ進入したとされております。こうしたことも含めて、近年、中国の海空戦力によるわが国南西諸島や台湾周辺の海空域における軍事活動は、益々、活発化しております。防衛省・自衛隊としては、わが国周辺の海空域における動向について引き続き注視するとともに、警戒監視活動に万全を期してまいります。

Q:北朝鮮の情勢についてお伺いします。北朝鮮は一昨日、日米韓首脳会談や3か国の共同訓練の再開に対して発表した談話で、「ヨーロッパとアジア太平洋地域で核戦争が同時に起こり得る危険な状況が生まれた」などと主張しています。この談話の内容についての受け止めと、北朝鮮がですね核実験を行う可能性について、防衛省の認識に更新があれば教えてください。

A:今般の日米韓首脳会談では、岸田総理から「核実験を含めて、北朝鮮による更なる挑発行為の可能性も排除されない中で、日米同盟、米韓同盟の抑止力を高めることを含めて、日米韓の連携強化は不可欠である」という旨を述べ、3か国の首脳は、北朝鮮への対応に関する日米韓協力を一層推進していくことで一致したものであると承知をしております。その上で、ご質問の北朝鮮メディアによる報道については、政府として、報道の一つ一つにコメントすることは差し控えますが、北朝鮮による核・ミサイル開発は、わが国及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認することはできません。先般、日米韓の防衛相会談においても、3か国の緊密な連携の重要性を確認し、3か国によるミサイル警戒訓練、弾道ミサイル探知・追尾訓練及び北朝鮮による弾道ミサイル発射に対応するための更なる活動を具体化することで一致をしたところであります。こうした防衛相会談の成果を踏まえ、3か国の連携を一層深めてまいります。

Q:鹿児島の海自鹿屋航空基地への米軍無人偵察機の一時展開計画を巡って、地元の鹿屋市議会が6月末に展開を容認する内容の決議を賛成多数で可決しました。このことに対する受け止めをお願いします。また、決議では日米地位協定の抜本的見直しを強く求めるとの一文もあります。議会で市民の不安の声を払しょくされていないことへの懸念を示されましたが、このことに対する大臣のお考えをお願いします。

A:6月30日、市議会において、MQ-9の鹿屋基地への一時展開を容認する決議が可決されたものと承知しております。日米同盟の情報収集能力の強化を目的とし、わが国の防衛を全うするための今般の一時展開について、ご理解を頂いたことは大変ありがたいと思います。防衛省として引き続き、MQ-9の鹿屋基地への一時展開について、地元からのご要望やご意見を伺いながら、地元の皆様からより一層のご理解をいただけるよう、努めてまいりたいと考えております。また、地位協定の見直しについてでありますが、鹿屋市議会からのご意見につきましては、しっかりと受けとめてまいりたいと思います。その上で、地位協定は、同協定の合意議事録等を含んだ大きな法的枠組みであり、政府としては、事案に応じて、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて、一つ一つの具体的な問題に対応してまいります。 今後とも、目に見える取組を積み上げることにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。

Q:昨日の中国艦艇の動きについて関連で伺います。昨日、日本政府が中国に対して抗議をした上で、今朝、尖閣諸島の周辺で中国の海警船が領海侵入を行っています。対応に当たったのは海上保安庁かと思いますが、日本のこうしたアクションに対する動きか何か、大臣のご所感を教えていただけないでしょうか。

A: 海上保安庁の対応ですね、まずこれについては海保として行っております。海上保安庁の独自の判断として行っておりますが、現場でですね混乱が起こらないように対応してまいりたいと考えております。

Q:関連してもう1件伺いたいんですけれども、防衛省としては今回ロシア艦艇の航行に対応する中国の艦艇の動きだというふうに発表なさっていますが、この中露が連携して、何か行動していたという可能性については何かあるんでしょうか。教えてください。

A:そうした可能性についても、考えられるところだと思いますが、断定的には申し上げることはできないというところをご理解をいただきたいと思います。

以上