防衛大臣記者会見

日時
令和4年6月28日(火)11:02~11:16
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 「リムパック2022」への参加についてであります。防衛省・自衛隊は、6月29日から8月4日までの間、ハワイ諸島などで実施される多国間共同訓練「リムパック2022」に参加をいたします。「リムパック」は、米海軍の主催により2年に1度開催される世界最大級の多国間共同訓練です。今回で、海上自衛隊は22回目、陸上自衛隊は4回の参加になります。本訓練においては、インド太平洋方面派遣のIPD22部隊である護衛艦「いずも」と「たかなみ」のほか、陸上自衛隊の西部方面隊などが参加をし、戦術訓練と人道支援・災害救援に係る訓練を行います。防衛省・自衛隊としては、この伝統的な「リムパック」への参加を通じまして、戦術技量の向上、米国をはじめとする同盟国・同志国との連携を強化し、「FOIP」の維持・強化に向けて結束を示す考えであります。

2 質疑応答

Q:中国の軍艦の動向についてお伺いいたします。先週の大臣の会見以降もですね、日本周辺での動向が続きまして、週末も情報収集艦が日本周辺を動くなど引き続き、活発に活動が続いております。中国軍の最新の動向と、防衛省としてどういうふうに意図、狙いを分析しているか、防衛省の警戒監視体制についてお願いします。

A:6月12日から26日にかけて、中国艦艇が、対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡を経て伊豆諸島周辺を航行し、日本列島をほぼ周回するような形で航行したことを確認しました。これに先立ち、ロシアの艦艇も、6月15日から21日にかけて同様の航行を行っております。中・露艦艇が短期間に同様の航路でわが国を周回するような形で航行したことは、両国によるわが国に対する軍事プレゼンスの誇示であり、わが国に対する示威行動と考えられるところです。防衛省として懸念を持って関連動向を注視してまいります。また、これらに加えまして、6月21日から24日にかけて、中国海軍艦艇が沖縄本島と宮古の間及び与那国島と台湾の間において航行するとともに、23日、24日には、中国の爆撃機や情報収集機が沖縄本島と宮古島の間を往復して飛行したことを確認しています。また、台湾国防部の発表では、同期間において、延べ57機もの中国軍機が台湾の南西・南東の空域へ進入したとされております。こうしたことを含めて、近年、中国の海空戦力によるわが国南西諸島及び台湾周辺での海空域における軍事活動は、益々拡大しておるといえます。防衛省・自衛隊としては、わが国周辺海空域における動向について引き続き注視するとともに、警戒監視活動に全力を挙げてまいります。

Q:2点あります。まず1点目なんですが、先日23日にですね、沖縄戦の組織的戦闘が終了して77年となる慰霊の日を迎えました。同日の戦没者追悼式でですね、沖縄県の玉城デニー知事が基地負担の軽減、それから普天間飛行場の一日も早い危険性の除去、それから移設先である名護市辺野古での基地建設の断念を訴えておりましたが、大臣のその基地負担軽減と辺野古の基地建設について改めてお考えをお伺いします。

A:6月23日、沖縄は慰霊の日を迎えました。本年の追悼式については、新型コロナウイルス感染防止のため、規模を縮小して開催されました。追悼式への参加は叶いませんでしたが、戦没者の御霊に対しまして哀悼の誠を捧げるとともに、国の安全保障を預かる一人として、戦争の惨禍を二度と繰り返さないよう誓いを新たにしたところであります。その上で、沖縄の本土復帰から50年という大きな節目を迎え、今なお、沖縄の皆様には、大きな基地負担を背負っていただいております。このような状況は到底許しがたい、是認するものではありません。引き続き、国を挙げて、基地負担の軽減に取り組んで、結果を出してまいります。とりわけ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の固定化は、絶対に避けなければなりません。辺野古移設に向けた工事を着実に進めて、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現してまいります。これからも、日米同盟の抑止力を維持しながら、基地負担の軽減に努めてまいります。

Q:もう一点なんですが、防衛省が今、沖縄県に提出している辺野古沖の埋立変更申請書に関してなんですけれども、この埋め立てに必要な土砂の採取場所として沖縄本島南部の糸満市などが挙げられておりますけれども、この地域の土砂には戦没者の遺骨が含まれるという可能性もあって、地元では懸念の声もありますが、南部地区を採取場所の候補から外すなどですね、見直しのお考えは現時点であるかどうか改めてお伺いします。

A:沖縄県では、先ほども述べましたけれども、大変、凄惨な地上戦が行われました。軍民あわせて20万人もの尊い生命が失われたところです。特に、本島南部の一帯では、多くの住民が犠牲になられたと承知をしております。その上で、変更承認後の埋立に使用する土砂の調達先は、工事の実施段階で決まるものであり、県内と県外のどちらから調達するかも含めて、現時点では確定をしておりません。沖縄では、今なお、厚労省と沖縄県で役割を分担して、戦没者のご遺骨の収集が進められております。変更承認後の土砂の調達先は決まっておらず、ご遺骨の問題は大変重要であると考えています。このことから、こうしたことも踏まえて、土砂の調達先については、今後しっかりと検討してまいります。

Q: 海上自衛隊鹿屋航空基地への米空軍無人機配備計画なんですけれども、地元の鹿屋市議会でも30日の最終本会議に計画を容認する主旨の決議案を上程される見通しです。採決の結果はまだわからないですが、防衛省としてこの計画を進めるなかで、市議会での意思表示、採決の結果というのが住民に理解を得られたかどうかの判断材料となりますか。お考えをお示しください。また、7月以降に運用を開始したいということなんですけれども、もう7月に入るわけですが、具体的な運用開始時期や駐留する米軍の関係者の内訳、無人機の具体的な飛行回数などまだ示せないのでしょうか。その点もお聞かせください。

A:先月、5月の23日に岩本政務官が鹿屋市を訪問し、MQ-9の鹿屋基地への一時展開について希望を述べさせていただきました。これまでの検討結果、展開の詳細とともにお伝えをさせていただいたところであります。その後も、鹿屋市議会へのご説明や住民説明会を通じて、地元の皆様のご理解をいただけるように努めているところであります。他方で、防衛省としては、市議会におけるご議論について予断を持って述べる立場には無いということをご理解いただきたいと思います。いずれにしても、防衛省として、引き続き、MQ-9の鹿屋基地への一時展開について、地元からのご意見、ご要望を伺いながら、地元の皆様から一層、ご理解をいただけるよう、努めてまいりたいと思います。運用に関することですけれども、MQ-9の一時展開については、7月以降運用に必要な準備を行ってまいります。その準備が整い次第、運用を開始したいと考えております。また、今後展開する米軍関係者、150人~200人程度になると思いますが、機体の操作要員や整備要員、後方支援要員、医療担当、憲兵等が含まれ、また、軍人のみならず、軍属も含まれるところであります。なお、MQ-9は、わが国周辺海域での情報収集活動のため、離陸後すぐに任務エリアに向かい、大半の時間を洋上で活動します。具体的な飛行回数など、飛行に関するこれ以上の詳細については、情報収集活動の特性上、お答えできないということをご理解いただきたいと思います。引き続き、MQ-9の鹿屋基地への一時展開について、地元からのご要望やご意見を伺いながら、地元の皆様から一層のご理解をいただけるよう努めてまいります。

Q:防衛費の増額の財源についてなんですけれども、昨晩、公明党の山口代表が、民放のテレビ番組で財源について、「国債は借金であり、癖になったら大変だ。少子高齢化の中で、日本の財源に関して負担能力にも限りがある」ということで、防衛費の増額に関して国債発行に頼ることに否定的な考えを示しましたが、これに関して防衛大臣、受け止めをお願いします。

A:山口代表のご意見につきましては、いま選挙中でございますので、私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:先ほどの鹿屋の米軍無人機の関係なんですけれども、地元理解を得られたというのは、どのような状況になった時というふうにお考えなんでしょうか。先ほど市議会の判断について、予断をもってお答えする立場にないということだったんですけれども、市議会が意思表示をすることに対して、防衛省がどのように考えているのかということをもう一度お伺いしてもいいですか。

A:市議会の皆さんは、住民の代表でありますから、我々としても市議会としてのご意見については、尊重していきたいと思っております。そういうことでご理解をいただきたいと思います。

Q:地元理解ということについては、市議会の判断というのは、やはり大きな一つの判断材料になるということとしてお考えということでよろしいですか。

A:地元のご意見もいろいろあると思いますけれども、市議会の意見というのは一つ大きな材料だと思っております。

以上